税効果会計ラボ【設例・特殊論点編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・応用5〜7 外国税額控除・遡及適用・グループ通算
無料の学習ツール「税効果会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、外国税額控除・遡及適用・グループ通算の設例(設例・応用5〜7)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📕 設例・応用5 ラボの画面
控除限度額 = 315 × (100 - 40) ÷ 1,260 = 15
控除対象の外国法人税等 26 → 控除できるのは 15、残り 11 が繰越外国税額
納付額 = 378 - 15 = 363
C支店の外国法人税 = (180 - 40) × 20% = 28
控除限度額 = 670 × 180 ÷ 2,680 = 45 → 控除余裕額 17
繰越外国税額 11 を控除 → 納付額 = 804 - 28 - 11 = 765(繰越制度がなければ 776)
はじめに
設例・応用5 繰越外国税額控除 ── 控除しきれない 11
📍 ラボの場所:設例・応用タブ「繰越外国税額控除の繰延税金資産」ステップ2〜3
ハルカ
先生、今日はシリーズ最後の設例ですね。J社は在外支店で外国の税金を払っています。
先生
X1年は、B支店の外国法人税等 26 に対して、控除限度額が 315×(100-40)÷1,260=15 しかないんだ。控除できない 11 が繰越外国税額になるよ。なお、これは税効果会計の考え方を示す簡略設例で、実際の申告の控除限度額の計算はもっと細かいんだ。
ハルカ
X2年は、C支店が黒字になって控除限度額が 45 に増えるんですね。
先生
C支店の外国法人税 28 を引いても控除余裕額が 17 あるから、繰り越した 11 を使い切れるんだ。今日は外国税額控除、遡及適用と修正再表示、グループ通算の順に見ていこうか。
設例・応用タブの繰越外国税額控除の設例を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例・応用5 ラボの画面
🧾 X1年
当期の法人税等| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 法人税等 | 363 | 未払法人税等 | 363 |
翌期に控除余裕額が生じることが確実に見込まれる → 実現見込額| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 繰延税金資産 | 11 | 法人税等調整額 | 11 |
🧾 X2年
当期の法人税等| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 法人税等 | 765 | 未払法人税等 | 765 |
繰越外国税額の控除による取崩し| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 法人税等調整額 | 11 | 繰延税金資産 | 11 |
繰越外国税額控除は、在外支店の所得など国外源泉所得が見込まれることに加えて、翌期以降に控除余裕額が生じることが確実に見込まれる場合に、実現が見込まれる額を繰延税金資産にします(第47・48項)。
設例・応用5
繰延税金資産 11 を計上する条件
📍 ラボの場所:設例・応用タブ「繰越外国税額控除」ステップ4
ハルカ
繰越外国税額 11 は、繰越欠損金と同じように繰延税金資産にしていいんですか。
先生
X1年末に 11 を繰延税金資産、相手は法人税等調整額にして、X2年に控除したら取り崩すんだ。仕訳のとおり、X1年の納付額は 363、X2年は 765 だよ。
迷いポイント 繰越外国税額があれば、いつでも資産にできる?
ハルカ
外国で払いすぎた分なら、いつかは戻ってくるので、いつでも資産にできますよね。
先生
国外源泉所得が見込まれるだけでは足りないんだ。翌期以降に控除余裕額が生じることが確実に見込まれるときに、実現が見込まれる額だけを、第47・48項のとおり計上するよ。
ハルカ
使い切れなかった 11 が、翌年まで待っていてくれる…。使い切れなかったポイントに、有効期限がちゃんと残っていた気分です。
先生
ポイントとちがって、翌期に控除余裕額が生じることが確実でないと、資産にはできないんだよ。
💡 そうだったのか!
繰越外国税額控除は
控除余裕額が確実に見込まれるときだけ繰延税金資産にします。
📝 外国税額控除とは?限度額の計算式・90%上限・3年繰越記事を読む ▶ ⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから設例・応用5を開く
- ステップ2 → 3 → 4 と進める
👀 X1年の控除限度額 15・繰越外国税額 11 → X2年の控除余裕額 17 で 11 を使い切り、納付額は 776 ではなく 765 になる流れを追えます。
ラボを開く ▶
📕 設例・応用6 ラボの画面
分類の見直しの影響 → 会計方針を変更した年度の財務諸表見積りの変更と同様に扱う(第59項・企業会計基準第24号 第17項)
分類の見直しの影響 → 修正再表示した年度の比較情報過去の誤りなので過去に戻して直す(第62項)
同じ「過去の数字が変わる」でも、方針変更は当年度、誤謬は過去の年度に影響を入れます。
設例・応用6
遡及適用と修正再表示 ── 分類の見直しをどこに入れる?
📍 ラボの場所:設例・応用タブ「遡及適用・修正再表示と分類の見直し」ステップ3〜4
ハルカ
K社は会計方針を変更して遡及適用、L社は過去の誤謬を訂正して修正再表示しました。どちらも過去の数字が変わりますね。
先生
資産・負債の額が変わって生じた一時差異の繰延税金は、どちらも比較情報に反映するんだ(第57・60項)。違いが出るのは、過去の課税所得が変わって分類を見直した影響の入れ先だよ。
迷いポイント 分類を見直した影響も、どちらも比較情報に入れる?
ハルカ
過去の数字を直すなら、分類の見直しの影響も両方とも前期に入れますよね。
先生
遡及適用は、見積りの変更と同じように変更した年度の財務諸表に入れるんだ(第59項)。修正再表示は過去の誤りだから、修正再表示した年度の比較情報に戻して直すよ。これは第62項の定めなんだ。
ハルカ
方針の変更は今日の分から、書き間違いは昨日のノートまで消しゴムで直す…ということですね。
先生
その覚え方で合っているよ。誤謬だけは、過去の比較情報に戻して直すんだ。
💡 そうだったのか!
分類の見直しの影響は、
遡及適用なら当年度、修正再表示なら過去の比較情報に入れます。
📝 【有報注記】会計方針・見積り・表示方法の変更(会計上の変更・訂正 実務ナビ)ナビを開く ▶
📕 設例・応用7 ラボの図
| グループ全体 | 自社 | 将来減算一時差異の判断に使う分類 | 理由 |
|---|
| 分類2 | 分類4 | 分類2 | グループが同じか上位 → グループ |
| 分類4 | 分類2 | 分類2 | グループが下位 → 自社 |
| 分類3 | 分類3 | 分類3 | グループが同じか上位 → グループ |
「上位」は数字が小さい方。結果として、将来減算一時差異については、グループと自社のよい方の分類で判断することになります(第13項(2))。税務上の繰越欠損金は第13項(3)の別の定めによります。
設例・応用7 ①
グループ通算 ── どちらの分類で判断する?
📍 ラボの場所:設例・応用タブ「グループ通算:どの分類で判断する?」ステップ1〜2
ハルカ
M社は通算子会社です。回収可能性は、グループの分類と自社の分類のどちらで判断するんですか。
先生
両方を判定して比べるんだ。1枚目の図は、グループが分類2、自社が分類4。グループが同じか上位だから、グループの分類2で判断するよ。2枚目は逆で、グループが分類4、自社が分類2だから自社の分類2なんだ。
迷いポイント いつもグループの分類を使う?
ハルカ
通算グループに入っているなら、いつもグループの分類を使いますよね。
先生
表のとおり、グループが下位なら自社の分類を使うんだ。「上位」は数字が小さい方だから、結果としてグループと自社のよい方で判断することになるよ。第13項(2)の定めなんだ。
ハルカ
よい方を選べるなんて…。テストの点数を、クラス平均と自分の点数のよい方で付けてもらえるみたいです。
先生
ただし、それが使えるのは法人税・地方法人税の分だけだよ。住民税・事業税は、自分の点数のままなんだ。
💡 そうだったのか!
将来減算一時差異は
グループと自社のよい方の分類で判断します(法人税・地方法人税)。
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- リンクから設例・応用7を開く
- ステップ1 → 2 → 3 と進めて、図の分類を見比べる
👀 グループ2・自社4 → 分類2、グループ4・自社2 → 分類2。どちらの組合せでも、よい方の分類で判断されます。
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📕 設例・応用7 ラボの図
繰越欠損金:特定繰越欠損金以外はグループ全体の分類で、特定繰越欠損金は損金算入限度額の計算に使う所得に応じてグループ全体・自社の分類で判断(第13項(3))。
連結財務諸表では通算グループ全体で回収可能性を判断し、個別で計上した額との差額を連結で修正。表示は通算グループ全体で相殺します(第14・27項)。
設例・応用7 ②
税目で答えが変わる ── 住民税・事業税は会社ごと
📍 ラボの場所:設例・応用タブ「グループ通算」ステップ3〜4
ハルカ
住民税と事業税も、同じようによい方の分類で判断していいんですか。
先生
住民税・事業税はグループ通算の対象外だから、会社ごとに通常どおり判断するんだ(第8項)。M社が単体で分類4なら、住民税・事業税の分は分類4だよ。
迷いポイント 連結財務諸表でも、個別で計上した額をそのまま合算する?
ハルカ
連結財務諸表では、各社の個別の繰延税金資産を合計すればいいですよね。
先生
連結では通算グループ全体で回収可能性を判断して、個別で計上した額との差額を修正するんだ。表示も通算グループ全体で相殺するよ。繰越欠損金は、特定繰越欠損金かどうかで使う分類が変わるんだ。
💡 そうだったのか!
同じ差異でも
法人税分は計上でき、住民税・事業税分は計上できないことがあります。連結では通算グループ全体で判断し直します。
📝 【国税庁タックスアンサー】No.5900 グループ通算制度の概要記事を読む ▶
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この記事の図は、すべて税効果会計ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。
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この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。