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未実現利益消去ラボ【設例・持分法編】|先生と一緒に図で学ぶ事例D〜F ダウン・アップ・投資超過

無料の学習ツール「未実現利益消去ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、関連会社(持分法)との取引の事例(事例D〜F)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・応用タブの持分法の3事例
事例D P社→関連会社A社(30%)の商品在庫800×25%=200
事例E A社(30%)→P社の商品在庫700×40%=280・A社の税率25%
事例F P社→A社(25%)の土地・全額消去1,100−簿価300=800
事例Fの投資・貸付金取得原価50・貸付金200
はじめに

今日の題材 ── 事例D〜F

📍 ラボの場所:設例・応用タブ
ハルカ
関連会社との取引は、科目がくるくる変わって混乱します。
先生
今日は設例・応用タブの事例D〜Fで、向きごとに科目を整理しようか。Dは関連会社へ売るダウン、Eは関連会社から買うアップ、Fは全額消去で投資がマイナスになる事例なんだ。
ハルカ
DとEは、向きが逆なだけの双子の事例なんですね。
先生
そうだよ。双子だけど、消去の相手科目と税効果の帰属が入れ替わるんだ。
ラボの設例・応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 事例D ステップ3・4
投資の連結上の価額(ダウンストリーム:消去額を投資から控除)取得原価2,000前期までの持分法+0当期の持分法損益(純利益×持分)+300未実現利益の消去(期末残高)▲60投資の連結上の価額2,240
🧾 ラボの計算と仕訳
未実現利益 = 在庫 800 × 25% = 200 消去額 = 200 × 30% = 60
🧾 ラボの計算と仕訳
棚卸資産:未実現利益 200 のうち持分相当額 30%を消去
借方金額貸方金額
売上高60投資有価証券60
事例D

持分相当額60を、売上高と投資から

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例D ステップ3・ステップ4
ハルカ
事例Dの未実現利益は200ですね。全部消すんですか。
先生
左の式を見て。関連会社A社には他の株主が70%いるから、消すのは投資会社の持分30%に当たる60なんだ。仕訳は「売上高60/投資有価証券60」。商品はA社のB/Sにあって、連結B/Sには載っていないから、相手は投資の額になるよ。
迷いポイント 相手科目は「棚卸資産」ではない?
ハルカ
在庫を減らすなら、棚卸資産を貸方にしたくなります。
先生
連結B/Sに、A社の棚卸資産は1円も載っていないんだ。だから減らす先は投資有価証券。消去額の分だけ投資の連結上の価額が下がって、2,000+300−60=2,240になるよ。
ハルカ
ないものは減らせない…。冷蔵庫にないプリンは、食べたくても食べられないのと同じですね。
先生
その通りだよ。だから、持っている投資の方を減らすんだ。
💡 そうだったのか!
ダウンストリームは持分相当額を消し、相手は売上高等と投資有価証券。税効果18は投資会社(P社)の繰延税金資産です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「事例D」を読み込む(下のボタンでシミュレーションが開きます)
  2. 「消去の範囲」を 全額 にする

👀 期末に残る消去額が 60 → 200、税効果が 18 → 60、投資の連結上の価額が 2,240 → 2,100 になります。

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📕 事例E ステップ4・5
投資の連結上の価額(アップストリーム:原則=買手の資産から控除)取得原価2,000前期までの持分法+150当期の持分法損益(純利益×持分)+270税効果(持分法適用会社)+21投資の連結上の価額2,441
🧾 ラボの計算と仕訳
棚卸資産:未実現利益 280 のうち持分相当額 30%を消去
借方金額貸方金額
持分法による投資損益84棚卸資産84
🧾 ラボの計算と仕訳
税効果 = 未実現利益 280 × 25% × 持分 30% = 21 (関連会社で税効果を計算してから、投資会社の持分を取り込む)
棚卸資産:税効果(持分法適用会社の税率 25%、投資に含める)
借方金額貸方金額
投資有価証券21持分法による投資損益21
事例E

アップストリーム ── 持分法投資損益と棚卸資産、税効果は投資へ

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例E ステップ4・ステップ5
ハルカ
事例Eは、P社の倉庫に在庫が残っていますね。
先生
今度は在庫が連結B/Sに載っているから、原則は「持分法による投資損益84/棚卸資産84」で、買手P社の在庫を直接減らすんだ。未実現利益280のうち持分30%が84だよ。
迷いポイント 税効果は、P社の税率で繰延税金資産?
ハルカ
在庫はP社のものだから、税効果もP社の30%で計算しますよね。
先生
税金を払ったのは売手のA社なんだ。だからA社の税率25%で 280×25%×30%=21。左の下の仕訳のとおり「投資有価証券21/持分法による投資損益21」で、投資の中に含めるよ。関連会社で計算してから、投資会社の持分を取り込む順番なんだ。
ハルカ
Dと並べると、鏡に映った自分を見ている気分です。右手を上げたら、鏡の中では左手が上がるみたいな。
先生
鏡の中でも、税金を払った会社は入れ替わらないよ。だから税効果は売手のA社側なんだ。
💡 そうだったのか!
アップストリームは持分法による投資損益と買手の資産。税効果は売手の関連会社の税率で計算し、投資に含めます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「事例E」を読み込む
  2. 「表示(消去の相手科目)」を 容認:投資の額 にする

👀 当期純利益への影響は 207 のまま、投資の連結上の価額が 2,441 → 2,357(84を投資から控除)になります。棚卸資産の減額は消えます。

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📕 事例F ステップ3・4
投資の連結上の価額(ダウンストリーム:消去額を投資から控除)取得原価50前期までの持分法+30当期の持分法損益(純利益×持分)+20未実現利益の消去(期末残高)▲800投資の連結上の価額▲700(マイナス → 振替)超過額 700 → 貸付金を 200 減額、「持分法適用に伴う負債」500
🧾 ラボの計算と仕訳
未実現利益 = 1,100 − 300 = 800 消去額 = 800 × 100%(全額) = 800
🧾 ラボの計算と仕訳
土地:未実現利益 800 のうち全額を消去
借方金額貸方金額
固定資産売却益800投資有価証券800
事例F

全額消去 ── 800を投資から

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例F ステップ3・ステップ4
ハルカ
事例Fは関連会社なのに、800を全額消していますね。
先生
他の株主に資金力がなくて、土地の購入資金の借入を投資会社だけが保証している、という想定なんだ。他の株主の持分部分も実質的に実現していないから、全額の800を「固定資産売却益800/投資有価証券800」で消すよ。
迷いポイント 全額消去は、持分法なら選べる会計方針?
ハルカ
全額か持分相当額かは、会社が好きな方を選べるんですか。
先生
選択ではないんだ。実質的に実現していないと判断される事実があるときの取扱いだよ。ふつうは持分相当額で、この事例なら 800×25%=200 になるんだ。
ハルカ
好きな方を選べると思っていました。ランチの「大盛り無料」くらいの気軽さで。
先生
大盛りにするかは、お腹ではなく事実で決まるんだよ。
💡 そうだったのか!
全額消去は実質的に実現していないときの取扱い。選べる会計方針ではありません。
📕 事例F ステップ6
投資の連結上の価額(ダウンストリーム:消去額を投資から控除)取得原価50前期までの持分法+30当期の持分法損益(純利益×持分)+20未実現利益の消去(期末残高)▲800投資の連結上の価額▲700(マイナス → 振替)超過額 700 → 貸付金を 200 減額、「持分法適用に伴う負債」500
🧾 ラボの計算と仕訳
投資の額を超える消去額を振り替える(持分法適用会社ごと)
借方金額貸方金額
投資有価証券700貸付金200
持分法適用に伴う負債500
事例F

投資の額を超えた700の振替

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例F ステップ6
ハルカ
投資が ▲700 になってしまいました。マイナスのまま表示するんですか。
先生
左の図を見て。取得原価50+前期までの持分法30+当期20=100から800を引いて ▲700。超えた分は、まず貸付金を200減らし、残りの500を「持分法適用に伴う負債」にするよ。仕訳は「投資有価証券700/貸付金200・持分法適用に伴う負債500」なんだ。
迷いポイント 翌期は、また最初から振替を計算し直す?
ハルカ
翌期も、同じ仕訳をもう一度切るんですか。
先生
前期の振替は開始仕訳で引き継いで、期末は超過額との差額だけを振り替えるんだ。これは持分法適用会社ごとに行うよ。関連会社自身の赤字で投資がマイナスになるときは別で、負担する義務がある範囲までしか損失を認識しないんだ。
ハルカ
同じマイナスでも、消去のせいか、赤字のせいかで扱いが違うんですね。
💡 そうだったのか!
消去額が投資を超えたら貸付金→持分法適用に伴う負債。翌期は開始仕訳で引き継ぎ、差額だけ振り替えます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「事例F」を読み込む
  2. 「関連会社への貸付金」を 200 → 0 にする

👀 投資の連結上の価額は 0 のまま、集計表の「持分法適用に伴う負債」が 500 → 700 になります。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて未実現利益消去ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
事例D相手科目は棚卸資産?商品は連結B/Sにない。売上高60/投資有価証券60
事例E税効果は買手P社の税率?売手A社の税率25%で21。投資に含める
事例E容認はいつでも選べる?買手の資産に代えて投資で処理しても判断を著しく誤らせない場合
事例F全額消去は選べる会計方針?実質的に実現していないときの取扱い
事例F投資のマイナスはそのまま表示?貸付金200を減額、残り500を持分法適用に伴う負債
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。ダウンは売上高等と投資、アップは持分法投資損益と買手の資産で消す。税効果は、税金を払った売手の側で計算するんだ。全額消去は事実で決まる例外で、投資を超えたら貸付金、その次に負債だよ。
ハルカ
週末のパン屋さん巡りで、友だちと3人でパンを買って分けるとき、私の取り分は3分の1だけ「実現」…ですか。
先生
考え方の練習としてはいいね。ただ、パンを分けるのは取引の消去ではなく、ただの山分けだよ。友だちは関連会社ではないからね。
ハルカ
でも、私が全部おごったときは、友だちに資金力がないので全額消去です。
先生
全額消去の条件を、きちんと覚えてくれたね。次の設例・特殊論点編では、子会社どうしの取引と未実現損失(事例G・H)を見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準」/移管指針第7号「持分法会計に関する実務指針」/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの事例の数値は、各基準の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編応用編設例・連結子会社編(事例A〜C)設例・特殊論点編(事例G・H)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。