無料の学習ツール「別表五(二)ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
事例A(単位:千円)
| 期首の未払法人税等(納税充当金) | 4,200 |
| 前期確定分(充当金から納付)法人税等/県民税/市民税/事業税 | 2,400/300/700/800 |
| 当期中間分(費用で納付) | 1,300/160/380/450 |
| 当期確定分(期末に計上) | 1,500/190/440/520 |
| 固定資産税(費用で納付) | 360 |
はじめに
今日の題材 ── 事例A
📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、別表五(二)を上から順に教えてください。基礎の図に出てくる会社は?
先生
全部事例Aの数字だよ。前期末に計上した未払法人税等4,200を取り崩して前期分を払い、中間分は費用で払い、期末に当期分2,650を計上する、いちばん標準的な会社だよ。
先生
左の表を手元に置いて、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこう。
📗 基礎 ① ラボの図
基礎 ①
別表五(二)は何を書く表か ── 税目×6列の「納付の家計簿」
📍 ラボの場所:基礎タブ ①
ハルカ
マス目がいっぱいで、正直ひるみます…。
先生
左の図を横に読んでみて。「期首未納① + 当期発生② - 納付③④⑤ = 期末未納⑥」。どの税目も、横に足し引きするだけだよ。
ハルカ
家計簿と同じですね。でも事業税の行だけ「書かない」「前期分もここ」とあるのが気になります。
先生
そこがいちばん迷うところだから、基礎⑤でじっくりやろう。先に右の「別表四(抜粋)」への線を見て。
ハルカ
④⑤の法人税は四2欄、下段の31欄は4欄、35欄は13欄につながってます。
先生
つまり別表五(二)を正しく書けば、別表四の税金の行はほぼ書き写すだけになるんだ。
💡 そうだったのか!
別表五(二)は「期首+発生-納付=期末」を横に書く税金の家計簿。ここの数字が別表四・別表五(一)にそのまま流れる。📗 基礎 ② ラボの表
基礎 ②
どの税金が損金になるか ── 損金算入の可否と時期
📍 ラボの場所:基礎タブ ②
先生
書く前に、左の表の「損金」の列を見て。「損金にならない」には2種類ある。法人税・住民税はずっとならない。当期分の事業税は時期がずれるだけで、翌期の申告のときに損金になるんだ。
ハルカ
法人税・住民税は「不算入」、事業税は「算入」…。永久か一時的か、の違いなんですね。
迷いポイント 延滞税も利子税も「利息みたいなもの」では?
ハルカ
延滞税と利子税って、同じようなものですよね?
先生
表の下のほうを見て。利子税は算入、延滞税は不算入。延滞税や加算税には罰の性格があるからね。
ハルカ
同じ「附帯税」でも扱いが逆なんですね。
先生
だから別表五(二)の「その他」欄も、損金算入/不算入に分けて書くんだ。
ハルカ
延滞税は罰、利子税は利息。払う側からすると、どちらも同じくらい痛いのですが。
先生
痛さは同じでも、損金になるかは別だよ。
💡 そうだったのか!
法人税・住民税は永久に損金にならず、当期分の事業税は1期遅れて損金になる。附帯税は利子税(算入)と延滞税・加算税(不算入)で分かれる。📗 基礎 ③ ラボの図(上)
基礎 ③
納税充当金とは ── 会計の「未払法人税等」を税務ではこう見る
📍 ラボの場所:基礎タブ ③
迷いポイント 納税充当金って、決算書のどこにある?
ハルカ
「納税充当金」が決算書に見当たらないんです。
先生
左の貸借対照表の「未払法人税等 =納税充当金」を見て。申告書での呼び名なんだ。
ハルカ
同じものだったんですか!
先生
会計では負債だけど、税務では右の緑の箱のとおりプラスの利益積立金。税務では「まだ損金にしていないお金」だからね。
ハルカ
下の赤い箱、未納法人税・住民税は△なんですね。
先生
これから会社から出ていくお金だから、税務上の純資産を減らす。だからマイナスで管理するんだ。
💡 そうだったのか!
納税充当金=決算書の未払法人税等。別表五(一)ではプラス、未納の法人税・住民税はマイナス(△)で管理する。📗 基礎 ③ ラボの図(下)
迷いポイント 費用に計上したのに、なぜ全額を加算する?
先生
下の図は事例Aの数字。期末に計上した未払法人税等は2,650、内訳は法人税等1,500・道府県民税190・市町村民税440・事業税520だよ。
ハルカ
この2,650は費用なのに、別表四では全額加算ですよね。事業税の520は損金のはずでは?
先生
法人税・住民税は本税そのものが損金不算入。当期分の事業税は申告書を出す翌期まで損金算入の時期が来ていない。だから今期は全額を加算するんだ。
ハルカ
右の別表五(一)の一番下、「2,650 - 2,130 = 520」は?
先生
それが事業税。未納事業税の専用の行はなくて、納税充当金の中に残ったまま翌期に持ち越し、翌期の申告時に減算するんだ。
ハルカ
損金にならないんじゃなくて、翌期に回るだけなんですね。
💡 そうだったのか!
期末に計上した納税充当金は全額を別表四4欄で加算。事業税分(520)は納税充当金の中に含めて翌期に持ち越し、翌期に減算する。⏱ 30秒だけラボで試す
- 「設例・基礎」タブで事例0を開く
- ステップ3「期末に当期の確定税額を計上する」まで進む
👀 31欄(損金経理をした納税充当金)が黄色く光り、説明に「別表四4欄で加算」と出ることを確認
ラボを開く ▶📗 基礎 ④ ラボの図
基礎 ④
3つの納付経路 ── 充当金取崩し・仮払経理・損金経理
📍 ラボの場所:基礎タブ ④
迷いポイント ③④⑤のどの列に書くかは、何で決まる?
ハルカ
③④⑤は、税目で決まるんですか?
先生
左の3本の矢印の違いは仕訳の借方。未払法人税等を取り崩せば③、仮払税金なら④、法人税等(費用)なら⑤だよ。
ハルカ
税目じゃなくて、会計の科目で決まるんですね。別表四はどう変わるんですか?
先生
右の箱を見て。③なら法人税は調整なし(前期に加算済み)、⑤なら2・3欄で加算、④は加算と仮払税金認定損の減算の両方が必要になるよ。
ハルカ
じゃあ、どれが得なんですか?
先生
一番下の緑の帯のとおり、どの経路でも所得と利益積立金は同じ着地。変わるのは「通る行」だけなんだ。
💡 そうだったのか!
③④⑤は仕訳の借方科目で決まる。経路が違っても所得への影響は同じ。⏱ 30秒だけラボで試す
- 「シミュレーション」タブを開く(事例Aが入った状態)
- 「当期中間分」の納付の経理方法を損金経理 → 仮払経理に変える
👀 別表四に「仮払税金認定損 2,290(減算)」が増えるのに、上の「所得への影響」は ▲1,610 のまま変わらない
ラボを開く ▶📗 基礎 ⑤ ラボの図
基礎 ⑤
事業税は「申告した期」の損金 ── 1期ずれの正体
📍 ラボの場所:基礎タブ ⑤
迷いポイント 前期分の事業税は ① 期首未納? ② 当期発生?
ハルカ
基礎①の事業税の行、「書かない」「前期分もここ」の意味は?
先生
上のタイムラインを見て。事業税は申告書を出した期の損金。前期分800は前期の申告書をX1期に出したから、X1期に確定した税金=当期発生②になるんだ。
ハルカ
だから前期分なのに①じゃなくて②なんですね。
先生
左下のX1期の申告書、17欄の「② 800 ③ 800」がそれ。当期末に計上した520は「書かない(翌期の②へ)」だよ。
ハルカ
あ、右のX2期では17欄に「② 520」が出てきて、13欄で減算してる!
先生
それが事業税の1期ずれ。加算と減算は打ち消し合うけれど、事業税そのものはX2期にちゃんと損金になるんだ。
ハルカ
事業税だけ、1年遅れて届く手紙みたいですね。
先生
遅れているのではなく、申告して初めて確定するからだよ。
ハルカ
損をしているわけじゃないんですね。
💡 そうだったのか!
事業税は申告した期の損金。前期分は②(当期発生)に書き、当期確定分は書かない。当期末に加算した事業税は翌期に13欄で減算される。⏱ 30秒だけラボで試す
- 「設例・応用」タブで事例G(2期つづけて追う)を開く
- 最後の2ステップ「翌期:…」まで進む
👀 X1期末に計上した事業税400が、翌期の17欄②に現れ、13欄で減算されることを確認
ラボを開く ▶📗 基礎 ⑥ ラボの図
基礎 ⑥
別表四との連動 ── 5本の線
📍 ラボの場所:基礎タブ ⑥
先生
左の5本の線が、別表五(二)から別表四への書き写し。31欄2,650は4欄で加算、35欄800は13欄で減算だよ。
ハルカ
2本目の「⑤+④の法人税・住民税 1,300/540」の加算は何ですか?
先生
事例Aは中間分を費用(⑤)で払ったよね。法人税・住民税は費用にしても損金にならないから、2・3欄で加算するんだ。
迷いポイント 充当金で払った前期分の法人税も加算する?
ハルカ
充当金で払った前期分の法人税2,400も加算…ですよね?
先生
それは前期末に計上したとき、前期の別表四4欄で加算済み。もう一度加算したら二重になるから、線が出ていないんだ。
ハルカ
結局、当期の所得を減らしたのは?
先生
当期に申告・納付した事業税1,250(前期分800+中間450)と固定資産税360だけ。法人税・住民税は、どう払っても所得を減らさないよ。
💡 そうだったのか!
別表四は別表五(二)の書き写し:31欄→4欄、⑤+④→2・3欄、35欄→13欄。充当金で払った前期分の法人税は前期に加算済みなので今期は調整なし。📗 基礎 ⑦ ラボの表
基礎 ⑦
別表五(一)との連動 ── 未納事業税の専用欄はない
📍 ラボの場所:基礎タブ ⑦(「別表五(一)で確認」を開いた中)
迷いポイント 別表五(一)に「未納事業税」の行がないのはなぜ?
先生
左の表は事例Aの別表五(一)のうち、税金の行だけ。納税充当金は期首4,200から期末2,650、未納法人税は△2,400から△1,500と動いているね。
ハルカ
一番下の合計が期首800・期末520…。どこかで見た数字です。
先生
800は前期分の事業税、520は当期分の事業税。納税充当金から未納法人税・住民税を引いた残りが、ちょうど事業税になっているんだ。
ハルカ
専用の行はないのに、差し引きで残ってるんですね。
先生
ただし、それは確定税額どおりに充当金を計上したときだけ。計上しない会社や過不足がある会社では一致しない。表の下の説明にもそう書いてあるよ。
💡 そうだったのか!
別表五(一)の合計(納税充当金-未納法人税・住民税)は、標準的な形では翌期に減算する事業税と一致する。事業税は納税充当金の中に含めて持ち越す。📗 基礎 ⑧ ラボの図1
基礎 ⑧
転記先の整合チェック ── 申告書提出前の突合
📍 ラボの場所:基礎タブ ⑧
ハルカ
書き終わったら、何を確認すればいいですか?
先生
左の図1の同じ色の線を追って。別表五(二)の6つのセルが、別表四・別表五(一)・貸借対照表に同じ数字で現れる。1本でもズレたら、線の左端か右端のどちらかが間違っているんだ。
ハルカ
オレンジの⑥2,130は別表五(一)の未納△2,130、紫の41欄2,650は納税充当金と貸借対照表の未払法人税等…。原因の場所がすぐ絞れますね。
💡 そうだったのか!
別表五(二)の⑥・④の計・⑤+④・31欄・35欄・41欄の6つのセルは、転記先と同じ数字になる。ズレた線の両端を見れば、誤りの場所がわかる。📗 基礎 ⑧ ラボの図2
迷いポイント 全部「一致」なら、申告書は正しい?
ハルカ
図2が全部「=」なら、もう安心ですよね?
先生
一致するのは転記の対応まで。入力した税額そのものが正しいか、年税額ではなく差引納付額を書いているか、までは保証しないんだ。
ハルカ
下の「独立照合」は?
先生
仕訳の貸借、仕訳の現金と別表五(二)の納付額、利益積立金の増減を、別の経路で計算して突き合わせるもの。転記とは別の角度からの確認だよ。
💡 そうだったのか!
検算は「転記の対応」を確かめるもの。元資料との一致や税務判断の正しさは、別に確認する。⏱ 30秒だけラボで試す
- 「シミュレーション」タブで、期末に計上する納税充当金を2,650 → 2,000に変える
👀 チェックはすべて「一致」のまま。一方で上に「当期確定分の税額の合計と一致しません」という注意が出る。一致は正しさの保証ではない
ラボを開く ▶続けて読む:応用編 ── 実務で迷いやすい論点を、同じ形式で解説しています。応用編を読む ▶
今日のまとめ ── 迷いポイント早見表
| 迷いポイント | 答え | ラボ |
|---|---|---|
| 納税充当金とは? | 決算書の未払法人税等の、申告書での呼び名 | 基礎③ |
| 損金にならない税金は? | 法人税・住民税は永久に、当期分の事業税は1期遅れて損金 | 基礎② |
| 費用にしたのに全額加算? | 事業税分も含めて4欄で全額加算。事業税は翌期に13欄で減算 | 基礎③⑤ |
| ③④⑤は何で決まる? | 仕訳の借方科目(未払法人税等/仮払税金/費用) | 基礎④ |
| 前期分の事業税は①?②? | ②(当期発生)。当期確定分は書かない | 基礎⑤ |
| 充当金で払った前期分の法人税は? | 前期に加算済み。今期は調整なし | 基礎⑥ |
| 未納事業税の行がない? | 納税充当金の中に含めて持ち越す | 基礎⑦ |
| 検算が全部一致なら安心? | 転記の対応まで。税額そのものは別に確認 | 基礎⑧ |
参考資料
国税庁「別表五(二)の記載要領」(令和8年4月1日以後終了事業年度分)/国税庁「法人税基本通達 9-5-1」/国税庁タックスアンサー「No.5300」/法人税法38条・55条
