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連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・相殺消去編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎①〜④ 代金・貸付け・配当の消去

連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・相殺消去編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎①〜④ 代金・貸付け・配当の消去

無料の学習ツール「連結キャッシュ・フロー計算書ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・基礎タブから、相殺消去の設例(設例・基礎①〜④)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・基礎①〜④の共通の数字(単位:百万円。▲は支出)
P社のグループ外との取引営業 420/投資 ▲180/財務 ▲60
S社(持分80%)のグループ外との取引営業 150/投資 ▲90/財務 ▲20
設例① グループ内の商品の代金120
設例② 貸付け/利息200 / 6
設例③ S社の配当60(P社48・非支配株主12)
設例④ ①〜③を全部、方法2で表示営業 570/投資 ▲270/財務 ▲92
はじめに

今日の題材 ── 設例・基礎①〜④

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ
ハルカ
先生、基礎編で「グループ内は消す」のは分かりました。今度は、精算表で1本ずつ消してみたいです。
先生
今日は設例・基礎タブの①〜④を使うよ。どれも、P社とS社のグループ外との取引は同じで、グループ内の取引だけを1つずつ足していくんだ。
ハルカ
グループ外の取引が同じなら、連結の答えも同じになりそうですね。
先生
そこがいちばんの見どころだよ。消去したあとに何が残るかを、設例ごとに見比べていこうか。
ラボの設例・基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例① ステップ4
グループ内の資金の流れ(赤い矢印は相殺消去、緑は外部に残る)P社(親会社)営業 300/投資 ▲180財務 ▲60S社(子会社 80%)営業 270/投資 ▲90財務 ▲20仕入代金 120(P営業 ⇔ S営業)
🧾 CF消去仕訳で確認
グループ内の売上・仕入代金の相殺消去(営業活動の中で消える)
借方金額貸方金額
商品の仕入れによる支出(営業)120営業収入(営業)120

CF消去仕訳の書き方:借方=支出項目の取消(または収入項目の計上)、貸方=収入項目の取消(または支出項目の計上)。貸借の金額は必ず一致し、消去の前後で現金の増減合計は変わりません。

設例①

グループ内の商品の代金 ── 営業活動の中で消える

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例① ステップ4
ハルカ
S社がP社に商品を売って、代金120を受け取りました。P社は支出、S社は収入ですね。
先生
精算表を見て。P社の「商品の仕入れによる支出▲120」と、S社の「営業収入120」は、どちらも営業活動なんだ。だから消去は営業活動の中だけで終わって、営業活動の合計570は変わらないよ。
迷いポイント 合計が変わらないなら、消去しなくてもいい?
ハルカ
合計が同じなら、わざわざ消さなくてもよさそうです。
先生
直接法で見ると、「営業収入」と「仕入れによる支出」の行そのものが120ずつ大きく見えてしまうよね。グループの外との売上・仕入を正しく見せるために、行の単位で消すんだ。
ハルカ
合計が同じなら黙っておこうとするのは、私の家計簿の「使途不明金」と同じ手口でした。
先生
家計簿でも、行ごとに書いておくと後で助かるよ。
💡 そうだったのか!
双方が営業活動なら、消去は営業活動の中だけで終わり、区分の合計は変わりません。ただし直接法の行(営業収入・仕入れによる支出)は小さくなります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔁 相殺消去(原則法)」で「① グループ内の売上・仕入の代金」を読み込む
  2. 「P社→S社の商品代金(S社が販売、P社が仕入)」を 120 → 200 にする

👀 「連結 営業活動CF」は 570 のままです。グループ内の代金をいくら増やしても、連結の3区分は変わりません。

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📘 設例② ステップ3
グループ内の資金の流れ(赤い矢印は相殺消去、緑は外部に残る)P社(親会社)営業 426/投資 ▲380財務 ▲60S社(子会社 80%)営業 144/投資 ▲90財務 180貸付 200(P投資 ⇔ S財務)利息 6(S営業 ⇔ P営業)
🧾 CF消去仕訳で確認
貸付金・借入金の相殺消去(投資活動と財務活動)
借方金額貸方金額
貸付けによる支出(投資)200短期借入れによる収入(財務)200
利息の相殺消去(表示方法1:どちらも営業活動)
借方金額貸方金額
利息の支払額(営業)6利息の受取額(営業)6

CF消去仕訳の書き方:借方=支出項目の取消(または収入項目の計上)、貸方=収入項目の取消(または支出項目の計上)。貸借の金額は必ず一致し、消去の前後で現金の増減合計は変わりません。

設例②

親子間の貸付けと利息 ── 投資と財務で消える

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例② ステップ3
ハルカ
P社がS社に200貸しました。P社は投資活動、S社は財務活動ですね。
先生
そうだよ。精算表のとおり、区分が違うので、消去すると投資活動が+200、財務活動が▲200動くんだ。利息6は、方法1なら双方の営業活動なので、営業活動の中で消えるよ。
迷いポイント 区分の合計が動くなら、現金の増減も変わる?
ハルカ
投資と財務がこんなに動いたら、最後の現金の増減も変わりそうです。
先生
+200と▲200で打ち消し合うから、現金の増減220は消去の前後で同じなんだ。グループの外から見れば、貸付けも借入れも最初からなかったのと同じだよ。翌期に返済されたときも、回収と返済を同じように消すんだ。
💡 そうだったのか!
区分の違うグループ内取引は、それぞれの区分で消去します。区分の合計は動きますが、現金の増減の合計は変わりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔁 相殺消去(原則法)」で「② 親子間の貸付けと利息」を読み込む
  2. 「P社→S社の貸付け」を 200 → 300 にする

👀 「連結 投資活動CF」は ▲270 のままで、消去額が投資 +300・財務 ▲300 に増えるだけです。

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📘 設例③ ステップ3
グループ内の資金の流れ(赤い矢印は相殺消去、緑は外部に残る)P社(親会社)営業 468/投資 ▲180財務 ▲60S社(子会社 80%)営業 150/投資 ▲90財務 ▲80配当 48(S財務 ⇔ P営業)非支配株主へ 12外部への支払なので消去せず、財務活動に残る
🧾 CF消去仕訳で確認
配当金の相殺消去と、非支配株主への配当の振替
借方金額貸方金額
配当金の支払額(財務)60配当金の受取額(営業)48
非支配株主への配当金の支払額(財務)12

CF消去仕訳の書き方:借方=支出項目の取消(または収入項目の計上)、貸方=収入項目の取消(または支出項目の計上)。貸借の金額は必ず一致し、消去の前後で現金の増減合計は変わりません。

設例③

子会社の配当と非支配株主 ── 48は消し、12は残す

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例③ ステップ3
ハルカ
S社の配当60のうち、P社が48、非支配株主が12を受け取りました。
先生
精算表を見て。P社の受取48とS社の支払のうち48を消して、非支配株主への12は「非支配株主への配当金の支払額」として財務活動に独立掲記するんだ。
迷いポイント 財務活動の消去額は、なぜ48?
ハルカ
S社の財務活動には▲60が入っていますよね。60を消すんじゃないんですか。
先生
仕訳で見ると、配当の支払60をいったん全部取り消して、そのうち12を「非支配株主への配当金の支払額」に付け替えているんだ。+60と▲12の差し引きで48だよ。P社自身の株主への配当は、グループ外への支払なので消さないんだ。
ハルカ
非支配株主さん宛ての12だけ、宛名を書き直して出し直す感じですね。
先生
宛名の書き直しとは、うまい言い方だね。中身の12はそのまま外に出ていくんだよ。
💡 そうだったのか!
子会社の配当は、親会社分だけ消去し、非支配株主分は財務活動に独立掲記します。S社の数値は持分比率を掛けず、全額を合算してから消します。
📘 設例④ ステップ2・3
グループ内の資金の流れ(赤い矢印は相殺消去、緑は外部に残る)P社(親会社)営業 300/投資 ▲326財務 ▲60S社(子会社 80%)営業 270/投資 ▲90財務 114貸付 200(P投資 ⇔ S財務)仕入代金 120(P営業 ⇔ S営業)利息 6(S財務 ⇔ P投資)配当 48(S財務 ⇔ P投資)非支配株主へ 12外部への支払なので消去せず、財務活動に残る
🧾 CF消去仕訳で確認
グループ内の売上・仕入代金の相殺消去(営業活動の中で消える)
借方金額貸方金額
商品の仕入れによる支出(営業)120営業収入(営業)120
貸付金・借入金の相殺消去(投資活動と財務活動)
借方金額貸方金額
貸付けによる支出(投資)200短期借入れによる収入(財務)200
利息の相殺消去(表示方法2:受取は投資活動、支払は財務活動)
借方金額貸方金額
利息の支払額(財務)6利息の受取額(投資)6
配当金の相殺消去と、非支配株主への配当の振替
借方金額貸方金額
配当金の支払額(財務)60配当金の受取額(投資)48
非支配株主への配当金の支払額(財務)12

CF消去仕訳の書き方:借方=支出項目の取消(または収入項目の計上)、貸方=収入項目の取消(または支出項目の計上)。貸借の金額は必ず一致し、消去の前後で現金の増減合計は変わりません。

方法1:営業 570・投資 ▲270・財務 ▲92。方法2:営業 570・投資 ▲270・財務 ▲92。

グループ内の利息・配当は全額消去されるので、この例では連結後の3区分も同じです。違いが出るのは、グループ外との利息・配当(銀行への利息、持分法適用会社からの配当など)です。

どちらの方法を選んだかは、毎期継続して適用します。

設例④

表示方法を方法2にすると ── 消去の区分が変わる

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例④ ステップ2・3
ハルカ
①〜③を全部まとめて、方法2で表示すると何が変わるんですか。
先生
方法2では、受取利息・受取配当金がP社の投資活動、支払利息がS社の財務活動に入るよね。だから利息と配当の消去も、投資と財務の間で行うんだ。
迷いポイント 方法1と方法2で、連結の3区分の答えは変わる?
ハルカ
消去する区分が変わるなら、連結の答えも変わりそうです。
先生
この例では、どちらも営業570・投資▲270・財務▲92で同じなんだ。グループ内の利息・配当は全額消えるからだよ。違いが出るのは、銀行への利息や持分法適用会社からの配当のようなグループ外との利息・配当なんだ。
ハルカ
同じ答えになるなら、どちらを選んでも気楽ですね。
先生
気楽に選べても、選んだ方法は毎期続けるんだよ。
💡 そうだったのか!
方法を変えると消去する区分が変わります。グループ内の利息・配当は全額消えるので、この例の3区分は同じです。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔁 相殺消去(原則法)」で「④ 利息・配当の表示方法を変えると」を読み込む
  2. 「利息・配当金の表示方法」を 方法1 に切り替える

👀 連結の3区分は 570/▲270/▲92 のままですが、「財務活動の消去額」が ▲146 → ▲152 に変わります。消す場所が変わるためです。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結キャッシュ・フロー計算書ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

連結キャッシュ・フロー計算書ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例① ステップ4合計が変わらないなら消去しない?直接法の行が膨らむので、行ごとに消す(営業570は不変)
設例② ステップ3区分が動けば現金の増減も変わる?投資+200・財務▲200で打ち消し、増減220は不変
設例③ ステップ3配当60は全額消去?親会社分48だけ。非支配株主分12は財務活動に独立掲記
設例④ ステップ2・3方法2にすると連結の答えが変わる?この例では同じ。消去する区分が変わる
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。グループ内の代金・貸付け・利息・配当は、双方の区分で打ち消す。区分の合計が動いても、現金の増減は変わらない。配当は親会社分だけ消して、非支配株主への分は財務活動に残すんだ。
ハルカ
週末のパン屋巡りで、妹とクロワッサンを半分こしたんです。代金は私が払って、妹は後で私に返してくれました。
先生
姉妹を1つのグループとみれば、妹さんからの返金はグループ内の移動だね。パン屋さんに払った代金だけが、外に出たお金だよ。
ハルカ
じゃあ、クロワッサンを選ぶのに15分迷った時間も、グループ内で相殺してもらえませんか。
先生
時間は資金の範囲に入らないから、残念ながら消去できないね。次の営業CFの作り方編では、間接法と直接法、簡便法を追っていこうか。

参考資料

企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」第二の三/移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」第11項・第19項・第22項(企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、実務指針の設例と同じ種類の論点を独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・営業CFの作り方編(設例・基礎⑤⑥・応用⑧)/設例・連結範囲の変動と調整編(設例・応用①〜⑤)/設例・外貨編(設例・応用⑥⑨)/設例・非資金取引と組織再編編(設例・応用⑦⑩⑪)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。