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未実現利益消去ラボ【設例・特殊論点編】|先生と一緒に図で学ぶ事例G・H 子会社どうし・未実現損失

無料の学習ツール「未実現利益消去ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、特殊な論点の事例(事例G・H)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・応用タブの特殊な論点
事例G S1社(非支配40%)→S2社の商品在庫1,250×40%=500
事例GのS1社の課税所得300(税効果の上限)
事例H P社→S社の土地(売却損)700−簿価1,000=▲300
事例Hの回収不能額200(消去しない)
はじめに

今日の題材 ── 事例G・H

📍 ラボの場所:設例・応用タブ
ハルカ
最後は特殊な論点ですね。少し身構えています。
先生
身構えなくて大丈夫だよ。事例Gは子会社どうしの取引税効果の上限、事例Hは損をして売ったときの話なんだ。どちらも基礎の考え方に、ひと手間を足すだけだよ。
ハルカ
ひと手間なら、なんとかなりそうです。
先生
そのひと手間がどこに入るかを、ステップを指さしながら見ていこうか。
ラボの設例・応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 事例G ステップ5
売手S1社(子会社・非支配40%)利益を乗せて販売買手S2社(子会社)期末に在庫として保有内部売上 1,800子会社どうしの取引期末在庫(買手の個別)原価部分 750未実現 500消去すると売手の簿価(原価)に戻る期末に残る消去額 500 の行き先繰延税金資産90(税率 30%・上限あり)非支配株主が負担164(40%)親会社株主が負担246税効果控除後の額を持分比率で配分(連結会計基準 第38項)
🧾 ラボの計算と仕訳
消去額 500 × 40% = 200
売手の子会社の非支配株主にも負担させる(40%)
借方金額貸方金額
非支配株主持分200非支配株主に帰属する当期純利益200
事例G

子会社どうし ── 売手S1社の持分比率で負担

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ5
ハルカ
S1社からS2社への販売ですね。非支配株主の負担は、どちらの会社の比率ですか。
先生
左の式を見て。売手のS1社の非支配株主持分40%を使って、500×40%=200を非支配株主持分から減らしているよ。利益を計上したのはS1社だから、その利益を持っている株主が負担するんだ。
迷いポイント 買手S2社の非支配株主も負担する?
ハルカ
S2社にも非支配株主がいたら、そちらにも分けるんですよね。
先生
買手の比率は使わないんだ。在庫を持っているのはS2社でも、利益を乗せたのはS1社だからね。負担はいつも売手側の持分比率で決まるんだよ。
ハルカ
在庫を預かっているだけのS2社の株主さんは、とばっちりを受けないんですね。よかったです。
先生
安心していいよ。とばっちりの行き先は、利益を乗せた売手の株主だけなんだ。
💡 そうだったのか!
子会社どうしの取引は、売手の子会社の持分比率で按分します(事例Gで500×40%=200)。
📕 事例G ステップ6
売手S1社(子会社・非支配40%)利益を乗せて販売買手S2社(子会社)期末に在庫として保有内部売上 1,800子会社どうしの取引期末在庫(買手の個別)原価部分 750未実現 500消去すると売手の簿価(原価)に戻る期末に残る消去額 500 の行き先繰延税金資産90(税率 30%・上限あり)非支配株主が負担164(40%)親会社株主が負担246税効果控除後の額を持分比率で配分(連結会計基準 第38項)
🧾 ラボの計算と仕訳
計算対象額 = min(消去額 500、課税所得 300)= 300 繰延税金資産 = 300 × 30% = 90 (上限がなければ 500 × 30% = 150) うち非支配株主の分 = 90 × 40% = 36
税効果:売却元の税率 30%(課税所得 300 が上限)
借方金額貸方金額
繰延税金資産90法人税等調整額90
税効果のうち非支配株主の分
借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益36非支配株主持分36
事例G

税効果の上限 ── min(500、300)×30%=90

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ6
ハルカ
税効果が 500×30%=150 ではなく、90になっていますね。
先生
左の途中式のとおり、S1社の売却年度の課税所得が300しかないから、対象額は min(500、300)=300。繰延税金資産は 300×30%=90 なんだ。払っていない税金までは前払いにできないからね。
迷いポイント 上限で減った60は、翌期以降に取り戻せる?
ハルカ
上限で計上できなかった60は、翌期に回収可能性を見て計上するんですか。
先生
この繰延税金資産は回収可能性を判断しないから、あとから足すこともないんだ。そのうえで、税効果90のうち40%の36を非支配株主に配分するよ。非支配株主の負担は 200−36=164、親会社株主は ▲246 になるね。
ハルカ
上限と按分が1つの事例に両方…。福袋みたいに、お得な事例ですね。
先生
中身は2つだけだよ。上限で90、按分で36なんだ。
💡 そうだったのか!
対象額はmin(未実現利益、売手の課税所得)。事例Gは90で、そのうち40%の36を非支配株主に配分します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「事例G」を読み込む(下のボタンでシミュレーションが開きます)
  2. 「売却元の売却年度の課税所得」を 300 → 空欄 にする

👀 繰延税金資産が 90 → 150、非支配株主の負担が 164 → 140、親会社株主に帰属する当期純利益への影響が ▲246 → ▲210 になります。

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📕 事例H ステップ2・3
売手P社(親会社)固定資産を売却買手S社(子会社)資産として保有売却価額 700ダウンストリーム(親→子)土地(買手の取得価額)取得価額 700戻す損失 100消去後=売手の帳簿価額(回収不能分を除く)期末に残る消去額 100 の行き先繰延税金負債30(税率 30%)親会社株主に帰属(利益増)70売手が親会社なので、全額を親会社株主が負担
🧾 ラボの計算と仕訳
未実現損失 = 売却価額 700 − 売手の帳簿価額 1,000 = ▲300 回収不能と認められる部分 200 は消去しない → 消去する額 ▲100
🧾 ラボの計算と仕訳
売手の固定資産売却損を消去し、資産を売手の帳簿価額に戻す(回収不能分 200 は消去しない)
借方金額貸方金額
土地100固定資産売却損100
事例H

未実現損失 ── 300のうち100だけ戻す

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例H ステップ2・ステップ3
ハルカ
事例Hは、P社が簿価1,000の土地を700で売って、損が300出ていますね。
先生
損失も原則は消すよ。ただし左の式のとおり、売手の簿価のうち回収不能と認められる200は消さないんだ。だから戻すのは100だけで、仕訳は「土地100/固定資産売却損100」になるよ。
迷いポイント 損失なら、300を全部戻して簿価1,000に?
ハルカ
利益のときと同じように、全部戻せばいいのでは。
先生
土地の回収できる額は800なのに、簿価1,000まで戻すと資産が大きすぎるよね。回収不能の200は、グループとしても損失として残すんだ。実質的には、連結でも減損したのと同じ状態を残すことになるよ。
ハルカ
値下がりした分を「なかったこと」にはできないんですね。昨日のクロワッサンを、焼きたての値段で売ろうとしていた気分です。
先生
焼きたてに戻せるのは、回収できる分までだよ。
💡 そうだったのか!
未実現損失は原則消去。ただし回収不能と認められる部分(事例Hで200)は消去しないので、戻すのは100です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「事例H」を読み込む
  2. 「未実現損失のうち回収不能額」を 200 → 0 にする

👀 期末に残る消去額が ▲100 → ▲300、繰延税金負債が ▲30 → ▲90 になります。

ラボを開く ▶
📕 事例H ステップ4
売手P社(親会社)固定資産を売却買手S社(子会社)資産として保有売却価額 700ダウンストリーム(親→子)土地(買手の取得価額)取得価額 700戻す損失 100消去後=売手の帳簿価額(回収不能分を除く)期末に残る消去額 100 の行き先繰延税金負債30(税率 30%)親会社株主に帰属(利益増)70売手が親会社なので、全額を親会社株主が負担
🧾 ラボの計算と仕訳
繰延税金負債 = 100 × 30% = 30
税効果:売却元の税率 30%
借方金額貸方金額
法人税等調整額30繰延税金負債30
事例H

損失の税効果 ── 繰延税金負債30

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例H ステップ4
ハルカ
損失を消すと、税効果は逆向きになりますか。
先生
そうだよ。売手のP社は、売却損100の分だけ税金が減っているよね。連結では損失を消すから、その減った税金を繰延税金負債30として計上するんだ。仕訳は「法人税等調整額30/繰延税金負債30」だよ。
迷いポイント 上限の課税所得は、損失を引いたあとの金額?
ハルカ
課税所得の上限は、申告書の最後の課税所得を見ればいいですよね。
先生
損失のときは、その損失を損金に算入する前の課税所得が上限なんだ。損金算入後の数字を入れると、繰延税金負債が小さく出てしまうよ。ラボでも、損失のときは入力欄の名前が切り替わるようにしてあるんだ。
ハルカ
利益のときとは、見る課税所得の時点が違うんですね。
💡 そうだったのか!
未実現損失の税効果は繰延税金負債。上限はその損失を損金に算入する前の課税所得です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて未実現利益消去ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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続けて読む📗 基礎編 ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
事例G買手S2社の非支配株主も負担?売手S1社の持分比率40%だけで按分(200)
事例G上限で減った60はあとで計上?回収可能性は判断しないので足さない。90のうち36を非支配株主へ
事例H損失は300を全部戻す?回収不能200は消さない。戻すのは100
事例H上限は損金算入後の課税所得?その損失を損金に算入する前の課税所得
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。子会社どうしの取引は売手の持分比率で按分し、税効果の対象額は売手の課税所得まで。未実現損失は、回収不能の部分を残して消すんだ。これで事例A〜Hを全部見たことになるね。
ハルカ
実家のこむぎに、妹が買ったおやつを私があげたら、それは子会社どうしの取引で、負担は妹の持分比率…ですか。
先生
考え方を当てはめる練習としては、いい線だね。ただ、おやつの代金を誰が負担するかは、姉妹で話し合えば十分だよ。
ハルカ
こむぎが半分残したら、回収不能分として私が食べます。
先生
それは消去ではなく、ただのつまみ食いだね。基礎編から読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの事例の数値は、各基準の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編応用編設例・連結子会社編(事例A〜C)設例・持分法編(事例D〜F)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。