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内部取引消去ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ相殺消去・貸倒引当金・照合差異

無料の学習ツール「内部取引消去ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
事例A(単位:学習用の共通単位)
債権者(売手)P社(親会社)
債務者(買手)S社(子会社・100%)
当期のグループ内の売上高4,200
期末の売掛金(S社に対するもの)800
P社の貸倒引当率2.5%
貸倒引当金の税務上の扱い損金算入
P社の税率30%
はじめに

今日の題材 ── 事例A

📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、連結の「内部取引の消去」を最初から教えてください。図に出てくる会社は?
先生
基礎の図は、主にこの事例Aの数字だよ。親会社のP社が子会社のS社に 4,200 を売って、期末に売掛金 800 が残っている。左の表を手元に置いて、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
ハルカ
P社は、その売掛金 800 にも貸倒引当金を積んでいるんですね。
先生
そうだよ。800 × 2.5% = 20。この 20 が、連結でどうなるかが今日の中心のひとつなんだ。
ラボの基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📗 基礎 ① ラボの図
債権者 P社(親会社)債務者 S社(子会社)売上高4,200仕入高(売上原価)4,200相殺売掛金800買掛金800相殺貸倒引当金▲20← 相手はグループ内。連結では債権がなくなるので、引当金も不要
🧾 仕訳で確認
グループ内の売上高と仕入高(売上原価)を相殺
借方金額貸方金額
売上高4,200売上原価4,200
売掛金と買掛金を相殺
借方金額貸方金額
買掛金800売掛金800

事例A:P社がS社に 4,200 を販売し、期末の売掛金は 800。

基礎 ①

内部取引の消去とは?

📍 ラボの場所:基礎タブ ①
ハルカ
そもそも、どうしてグループ内の取引を消すんですか。
先生
連結財務諸表は、親会社と子会社を1つの会社とみなして作るからだよ。左の図のとおり、P社の売上高 4,200 とS社の仕入高 4,200、P社の売掛金 800 とS社の買掛金 800 は、グループ全体で見れば右のポケットから左のポケットへの移動なんだ。
迷いポイント 売上高 4,200 を消すと、連結の利益も 4,200 減る?
ハルカ
売上高を消したら、利益も同じだけ減ってしまいますよね。
先生
それが、そうではないのだよ。左下の仕訳のとおり、売上高 4,200 と一緒に売上原価も 4,200 消す。収益と費用を同じ額だけ消すので、相殺そのものは利益に影響しないんだ。消さないと、売上高や総資産が実態より大きく見えてしまうよ。
ハルカ
私の財布からお金をへそくり封筒に移しても、お金持ちにはなっていない…。ポケットを増やすたびに少し豊かな気分になっていたのは、錯覚だったんですね。
先生
封筒を何枚に分けても、合計は同じだからね。
💡 そうだったのか!
相殺は、同じ額を両側から消すので利益は変わりません。利益が動くのは、貸倒引当金の修正や未実現利益の消去のほうです。
📗 基礎 ② ラボの図
債権と債務の相殺消去(連結会計基準 第31項)── 注10が示す4つの注意点(1) 経過勘定も対象前払費用・未収収益前受収益・未払費用グループ内の取引に関するもの(2) 割引手形グループ内の手形を銀行で割り引いたら連結B/Sでは「借入金」に振替(3) 引当金グループ会社を対象に引き当てたことが明らかなもの→ 調整する(貸倒引当金など)(4) 一時所有の社債グループ会社が発行した社債で一時的に持っているだけのもの→ 相殺しないことができる
基礎 ②

何を相殺するのか ── 注10の4つの注意点

📍 ラボの場所:基礎タブ ②
ハルカ
相殺するのは、売掛金と買掛金だけでいいんですか。
先生
左の図は、連結会計基準の注10が挙げる4つの注意点だよ。(1)経過勘定、(2)割引手形、(3)引当金、(4)一時所有の社債。売掛金・買掛金だけを見ていると、ここが漏れやすいんだ。
迷いポイント グループ内の手形を銀行で割り引いたら、相殺して終わり?
ハルカ
手形も「グループ内の債権債務」なので、消してしまえばいいですよね。
先生
割り引いた時点で、お金の出し手は銀行になっているんだ。グループ全体で見れば銀行から借りたのと同じだから、連結B/Sでは借入金に振り替えるよ。逆に、グループ会社が発行した社債を一時的に持っているだけなら、相殺しないこともできるんだ。
ハルカ
未収利息や前払家賃も、グループ内のものなら相殺の対象ですね。
先生
そうだよ。経過勘定は計上のルールが会社ごとに違いやすいから、あとで出てくる照合差異の原因にもなるんだ。
💡 そうだったのか!
相殺の対象は売掛金・買掛金だけではありません。経過勘定・割引手形・引当金・社債の4つを、注10の視点で確かめます。
📗 基礎 ③ ラボの図
債権者 P社(親会社)債務者 S社(子会社)売上高4,200仕入高(売上原価)4,200相殺売掛金800買掛金800相殺貸倒引当金▲20← 相手はグループ内。連結では債権がなくなるので、引当金も不要減額する貸倒引当金(期末残高)20 の行き先6繰延税金負債14利益剰余金(親会社株主)税効果は債権者の税率 30%。債権者が親会社なので、全額が親会社株主の利益になります。
🧾 仕訳で確認
消去した債権に対する貸倒引当金を減額(当期に増えた分)
借方金額貸方金額
貸倒引当金20貸倒引当金繰入額20
基礎 ③

貸倒引当金の修正 ── 消した債権の引当金も消す

📍 ラボの場所:基礎タブ ③
ハルカ
売掛金 800 を消したら、P社が積んでいた貸倒引当金 20 はどうなるんですか。
先生
連結では売掛金そのものが無くなるから、その引当金も要らなくなるんだ。左下の仕訳のとおり、貸倒引当金 20 を減らして、貸倒引当金繰入額を取り消す。連結の利益が 20 増えるよ。左の図のとおり、そのうち 6 が繰延税金負債、残りの 14 が親会社株主の利益になるんだ。
迷いポイント 外部の得意先に対する貸倒引当金も、一緒に減らす?
ハルカ
P社の引当金は全部で1つの数字なので、まとめて減らせばいいですか。
先生
減らすのは、グループ内の債権に対応する分だけだよ。一般債権に実績率を掛けているなら、「グループ内の債権 × 引当率」で計算するんだ。外部の得意先の分はそのまま残すよ。
ハルカ
自分の右手が左手にお金を返さないかもしれないと心配して、保険をかけていたみたいです。
先生
連結では、右手も左手も同じ人だからね。
💡 そうだったのか!
相殺した債権の貸倒引当金も消します。事例Aでは 20 を戻して利益が 20 増え、税効果 6 を差し引いた 14 が親会社株主の利益になります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「💴 債権債務と貸倒引当金」→ プリセット「事例A」
  2. 「売掛金の引当率(%)」を 2.5 → 5 に変える

👀 減額する貸倒引当金が 20 → 40、税効果が 6 → 12、親会社株主に帰属する当期純利益への影響が 14 → 28 に変わります。

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📗 基礎 ④ ラボの図
減額する貸倒引当金の推移(事例B)── 期首の分は開始仕訳、増えた分だけが当期の利益30前期末売掛金 1,500 × 2%60当期末売掛金 3,000 × 2%期首分 30開始仕訳で引き継ぐ → 利益剰余金期首残高当期の増加 30→ 当期の利益
🧾 仕訳で確認
前期末に減額した貸倒引当金 30 を引き継ぐ(損益への影響は利益剰余金期首残高で調整)
借方金額貸方金額
貸倒引当金30利益剰余金期首残高14.7
繰延税金負債9
非支配株主持分6.3
消去した債権に対する貸倒引当金を減額(当期に増えた分)
借方金額貸方金額
貸倒引当金30貸倒引当金繰入額30

事例B:S社(非支配株主 30%)が債権者。税効果と非支配株主への配分は次の項目で説明します。

基礎 ④

翌期の処理 ── 開始仕訳と当期の増減

📍 ラボの場所:基礎タブ ④
ハルカ
翌期になったら、前期に減らした引当金はどうなるんですか。
先生
連結修正仕訳は各社の帳簿には残らないから、翌期の連結でもう一度仕訳するんだ。これが開始仕訳だよ。左の図は事例Bで、前期末の 30 を開始仕訳で引き継ぎ、当期に増えた 30 だけを当期の利益に入れているよ。
迷いポイント 毎期、期末の引当金 60 を全部、当期の利益に足す?
ハルカ
期末に消す引当金は 60 なので、当期の利益も 60 増えますよね。
先生
当期の利益になるのは増えた 30 だけなんだ。前期末の 30 は前期の利益ですでに増やしてあるから、開始仕訳では利益剰余金期首残高で受ける。左下の仕訳のとおり、税効果 9 と非支配株主持分 6.3 も同じ仕訳に入るよ。
ハルカ
グループ内の債権が減った期は、どうなりますか。
先生
引当金も減るから、逆に利益が減る方向の修正になるよ。シミュレーションの事例Hで確かめられるんだ。
💡 そうだったのか!
期首の分は開始仕訳(利益剰余金期首残高)、当期に増減した分だけが当期の利益です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「💴 債権債務と貸倒引当金」→ プリセット「事例H」
  2. 「期末の売掛金」を 480 → 800 に変える

👀 親会社株主に帰属する当期純利益への影響が ▲5.6 → 0 に変わります。前期末と同じ債権なら、翌期の利益への影響はゼロです。

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📗 基礎 ⑤ ラボの図
債権者 S社(子会社・非支配30%)債務者 P社(親会社)売上高3,600仕入高(売上原価)3,600相殺売掛金3,000買掛金3,000相殺貸付金1,800借入金1,800相殺受取利息36支払利息36相殺貸倒引当金▲60← 相手はグループ内。連結では債権がなくなるので、引当金も不要減額する貸倒引当金(期末残高)60 の行き先18繰延税金負債12.6非支配株主持分29.4利益剰余金(親会社株主)税効果は債権者の税率 30%。債権者が子会社なので、税効果控除後の額を持分比率で配分します。
🧾 仕訳で確認
債権者は子会社:利益の修正額(税効果控除後)のうち非支配株主の持分
借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益6.3非支配株主持分6.3
基礎 ⑤

債権者が子会社のとき ── 非支配株主への配分

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑤
ハルカ
事例Bでは、引当金を積んでいたのが子会社のS社なんですね。
先生
そうだよ。左の図のとおり、S社がP社に売って、売掛金 3,000 と貸付金 1,800 を持っている。S社には非支配株主が30%いるんだ。
迷いポイント 引当金の修正で増えた利益は、全部が親会社株主のもの?
ハルカ
連結の利益が増えるなら、親会社の株主が喜ぶ話ですよね。
先生
引当金の修正は、債権者であるS社の利益の修正なんだ。だから税効果を差し引いた額を持分比率で配分するよ。当期の修正 30 − 税効果 9 = 21、その30%の 6.3 が非支配株主の分で、左下の仕訳で非支配株主持分を増やすんだ。
ハルカ
ピザを頼んだのがS社なら、S社の株主みんなで分けるんですね。3割の人たちにも、ちゃんと届くように。
先生
注文した会社の株主で分ける、ということだね。債権者が親会社の事例Aなら、配分はないよ。
💡 そうだったのか!
債権者が非支配株主のいる子会社なら、税効果控除後の修正額を持分比率で配分します。事例Bでは 21 のうち 6.3 が非支配株主の分です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「💴 債権債務と貸倒引当金」→ プリセット「事例A」
  2. 「誰が債権者?」を「子会社(S社)」に切り替える

👀 親会社株主に帰属する当期純利益への影響が 14 → 9.8 に変わります(非支配株主持分比率 30% として、14 のうち 4.2 が非支配株主の分)。

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📗 基礎 ⑥ ラボの図
貸倒引当金を消去したときの税効果 ── 個別で「損金になったか」で分かれる① 個別で損金算入(第33項)個別:貸倒引当金(損金算入済み)20連結:引当金を消去 → 利益が増える+20でも税金はまだ払っていない(将来加算一時差異)繰延税金負債 = 20 × 30%6原則:繰延税金負債を計上(債権者の税率)納付の見込みが極めて低ければ計上しない② 個別で損金不算入=有税(第32項)個別:貸倒引当金(有税)1,200個別:繰延税金資産を計上360連結:引当金を消去 → 同額の繰延税金負債360個別の繰延税金資産と相殺残高 0結果:個別の繰延税金資産がなくなる個別で繰延税金資産がなければ、負債も計上しない
🧾 仕訳で確認

① 損金算入(事例A)

引当金の減額で生じた将来加算一時差異に繰延税金負債を計上(債権者の税率)
借方金額貸方金額
法人税等調整額6繰延税金負債6

② 有税・繰延税金資産あり(事例D)

個別で計上した繰延税金資産と同額の繰延税金負債を計上して相殺(結果として繰延税金資産が減る)
借方金額貸方金額
法人税等調整額150繰延税金資産150

事例Dは前期末にも引当金 700 があるので、当期の仕訳は増加分 500 × 30% = 150 です。期首分 210 は開始仕訳で引き継ぎます。

基礎 ⑥

税効果 ── 個別で損金になっていたかで分かれる

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑥
ハルカ
引当金を消すと利益が増えますが、税金はどうなるんですか。
先生
税金の計算は、各社の個別の数字のままなんだ。そこで、左の図のように個別で損金になっていたかで分けて考えるよ。①損金算入なら、連結だけの将来加算一時差異が生じるので、債権者の税率で繰延税金負債を計上する。事例Aなら 20 × 30% = 6 だよ。
迷いポイント 貸倒引当金を消したら、いつも繰延税金負債を計上する?
ハルカ
じゃあ、どんな場合でも繰延税金負債ですね。
先生
②有税(損金不算入)で、個別に繰延税金資産を計上していたなら、同額の繰延税金負債を計上して相殺するんだ。結果として、個別の繰延税金資産が消える形になるよ。個別で繰延税金資産を計上していなければ、連結でも負債は計上しない。それから①でも、債務者の業績が悪くて納付の見込みが極めて低いときは計上しないんだ。
💡 そうだったのか!
税効果は個別で損金算入か有税かで分かれます。損金算入なら繰延税金負債、有税なら個別の繰延税金資産と同額を相殺します。
📗 基礎 ⑦ ラボの図
グループ内の残高・取引高が合わない4つの原因① 未達取引出荷・送金が期末をまたぐ片方だけが計上している→ 未計上の側で計上する② 計上時点の違い売手は出荷日、買手は検収日など、ルールが違う→ グループ内のルールを統一③ 換算レート・決算日外貨の換算レートの違い決算日が違う子会社→ 換算替え・ズレ期間を整理④ 誤り二重計上・計上漏れ相手先や金額の間違い→ 個別財務諸表を直す原因が分かったものは「直してから」消去する。直せない小さな残差だけを、決めておいた方針で処理する。
帳簿の差異 330 を原因ごとに分ける(原因が分かった額 330、債権債務の残差 0)売手の売掛金(帳簿)1,480未達送金(売手で入金を計上)▲80修正後の売掛金1,400買手の買掛金(帳簿)1,150未達商品(買手で仕入を計上)+250修正後の買掛金1,400① 債権債務(売掛金 − 買掛金)の残差 = 1,400 − 1,400 = 0 → 一致② 取引高(売上高 − 仕入高)の残差 = 5,250 − 5,250 = 0 → 一致
🧾 仕訳で確認
未達商品:買手で仕入を計上(期末在庫に加える)
借方金額貸方金額
棚卸資産250買掛金250
未達送金:売手で入金を計上
借方金額貸方金額
現金預金80売掛金80
基礎 ⑦

照合差異とは ── 両社の数字が合わない

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑦
ハルカ
実務では、P社の売掛金とS社の買掛金が合わないことがあるそうですね。
先生
よくあるよ。左の図は事例Cで、売手の売掛金 1,480 と買手の買掛金 1,150 に 330 の差がある。調べると、買手に届いていない未達商品 250 と、売手に届いていない未達送金 80 で説明できたんだ。
迷いポイント 合わないなら、小さい方の金額で消してしまえばいい?
ハルカ
差が出たら、とりあえず小さい方の 1,150 で消せば早いですよね。
先生
先に原因を分けて、直してから消すんだ。左下の仕訳のとおり、未達商品は買手で「棚卸資産/買掛金」、未達送金は売手で「現金預金/売掛金」を計上する。そうすると両方 1,400 でそろうよ。合わないまま消すと、連結B/Sに内部の残高が残ってしまうんだ。
ハルカ
レシートと家計簿が合わない月の私と同じです。いつも「まあいいか」で、差額を心の雑損失にしていました。
先生
原因を探さずに片づけるのが、いちばん危ないところだよ。
💡 そうだったのか!
照合差異は、原因を分けて、直してから消すのが基本です。直し方を直接定めた基準はないので、応用Bで一次情報から整理しています。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「🔍 照合差異」→ プリセット「事例C」
  2. 「買手の内部仕入高」を 5,000 → 4,900 に変える

👀 ② 取引高の残差(修正後)が 0 → 100 になり、許容額 10 を超えた警告が出ます。片側だけ残る内部売上高 100 の原因を調べるよう促されます。

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📗 基礎 ⑧ ラボの図
会計期間のズレ(子会社の決算日が 3 か月早い)当期のズレ期間前期のズレ期間S社の決算日P社(親会社)当期の会計期間(12か月)S社(子会社)S社の正規の決算(12か月)連結決算日当期のズレ期間に起きたグループ内の取引(S社の正規の決算には入っていない)内部売上(P→S)600S社の仕入・買掛金・在庫が未計上 → 整理して取り込む買掛金の支払(S→P)400S社の買掛金が減っていない → 整理して取り込む貸付(P→S)1,000S社の借入金・現金が未計上 → 整理して取り込む前期のズレ期間の内部売上 450:前期の連結で取り込み済み(利益率 30%)。その未実現利益 135 は当期に実現します。
🧾 仕訳で確認
ズレ期間の親会社からの仕入を取り込む(仕入と期末在庫が同額増えるので、まとめて棚卸資産/買掛金で表示)
借方金額貸方金額
棚卸資産600買掛金600
ズレ期間に支払った買掛金を取り込む
借方金額貸方金額
買掛金400現金預金400
ズレ期間の親会社からの借入を取り込む
借方金額貸方金額
現金預金1,000借入金1,000
基礎 ⑧

決算日が違う子会社 ── 2つの方法

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑧
ハルカ
子会社の決算日が親会社と違うときは、どうするんですか。
先生
原則は、子会社が連結決算日に仮決算をするんだ。ただ、決算日の差が3か月を超えないなら、子会社の正規の決算を基礎にできる。左の図は事例Gで、S社の決算日が3か月早いケースだよ。
迷いポイント 3か月以内なら、子会社の決算をそのまま使えばいい?
ハルカ
3か月以内なら、S社の決算書をそのまま足せばいいんですよね。
先生
決算日の違いから生じるグループ内取引の重要な不一致は、整理が必要なんだ。事例Gでは、ズレ期間の内部売上 600、買掛金の支払 400、貸付 1,000 がS社の決算に入っていない。左下の仕訳のとおり、連結精算表の上でS社側に取り込むと、差異が消えるよ。
ハルカ
取り込んだ在庫にも、P社の利益が乗っていますね。
先生
そうだよ。その未実現利益の消去と税効果は、応用編と設例編で詳しく見ようか。
💡 そうだったのか!
決算日の差が3か月以内なら正規の決算を使えますが、ズレ期間の重要な取引は取り込んで整理します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「📅 決算日の違い」→ プリセット「事例G」
  2. 「この金額未満は整理を省略」を 0 → 500 に変える

👀 整理後に残る差異が 0 → 400 になり、買掛金の支払 400 の整理を省略した旨の注意が出ます。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて内部取引消去ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

内部取引消去ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
売上高を消すと利益も減る?減らない。売上高と売上原価を同額消すので、相殺は利益に影響しない基礎①
相殺するのは売掛金・買掛金だけ?経過勘定・割引手形(借入金に振替)・引当金・社債にも注意基礎②
外部の得意先の引当金も減らす?減らさない。グループ内の債権 × 引当率の分だけ(事例A:20)基礎③
期末の引当金を毎期全額、当期の利益に?期首分は開始仕訳。当期に増減した分だけが当期の利益基礎④
修正で増えた利益は全部親会社株主のもの?債権者が子会社なら持分比率で配分(事例B:6.3)基礎⑤
いつも繰延税金負債を計上する?損金算入なら負債、有税なら個別の繰延税金資産と同額を相殺基礎⑥
合わないなら小さい方で消す?原因を分けて直してから消す(事例C:330=250+80)基礎⑦
3か月以内なら子会社の決算をそのまま使う?ズレ期間の重要な取引は取り込んで整理する基礎⑧
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。グループ内の取引高と債権債務は、同じ額を両側から消すから、相殺そのものは利益に影響しない。利益が動くのは貸倒引当金の修正で、税効果と非支配株主への配分も一緒に考える。数字が合わないときは、原因を調べて直してから消すんだ。
ハルカ
実家の猫のこむぎのごはん代を私が立て替えて、その分、母が私の家賃を少し出してくれています。家族をひとつのグループと見れば、これは内部取引ですね。相殺しておきます。
先生
個人の家計簿に会計基準は要らないけれど、考え方の練習にはちょうどいいね。消す前に、お母さんの記録と金額が合っているか、照合はしたかな。
ハルカ
さっき照合したら、母の記録では私が 3,000 円多く借りていました。…未達送金だと信じたいです。
先生
原因が分かるまでは、小さい方で消してはいけないよ。次の応用編では、その「合わない差」を原因ごとに分ける手順と、残った差の扱い方を詳しく見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(第16項・第31項・第35項・注1・注4・注10・注12)/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(第32項・第33項・第34〜37項)/外貨建取引等会計処理基準 三3/会社計算規則 第64条/連結財務諸表規則 第12条・第13条/企業会計基準第24号(過年度遡及)第4項(8)・第21項。ラボの事例の数値は、すべて独自の数値です。照合差異への対応(許容額・残差の扱い)は、基準に定めのない部分についてのラボの提案です。
このシリーズの記事:応用編設例・債権債務と貸倒引当金編(事例A・B・D・H)設例・照合差異編(事例C・E・F・J)設例・決算日の違い編(事例G・I)
連結決算ラボ シリーズ:連結範囲ラボ資本連結ラボ持分法ラボ

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。