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連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ資金の範囲・3区分・相殺消去

連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ資金の範囲・3区分・相殺消去

無料の学習ツール「連結キャッシュ・フロー計算書ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
基礎タブに出てくる事例(単位:百万円。▲は支出)
P社(親会社)のグループ外との取引営業 420/投資 ▲180/財務 ▲60
S社(子会社・持分80%)のグループ外との取引営業 150/投資 ▲90/財務 ▲20
グループ内① 商品の代金(S社→P社に販売)120
グループ内② P社→S社の貸付け200
グループ内③ S社→P社の利息6
グループ内④ S社の配当(うちP社分80%)60(48)
 → 連結の3区分営業 570/投資 ▲270/財務 ▲92
 → 現金及び現金同等物の増減額208
はじめに

今日の題材 ── 親会社P社と子会社S社

📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、キャッシュ・フロー計算書は個別ならなんとか読めるんですけど、「連結」が付くと急に難しそうに見えます。
先生
連結キャッシュ・フロー計算書は、グループを1つの会社とみて、1年間の資金の増減を営業・投資・財務の3つに分けて示すものだよ。表が、基礎タブの図に出てくるP社とS社の数字なんだ。
ハルカ
グループ内の取引が4つもありますね。
先生
グループ内の代金・貸付け・利息・配当の4つだよ。連結では、これを消すのが中心の作業になるんだ。数字は今覚えなくていいよ。まずは①で全体像を見て、⑨でこの4つを消していこうか。
ラボの基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📗 基礎 ① ラボの図
連結キャッシュ・フロー計算書は「グループ外との資金の出入り」だけを3区分で示すP社の個別CF(親会社)S社の個別CF(子会社)単純合算各行を足す相殺消去グループ内の資金移動連結CF営業活動投資活動財務活動期首の現金及び現金同等物 + 3区分の合計(+換算差額など)= 期末の現金及び現金同等物期末残高は、連結B/Sの科目を資金の範囲に合わせて調整した額と一致(内訳は注記)この「各社のCFを合算して消去する」作り方が原則法。連結B/S・P/Lから作る簡便法もある(図の下のリンク)
基礎 ①

連結キャッシュ・フロー計算書とは? ── グループ外との資金の出入りを3区分で

📍 ラボの場所:基礎タブ ①
ハルカ
P社とS社のキャッシュ・フロー計算書を足せば、それで連結になるんですか。
先生
図の流れを見て。P社とS社の個別CFを行ごとに単純合算して、そこからグループ内の資金移動を相殺消去して、ようやく連結CFになるんだ。
迷いポイント グループ内でお金が動いたら、それも連結のキャッシュ・フロー?
ハルカ
P社がS社にお金を貸したら、P社の財布からお金は出ていきますよね。
先生
P社の財布からは出るけれど、S社の財布に入るよね。グループを1つの会社とみると、右のポケットから左のポケットに移しただけなんだ。グループの外には1円も出ていないから、連結では消すんだよ。
ハルカ
私の部屋で、財布から貯金箱にお金を移して「今月は貯金できた」と喜んでいたのと同じですね。
先生
まさにその状態だね。部屋全体でみると、お金は1円も増えていないよ。
💡 そうだったのか!
連結CFに残るのはグループ外との資金の出入りだけです。期首残高 + 3区分の合計(+換算差額など)= 期末残高になり、期末残高と連結B/Sの科目との関係は注記で示します。
📗 基礎 ② ラボの図
資金の範囲=「現金及び現金同等物」。入るもの・入らないもの資金に入る現金手許現金要求払預金(当座・普通・通知預金など)特定電子決済手段(第1号〜第3号)現金同等物換金が容易で価値変動が僅少な短期投資例:定期預金のうち、取得日から 満期日まで3か月以内のもの譲渡性預金・CP・売戻し条件付現先公社債投資信託資金に入らない株式などすぐ売れても、価格変動リスクが大きい長めの定期預金取得時に満期まで3か月超(目安)→ これらの取得・売却は投資活動のCF当座借越短期借入金と同じ性格なら財務活動(現金同様に使えば負の現金同等物)「3か月」は例示。短期性・換金の容易さ・価値変動リスクと、会社の資金管理の方針で判断し、何を現金同等物に含めたかは会計方針として注記・継続適用(期末の残存期間では判定しない)
基礎 ②

資金の範囲 ── 「現金」と「現金同等物」

📍 ラボの場所:基礎タブ ②
ハルカ
キャッシュ・フロー計算書の「キャッシュ」って、現金のことですよね。
先生
図のとおり、資金は現金及び現金同等物だよ。現金は手許現金と普通預金などの要求払預金、特定電子決済手段。現金同等物は、すぐ換金できて価値の変動がほとんどない短期投資なんだ。
迷いポイント 上場株式は、すぐ売れるから現金同等物?
ハルカ
上場株式なら、明日にでも売れますよね。
先生
売れるのは確かだけれど、株価が大きく動くよね。価値の変動リスクが大きいので、現金同等物には入らないんだ。株式の売り買いは投資活動のCFになるよ。定期預金も、取得日から満期まで3か月を超えるものは、ふつう資金に入れないんだ。
💡 そうだったのか!
資金=現金及び現金同等物。「すぐ売れる」だけでは足りず、価値の変動が僅少であることも必要です。何を含めたかは会計方針として注記します。
📗 基礎 ③ ラボの図
当座借越はどちら? / そもそもキャッシュ・フローにならないもの当座借越の限度枠を、現金及び現金同等物と同じように日常の資金管理に使っている?はいいいえ負の現金同等物資金から控除短期借入金増減は財務活動キャッシュ・フローにならない取引・当座預金 → 普通預金への預け替え資金の中での移動・現金同等物どうしの入替え例:CP を満期3か月以内の定期預金へ・資金の増減を伴わない交換取引例:株式の発行による資産の取得(注記へ)資金の範囲を変えたら「会計方針の変更」。その旨・理由・影響額を注記する(→ 応用 D-3)
基礎 ③

負の現金同等物と、キャッシュ・フローにならない取引

📍 ラボの場所:基礎タブ ③
ハルカ
当座借越は借金ですよね。財務活動に入れればいいですか。
先生
図の判定を見て。当座借越の枠を、現金と同じように日々の資金繰りに使っているなら、マイナスの現金同等物として資金から引くんだ。借入れと同じ性格なら、その増減は財務活動だよ。
迷いポイント 当座預金から普通預金に移したら、キャッシュ・フロー?
ハルカ
口座のお金が動いたなら、記録しておきたくなります。
先生
どちらも資金の中なので、資金の中の移動にすぎないんだ。キャッシュ・フローは資金そのものの増減だから、この預け替えは入れないよ。
💡 そうだったのか!
当座借越は使い方で「負の現金同等物」か「借入れ」かが決まります。資金の中の移動(預け替えなど)は、キャッシュ・フローになりません。
📗 基礎 ④ ラボの図
3つの区分と代表的な項目営業活動・商品・役務の販売による収入・商品・役務の購入による支出・従業員・役員への報酬の支出・災害の保険金収入・損害賠償金の支払・法人税等の支払額(営業損益に入らなくても、投資・財務 以外の取引はここに入る)投資活動・有形・無形固定資産の取得・売却・有価証券(現金同等物以外)・ 投資有価証券の取得・売却・貸付け・貸付金の回収・連結の範囲の変更を伴う 子会社株式の取得・売却(純額)財務活動・株式の発行による収入・自己株式の取得・売却・配当金の支払・社債の発行・償還、借入れ・返済・非支配株主への配当金の支払・連結の範囲の変更を伴わない 子会社株式の取得・売却区分は取引の性格で決める。迷ったら「企業の事業目的」と「決済条件」を考える(→ 応用 A-1)
基礎 ④

3つの区分 ── 営業・投資・財務

📍 ラボの場所:基礎タブ ④
ハルカ
3つの区分は、どうやって分ければいいんですか。
先生
図の3つの箱を見て。本業で稼いだ・使ったお金が営業活動、固定資産や有価証券、貸付けのように将来のために使ったお金が投資活動、借入れや株式の発行、配当のように資金を集めた・返したお金が財務活動だよ。
迷いポイント 災害の保険金は、本業ではないから営業活動に入らない?
ハルカ
工場の火事の保険金は、どう見ても本業ではないです。
先生
営業活動は「営業損益の取引」だけではなくて、投資・財務のどちらでもない取引も受け持つんだ。だから災害の保険金や損害賠償金も営業活動に入るよ。
ハルカ
営業活動って、何でも引き受けてくれる頼れる先輩みたいですね。
先生
頼れるけれど、投資と財務に入るものは先に分けてから渡すんだよ。
💡 そうだったのか!
投資と財務に当てはまらない取引は、すべて営業活動です。区分は取引の性格で決め、迷ったら事業目的と決済条件を考えます(応用 A-1)。
📗 基礎 ⑤ ラボの図
利息・配当金は2つの方法から選ぶ(どちらかを毎期継続)方法1:損益計算の対象かどうか方法2:投資の成果か、調達のコストか受取利息営業活動投資活動受取配当金営業活動投資活動支払利息営業活動財務活動支払配当金財務活動財務活動法人税等は、営業活動に「法人税等の支払額」として一括記載2026年改正の適用後は、均等割・付加価値割・資本割を含めない(→ 応用 A-4)利息は受取額と支払額を相殺せず、総額で表示する
基礎 ⑤

利息・配当金と法人税等 ── 表示区分を選ぶ項目

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑤
ハルカ
利息や配当金は、どの区分に入れるか決まっていないんですか。
先生
図の表のとおり、2つの方法から選ぶんだ。方法1は、受取利息・受取配当金・支払利息を営業活動に。方法2は、受け取った分を投資活動、支払利息を財務活動に入れるよ。支払配当金は、どちらでも財務活動なんだ。
迷いポイント 年によって、有利な方法に切り替えてもいい?
ハルカ
営業CFを大きく見せたい年は、方法2にしたくなります。
先生
選んだ方法は毎期継続して使うんだ。変えるときは表示方法の変更として扱うよ。それから法人税等は、営業活動に「法人税等の支払額」として一括して書くんだ。2026年の改正を適用すると、均等割などはこの行から外して営業活動の別の項目に出すことになるよ。くわしくは応用 A-4 で見ようか。
💡 そうだったのか!
利息・配当金は方法1か方法2を選んで毎期継続します。支払配当金はどちらでも財務活動、利息は受取と支払を相殺しません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🧾 間接法と直接法」で「⑤ 間接法と直接法」を読み込む
  2. 「利息の表示方法」を 方法2 に切り替える

👀 営業活動CFが 134 → 140 になります。利息の受取額 8 は投資活動、利息の支払額 ▲14 は財務活動に移るためです(小計 210 は変わりません)。

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📗 基礎 ⑥ ラボの図
同じ「小計」に、2つの道筋でたどり着く間接法(利益から出発して調整)税金等調整前当期純利益184減価償却費60受取利息▲8支払利息14売上債権の増減額▲45棚卸資産の増減額▲25仕入債務の増減額30直接法(収入と支出を総額で並べる)営業収入1,155商品の仕入れによる支出▲715その他の営業支出(人件費・経費)▲230小計 210小計 210=小計の下:利息の受取額 8、利息の支払額 ▲14、法人税等の支払額 ▲70 → 営業活動によるキャッシュ・フロー 134
基礎 ⑥

直接法と間接法 ── 営業活動CFの2つの書き方

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑥
ハルカ
間接法は、利益から始まるんですよね。なぜ利益にいろいろ足したり引いたりするんですか。
先生
図の左を見て。税金等調整前当期純利益184には、お金が出ていかない費用の減価償却費60が引かれているよね。だから足し戻すんだ。売上債権が45増えたのは、売ったのにまだお金をもらっていない分だから引くよ。
迷いポイント 直接法と間接法では、営業CFの金額が変わる?
ハルカ
書き方が違うなら、答えも少しずつ違いそうです。
先生
書き方が違うだけで、小計はどちらも210だよ。右の直接法は、営業収入1,155から仕入れ715とその他の支出230を引いて同じ210になるんだ。小計から下の利息と法人税等も同じなので、営業CF134も一致するよ。
💡 そうだったのか!
直接法は収入と支出を総額で、間接法は利益から調整して、同じ小計・同じ営業CFにたどり着きます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🧾 間接法と直接法」で「⑤ 間接法と直接法」を読み込む
  2. 「減価償却費」を 60 → 80 にする

👀 税金等調整前当期純利益は 184 → 164 に下がりますが、小計は 210 のまま、営業活動CFも 134 のままです。減価償却費はお金が出ていかない費用だからです。

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📗 基礎 ⑦ ラボの図
投資・財務は「総額」が原則。純額にできるのは限られた場合だけ原則:総額表示借入れによる収入500借入金の返済による支出▲420→ 相殺して「+80」とは書かない主要な取引ごとに収入・支出を分けて並べる総額の例外純額表示が認められる(第13項)① 期間が短く、かつ、回転が速い項目 例:短期借入金の借換え、連続する短期貸付純額で表示するもの(第14項)② 第三者のための取引など(源泉所得税の預り等)③ 重要性の乏しい項目「短い」だけでは足りず、「回転が速い」ことも必要(期間はおおむね3か月以内が目安)
基礎 ⑦

総額表示と純額表示

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑦
ハルカ
借入れ500と返済420なら、差し引き80増えたと書けばすっきりしますよね。
先生
図の左のとおり、投資活動と財務活動は総額が原則なんだ。借入れによる収入500と、返済による支出▲420を両方並べるよ。どれだけ借りて、どれだけ返したかが大事な情報だからね。
迷いポイント 期間が短い借入れなら、いつでも純額で書ける?
ハルカ
短期の借入れなら、純額でもいい気がします。
先生
純額が認められるのは、期間が短いうえに回転が速い項目だよ。短いだけでは足りないんだ。源泉所得税の預りのように第三者のための取引や、重要性の乏しい項目は、純額で示すものとされているよ。
💡 そうだったのか!
投資・財務は総額が原則。純額にできるのは「期間が短く、かつ回転が速い」項目などに限られます。
📗 基礎 ⑧ ラボの図
作り方は2通り(どちらでも、求める連結CFは同じ)原則法① 各社の個別キャッシュ・フロー計算書を作る② 行ごとに単純合算する③ 連結会社相互間のキャッシュ・フローを消去④ 連結範囲の変動・換算差額などを調整グループ内の資金移動が、目に見える形で消える簡便法① 連結B/Sの期首・期末の増減を分析② 連結P/Lの数値を使う③ 足りない情報は各社から追加で入手 (固定資産の取得・売却額、借入・返済額など)連結B/S・P/Lだけで自動的にできるわけではない「原則法・簡便法」=作り方の区別。「直接法・間接法」=営業活動CFの表示方法の区別。別の話です(図の下のリンク)
基礎 ⑧

原則法と簡便法 ── 連結CFの2つの作り方

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑧
ハルカ
原則法と簡便法って、直接法と間接法のことですか。
先生
それが、そうではないのだよ。図のとおり、原則法と簡便法は連結CFの作り方の区別なんだ。原則法は各社の個別CFを合算して消去する方法、簡便法は連結B/Sの増減と連結P/Lから作る方法だよ。直接法・間接法は営業活動CFの書き方の区別なので、別の話なんだ。
迷いポイント 簡便法なら、連結B/S・P/Lだけで自動的に作れる?
ハルカ
連結B/Sがあれば、差額を並べるだけで完成しそうです。
先生
固定資産の増減には取得と売却がまざっているし、借入金も借りた額と返した額に分けたいよね。だから各社から追加の情報を集めて、原則法と同じ情報になるよう調整するんだ。結果は設例⑥のとおり、どちらでも640になるよ。
💡 そうだったのか!
原則法・簡便法は作り方、直接法・間接法は書き方の区別です。簡便法でも、足りない情報は各社から集めます。
📗 基礎 ⑨ ラボの図
グループ内の資金の流れ(赤い矢印は相殺消去、緑は外部に残る)P社(親会社)営業 354/投資 ▲380財務 ▲60S社(子会社 80%)営業 264/投資 ▲90財務 120貸付 200(P投資 ⇔ S財務)仕入代金 120(P営業 ⇔ S営業)利息 6(S営業 ⇔ P営業)配当 48(S財務 ⇔ P営業)非支配株主へ 12外部への支払なので消去せず、財務活動に残る
区分ごとの比較:単純合算(薄い棒)→ 連結(濃い棒)営業活動合算 618連結 570(消去 ▲48)投資活動合算 ▲470連結 ▲270(消去 +200)財務活動合算 60連結 ▲92(消去 ▲152)現金及び現金同等物の増減額:合算 208 = 連結 208(消去額の合計は常に0)
🧾 CF消去仕訳で確認(設例④を方法1で)
グループ内の売上・仕入代金の相殺消去(営業活動の中で消える)
借方金額貸方金額
商品の仕入れによる支出(営業)120営業収入(営業)120
貸付金・借入金の相殺消去(投資活動と財務活動)
借方金額貸方金額
貸付けによる支出(投資)200短期借入れによる収入(財務)200
利息の相殺消去(表示方法1:どちらも営業活動)
借方金額貸方金額
利息の支払額(営業)6利息の受取額(営業)6
配当金の相殺消去と、非支配株主への配当の振替
借方金額貸方金額
配当金の支払額(財務)60配当金の受取額(営業)48
非支配株主への配当金の支払額(財務)12

CF消去仕訳の書き方:借方=支出項目の取消(または収入項目の計上)、貸方=収入項目の取消(または支出項目の計上)。貸借の金額は必ず一致し、消去の前後で現金の増減合計は変わりません。

基礎 ⑨

連結会社相互間のキャッシュ・フローの相殺消去

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑨
ハルカ
いよいよ消去ですね。グループ内の4つの取引は、どこで消えるんですか。
先生
図の赤い矢印を見て。貸付け200は、P社の投資活動の支出とS社の財務活動の収入を消す。商品の代金120と利息6は、方法1なら双方の営業活動で消えるよ。消去仕訳は、借方が支出の取消し、貸方が収入の取消しなんだ。
迷いポイント S社の配当60は、全部消去する?
ハルカ
配当も、グループ内の取引ですよね。
先生
消すのは、P社が受け取った48だけだよ。残りの12は非支配株主、つまりグループ外の株主に払ったお金なんだ。だから「非支配株主への配当金の支払額」として財務活動に残るよ。
ハルカ
非支配株主さんは、グループの外のお客さんなんですね。お茶を出さないといけません。
先生
お茶はいらないけれど、12はきちんと財務活動に残してね。
💡 そうだったのか!
グループ内の資金移動は、双方の表示項目で打ち消します。配当は親会社分だけ消し、非支配株主への分は財務活動に独立掲記。消去の前後で現金の増減208は変わりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔁 相殺消去(原則法)」で「③ 子会社の配当と非支配株主」を読み込む
  2. 「P社の持分比率」を 80 → 100 にする

👀 「非支配株主への配当」が 12 → 0、連結の財務活動CFが ▲92 → ▲80 になります。配当60が全額グループ内の資金移動になるためです。

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📗 基礎 ⑩ ラボの図
連結ならではの表示:グループの「外」との取引かどうかで考える企業集団(P社+子会社)グループ内の資金移動は消去非支配株主配当の支払・増資の払込み→ 財務活動に独立掲記子会社株式の売買相手支配を得る・失う取引→ 投資活動(純額・独立掲記)非支配株主(支配は継続)追加取得・一部売却→ 財務活動持分法適用会社受け取った配当→ 利息・配当の方法に従う連結の範囲の変動を伴う取得の「取得関連費用」、伴わない取得・売却に「関連して生じた費用」は、どちらも営業活動
基礎 ⑩

連結ならではの表示 ── 株主との取引と、連結範囲の変動

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑩
ハルカ
子会社の株を買ったら、投資活動ですよね。
先生
図のとおり、相手と中身で分けるんだ。支配を得る・失う子会社株式の取得・売却は投資活動で、子会社の現金を差し引いた純額を独立の項目で書くよ。支配が続く中での追加取得・一部売却は、非支配株主との取引なので財務活動なんだ。
迷いポイント 同じ子会社株式の取得なのに、区分が変わる?
ハルカ
同じ株を買っているのに、投資と財務に分かれるのは不思議です。
先生
支配が続いているなら、グループの中身は変わらず、グループの株主どうしの持ち分が動くだけだよね。だから株主との取引である財務活動になるんだ。取得に伴う費用は、どちらも営業活動に書くよ。
💡 そうだったのか!
連結範囲が変わる取得・売却は投資活動(純額)、変わらない取得・売却は財務活動。非支配株主への配当も財務活動に独立掲記します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🏢 子会社株式の取得・売却」で「① 子会社株式の取得(連結追加)」を読み込む
  2. 「現金及び現金同等物」(子会社が持つ現金)を 130 → 200 にする

👀 「投資活動に記載する純額」が ▲390 → ▲320 になります。子会社が持っていた現金が多いほど、グループの実際の支出は小さくなるためです。

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📗 基礎 ⑪ ラボの図
連結キャッシュ・フロー計算書の注記事項(作成基準 第四)1資金の範囲現金及び現金同等物の内容と、期末残高の連結B/S科目別の内訳2資金の範囲の変更変更した旨・理由・影響額3子会社株式・事業の売買資産・負債に重要性がある場合:範囲が変わった会社、事業の譲受け・譲渡の主な内訳4重要な非資金取引株式の発行による資産の取得、使用権資産の取得、転換など5表示区分の内容の変更各区分に記載する内容を変えた場合、その内容このほか、利息・配当金の表示方法、直接法・間接法の選択なども、毎期継続して適用します
基礎 ⑪

注記事項 ── 何を注記するか

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑪
ハルカ
キャッシュ・フロー計算書って、表だけで完結しないんですか。
先生
図の5つが、作成基準の第四が求める注記だよ。資金の範囲と期末残高の内訳、資金の範囲の変更、連結範囲が変わった会社などの資産・負債の内訳、重要な非資金取引、区分の変更なんだ。
迷いポイント お金が動かない取引は、どこにも書かなくていい?
ハルカ
キャッシュ・フロー計算書はお金の表だから、お金が動かなければ関係なさそうです。
先生
株式を発行して土地を手に入れたときのように、お金は動かなくても翌期以降のCFに大きく影響する取引があるよね。それを重要な非資金取引として注記するんだ。書き方の例は応用 D-2 にまとめているよ。
ハルカ
お金が動かないのに書かれるなんて、会議に出ていないのに議事録に名前が載る人みたいです。
先生
名前が載るのは、次の会議に大きく関わる人だけだよ。
💡 そうだったのか!
CF計算書に出ない情報は、注記で補います。特に「期末残高と連結B/Sの科目の関係」と「重要な非資金取引」は、ほぼ毎年書く項目です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結キャッシュ・フロー計算書ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
グループ内の資金移動も連結CF?グループ外との出入りだけが残る。グループ内は相殺消去基礎①
すぐ売れる上場株式は現金同等物?価値の変動リスクが大きいので入らない(売買は投資活動)基礎②
預金の預け替えはCF?資金の中の移動なのでCFではない基礎③
災害の保険金は営業活動外?投資・財務以外の取引は営業活動基礎④
利息の表示方法は年ごとに選べる?方法1か方法2を選んで毎期継続基礎⑤
直接法と間接法で営業CFは変わる?同じ小計(210)・同じ営業CF(134)基礎⑥
短期の借入れは純額で書ける?期間が短く、かつ回転が速い項目などに限る基礎⑦
簡便法は連結B/S・P/Lだけで作れる?追加情報を各社から集めて調整する基礎⑧
子会社の配当は全額消去?親会社分(48)だけ。非支配株主分(12)は財務活動に残る基礎⑨
子会社株式の取得はいつも投資活動?連結範囲が変わらない取得・売却は財務活動基礎⑩
お金が動かない取引は書かない?重要な非資金取引として注記する基礎⑪
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。連結CFに残るのはグループ外との資金の出入りだけで、グループ内の貸付け・代金・配当は双方の区分で消す。配当のうち非支配株主への分は、財務活動に残るんだ。
ハルカ
私、実家の猫のこむぎにおやつを買うとき、母からもらったお小遣いで買っているんです。これって家族を1つのグループとみたら、相殺消去ですか。
先生
個人の家計に会計基準は要らないけれど、考え方の練習にはなるね。お母さんからもらったお小遣いは家族の中の移動だけれど、おやつの代金はペットショップ、つまりグループの外に出ているよ。
ハルカ
じゃあ、こむぎのおやつ代だけが、我が家の連結CFに残るんですね。営業活動でしょうか、投資活動でしょうか。
先生
こむぎが喜ぶ顔が成果なら、投資活動かもしれないね。次の応用編では、子会社株式の売買や外貨、組織再編のCFを見ていこうか。

参考資料

企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」/移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」(企業会計基準委員会)/企業会計基準第44号(2026年改正)。ラボの設例の数値は、実務指針の設例と同じ種類の論点を独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:応用編/設例・相殺消去編(設例・基礎①〜④)/設例・営業CFの作り方編(設例・基礎⑤⑥・応用⑧)/設例・連結範囲の変動と調整編(設例・応用①〜⑤)/設例・外貨編(設例・応用⑥⑨)/設例・非資金取引と組織再編編(設例・応用⑦⑩⑪)
連結決算ラボの関連:内部取引消去ラボ/資本連結ラボ/在外子会社換算ラボ/連結決算ラボ(総合ナビ)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。