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在外子会社換算ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ評価差額・持分の変動・売却・税効果

在外子会社換算ラボ【応用編】|先生と生徒の会話で読む解説

無料の学習ツール「在外子会社換算ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📙 応用 早見表
項目・できごとレート/処理ポイント損益?
① どの項目を、どのレートで換算するか
資産・負債
時価評価の修正額・その繰延税金を含む
決算時レート毎期、換算し直す
取得時の株主資本・評価差額取得時レート(支配獲得時)固定。追加取得・一部売却があっても変えない
取得後の株主資本
利益剰余金・増資など
発生時レート利益はP/Lの換算額、配当は配当決議日レート
取得後の評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金など
決算時レート円換算額の増減が、その他の包括利益
収益・費用・のれん償却額原則 期中平均レート決算時レートも可。親会社との取引は親会社のレート
のれんの残高外貨で把握 → 決算時レート換算差額は全額が親会社持分
非支配株主持分決算時レート外貨の純資産 × 決算時レート × 持分比率と一致
② できごと別:為替換算調整勘定(親会社持分)の行き先
毎期末の換算その他の包括利益(当期発生額)非支配株主の分は非支配株主持分へ振替(洗替)損益にしない
追加取得(支配は継続)連結B/Sの残高は変わらない取得した持分の分は、投資と自動的に相殺される損益にしない
一部売却(支配は継続)減少割合相当額を取り崩す資本剰余金に含める。非支配株主持分が増える損益にしない
全部売却・清算全額を取り崩す売却損益に含める(組替調整額)損益になる
支配を失い、持分が残る減少割合相当額を取り崩す売却損益に含める損益になる
子会社からの配当取り崩さない発生時レートと配当決議日レートの差が、売却・清算まで残る損益にしない
税効果売却の意思が明確な場合に検討
繰延税金資産は、予測可能な将来の売却等と回収可能性も要件
相手は為替換算調整勘定(その他の包括利益)。要件の詳細は「C 税効果」へ ▶損益にしない
はじめに

今日の地図 ── 換算レートと、為替換算調整勘定の行き先 早見表

📍 ラボの場所:応用タブ 冒頭の📋
ハルカ
先生、応用タブは論点が多くて、どこから読めばいいのか迷います。
先生
左の早見表が地図だよ。前半は「どの項目にどのレートか」、後半は「持分が動いたとき、溜めてきた為替換算調整勘定がどこへ行くか」なんだ。今日は、このうち実務で迷いやすい論点を選んで見ていこうか。
ハルカ
右端の「損益?」の列が、ほとんど「損益にしない」ですね。
先生
そこが一番の覚えどころだよ。支配が続くあいだは損益にしない。支配を失う・清算するときに、はじめて損益になるんだ。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A-1 ラボの図
S社の換算後B/S(第1期末・決算時レート 145円)資産負債・純資産1,380ドル× 145 = 200,100負債 58,000レート:決算時資本金+取得時の剰余金 106,600レート:取得時 130取得後の利益剰余金 16,560レート:発生時その他有価証券評価差額金 5,800レート:決算時為替換算調整勘定 13,140レート:差額純資産 980ドル × 145 = 142,100 − むかしのレートで換算した純資産項目 128,960 = 13,140
応用 A-1

純資産の換算ルール ── 4つに分けて考える

📍 ラボの場所:応用タブ A-1(事例C)
ハルカ
純資産は「むかしのレート」で固定、と基礎で習いました。純資産の項目は全部そうなんですか。
先生
左の図は事例Cで、S社がその他有価証券の含み益を持っている場合だよ。純資産は4つに分けて考えるんだ。取得時の資本は取得時レート、取得後の利益剰余金は発生時レート、取得後の評価・換算差額等は決算時レート、非支配株主持分も決算時レートだよ。
迷いポイント その他有価証券評価差額金も、むかしのレートで固定?
ハルカ
含み益40千ドルも純資産だから、取得時の130円で換算するんですよね。
先生
取得後に生じた評価・換算差額等は、決算時レートで換算するんだ。左の図のとおり 40×145=5,800 だね。決算時レートで換算する項目からは、為替換算調整勘定は生じないよ。だから差額は13,140になるんだ。
ハルカ
同じ純資産でも、項目ごとに「何年生まれか」を確かめて換算するんですね。
💡 そうだったのか!
純資産は取得時の資本(取得時)・取得後の利益(発生時)・取得後の評価差額等(決算時)・非支配株主持分(決算時)の4つに分けて換算します。
📙 応用 A-2 ラボの仕訳
🧾 仕訳で確認
S社の修正仕訳:資産・負債の時価評価(外貨)
借方金額貸方金額
土地など非償却資産(評価差額)200評価差額200
S社の修正仕訳:評価差額に係る税効果(外貨)
借方金額貸方金額
評価差額60繰延税金負債60
投資と資本の相殺消去(資本は支配獲得時レート 130円で換算)
借方金額貸方金額
資本金65,000S社株式120,120
利益剰余金41,600非支配株主持分37,440
評価差額18,200
のれん32,760

ラボの要点(評価差額と税効果の換算)

  • 純資産側の評価差額は、支配獲得時のレートで換算して固定。追加取得・一部売却があっても、外貨額も円換算額も変えません(時価評価は支配獲得時の一度だけ)。
  • 資産側の修正額と繰延税金負債は決算時レート。その増減は、為替換算調整勘定に含まれます。
  • 例(税率30%):評価差額 200 → 繰延税金負債 60、評価差額(税効果後)140千ドル。のれんは 210 → 252千ドル に増え、1年目の為替換算調整勘定は 15,240。
応用 A-2

評価差額と税効果の換算 ── 資産側は決算時、純資産側は取得時で固定

📍 ラボの場所:応用タブ A-2
ハルカ
S社の土地の含み益200千ドルに税効果を付けると、何が変わるんですか。
先生
左の仕訳のとおり、税率30%なら繰延税金負債60、税効果後の評価差額は140千ドルになるよ。純資産側の評価差額は、支配獲得時のレートで固定して 140×130=18,200。一方、資産側の修正額と繰延税金負債は、毎期決算時レートで換算し直すんだ。
迷いポイント 評価差額は、追加取得や一部売却のたびに時価評価し直す?
ハルカ
持分が変わったら、そのときの時価で評価し直すものだと思っていました。
先生
時価評価は支配獲得時の一度だけなんだ。追加取得・一部売却があっても、評価差額の外貨額も円換算額も変えないよ。資産側と純資産側でレートが違うから、その差は為替換算調整勘定に入っていくんだ。
ハルカ
支配獲得の日の記念写真を、ずっと飾っておく感じですね。何年たっても、あの日の顔のまま。
先生
そうだよ。写真は取り替えないけれど、資産側の土地は毎年いまのレートで測り直すんだ。
💡 そうだったのか!
評価差額は支配獲得時レートで固定。資産側の修正額と繰延税金負債は決算時レートで換算し、その差は為替換算調整勘定に入ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション(換算と為替換算調整勘定)で「事例A」を読み込む
  2. 「評価差額の税率(%。0=税効果なし)」を 0 → 30 にする

👀 換算で生じた為替換算調整勘定が 16,140 → 15,240、のれん残高が 27,405 → 32,886、連結B/Sの為替換算調整勘定が 14,301 → 14,271.6 になります(プリセット「評価差額に税効果あり」と同じ数字です)。

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📙 応用 B-1 ラボの図
追加取得で動くのは「親会社持分 ⇔ 非支配株主持分」(第2期末・決算時レート 142円)できごとの前:S社の純資産(円換算)174,660親会社 70% 122,262非支配 30% 52,398非支配 → 親会社へ 10% = 17,466できごとの後親会社 80% 139,728非支配 20% 34,932支払った額 19,880 − 減る非支配株主持分 17,466 = 2,414 → 資本剰余金を減らす動かした非支配株主持分には、為替換算調整勘定 1,188 が含まれています(投資と相殺され、連結B/Sの残高は変わらない)
🧾 仕訳で確認
追加取得:S社株式と、取得した持分に対応する非支配株主持分の相殺(差額は資本剰余金)
借方金額貸方金額
非支配株主持分17,466S社株式19,880
資本剰余金2,414
応用 B-1

追加取得 ── 取得した持分の調整勘定は、投資と相殺される

📍 ラボの場所:応用タブ B-1(事例D)
ハルカ
2年目の期末に、非支配株主から10%を追加で買いました。のれんが増えますか。
先生
支配が続くなかの追加取得は資本取引だから、のれんは増やさないよ。左の図のとおり、支払った19,880と、減る非支配株主持分17,466の差額 2,414 は資本剰余金を減らすんだ。ここまでは国内の子会社と同じだね。
迷いポイント 取得した持分に含まれていた為替換算調整勘定は、連結B/Sに加わる?
ハルカ
非支配株主から買った持分に、為替換算調整勘定1,188が入っていますね。これはP社の分に加わるんですよね。
先生
それが、そうではないのだよ。追加取得の投資額19,880は、取得した時点のレートで記録されるよね。だから1,188は投資と自動的に相殺されて、連結B/Sの為替換算調整勘定は 10,920 のまま変わらないんだ。この10%については、取得後に生じた分だけが、これから連結B/Sに加わっていくよ。
ハルカ
中古で買った自転車の、前の持ち主がつけた傷は、私の思い出にはならない…ということですね。
先生
うまいたとえだね。買った値段に、もう織り込まれているんだ。
💡 そうだったのか!
追加取得で取得した持分の為替換算調整勘定は投資と相殺され、連結B/Sの残高は変わりません。差額は資本剰余金です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション(取得後の変動)で「事例D」を読み込む
  2. 第2期末の「取得価額(外貨)」を 140 → 120 にする

👀 資本剰余金の増減(累計)が ▲2,414 → 426(増加)に変わります。連結B/Sの為替換算調整勘定は 10,920 のままです。

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📙 応用 B-2 ラボの図
一部売却で動くのは「親会社持分 ⇔ 非支配株主持分」(第3期末・決算時レート 150円)できごとの前:S社の純資産(円換算)201,000親会社 80% 160,800非支配 20% 40,200親会社 → 非支配へ 8% = 16,080できごとの後親会社 72% 144,720非支配 28% 56,280受け取った額 19,200 − 増える非支配株主持分 16,080 + 為替換算調整勘定の取崩し 1,654 = 4,774 → 資本剰余金損益にはしません。個別上の売却益 5,200 は、連結では全額を消去します
🧾 仕訳で確認
一部売却:売却簿価と売却持分の相殺(為替換算調整勘定の取崩しを含む)
借方金額貸方金額
S社株式14,000非支配株主持分16,080
為替換算調整勘定1,654
子会社株式売却益426
一部売却:残った売却損益を資本剰余金へ振替(支配が続くため損益にしない)
借方金額貸方金額
子会社株式売却益4,774資本剰余金4,774
応用 B-2

一部売却(支配は継続)── 取り崩した調整勘定は、資本剰余金へ

📍 ラボの場所:応用タブ B-2(事例E)
ハルカ
3年目の期末に、8%だけ売りました。個別で売却益5,200が出ています。
先生
支配が続く一部売却も資本取引なんだ。個別の売却益5,200は、連結では全額消去して、差額を資本剰余金にするよ。左の図のとおり、19,200−16,080+1,654=4,774 だね。
迷いポイント 取り崩した為替換算調整勘定1,654は、売却益に含める?
ハルカ
溜めてきた為替換算調整勘定を取り崩したなら、売却益として損益に出すんですよね。
先生
支配が続くあいだは損益にしないんだ。取り崩した1,654は、個別上の売却益に含まれていた為替差益相当額で、資本剰余金へ入れるよ。取り崩す額は、連結B/Sに計上している分(のれんの換算分を除く)のうち、売却した割合 8%÷80% なんだ。
ハルカ
のれんの換算分は、そのまま残すんですね。
💡 そうだったのか!
支配が続く一部売却では、取り崩した為替換算調整勘定は資本剰余金へ。のれんの換算分は取り崩しません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション(取得後の変動)で「事例E」を読み込む
  2. 第3期末の「売却価額(外貨)」を 128 → 110 にする

👀 資本剰余金の増減(累計)が 2,360 → ▲340 になります。資本剰余金が足りない場合の扱い(利益剰余金から減額)の注記も表示されます。

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📙 応用 B-3 ラボの図
全部売却:個別と連結で、売却損益はこう違う(第3期末)個別(親会社のP/L)売却価額(1,180ドル × 150)177,000S社株式の簿価(取得時の円貨額)▲120,120個別上の売却益56,880連結売却価額177,000S社の純資産の親会社持分(決算時レート)▲140,700のれんの未償却残高(決算時レート)▲22,050為替換算調整勘定の取崩し(組替調整)+19,376連結上の売却益33,626差 ▲23,254 = 連結ではすでに計上済みの「取得後に増えた利益剰余金の親会社持分 − のれん償却」の分
🧾 仕訳で確認
連結除外:S社の資産・負債を連結B/Sから外し、為替換算調整勘定を損益へ(組替調整)
借方金額貸方金額
S社株式(開始仕訳で消去した分の戻し)120,120S社の諸資産291,000
S社の諸負債90,000のれん22,050
非支配株主持分60,300
為替換算調整勘定(取崩し)19,376
子会社株式売却益(連結上の修正)23,254
応用 B-3

全部売却 ── 溜めてきた調整勘定が、はじめて損益になる

📍 ラボの場所:応用タブ B-3(事例F)
ハルカ
全部売ったら、今度こそ為替換算調整勘定は損益ですね。
先生
そうだよ。支配を失うから、溜めてきた19,376を取り崩して売却損益に含めるんだ。左の図の右側、連結上の売却益は 177,000−140,700−22,050+19,376=33,626。個別の56,880との差23,254は、連結ですでに計上してきた取得後の利益の分だよ。
迷いポイント 損益に移した19,376は、その他の包括利益ではどう見える?
ハルカ
損益に入ったなら、その他の包括利益の方は何もしなくていいですよね。
先生
その他の包括利益からは同じ額を差し引くんだ。過去に包括利益として計上した分が、今年は当期純利益に入ったから、二重に数えないためだよ。これが組替調整額で、内訳項目ごとに注記するんだ。
ハルカ
ずっと貯金箱に入れていた小銭を、やっと使えた気分です。
先生
貯金箱から出した分を、家計簿の「貯金」欄からも消す。それが組替調整だよ。
💡 そうだったのか!
全部売却で為替換算調整勘定は売却損益に含まれ、その他の包括利益では同額を組替調整額として差し引きます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション(取得後の変動)で「事例F」を読み込む
  2. 第3期末の「売却価額(外貨)」を 1,180 → 1,000 にする

👀 連結上の売却損益が 33,626 → 6,626 に下がります。取り崩す為替換算調整勘定(19,376)は売却価額では変わりません。

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📙 応用 B-4 ラボの要点

ラボの要点(支配を失って持分が残るとき)

  • 取り崩して売却損益に含めるのは、為替換算調整勘定のうち持分比率の減少割合に相当する額です。
  • 例:持分70%のうち40%を売却(残り30%)、為替換算調整勘定 19,376 → 19,376 × 40 ÷ 70 = 11,072 を売却損益へ。残り 8,304 は、残る持分に対応します。
  • 残る持分を持分法で評価する場合、在外持分法適用会社として、引き続き為替換算調整勘定(持分相当額)を計上します。
  • 過去の持分変動で計上した資本剰余金は、支配を失っても資本剰余金のまま残します。
  • このケースの計算は、シミュレーションでは扱いません。
応用 B-4

支配を失って持分が残るとき ── 取り崩すのは「減少割合」の分

📍 ラボの場所:応用タブ B-4
ハルカ
70%のうち40%だけ売って、関連会社になったらどうなるんですか。
先生
日本基準では、取り崩して売却損益に含めるのは、為替換算調整勘定のうち持分比率の減少割合に相当する額なんだ。左の要点の例なら 19,376×40÷70=11,072。残る8,304は、残る30%の持分に対応するよ。
迷いポイント 支配を失ったら、日本基準でも全額を損益にする?
ハルカ
支配を失ったなら、全部取り崩すのが自然な気がします。
先生
全額を損益にするのはIFRSの考え方なんだ。日本基準は減少割合の分だけだよ。残る持分を持分法で評価するなら、在外持分法適用会社として、引き続き為替換算調整勘定を計上していくんだ。この違いは「IFRSとの違い」タブで数字を変えて比べられるよ。
ハルカ
同じ売却でも、基準によって損益に出る額が変わるんですね。
💡 そうだったのか!
支配を失って持分が残るとき、日本基準で取り崩すのは減少割合の分だけ。全額を損益にするのはIFRSです。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「IFRSとの違い」タブの「数字で比べる①」を開く(初期値は持分70%のうち40%を売却)
  2. 「売却する持分(%)」を 40 → 10 にする

👀 支配が続くケースに変わり、日本基準は、のれんの換算分を除いた 2,216 を資本剰余金へ入れます。IFRSは、のれんの換算分を含めて按分した 2,768 を非支配持分へ再配分する「目安」として表示されます(IFRSはのれんを償却しないので、実際の額は異なります)。どちらも損益にはしません。40%のときは日本基準11,072・IFRS 19,376が損益へ、と差が出ます。

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📙 応用 C-2 ラボの図
為替換算調整勘定の税効果:売却の意思が明確で要件を満たす期から認識(資産は回収可能性も要件)第1期末調整勘定(税効果前)▲11,350繰延税金資産3,405連結B/Sの調整勘定▲7,945▼ 売却の意思が明確に第2期末調整勘定(税効果前)▲19,400繰延税金資産5,820連結B/Sの調整勘定▲13,580意思決定済み第3期末(売却)調整勘定(税効果前)▲16,480税効果の取崩し▲5,820連結B/Sの調整勘定0一時差異が解消
🧾 仕訳で確認
為替換算調整勘定に係る税効果の当期増減(相手は為替換算調整勘定=その他の包括利益)
借方金額貸方金額
繰延税金資産3,405為替換算調整勘定3,405
開始仕訳(前期末の税効果)
借方金額貸方金額
繰延税金資産3,405為替換算調整勘定3,405
為替換算調整勘定に係る税効果の当期増減(相手は為替換算調整勘定=その他の包括利益)
借方金額貸方金額
繰延税金資産2,415為替換算調整勘定2,415
応用 C-2

為替換算調整勘定の税効果 ── 売却の意思が明確で、要件を満たすときに認識

📍 ラボの場所:応用タブ C-2(事例G)
ハルカ
為替換算調整勘定がマイナスなら、いつでも繰延税金資産を計上していいんですか。
先生
左の図は事例Gで、円高で為替換算調整勘定が▲11,350になった子会社だよ。この差異は主に株式を売ったときに解消するから、税効果は売却の意思が明確な場合に検討するんだ。繰延税金資産なら、予測可能な将来に売却などで解消する見込みがあって、回収可能性があるときに限って計上するよ。
迷いポイント 相手勘定は、法人税等調整額?
ハルカ
税効果なら、相手はいつもの法人税等調整額ですよね。
先生
ここは為替換算調整勘定が相手なんだ。左の仕訳のとおり、繰延税金資産3,405を計上して、為替換算調整勘定を同じ額だけ戻す。連結B/Sには税効果を加減した ▲7,945 で載るよ。3年目に売ったら、為替換算調整勘定と一緒に取り崩すんだ。
ハルカ
「売ろうかな」と思っただけで繰延税金資産が生まれるなんて、心の中まで会計に見られている気がします。
先生
「思っただけ」では足りないんだ。売却の意思が明確で、要件を満たすことが条件だよ。
💡 そうだったのか!
為替換算調整勘定の税効果は、売却の意思が明確で要件を満たすときに認識し、相手は為替換算調整勘定(その他の包括利益)です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーション(取得後の変動)で「事例G」を読み込む
  2. 「何年分を計算する?」を 2年 にする
  3. 「S社株式を売却する意思(税効果)」を なし にする

👀 2年にすると繰延税金資産 5,820、連結B/Sの為替換算調整勘定 ▲13,580。売却の意思を「なし」にすると、繰延税金資産は 0、為替換算調整勘定は税効果前の ▲19,400 になります。

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📙 応用 C-3 ラボの図
在外子会社への投資のヘッジ:借入金の換算差額を、為替換算調整勘定にぶつけるヘッジ対象:S社への持分為替換算調整勘定(親会社持分)+14,301ヘッジ手段:外貨建借入金 1,100ドル換算差額(130円 → 145円)▲16,500連結での処理為替換算調整勘定に含める ▲14,301超過額 → 当期の損益 ▲2,199ヘッジ後の為替換算調整勘定 = 14,301 − 14,301 = 0
応用 C-3

在外子会社への投資のヘッジ ── 借入金の換算差額を、調整勘定に含める

📍 ラボの場所:応用タブ C-3
ハルカ
P社がドル建ての借入金を持っていると、円安で為替差損が出ますよね。
先生
左の図を見て。事例Aの1年目、S社への持分からは為替換算調整勘定が +14,301 生まれている。一方、1,100千ドルの借入金は円安で ▲16,500 の換算差額だよ。ヘッジ会計の要件を満たせば、この換算差額を損益ではなく為替換算調整勘定に含めて処理できるんだ。
迷いポイント 借入金の換算差額は、全額を為替換算調整勘定に入れられる?
ハルカ
▲16,500を全部、為替換算調整勘定に入れればいいんですね。
先生
含められるのは、ヘッジ対象から生じた為替換算調整勘定の14,301までなんだ。それを超える ▲2,199 は当期の損益になるよ。借入金が500千ドルなら換算差額は▲7,500で、全額を含められるんだ。
ハルカ
ヘッジには、受け止められる量の上限があるんですね。
💡 そうだったのか!
在外子会社への投資のヘッジでは、ヘッジ手段の換算差額を為替換算調整勘定に含められます。ただしヘッジ対象の為替換算調整勘定を超える分は損益です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて在外子会社換算ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

在外子会社換算ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
その他有価証券評価差額金も取得時レート?取得後の評価・換算差額等は決算時レート。そこから調整勘定は生じない応用A-1
評価差額は持分が変わるたび評価し直す?支配獲得時の一度だけ。純資産側は取得時レートで固定応用A-2
追加取得した持分の調整勘定は連結B/Sに加わる?投資と相殺され、残高は変わらない。差額は資本剰余金応用B-1
一部売却の取崩し額は損益?支配が続くなら資本剰余金。のれんの換算分は取り崩さない応用B-2
全部売却したら、包括利益は何もしない?同額を組替調整額として差し引く(事例Fで19,376)応用B-3
支配を失ったら日本基準でも全額?減少割合の分だけ。全額はIFRS応用B-4
マイナスなら繰延税金資産をいつでも計上?売却の意思が明確で要件を満たすとき。相手は為替換算調整勘定応用C-2
借入金の換算差額は全額を調整勘定に?ヘッジ対象の調整勘定まで。超える分は損益応用C-3
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。持分が動いても、支配が続くあいだは損益にしない。追加取得では投資と相殺、一部売却では資本剰余金へ。全部売却で、はじめて売却損益に含めて、包括利益では組替調整するんだ。税効果は、売却の意思が明確で要件を満たすときだよ。
ハルカ
妹にクローゼットの半分をプリンで貸しているんですけど、あれを1割だけ買い戻したら、追加取得ですね。
先生
考え方の練習としてはいいね。ただ、あれは持分を買い戻すというより、貸していた場所を返してもらう話だから、どちらかというと賃貸借だよ。
ハルカ
じゃあ、プリンの支払いを1個減らします。家族間取引なので、損益は出さない方向で交渉します。
先生
家族会議の結論は任せるよ。次の設例・換算編では、事例A〜Cを1ステップずつ、表と仕訳で追っていこうか。

参考資料

外貨建取引等会計処理基準/移管指針第2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」/企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」/企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの事例の数値は、各基準の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編設例・換算編(事例A〜C)設例・持分変動編(事例D〜F)設例・税効果と持分法編(事例G・H)
連結決算ラボの関連:資本連結ラボ持分法ラボ連結決算ラボ(総合ナビ)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。