未実現利益消去ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ未実現損失・税効果の上限・持分法の表示科目
無料の学習ツール「未実現利益消去ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📙 応用 処理早見表
| 売手 → 買手 | 消去する範囲 | 誰が負担する? | 消去の相手(P/L・B/S) | 税効果 |
|---|
| 連結子会社との取引(連結会社間) |
親会社 → 子会社 ダウンストリーム | 全額 | 親会社株主(全額) | 売手のP/L(売上原価・売却益など)と買手の資産 | 売手(親会社)の税率で繰延税金資産 |
| |
子会社 → 親会社 アップストリーム | 全額 | 按分 親会社と非支配株主で持分比率に応じて | 同上 | 売手(子会社)の税率。税効果も非支配株主に配分 |
| |
| 子会社 → 子会社 | 全額 | 按分 売手の子会社の持分比率で | 同上 | 売手の子会社の税率 |
| |
| 持分法を適用する会社との取引 |
親・子 → 非連結子会社 ダウンストリーム(持分法適用) | 全額 | 売手側(売手が子会社なら非支配株主にも) | 売手のP/L と 投資 | 売手の連結会社で税効果 |
| |
親・子 → 関連会社 ダウンストリーム | 持分相当額 例外:実質的に実現していなければ全額 | 投資会社(売手が子会社なら非支配株主にも) | 売手のP/L(容認:持分法による投資損益)と 投資 | 売手の連結会社の税率で繰延税金資産 |
| |
関連会社・非連結子会社 → 親・子 アップストリーム | 持分相当額 | 投資会社 | 持分法による投資損益 と 買手の資産(容認:投資) | 関連会社側の税効果(投資に含める) |
| |
| 関連会社 → 関連会社 | 持分相当額 | 投資会社 | 持分法による投資損益 と 投資 | 関連会社側の税効果 |
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はじめに
今日の地図 ── 取引の組み合わせ別 処理早見表
📍 ラボの場所:応用タブ 冒頭の📋
ハルカ
先生、応用タブは論点が多くて、どこから読めばいいのか迷います。
先生
左の早見表が地図だよ。行は「誰が売って、誰が買ったか」、列は消去する範囲・負担する人・消去の相手科目・税効果なんだ。今日はこの表のうち、実務で迷いやすい8つの論点を選んで見ていこうか。
ハルカ
上半分が連結子会社、下半分が持分法の会社なんですね。
先生
そうだよ。上は「全額消去」が基本で、下は「持分相当額」が基本。例外がどこに出てくるかを意識しながら読むといいよ。
📙 応用 A-1 ラボの図
応用 A-1
消去の方法は「全額消去・持分按分負担方式」
📍 ラボの場所:応用タブ A-1
ハルカ
アップストリームの消し方は、昔からいまの形だったんですか。
先生
左の図の3本の棒を見て。事例Bの未実現利益350について、昔は3つのやり方が使われていたんだ。いまは左端の全額消去・持分按分負担方式に統一されているよ。消すのは全額の350、負担は親会社280・非支配株主70なんだ。
迷いポイント 真ん中の「全額消去・親会社負担方式」でもいい?
ハルカ
全額消して、全部親会社が負担する方がシンプルで良さそうです。
先生
売手のS社の利益のうち20%は、もともと非支配株主のものだったよね。それを親会社だけに負担させると、親会社株主の利益を減らしすぎるんだ。だから負担は売手の子会社の持分比率で分けるよ。右端の「部分消去」は、資産に未実現利益が70残ってしまうので使わないんだ。
ハルカ
3人でケーキを割り勘したのに、1人だけ全額払わされる感じですね。私なら家族会議を開きます。
💡 そうだったのか!
いまの方法は
全額消去・持分按分負担方式。資産からは全額を消し、負担は売手の子会社の持分比率で分けます。
📙 応用 A-3 ラボの図
🧾 仕訳で確認
売手の固定資産売却損を消去し、資産を売手の帳簿価額に戻す(回収不能分 200 は消去しない)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 土地 | 100 | 固定資産売却損 | 100 |
税効果:売却元の税率 30%| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 法人税等調整額 | 30 | 繰延税金負債 | 30 |
事例H:土地(P社の簿価 1,000)を 700 で売却し、売却損 300。うち回収不能 200 は消去せず、残り 100 だけを消去(資産に戻す)します。
応用 A-3
未実現「損失」── 回収できない部分は消去しない
📍 ラボの場所:応用タブ A-3(事例H)
ハルカ
損をして子会社に売った場合も、損失を消すんですか。
先生
原則は消すよ。左の図の事例Hでは、P社が簿価1,000の土地を700で子会社に売って、売却損300が出ている。損失を消すと、土地を売手の簿価1,000に戻すことになるんだ。
迷いポイント 損失なら、いつでも全額を消して簿価に戻す?
ハルカ
利益と同じで、300全部を戻せばいいですよね。
先生
そこが違うんだ。売手の簿価のうち回収不能と認められる部分まで戻すと、資産を過大に計上してしまう。事例Hでは回収できる額が800だから、回収不能の200は消さずに、100だけ戻すんだよ。税効果は繰延税金負債30になって、上限は「その損失を損金に算入する前」の課税所得なんだ。
ハルカ
セールで値下げした服にタグを付け直しても、定価の価値に戻るわけではない…ということですね。
先生
そういうことだよ。戻すのは、回収できる額までなんだ。
💡 そうだったのか!
未実現損失は原則消去。ただし
回収不能と認められる部分は消去しない(連結でも損失として残します)。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーション(連結子会社)で「事例H」を読み込む
- 「未実現損失のうち回収不能額」を 200 → 0 にする
👀 期末に残る消去額が ▲100 → ▲300、繰延税金負債が ▲30 → ▲90、親会社株主に帰属する当期純利益への影響が 70 → 210 になります。
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📙 応用 A-5 ラボの年次表
| 年度 | 期首残高 | 当期の実現(減価償却費の減額) | 期末残高 | 繰延税金資産(期末) | 当期純利益への影響 |
|---|
| 1年目(売却) | 0 | 120 | 480 | 144 | ▲336 |
| 2年目 | 480 | 120 | 360 | 108 | 84 |
| 3年目 | 360 | 120 | 240 | 72 | 84 |
| 4年目 | 240 | 120 | 120 | 36 | 84 |
| 5年目 | 120 | 120 | 0 | 0 | 84 |
| 6年目 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
事例C:未実現利益 600、耐用年数 5年、税率 30%。1年目は消去(▲600)と実現(+120)が同時に起きるため、当期純利益への影響は税引後 ▲336 です。耐用年数5年間の影響を累計すると、ゼロに戻ります。
応用 A-5
償却資産は「毎期修正」── 年ごとの推移
📍 ラボの場所:応用タブ A-5(事例C)
ハルカ
機械の未実現利益は、毎年どう減っていくんですか。
先生
左の年次表が事例Cだよ。未実現利益600を5年で120ずつ実現させていくから、期末残高は480、360、240、120、0と減っていく。当期純利益への影響は1年目だけ ▲336 で、2年目以降は +84 ずつ戻るんだ。
迷いポイント 6年目になったら、もう何も仕訳はいらない?
ハルカ
6年目は期首残高も期末残高も0だから、仕訳はゼロですよね。
先生
損益への影響はゼロだけど、機械を持ち続けている限り取得価額と減価償却累計額の修正は残るんだ。子会社の帳簿では機械装置が1,500で載っているから、連結では「減価償却累計額600/機械装置600」の開始仕訳を毎年引き継ぐよ。純額はゼロでも、総額は直しておくんだ。
ハルカ
差し引きゼロでも、表と裏の両方を直しておくんですね。
💡 そうだったのか!
償却資産は
毎期修正。償却が終わっても、保有している限り
取得価額と累計額の総額修正は開始仕訳で引き継ぎます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーション(連結子会社)で「事例C」を読み込む
- 「何年目か」を 1 → 6 にする
👀 KPIはすべて 0 になりますが、当期の連結修正仕訳に「減価償却累計額 600/機械装置 600」の開始仕訳が残ります。
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📙 応用 A-7 ラボの図
🧾 仕訳で確認
税効果:売却元の税率 30%(課税所得 300 が上限)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 繰延税金資産 | 90 | 法人税等調整額 | 90 |
税効果のうち非支配株主の分| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 非支配株主に帰属する当期純利益 | 36 | 非支配株主持分 | 36 |
事例G:未実現利益 500 に対し、S1社の課税所得は 300。繰延税金資産は 300 × 30% = 90(上限がなければ 150)。
応用 A-7
税効果の上限と税率 ── 売却元の課税所得まで
📍 ラボの場所:応用タブ A-7(事例G)
ハルカ
税効果は、いつも未実現利益×税率でいいんですか。
先生
左の図の事例Gを見て。S1社がS2社に売って、未実現利益は500。でもS1社の売却年度の課税所得は300しかない。繰延税金資産は売手が実際に払った税金の前払いだから、対象額は300まで、300×30%=90になるんだ。上限がなければ150だったよ。
迷いポイント 課税所得が少ないなら、回収可能性で判断する?
ハルカ
課税所得が少ない会社だから、回収可能性が低いということですか。
先生
それが、そうではないのだよ。この繰延税金資産は回収可能性を判断しないんだ。上限は「払った税金の額まで」という意味なんだよ。あと、あとで税率が変わっても見直さない。ここも通常の税効果と違うところだね。
ハルカ
ポイントを使っていないのに、ポイント還元だけ期待していました。払っていない税金は前払いにならないんですね。
💡 そうだったのか!
対象額は
min(未実現利益、売手の売却年度の課税所得)。回収可能性は判断せず、税率も見直しません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーション(連結子会社)で「事例G」を読み込む
- 「売却元の売却年度の課税所得」を 300 → 空欄 にする
👀 繰延税金資産が 90 → 150、非支配株主の負担が 164 → 140、親会社株主に帰属する当期純利益への影響が ▲246 → ▲210 になります。
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📙 応用 B-2 ラボの仕訳
🧾 仕訳で確認
土地:未実現利益 800 のうち全額を消去| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 固定資産売却益 | 800 | 投資有価証券 | 800 |
土地:税効果(投資会社側の税率 30%)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 繰延税金資産 | 240 | 法人税等調整額 | 240 |
事例F:土地の未実現利益 800 を全額消去。持分相当額(25%)なら 200 でした。
応用 B-2
全額消去の例外 ── 実質的に実現していないとき
📍 ラボの場所:応用タブ B-2・B-3(事例F)
ハルカ
関連会社との取引なのに、全額を消すことがあるんですか。
先生
あるよ。他の株主に資金力がなくて、関連会社の土地購入の借入を投資会社だけが保証している、という場合は、他の株主の持分部分も実質的に実現していないと考えるんだ。左の仕訳の事例Fでは、土地の未実現利益800を全額消しているよ。
迷いポイント 非連結子会社との取引なら、向きに関係なく全額?
ハルカ
非連結子会社は支配している会社だから、どちら向きでも全額ですよね。
先生
全額になるのは、連結会社が売手で、非連結子会社が買手のときなんだ。非連結子会社が売手(アップストリーム)のときは、連結会社の持分相当額を消すよ。ラボのシミュレーションでも、「全額」はダウンストリームのときだけ選べるようにしてあるんだ。
ハルカ
「非連結子会社なら全額」と覚えていたら、半分しか合っていなかったんですね。
💡 そうだったのか!
全額消去は例外。
実質的に実現していないときと、
連結会社→非連結子会社の取引で使います。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「関連会社との取引」に切り替え、「事例F」を読み込む
- 「消去の範囲」を 持分相当額(原則) にする
👀 期末に残る消去額が 800 → 200、当期純利益への影響が ▲540 → ▲120 になります(投資の連結上の価額は 0 のまま、貸付金の減額が 100 になります)。
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📙 応用 B-4 ラボの仕訳
🧾 仕訳で確認
原則
棚卸資産:未実現利益 200 のうち持分相当額 30%を消去| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売上高 | 60 | 投資有価証券 | 60 |
棚卸資産:税効果(投資会社側の税率 30%)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 繰延税金資産 | 18 | 法人税等調整額 | 18 |
容認(持分法による投資損益で処理)
棚卸資産:未実現利益 200 のうち持分相当額 30%を消去| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 持分法による投資損益 | 60 | 投資有価証券 | 60 |
事例D:関連会社の期末在庫 800 × 25% = 200、持分相当額 30% = 60。
応用 B-4
ダウンストリームの処理 ── 売上高と投資を減らす
📍 ラボの場所:応用タブ B-4(事例D)
ハルカ
関連会社に売った商品の未実現利益は、どの科目で消すんですか。
先生
左の上の仕訳が原則だよ。売手のP社の売上高を60減らして、相手は投資有価証券なんだ。商品は関連会社のB/Sにあって連結B/Sには載っていないから、投資の額で調整するんだよ。
迷いポイント 売上高ではなく「持分法による投資損益」で処理してもいい?
ハルカ
左の下の容認の仕訳も、条件なしで選べるんですか。
先生
条件があるんだ。売上高等に代えて「持分法による投資損益」に加減しても、利害関係者の判断を著しく誤らせない場合に、その処理が認められるよ。どちらでも利益と投資の額に与える影響は同じで、P/Lのどの行に出るかが違うだけなんだ。
ハルカ
売上高の行で消すか、持分法の行で消すか。当期純利益への影響は同じ +258 なんですね。
💡 そうだったのか!
ダウンストリームの原則は
売上高等と投資。売上高等に代えて持分法による投資損益で処理しても判断を著しく誤らせないなら、容認されます。
📙 応用 B-5 ラボの仕訳
🧾 仕訳で確認
原則
棚卸資産:未実現利益 280 のうち持分相当額 30%を消去| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 持分法による投資損益 | 84 | 棚卸資産 | 84 |
棚卸資産:税効果(持分法適用会社の税率 25%、投資に含める)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 投資有価証券 | 21 | 持分法による投資損益 | 21 |
容認(投資の額で処理)
棚卸資産:未実現利益 280 のうち持分相当額 30%を消去| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 持分法による投資損益 | 84 | 投資有価証券 | 84 |
事例E:P社の期末在庫 700 × 関連会社の利益率 40% = 280、持分相当額 30% = 84。
応用 B-5
アップストリームの処理 ── 持分法投資損益と買手の資産
📍 ラボの場所:応用タブ B-5(事例E)
ハルカ
関連会社から買った場合は、逆向きになるんですか。
先生
そうだよ。事例Eでは、関連会社A社が売った商品がP社の倉庫に700残っていて、未実現利益280のうち持分相当額84を消す。原則は左の上の仕訳で、持分法による投資損益を減らして、買手P社の棚卸資産を減らすんだ。
迷いポイント 税効果は、買手のP社で計上する?
ハルカ
在庫を持っているのはP社なので、税効果もP社の繰延税金資産ですよね。
先生
売手は関連会社だから、一時差異は関連会社に帰属するんだ。関連会社の税率25%で 280×25%×30%=21 を、投資有価証券と持分法による投資損益で調整するよ。容認は、買手の資産に代えて投資の額に加減する方法で、判断を著しく誤らせない場合に認められるんだ。
ハルカ
在庫の持ち主と、税金を払った会社が違うんですね。
💡 そうだったのか!
アップストリームの原則は
持分法による投資損益と買手の資産。税効果は
売手の関連会社側で計算して、投資に含めます。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「関連会社との取引」に切り替え、「事例E」を読み込む
- 「表示(消去の相手科目)」を 容認:投資の額 にする
👀 当期純利益への影響は 207 のまま、投資の連結上の価額が 2,441 → 2,357(84を投資から控除)に変わります。
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📙 応用 B-8 ラボの図
🧾 仕訳で確認
投資の額を超える消去額を振り替える(持分法適用会社ごと)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 投資有価証券 | 700 | 貸付金 | 200 |
| | 持分法適用に伴う負債 | 500 |
事例F:投資の連結上の価額が ▲700 になるため、貸付金 200 を減らし、残り 500 を負債にします。
応用 B-8
消去額が投資の額を超えるとき
📍 ラボの場所:応用タブ B-8(事例F)
ハルカ
事例Fは、投資がマイナスになっています。どういうことですか。
先生
左の図を見て。取得原価50に持分法の増加を足しても100しかないのに、全額消去で800を投資から引いたから、▲700になったんだ。マイナスの投資は表示しないから、まず貸付金を200減らして、残りの500を「持分法適用に伴う負債」にするよ。
迷いポイント 関連会社が赤字で投資がマイナスになったときも、同じように負債にする?
ハルカ
関連会社の赤字で投資がマイナスになったときも、同じく負債にすればいいですよね。
先生
そこは分けて考えるんだ。事例Fは未実現利益の消去による超過だよ。関連会社自身の赤字のときは、債務保証などで負担する義務がある範囲までしか損失を認識しないんだ。ラボのシミュレーションでも、「投資額を超えて負担する損失の範囲」を入れない限り、投資ゼロで止まるようにしてあるよ。
ハルカ
財布の中身がマイナスになって、それが借用書になって出てきた気分です。
先生
借用書になるのは、消去の超過と、負担する義務がある損失だけだよ。
💡 そうだったのか!
消去額が投資を超えたら、
貸付金→持分法適用に伴う負債の順に振り替えます。関連会社の赤字は、
負担義務の範囲で判断します。
⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションで「関連会社との取引」に切り替え、「事例F」を読み込む
- 「関連会社への貸付金」を 200 → 0 にする
👀 投資の連結上の価額は 0 のまま、連結B/S の「持分法適用に伴う負債」が 500 → 700 になります。
ラボを開く ▶
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべて未実現利益消去ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。
未実現利益消去ラボを開く ▶今日のまとめ ── 迷いポイント早見表
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。消去は全額、負担は売手の子会社の持分比率。未実現損失は回収不能部分を残し、税効果の対象額は売手の課税所得まで。関連会社との取引では、全額消去の例外と、容認処理の条件を向きと科目で確かめるんだ。
ハルカ
妹にクローゼットの半分をプリンで貸しているんですけど、妹は私の関連会社ですか。
先生
考え方の練習としては面白いけれど、姉妹は投資の関係ではないから、持分法の話にはならないよ。貸し借りの中身を決めておく方が大事だね。
ハルカ
じゃあ、プリンの受け取りが遅れたら、「負担義務の範囲」まで催促します。
先生
ほどほどにね。次の設例・連結子会社編では、事例A〜Cを1ステップずつ仕訳まで追っていこうか。
参考資料
企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」/企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」/移管指針第7号「持分法会計に関する実務指針」/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの事例の数値は、各基準の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/設例・連結子会社編(事例A〜C)/設例・持分法編(事例D〜F)/設例・特殊論点編(事例G・H)
連結決算ラボの関連:持分法ラボ/資本連結ラボ/連結決算ラボ(総合ナビ)
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。