固定資産の減損 判定・測定ダッシュボード

減損兆候の判定/認識テスト/使用価値DCF/共用資産・のれんの配分を 1 画面で

企業会計基準適用指針第 6 号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」ベース

減損会計の流れ: 「資産のグルーピング」から始まり、「兆候判定 → 認識テスト → 測定」と順に進みます。共用資産・のれんは「より大きな単位」での判定が必要です。各ステップのカードをクリックすると該当タブへ移動します。
1

資産のグルーピング

キャッシュ・フロー生成の最小単位で資産を括る

第 7〜10 項
2

兆候判定

4 類型の減損兆候があるかをチェック

第 11〜15 項
3

認識テスト

帳簿価額 > 割引前将来CF総額 か

第 18〜24 項
4

測定

回収可能価額まで帳簿価額を減額

第 25〜47 項
5

共用資産・のれん

より大きな単位で判定/配分の取扱い

第 48〜54 項

📌 STEP 1: 資産のグルーピング(第 7〜10 項)

複数の資産が一体となって独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で資産を括ります。グルーピングは管理会計上の区分や投資の意思決定単位を考慮して行います。連結 BS では、連結の見地からグルーピング単位の見直しが必要な場合があります(在外子会社含む複数連結会社をまたぐ場合等)。

典型的なグルーピング例(PDF 設例 1)

  • 製造業: 機能別 / 製品別 / 地域別の区分を基礎にする(設例 1-1〜1-3)
  • 商業・サービス業: 店舗営業単位、持株会社の単位(設例 1-4)
  • 不動産業: 物件単位、収益区分単位(設例 1-5)
  • 連結: 連結の見地から個別のグルーピングを見直し(設例 1-6)

📌 全体の判定フロー(簡易)

1. 資産グループに 減損兆候あり → 認識テストへ

2. 認識テスト: 帳簿価額 > 割引前将来CF総額減損損失を認識

3. 測定: 回収可能価額 = max(正味売却価額, 使用価値)

4. 減損損失 = 帳簿価額 − 回収可能価額(戻入禁止)

📌 共用資産・のれん(より大きな単位で判定)

共用資産(複数の資産グループから生じる将来CFの生成に寄与する資産)とのれんは、原則として「より大きな単位」で減損損失の認識・測定を行います。例外的に「共用資産/のれんの帳簿価額を各資産グループに配分する方法」も認められています。タブ ⑤ で詳しく扱います。

使い方: 4 類型の減損兆候(営業損益・CFの継続マイナス/使用範囲・方法の著変/経営環境の著悪/市場価格の著落)と、共用資産・のれんの兆候を順にチェック。1 つでも該当すれば 減損兆候あり となり、認識テスト(タブ ③)へ進みます。
プリセット:

① 営業活動から生ずる損益・CF が継続マイナス(第 12 項)

② 使用範囲・方法の著変(第 13 項)

③ 経営環境の著しい悪化(第 14 項)

④ 市場価格の著しい下落(第 15 項)

⑤ 共用資産・のれんの兆候(第 16・17 項)

🎯 兆候判定 結果

入力に応じて、ここに該当する減損兆候が表示されます。
💡 ポイント: 「継続してマイナス」とは概ね過去 2 期がマイナスを指します(第 79 項)。「市場価格の著しい下落」は 帳簿価額から 50% 程度以上の下落 が目安(第 89 項)。1 つでも兆候があれば認識テストへ進みます。
使い方: 帳簿価額と 割引前将来CF総額 を比較します(第 18 項)。割引前CFの見積期間は「主要資産の経済的残存使用年数 と 20 年のいずれか短い方」(第 37 項(1))。残存が 20 年超なら、21 年目以降のCFから 20 年経過時点の回収可能価額を求めて加算します。
プリセット:

① 基本情報

残存≤20 年なら残存経過時点、>20 年なら20年経過時点

② 各期の割引前将来CF(百万円)

年度CF(百万円)
残存≤20 年の場合は不要(0 のままで OK)

📊 帳簿価額 vs 割引前CF総額

🎯 認識テスト 結果

入力に応じて、認識すべきか・適用ルールが表示されます。
💡 注意: 認識テストの割引前CFは「見積値からの乖離リスクを反映させない」(第 19 項)。リスク反映は測定段階の割引率で行います。外貨建てCFは認識判定時点の為替で円換算(第 20 項)。
使い方: 認識すべきと判定された場合、回収可能価額 = max(正味売却価額, 使用価値) を算定し、減損損失 = 帳簿価額 − 回収可能価額 を計算します。使用価値は経済的残存使用年数までの将来CFを税引前割引率で割り引いて現在価値化します。
プリセット:

① 基本情報

時価 − 処分費用見込額
使用価値ではCF期間 = 残存使用年数(20年制限なし)

割引率の選定(第 43〜47 項)

CF が税引前なので、割引率も税引前。リスクは CF か割引率いずれかに反映。

③ 継続使用CF と帰着価額(百万円)

年度継続使用CF割引係数現在価値
最終年度末の正味売却価額。継続使用CFと別建てで入力

📈 各期CF と現在価値(年次推移)

💰 減損損失額 試算

💡 ポイント: 通常、使用価値は正味売却価額より高いと考えられるため(第 28 項)、「明らかに NSV が高い」「処分予定」等の場合を除き、使用価値の算定を中心に行います。減損損失の戻入は禁止(第 55 項)。
使い方: 共用資産・のれんは原則「より大きな単位」で減損認識・測定を行います(第 48・52 項)。例外的に「帳簿価額を各資産グループに配分する方法」も認められています(第 49・53 項)。下の比較表で取扱いの違いを確認し、右の配分シミュレーターで複数資産グループ間の配分計算ができます。

📋 共用資産 vs のれん 取扱い対比表

論点共用資産(第 48・49 項)のれん(第 51〜54 項)
原則の取扱い 関連する複数の資産グループに共用資産を加えたより大きな単位で判定・測定
第 48 項
のれんが帰属する事業に関連する複数の資産グループにのれんを加えたより大きな単位で判定・測定
第 52 項
例外の取扱い 帳簿価額を各資産グループに配分(管理会計で配分・合理的配賦基準がある場合)
第 49 項
帳簿価額を各資産グループに配分(管理会計で配分・合理的配賦基準がある場合)
第 53 項
兆候の判定 ① より大きな単位に第 12〜15 項の事象がある場合
② 共用資産自体に第 13 項又は第 15 項の事象がある場合
第 16 項
のれんを含むより大きな単位に第 12〜15 項の事象がある場合
のれん単独では兆候を判断できない
第 17 項
CF 見積期間(認識) 共用資産の経済的残存使用年数 と 20 年のいずれか短い方
第 37 項(3)
のれんの残存償却年数 と 20 年のいずれか短い方
第 37 項(4)
増加分の配分(測定) 原則 共用資産 に配分。共用資産BV − NSV を超過する分は各資産グループに合理的基準で配分
第 48 項(5)
原則 のれん に配分。のれん帳簿価額を超過する分は各資産グループに合理的基準で配分
第 52 項(5)
主要な資産該当性 共用資産・のれんは 原則として主要な資産には該当しない(第 24 項・第 104 項)
第 24 項

🧮 共用資産配分シミュレーター(より大きな単位法)

複数の資産グループを「より大きな単位」とした場合の減損損失の認識・測定・配分を計算します([設例 7-1] に対応)。

資産グループ+共用資産合計の回収可能価額

各資産グループの状況

資産グループ 帳簿価額 個別の
減損損失
個別の
回収可能価額
A
B
C

📊 配分結果