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連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・連結範囲の変動と調整編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・応用①〜⑤ 子会社株式の売買・未達・手形

連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・連結範囲の変動と調整編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・応用①〜⑤ 子会社株式の売買・未達・手形

無料の学習ツール「連結キャッシュ・フロー計算書ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、連結範囲の変動と消去の前の調整の設例(設例・応用①〜⑤)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・応用①〜⑤(単位:百万円)
設例① 子会社株式の取得(70%)代金520・子会社の現金130 → 支出390
設例② 子会社株式の売却(80%)代金470・子会社の現金95 → 収入375
設例③ 追加取得(支配は継続)代金90・関連費用4
設例④ 期末に送金中の現金貸付け40(未達)
設例⑤ グループ内の手形の割引手形150
はじめに

今日の題材 ── 設例・応用①〜⑤

📍 ラボの場所:設例・応用タブ
ハルカ
先生、設例・応用は、連結の範囲が変わる話から始まるんですね。
先生
①②が子会社を迎える・手放すとき、③が支配は変わらず持ち分だけ動くとき、④⑤は消去の前に調整や組替えがいるときだよ。
ハルカ
どれも、単純に合算して消すだけではうまくいかないんですか。
先生
そうなんだ。「グループの外との資金の出入りだけを残す」という原則に戻れば、どれも答えが出るよ。1つずつ見ていこうか。
ラボの設例・応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例① ステップ2・3
子会社株式の取得:支払った代金から、手に入れた子会社の現金を差し引く520株式の取得価額(支払)130- 子会社が持っていた現金及び現金同等物(グループに入ってくる)支出390= 投資活動に表示する純額連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 ▲390投資活動の区分に「独立の項目」として記載(作成基準 第二の二の4)

純資産 450 のうち親会社持分 315、非支配株主持分 135。のれん 205。内訳を足すと取得価額 520 になり、そこから現金を引いたものが取得による支出です。

注記の例:株式の取得により新たに連結子会社となった会社の資産及び負債の主な内訳(百万円)
流動資産340
固定資産390
のれん205
負債▲280
非支配株主持分▲135
株式の取得価額520
子会社の現金及び現金同等物▲130
差引:子会社株式の取得による支出390
設例①

子会社株式の取得 ── 支出は390、注記で520とつなぐ

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例① ステップ2・3
ハルカ
代金520を払ったのに、CFには390しか出てこないんですね。
先生
取得したS社の現金130は、その日からグループの現金になるよね。だから投資活動には 520−130=390を「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」として書くんだ。
迷いポイント 520と390の差は、どこで説明する?
ハルカ
読む人は「520払ったはずなのに」と思いそうです。
先生
重要な場合は、注記で資産・負債の主な内訳を示すんだ。流動資産340、固定資産390、のれん205、負債▲280、非支配株主持分▲135を足すと取得価額520。そこから子会社の現金130を引いて390になる流れを見せるよ。
ハルカ
内訳を足すと520にぴったり戻るのは、パズルのピースが全部はまった気分です。
先生
はまらなかったら、どこかの数字が違うサインだよ。
💡 そうだったのか!
取得による支出は取得価額 − 子会社の現金(390)。注記の内訳を足すと取得価額520に戻ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🏢 子会社株式の取得・売却」で「① 子会社株式の取得(連結追加)」を読み込む
  2. 「株式の取得(売却)価額(現金)」を 520 → 600 にする

👀 「投資活動に記載する純額」が ▲390 → ▲470、のれんが 205 → 285 になります。子会社の現金130は変わらないので、増えた80がそのまま支出とのれんに乗ります。

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📕 設例② ステップ2・3
子会社株式の売却:受け取った代金から、手放した子会社の現金を差し引く470株式の売却価額(受取)95- 子会社が持っていた現金及び現金同等物(グループから出ていく)収入375= 投資活動に表示する純額連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入 375投資活動の区分に「独立の項目」として記載(作成基準 第二の二の4)

連結上の売却益は 470 −(親会社持分 308 + のれん 48)= 114。間接法では、この売却益を利益から控除します(代金は投資活動に出てくるので二重にしない)。

注記の例:株式の売却により連結子会社でなくなった会社の資産及び負債の主な内訳(百万円)
流動資産255
固定資産360
のれん48
負債▲230
非支配株主持分▲77
子会社株式売却益114
株式の売却価額470
子会社の現金及び現金同等物▲95
差引:子会社株式の売却による収入375
設例②

子会社株式の売却 ── 収入は375、売却益114は利益から控除

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例② ステップ2・3
ハルカ
今度は売却ですね。代金470のうち、S社の現金95を引くのはなぜですか。
先生
売却した日に、S社の現金95はグループの外に出ていくよね。だから投資活動には 470−95=375を「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入」として書くんだ。
迷いポイント 連結上の売却益114は、営業CFに入る?
ハルカ
売却益は利益なので、営業CFを押し上げそうです。
先生
売却の代金は投資活動に出てくるから、利益の方にも残すと二重になるんだ。だから間接法では、税金等調整前当期純利益から売却益114を控除するよ。売却日までのS社のCFは、連結CFに含めるんだ。
💡 そうだったのか!
売却による収入は売却価額 − 子会社の現金(375)。売却益は間接法で利益から控除します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🏢 子会社株式の取得・売却」で「② 子会社株式の売却(連結除外)」を読み込む
  2. 「株式の取得(売却)価額(現金)」を 470 → 400 にする

👀 純額が 375 → 305、売却益が 114 → 44 になります。

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📕 設例③ ステップ2

相手は非支配株主(グループの株主)なので、資本取引と同じく財務活動:「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」▲90。

関連して生じた費用 ▲4 は営業活動に記載します。

設例③

追加取得 ── 財務活動に▲90、関連費用4は営業活動

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例③ ステップ2
ハルカ
設例①と同じ子会社株式の取得なのに、今度は財務活動なんですね。
先生
S社はもう子会社で、相手は非支配株主だよ。連結の範囲は変わらず、グループの株主どうしで持ち分が動くだけなんだ。だから「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」▲90を財務活動に書くよ。
迷いポイント 仲介手数料4は、株の代金と同じ財務活動?
ハルカ
同じ取引のための費用なので、財務活動にまとめたくなります。
先生
この取得に関連して生じた費用は、営業活動に書くんだ。支配を得るときの取得関連費用も営業活動だったよね。どちらも費用は営業活動、と覚えておくといいよ。
ハルカ
同じ買い物でも、レシートの品目によって家計簿の欄が違うのと同じですね。
先生
そのとおりだね。代金は財務、手数料は営業、と欄が分かれるんだよ。
💡 そうだったのか!
「支配が変わるかどうか」で区分が分かれます。変わらなければ財務活動。関連して生じた費用は営業活動です。
設例③を開くラボで開く ▶
📕 設例④ ステップ2

① S社が受け取ったものとして、S社に現金 40 と「短期借入れによる収入」40 を計上(未達の調整)。② 貸付けと借入れを相殺消去。

(単位:百万円。▲はマイナス:CFの支出、または金額の減少)
項目P社S社未達の調整連結消去連結
貸付けによる支出(投資)▲4000400
短期借入れによる収入(財務)0040▲400
その他の資金の増減753500110
現金及び現金同等物の増減額3535400110
期首残高2609000350
期末残高295125400460
設例④

期末に送金中の現金 ── 調整してから消去する

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例④ ステップ2
ハルカ
P社が期末にS社へ40を送ったのに、S社にはまだ届いていません。
先生
表の「未達の調整」の列を見て。まずS社が受け取ったものとして、現金40と「短期借入れによる収入」40を計上するんだ。そのうえで「連結消去」の列で、P社の貸付けとS社の借入れを消すよ。
迷いポイント 調整しないと、何が合わなくなる?
ハルカ
最後に消すなら、調整しなくても同じ気がします。
先生
調整しないと、連結の期末現金が420になって、期首350+増減110=460と合わないんだ。送金中の40は、グループの外には出ていないからね。
ハルカ
妹に送ったプリンのお礼のメッセージが、まだ既読にならないときの気持ちです。届いているはずなのに。
先生
届いているはずのものは、届いたものとして扱う。それが未達の調整だよ。
💡 そうだったのか!
未達は調整 → 消去の順。連結の期末現金460には、送金中の40が含まれます。
設例④を開くラボで開く ▶
📕 設例⑤ ステップ2・3

個別(P社):受取手形の割引による収入 150 は営業活動。

連結:グループが銀行から資金を借りたのと同じなので、財務活動の「短期借入れによる収入」150 に組み替えます。

満期にS社が銀行へ 150 を支払うと、個別ではS社の営業活動(仕入債務の支払)ですが、連結では財務活動の「短期借入金の返済による支出」▲150 になります。

設例⑤

グループ内の手形の割引 ── 連結では借入れ

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例⑤ ステップ2・3
ハルカ
S社が振り出した手形150を、P社が銀行で割り引きました。受取手形の割引は営業活動ですよね。
先生
個別のP社なら、営業債権から生じるCFとして営業活動だよ。でも連結でみると、グループ内の手形を担保に銀行からお金を借りたのと同じなんだ。だから財務活動の「短期借入れによる収入」150に組み替えるよ。
迷いポイント 翌期、S社が満期に払う150は?
ハルカ
S社が払うのは仕入代金なので、営業活動ですよね。
先生
個別のS社ならそうだけれど、連結では銀行への借入金の返済なんだ。財務活動の「短期借入金の返済による支出」▲150になるよ。
💡 そうだったのか!
連結会社が振り出した手形の割引は、連結では手形借入れと同じ。割引時も満期時も、財務活動に書きます。
設例⑤を開くラボで開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結キャッシュ・フロー計算書ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

連結キャッシュ・フロー計算書ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例① ステップ2・3取得代金520が支出?子会社の現金を引いた390。注記の内訳を足すと520
設例② ステップ2・3売却益は営業CFに残る?収入375は投資活動。売却益114は間接法で控除
設例③ ステップ2追加取得は投資活動?財務活動▲90。関連して生じた費用4は営業活動
設例④ ステップ2未達は調整しなくてよい?調整してから消去。しないと期末現金が420で合わない
設例⑤ ステップ2・3手形の割引は営業活動?連結では財務活動(借入れ・返済)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。連結の範囲が変わる売買は子会社の現金を差し引いた純額で投資活動、変わらない売買は財務活動。未達は調整してから消し、グループ内の手形の割引は連結では借入れなんだ。
ハルカ
実家に帰ったとき、こむぎのおやつ代を母に立て替えてもらって、帰り際に返しました。これは期末の未達ですか。
先生
その日のうちに返したなら、未達ではないね。帰りの電車の中で送金して、まだ届いていなかったら未達だよ。
ハルカ
電車の中で送金したら、こむぎに「おやつ代は送金中です」と伝えておきます。
先生
こむぎも安心するね。次の外貨編では、在外子会社の換算差額と、外貨建て貸付金の為替差損を追っていこうか。

参考資料

企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」第二の二の4・第四/移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」第8-2項・第9-2項・第19項・第20項・第21項・第46項(企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、実務指針の設例と同じ種類の論点を独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・相殺消去編(設例・基礎①〜④)/設例・営業CFの作り方編(設例・基礎⑤⑥・応用⑧)/設例・外貨編(設例・応用⑥⑨)/設例・非資金取引と組織再編編(設例・応用⑦⑩⑪)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。