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税効果会計ラボ【設例・回収可能性編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎6/応用1・2・4 繰越欠損金・企業の分類・土地の減損

税効果会計ラボ【設例・回収可能性編】

無料の学習ツール「税効果会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、回収可能性と繰越欠損金の設例(設例・基礎6、設例・応用1・2・4)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 設例・基礎6 ラボの画面
1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目9年目10年目吸収できる所得(所得見込み+将来加算の解消)将来減算の解消吸収しきれないマイナス(欠損)
翌期の所得 800 × 控除限度 50% = 400 まで控除できる 繰延税金資産 = 400 × 30% = 120 / 評価性引当額 = 240
はじめに

設例・基礎6 繰越欠損金 ── 分類4なら翌期の所得だけ

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ「繰越欠損金の繰延税金資産(分類4と分類3)」ステップ2
ハルカ
先生、今日は回収可能性の設例ですね。G社は当期に欠損金 1,200 が出ました。
先生
重要な欠損金だから分類4だけれど、翌期は課税所得 800 が見込まれるんだ。分類4は翌期の見積りだけで判断するんだ。この設例は中小法人等以外の法人を想定していて、欠損金の控除限度は所得の50%。だから 800×50%=400 まで。繰延税金資産は 400×30%=120、評価性引当額は 240 だよ。
ハルカ
1,200 もあるのに、120 しか計上できないんですね。
先生
そこが今日の入口なんだ。繰越欠損金、分類ごとの比較、業績悪化で分類が下がる設例、土地の減損と売却の決定の順に見ていこうか。
設例・基礎タブの繰越欠損金の設例を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・基礎6 ラボの画面
1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目9年目10年目吸収できる所得(所得見込み+将来加算の解消)将来減算の解消吸収しきれないマイナス(欠損)
毎年 400 ずつ控除 → 3年で 1,200 を控除 繰延税金資産 = 1,200 × 30% = 360

重要な税務上の欠損金が生じた原因、中長期計画、過去の中長期計画の達成状況、過去(3年)と当期の課税所得・欠損金の推移などを勘案して、今後おおむね3〜5年は一時差異等加減算前課税所得が生じると合理的な根拠をもって説明できれば、分類3として扱えます(第29項)。

🧾 仕訳で確認(分類4の場合)
繰越欠損金 1,200 のうち回収が見込まれる 400 × 30%
借方金額貸方金額
繰延税金資産120法人税等調整額120
設例・基礎6

分類3として扱えれば 360

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ「繰越欠損金」ステップ3〜4
ハルカ
同じ会社でも、分類3として扱えることがあるんですか。
先生
重要な欠損金が生じた原因、中長期計画、過去の計画の達成状況、過去3年と当期の所得・欠損の推移などを勘案して、今後おおむね3〜5年は一時差異等加減算前課税所得が生じると合理的な根拠をもって説明できれば、第29項により分類3として扱えるんだ。毎年 400 ずつ控除して3年で使い切るから、繰延税金資産は 1,200×30%=360 だよ。
迷いポイント 注記の評価性引当額は、まとめて1つの数字で書く?
ハルカ
分類4のときの評価性引当額 240 は、ほかの評価性引当額と合計して書けばいいですよね。
先生
欠損金が重要なら、評価性引当額を税務上の繰越欠損金に係る分とそれ以外に分けて書くんだ。この例なら 240 は欠損金に係る分だね。繰越期限別の表も付けるよ。
ハルカ
1,200 を毎年 400 ずつ、3年で…。スマホの24回払いより、ずっと短いローンですね。
先生
向きが逆のローンだね。所得が出た年にだけ、税金の割引として返ってくるんだよ。
💡 そうだったのか!
繰越欠損金は分類の見積期間×控除限度で回収できる額が決まります。分類4なら 120、分類3扱いなら 360 です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(欠損金 1,200・分類4)
  2. 右の「翌期の一時差異等加減算前課税所得」を 800 から 1600 に変える

👀 繰延税金資産 120 → 240、評価性引当額 240 → 120。分類4では、翌期の所得の見込みだけが回収できる額を決めます。

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📝 評価性引当額とは?計上ロジックと上場2,274社の水準比較記事を読む ▶
📝 【国税庁タックスアンサー】No.5432 措置法上の中小法人及び中小企業者記事を読む ▶
📕 設例・応用1 ラボの画面
1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目9年目10年目吸収できる所得(所得見込み+将来加算の解消)将来減算の解消吸収しきれないマイナス(欠損)

1年目は解消 900 に対し、吸収できる所得は 520+40(将来加算の解消)= 560。残り 340 は税務上の欠損金になり、翌年以降の所得で吸収できるかを見ます(第11項(6))。

分類繰延税金資産評価性引当額計上できる範囲
分類11,2120全額回収可能
分類2912300スケジューリングできる分は回収可能(不能分は原則不可)
分類3912300おおむね5年以内の見積りの範囲で回収可能
分類4216996翌期の見積りの範囲で回収可能
分類5601,152原則として回収可能性なし

同じ数字でも、分類1は全額 1,212、分類5は 60。分類の判断が利益に直結することが分かります。

設例・応用1

同じ会社でも分類で繰延税金資産が変わる

📍 ラボの場所:設例・応用タブ「同じ会社でも分類で繰延税金資産が変わる」ステップ2〜3
ハルカ
B社は、翌期・2〜5年目・長期・スケジューリング不能と、差異がいろいろあります。どこから見ればいいですか。
先生
まず1年目を見てごらん。解消 900 に対して、吸収できる所得は 520+40(将来加算の解消)=560。残り 340 は税務上の欠損金になって、翌年以降の所得で吸収できるかを見るんだ。そのうえで、分類ごとの表を比べるよ。
迷いポイント 分類2と分類3で、繰延税金資産が同じ 912 なのはなぜ?
ハルカ
分類3は5年分しか見られないのに、分類2と同じ 912 なのはなぜですか。
先生
この会社のスケジューリング可能な差異は5年以内に吸収できて、長期の差異 1,500 は分類3でも最終解消年度まで回収できるからなんだ(第35項)。違いが出るのは分類4以下で、翌期の見積りだけの分類4は 216、分類5は 60 だよ。スケジューリング不能の 1,000 は分類1でだけ回収できるんだ。
💡 そうだったのか!
同じ数字でも、分類1は 1,212、分類4は 216、分類5は 60。分類の判断が利益に直結します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(B社・分類2)
  2. 右の「スケジューリング不能(土地の減損など)」を 1000 から 0 に変える

👀 繰延税金資産は 912 のままで、評価性引当額が 300 → 0 になります。分類2では、不能な差異の 1,000 はもともと計上されていなかったことが分かります。

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📝 【判定】繰延税金資産の回収可能性|会社区分(分類1〜5)の自己診断と試算判定ツールを開く ▶
📕 設例・応用2 ラボの画面
繰延税金資産
150
評価性引当額
1,164
法人税等調整額
762
区分一時差異等回収できる額繰延税金資産評価性引当額
1〜10年目に解消(スケジューリング可能。翌期・2〜5年目・年度別の入力の合計)1,540500150312
解消が長期(退職給付・建物の償却超過など)1,50000450
スケジューリング不能(土地の減損など)1,00000300
税務上の繰越欠損金34000102
合計4,3805001501,164

分類4なので、課税所得の見積りは翌期分だけです(第27項)。2〜5年目に解消する将来減算一時差異は、同じ年度に解消する将来加算一時差異(200を5年で均等に解消)と相殺できる分だけ回収可能性ありとしています(第11項)。

🧾 仕訳で確認
繰延税金資産(評価性引当額控除後)の減少
借方金額貸方金額
法人税等調整額762繰延税金資産762
0当期税額(簡易モデル)+762法人税等調整額762税金費用
設例・応用2

業績悪化で分類が下がると(分類2→4)

📍 ラボの場所:設例・応用タブ「業績悪化で分類が下がると」ステップ3〜4
ハルカ
B社が翌期に税引前当期純損失 400 になって、分類4になりました。繰延税金資産はどうなりますか。
先生
前期末の 912 が、当期末は 150 まで減るんだ。分類4は翌期の見積り 300 の範囲だけで、2〜5年目の差異は同じ年度の将来加算の解消と相殺できる分しか残らない。減った 762 は法人税等調整額の借方だよ。
迷いポイント 本業の赤字が 400 なら、当期純損失も 400 くらい?
ハルカ
本業の赤字が 400 なら、最終的な赤字も 400 くらいですよね。
先生
税金費用 762 が上乗せされて、当期純損失は 1,162 に膨らむんだ。業績の悪化が、分類の変更を通じて二重に効く。見直しの差額は、第8・10項のとおり、見直した年度の法人税等調整額に入れるよ。
ハルカ
本業で転んだうえに、最後は 1,162…。転んだ拍子に、財布まで落とした気分です。
先生
転んだせいで分類が下がって、財布の中の繰延税金資産まで落ちたんだよ。
💡 そうだったのか!
分類が下がると繰延税金資産の取崩しで税金費用が増え、赤字 400 が当期純損失 1,162 に膨らみます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(業績悪化・分類4)
  2. 右の「翌期の一時差異等加減算前課税所得」を 300 から 900 に変える

👀 繰延税金資産 150 → 324、税金費用 762 → 588。分類4では、翌期の見込みが繰延税金資産の大きさを左右します。

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📝 繰延税金資産の回収可能性とは?84社のKAM分析で見る監査の着眼点記事を読む ▶
📝 【開示】KAM事例から学ぶ「繰延税金資産の回収可能性」ページを開く ▶
📕 設例・応用4 ラボの画面
区分一時差異等回収できる額繰延税金資産評価性引当額
1〜10年目に解消(スケジューリング可能。翌期・2〜5年目・年度別の入力の合計)0000
解消が長期(退職給付・建物の償却超過など)0000
スケジューリング不能(土地の減損など)2,00000600
税務上の繰越欠損金0000
合計2,00000600

土地などの非償却資産の減損は、売却等の意思決定・実施計画がなければスケジューリング不能です(第36項(2))。分類3ではスケジューリング不能な差異の繰延税金資産は計上できません(第13項)。

1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目8年目9年目10年目吸収できる所得(所得見込み+将来加算の解消)将来減算の解消吸収しきれないマイナス(欠損)
区分一時差異等回収できる額繰延税金資産評価性引当額
1〜10年目に解消(スケジューリング可能。翌期・2〜5年目・年度別の入力の合計)2,0002,0006000
解消が長期(退職給付・建物の償却超過など)0000
スケジューリング不能(土地の減損など)0000
税務上の繰越欠損金0000
合計2,0002,0006000

翌期に売却して損金になる見込みになったので、スケジューリング可能になりました。翌期の所得 900 で吸収しきれない 1,100 は欠損金として2年目以降に繰り越し、5年以内の所得(控除限度50%)で吸収できるかを見ます。

🧾 仕訳で確認
回収可能性の見直し(第8・10項)
借方金額貸方金額
繰延税金資産600法人税等調整額600
設例・応用4

土地の減損と売却の決定

📍 ラボの場所:設例・応用タブ「スケジューリング不能な土地の減損と売却の決定」ステップ2〜4
ハルカ
I社(分類3)は、遊休土地の減損 2,000 があります。売る予定はありません。
先生
売却等の意思決定や実施計画がない土地の減損はスケジューリング不能だから、分類3では計上できないんだ。最初の表のとおり、評価性引当額 600 で繰延税金資産は 0 だよ。
迷いポイント 売却を決めたら、翌期の所得 900 で吸収できる分だけ?
ハルカ
取締役会で翌期の売却を決めたら、翌期の所得 900 で吸収できる 270 だけ計上ですよね。
先生
翌期に吸収しきれない 1,100 は、欠損金として2年目以降に繰り越すんだ。分類3は5年以内の所得(この設例も控除限度50%)で吸収できるかを見るから、この例では 2,000 全額を回収できて、繰延税金資産は 600 になるよ。見直しは法人税等調整額 600 の貸方だね。
ハルカ
取締役会で決めただけで 600 が生まれる…。「明日から本気出す」と宣言したら、体重が減ったみたいな話ですね。
先生
宣言だけではだめだよ。売却の意思決定と実施計画があって、はじめて損金になる時期が見えるんだ。
💡 そうだったのか!
土地の減損は、売却等の意思決定・実施計画で損金算入時期を合理的に見込めるようになれば、スケジューリング可能になります。翌期に吸収しきれない分も、欠損金として見積期間内で回収を判断します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(土地の減損 2,000・分類3)
  2. 右の「スケジューリング不能」を 2000 から 0 に、「翌期に解消」を 0 から 2000 に変える

👀 繰延税金資産 0 → 600、評価性引当額 600 → 0。売却を決めて翌期の解消に移すと、全額が回収可能になります。

ラボを開く ▶
📝 【早見表】繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針早見表を開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて税効果会計ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

税効果会計ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
基礎6欠損金×税率がそのまま資産?分類4は翌期の所得×控除限度だけ(120)。分類3扱いなら 360
応用1分類2と3はいつも違う額?この会社では同じ 912。分類4は 216、分類5は 60
応用2赤字 400 なら純損失も 400?取崩し 762 が加わり 1,162
応用4売却を決めても翌期分だけ?吸収しきれない分も欠損金として5年以内で判断し、全額 600(損金算入時期を見込めることが前提)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。繰越欠損金は分類の見積期間と控除限度で回収できる額が決まる。分類が下がると取崩しで赤字が膨らむ。土地の減損は、売却等の意思決定や実施計画で損金になる時期を見込めるようになれば、スケジューリング可能になるんだ。
ハルカ
今月はパン屋巡りでクロワッサンとメロンパンを両方買う週が続いて、私の家計は分類2から分類4に転落しました。
先生
両方買えたなら、15分迷う時間は減ったんだね。ただ翌月の見込みが立つなら、まだ分類4で踏みとどまれるよ。
ハルカ
来月は実家のこむぎに会いに帰るので、交通費で翌期も欠損の見込みです。……分類5かもしれません。
先生
こむぎに会うための交通費なら、来月の家計計画にきちんと織り込めそうだね。次の特殊論点編では、外国税額控除とグループ通算の設例を見ていこうか。

参考資料

企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(第8・10・11・13・15〜36項)/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの設例は、適用指針の定めをもとに独自の数値で組み立てたものです。
サイト内の関連:税効果注記データベース/評価性引当額とは?/回収可能性のKAM分析/会社区分(分類1〜5)の自己診断/早見表:適用指針第26号
動画で聞く:増税で利益が増える?税効果会計を5つのステップで(YouTube・14分)
動画で聞く:監査を納得させる税効果の回収可能性(YouTube・21分)
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・入門と基本の計算編(基礎1・2・4)/設例・積立金と評価差額編(基礎3・5/応用3・8)/設例・特殊論点編(応用5〜7)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。