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連結範囲ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ子会社・関連会社の判定と連結の範囲

連結範囲ラボ【基礎編】のアイキャッチ

無料の学習ツール「連結範囲ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
事例A P社がS社の株式を持つ(自己株式がある会社)
S社の発行済株式1,000株
うちS社の自己株式100株
P社が持つS社株式(自己の計算)460株
他の株主のうち最大300株
その他の株主(互いに関係なし)140株
はじめに

今日の題材 ── 事例A

📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、連結決算の担当になりました。「どの会社を連結するか」って、持株が50%を超えているかどうかで決まるんですよね?
先生
半分正解で、半分は落とし穴だよ。今日は連結範囲ラボの「基礎」タブを上から一緒に読もう。数字の例は左の事例Aが中心だよ。
ハルカ
P社はS社の株式を1,000株のうち460株。46%だから…子会社ではないですよね?
先生
そこがまさに今日の最初の「迷いポイント」。答えは基礎③で出すから、左の表を手元に置いておいてね。
📗 基礎 ① ラボの図
P社が株式等を持つ会社子会社意思決定機関を支配連結(全部を合算)関連会社重要な影響を与える持分法(1行で取り込む)どちらでもない支配も重要な影響もない金融商品(時価・原価)※点線:連結しない子会社(非連結子会社)は、原則として持分法
基礎 ①

連結の範囲とは? ── 3つの箱に分ける

📍 ラボの場所:基礎タブ ①
ハルカ
「連結の範囲」って、グループ会社を全部足し合わせることですか?
先生
左の図を見て。P社が株式を持つ会社を子会社・関連会社・どちらでもないの3つの箱に分けて、箱ごとに処理を変えるんだ。
迷いポイント 関連会社も「連結の範囲」に入る?
ハルカ
関連会社もグループの一員だから、連結して合算するんですよね?
先生
合算するのは子会社だけ(全部連結)。関連会社は持分法で、純損益の持分相当額を1行で取り込むだけだよ。どちらでもない会社は金融商品として評価するんだ。
先生
どの箱に入るかで、連結の売上高・資産・負債の大きさががらっと変わる。だから判定の要件が細かく決められているんだ。
💡 そうだったのか!
連結の範囲に入る(全部を合算する)のは子会社だけ。関連会社は持分法で1行、どちらでもない会社は金融商品。まず「どの箱か」を決めるのが連結範囲の判定。
📗 基礎 ② ラボの図
50%45%持株基準(1997年より前)子会社でない45%支配力基準(いまの基準)子会社45%でも、取締役会の過半数を占めていれば → 意思決定機関を支配している(子会社)
基礎 ②

「持株」ではなく「支配」で決める

📍 ラボの場所:基礎タブ ②
先生
左の上が昔の持株基準、下がいまの支配力基準。どちらも持株は45%だよ。
迷いポイント 議決権が50%以下なら、子会社にならない?
ハルカ
45%なら過半数じゃないので、子会社にはならないと思っていました。
先生
持株基準ならそうだね。でも今は、他の会社の意思決定機関を支配しているかで決める。45%でも取締役会の過半数を占めていれば、子会社になりうるんだ。
ハルカ
45%なのに子会社。「過半数さえ渡さなければ安心」が崩れました。
先生
その「安心」が、いちばん危ないところだよ。
ハルカ
50%以下でも実質的に動かしている会社を連結しないと、グループの実態が見えないからですね。
💡 そうだったのか!
子会社かどうかは議決権の割合だけでなく「支配」で判定する(支配力基準)。50%以下でも、役員・契約・資金などの事実があれば子会社になりうる。
📗 基礎 ③ ラボの図

事例A:発行済株式1,000株、自己株式100株、P社の所有460株

発行済株式1,000株行使し得る議決権の総数 900自己株式100分母から除く(第5項)議決権(総数=100%)P社51.1%他の株主(最大)33.3%その他の株主15.6%15%20%40%50%自己の計算 51.1%
基礎 ③

議決権の所有割合の計算 ── 分母に注意

📍 ラボの場所:基礎タブ ③
ハルカ
さっきの事例A、460 ÷ 1,000 で46%ですよね。
迷いポイント 議決権の割合は、発行済株式数で割る?
先生
分母は発行済株式数じゃなくて、行使し得る議決権の総数。S社の自己株式100株には議決権がないから、分母から除くんだ。
ハルカ
460 ÷ 900 で51.1%…! 過半数を超えるから、S社はP社の子会社なんですね。
先生
その通りだよ。完全無議決権株式や相互保有株式も分母から除く。それと、判定は期末の議決権で行い、新株予約権などの潜在的な議決権は含めないよ。
💡 そうだったのか!
分母は「行使し得る議決権の総数」。自己株式などを除くので、発行済株式数で割った割合とずれる。事例Aは46%に見えて、実は51.1%の子会社。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「シミュレーション」タブを開き、右の「事例から始める」で「事例A」を選ぶ
  2. 「自己株式」を100から0に変える

👀 議決権の所有割合が51.11% → 46%に下がり、判定は連結子会社 → 関連会社(持分法を適用)に変わる。

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📗 基礎 ④ ラボの図
50%40%第7項(1)過半数を持つ自己 55%要件なし第7項(2)40%以上50%以下自己 45%+ ①〜⑤のいずれか第7項(3)40%未満でも自己 30%緊密な者 22%+ ②〜⑤のいずれか要件:①緊密な者等と合わせて過半数 ②取締役会の過半数 ③方針を支配する契約   ④資金調達額(負債)の過半の融資 ⑤その他、意思決定機関の支配が推測される事実
基礎 ④

子会社になる3つのルート

📍 ラボの場所:基礎タブ ④
先生
左の3本が、子会社になるルートだよ。(1)過半数、(2)40%以上50%以下+要件、(3)40%未満でも緊密な者と合わせて過半数+要件。
ハルカ
(2)は①〜⑤のどれか、(3)は②〜⑤のどれかが必要なんですね。②が取締役会の過半数…。
迷いポイント ちょうど50%持っていれば、子会社?
ハルカ
50%なら半分を押さえているので、子会社ですよね?
先生
50%は過半数ではないんだ。だから(1)ではなく(2)のルートで、①〜⑤のどれかを満たすかを確かめる必要があるんだ。逆に(3)なら、自己の持分が0%でも子会社になりうるよ。
先生
どのルートでも、支配していないことが明らかな場合は子会社にならない。これは応用タブで扱っているよ。
💡 そうだったのか!
子会社のルートは過半数/40%以上+要件/緊密な者と合わせて過半数+要件の3つ。ちょうど50%は過半数ではないので、要件の確認が必要。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「シミュレーション」タブを開き、右の「事例から始める」で「事例B 45%+取締役会の過半数」を選ぶ
  2. 子会社の要件の「②取締役会の過半数」のチェックを外す

👀 議決権45%のまま、判定が連結子会社(第7項(2))→ 関連会社(持分法を適用)に変わる。

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📗 基礎 ⑤ ラボの図

一般的に「緊密な者」に当たる例(適用指針 第9項)

1自己(子会社を含む)が議決権の20%以上を持つ会社2自己の役員(または役員が過半数を持つ会社)が議決権の過半数を持つ会社3自己の役員・使用人(出身者)が取締役会の過半数を占める会社4代表権のある役員を派遣し、取締役会の相当数を占める会社5資金調達額(負債)の概ね過半を融資している会社6技術援助契約が終わると事業の継続に重要な影響が出る会社7事業依存度が著しく大きい/FC契約等で強く拘束される会社同意している者(第10項)契約・合意で同じ内容の議決権行使に同意
基礎 ⑤

「緊密な者」「同意している者」とは

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑤
ハルカ
ルート(3)の「緊密な者」って、どんな人や会社ですか?
先生
自己と同じ内容の議決権を行使すると認められる者だよ。左の7つが、一般的に当たる例。自己が20%以上を持つ会社、自己の役員・使用人が取締役会の過半数を占める会社などだね。
迷いポイント 仲の良い取引先なら、何でも「緊密な者」になる?
ハルカ
長く付き合っている取引先なら、緊密な者に入れていいですよね?
先生
「仲が良い」だけでは決まらない。出資・人事・資金・技術・取引の関係や、過去の議決権行使の状況から実質で判断するんだ。金融機関が通常の取引として行っている融資は除かれるよ。
先生
契約や合意で同じ内容の議決権を行使することに同意している者は同意している者。どちらも議決権を合算するよ。
ハルカ
「緊密」と聞いて、つい仲良しのことかと思っていました。
先生
親しさは要件に入っていないんだ。
💡 そうだったのか!
緊密な者は「親しい相手」ではなく、自己と同じ内容の議決権を行使すると認められる者。出資・人事・資金などの関係から実質で判断する。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「シミュレーション」タブを開き、右の「事例から始める」で「事例C 緊密な者と合わせて過半数」を選ぶ
  2. 「緊密な者・同意している者」を220から0に変える

👀 緊密な者等を含む割合が52% → 30%になり、判定は連結子会社(第7項(3))→ 関連会社に変わる。

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📗 基礎 ⑥ ラボの図

事例D:P社が10%、子会社S1社が45%を持つV社

P社(親会社)S1社(子会社)V社議決権 10%+45%=55%60%45%10%✗ 60%×45%=27%✗ P社の持分 10%+27%=37%✓ 議決権を合算して10%+45%=55% > 50%→ V社はP社の子会社
基礎 ⑥

子会社を通じた支配(孫会社)

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑥
先生
左は事例D。P社がV社を10%、P社の子会社S1社(P社の持分60%)がV社を45%持っているよ。
迷いポイント 孫会社の判定は、持分を掛け算する?
ハルカ
S1社の45%に、P社の持分60%を掛けて27%。P社の10%と足して37%だから、子会社じゃないですよね?
先生
判定では掛け算しないんだ。子会社が持つ議決権は、そのまま合算するんだ。10%+45%=55%で過半数だから、V社はP社の子会社だよ。
ハルカ
じゃあ37%という数字は使わないんですか?
先生
使うよ。連結したあとで損益や資本を按分するときだ。「判定は議決権の合算、按分は掛け算の持分」と覚えておこう。
💡 そうだったのか!
孫会社の判定は、子会社の議決権をそのまま合算する(10%+45%=55%)。持分の掛け算(37%)は、連結後に損益を按分するときに使う。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「シミュレーション」タブを開き、右の「事例から始める」で「事例D 子会社を通じて持つ(孫会社)」を選ぶ
  2. 上の「議決権の所有割合」と「損益按分の持分(親会社株主)」を見比べる

👀 判定に使う議決権は55%で連結子会社。損益按分の持分は37%と別の数字になる。

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📗 基礎 ⑦ ラボの図
15%未満15〜20%20%以上 → 関連会社(第5-2項(1))15%20%50%自己の計算15%以上20%未満 + いずれか(第5-2項(2))①役員・使用人(出身者)が代表取締役・取締役等に就任 ②重要な融資(保証・担保を含む)③重要な技術の提供 ④重要な販売・仕入等の取引 ⑤その他重要な影響が推測される事実緊密な者等と合わせて20%以上 + ①〜⑤のいずれか → 関連会社(第5-2項(3))
基礎 ⑦

関連会社の判定(影響力基準)

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑦
先生
次は関連会社。子会社以外の会社の方針に重要な影響を与えられるかで判定するよ。左の帯が15%と20%の境目だよ。
迷いポイント 20%未満なら、関連会社にならない?
ハルカ
関連会社は20%以上ですよね。18%なら関連会社ではない…?
先生
20%以上なら、それだけで関連会社。でも15%以上20%未満でも、役員の就任・重要な融資・技術の提供・重要な取引などがあれば関連会社になるんだ。
先生
15%未満でも、緊密な者等と合わせて20%以上で①〜⑤があれば関連会社。子会社と同じで、「割合+事実」の組み合わせなんだ。
💡 そうだったのか!
関連会社は20%以上が基本。15%以上20%未満でも役員の就任などの事実があれば関連会社になる。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「シミュレーション」タブを開き、右の「事例から始める」で「事例E 18%+役員の就任(関連会社)」を選ぶ
  2. 関連会社の要件の「①役員等が代表取締役・取締役等に就任」のチェックを外す

👀 議決権18%のまま、判定が関連会社(持分法を適用)→ 子会社・関連会社に該当しない(金融商品)に変わる。

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📗 基礎 ⑧ ラボの図
子会社連結子会社原則:すべて連結(第13項)非連結子会社連結の範囲に含めない連結しない理由・支配が一時的(第14項(1))・判断を誤らせる(第14項(2)) → 含めない(強制)・重要性が乏しい(注3) → 含めないことができる持分法原則(持分法 第6項)持分法も適用しない
基礎 ⑧

連結しない子会社(非連結子会社)

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑧
ハルカ
子会社は必ず全部連結するんですか?
先生
原則は全部連結。ただし左の図の3つの場合は連結の範囲に含めない。支配が一時的利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれ重要性が乏しいの3つだよ。
迷いポイント 小さい子会社は、連結も持分法もしなくていい?
ハルカ
小さい子会社は連結しなくていいなら、何もしなくていいんですよね?
先生
2つ注意。まず、一時的・判断を誤らせるの2つは「含めない」(強制)だけど、重要性は「含めないことができる」。次に、非連結子会社には原則として持分法を適用する。持分法の影響も乏しいときに、はじめて持分法も適用しないんだ。
💡 そうだったのか!
非連結子会社になっても、原則は持分法で取り込む。重要性による除外は「含めないことができる」で、資産・売上高・利益・利益剰余金の4基準と質的な面から判断する。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結範囲ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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続けて読む:応用編 ── 実務で迷いやすい論点を、同じ形式で解説しています。応用編を読む ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
関連会社も連結の範囲に入る?入らない。合算するのは子会社だけ。関連会社は持分法基礎①
50%以下なら子会社にならない?支配力基準。50%以下でも支配していれば子会社基礎②
議決権割合は発行済株式数で割る?分母は行使し得る議決権の総数。自己株式などを除く基礎③
ちょうど50%なら子会社?過半数ではない。40%以上+①〜⑤の要件を確かめる基礎④
仲の良い取引先は緊密な者?同じ内容の議決権を行使すると認められるかを実質で判断基礎⑤
孫会社は持分を掛け算して判定?議決権をそのまま合算。掛け算は損益の按分で使う基礎⑥
20%未満なら関連会社にならない?15%以上+役員の就任などがあれば関連会社基礎⑦
小さい子会社は何もしなくていい?除外は「できる」規定。非連結子会社は原則持分法基礎⑧

参考資料

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第6項・第7項・第7-2項・第13項・第14項・注3/企業会計基準適用指針第22号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」/企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」第5-2項・第6項(2026年9月22日確認。ラボの根拠表示に準拠)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。