無料の学習ツール「内部取引消去ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、決算日の違いの事例(事例G・I)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📕 事例G ラボの画面
はじめに
事例G 決算日が3か月違う子会社
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ1
ハルカ
決算日の違い編ですね。事例Gは、S社の決算日がP社より3か月早いケースでしたね。
先生
そうだよ。左の画面のとおり、S社の決算日のS社の買掛金は 900、連結決算日のP社の売掛金は 1,100。その間の3か月、つまりズレ期間に、売上 600、買掛金の支払 400、貸付 1,000 のグループ内取引が起きているんだ。
ハルカ
今日は、方法の確認、差異の確認、取り込み、未実現利益の順に進んで、最後に仮決算に変えた事例Iを見るんですね。
先生
そうだよ。数字が多い事例だから、左の3枚のカード(S社の決算日・ズレ期間・連結決算日)を行き来しながら読んでいこうか。
設例・応用タブの事例Gを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 事例G ラボの画面
事例G ①
方法を確かめる ── 3か月を超えないので正規の決算を使える
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ2
ハルカ
S社の決算書を、そのまま連結に使っていいんですか。
先生
左の画面のとおり、決算日の差は3か月で、3か月を超えないから、S社の正規の決算を基礎にできるよ。ただし、決算日が違うことから生じる、連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致は、必要な整理を行うんだ。
迷いポイント 差が4か月なら、ズレ期間を少し多めに取り込めばいい?
ハルカ
4か月なら、4か月分の取引を取り込めば同じことですよね。
先生
3か月を超えると、正規の決算を基礎にすることはできないんだ。連結決算日(または相当の理由があれば3か月を超えない範囲の一定の日)に仮決算を行うよ。ラボでも、差を4か月にすると計算を止めて、仮決算に切り替えるよう案内するんだ。
ハルカ
3か月は延長不可の締め切りなんですね。私のジムの「3か月は通い放題」も、4か月目から急に行かなくなりました。
先生
ジムの方は、延長して通い続けてもいいと思うよ。
💡 そうだったのか!
決算日の差が3か月以内なら正規の決算を基礎にでき、超えたら仮決算です。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「📅 決算日の違い」→ プリセット「事例G」
- 「決算日の差(か月)」を 3 → 4 に変える
👀 「⛔ 入力条件を修正してください」と表示され、方法を「仮決算」に切り替えるよう案内されます。
ラボを開く ▶📕 事例G ラボの画面
事例G ②
整理する前の差異 ── 売掛金 200、貸付金 1,000、取引高 150
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ3
ハルカ
P社の帳簿とS社の決算を、そのまま突き合わせるとどうなりますか。
先生
左の表のとおり、売掛金 1,100 と買掛金 900 で差異 200、貸付金 1,000 と借入金 0 で差異 1,000、内部売上高 5,400 と内部仕入高 5,250 で差異 150 になるんだ。
迷いポイント 取引高の差 150 は、ズレ期間の売上 600 と同じにならない?
ハルカ
ズレ期間の売上が 600 なら、取引高の差も 600 になりそうです。
先生
S社の仕入高には、前期のズレ期間の 450 が入っているんだ。P社は 4,800+600=5,400、S社は 4,800+450=5,250 だから、差は 150 になるよ。前期のズレ期間の 450 は前期の連結で取り込み済みだから、当期は振り戻して、当期の 600 を取り込むんだ。
💡 そうだったのか!
取引高の差は、当期のズレ期間と前期のズレ期間の差です。前期分を振り戻し、当期分を取り込むとそろいます。📕 事例G ラボの図
事例G ③
重要な不一致を整理する ── ズレ期間の取引をS社に取り込む
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ4
ハルカ
ズレ期間の取引は、どう取り込むんですか。
先生
左の仕訳のとおり、連結精算表の上でS社の決算に取り込むんだ。親会社からの仕入 600 は「棚卸資産/買掛金」、支払った買掛金 400 は「買掛金/現金預金」、借入 1,000 は「現金預金/借入金」だよ。現金預金の修正は、貸付の受取 1,000 − 支払 400 = 600 になるんだ。
迷いポイント 取り込みは、S社の帳簿そのものを直す?
ハルカ
S社の帳簿を直してもらえば、次の期も楽になりますよね。
先生
S社の帳簿はS社の決算日で締まっているから、直さないんだ。ズレ期間の取引は、翌期のS社の決算に入ってくるからね。翌期の連結では、当期の取り込み分を振り戻して、翌期のズレ期間の取引を取り込むよ。
ハルカ
同じお金が、P社とS社の両方の現金預金に載っていたかもしれない、ということですね。お財布が2つあると、2倍お金持ちに見えるのと同じです。
先生
だから整理して、1つの財布にまとめて数えるんだよ。
💡 そうだったのか!
ズレ期間の重要な取引は、連結精算表の上でS社側に取り込みます。各社の帳簿は直さず、翌期に振り戻します。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「📅 決算日の違い」→ プリセット「事例G」
- 「この金額未満は整理を省略」を 0 → 500 に変える
👀 整理後に残る差異が 0 → 400、現金預金の修正が 600 → 1,000 になり、買掛金の支払 400 の整理を省略した旨の注意が出ます。
ラボを開く ▶📕 事例G ラボの図
事例G ④
取り込んだ在庫の未実現利益 ── 期首分 135 が実現、当期分 180 を消去
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ6
ハルカ
取り込んだ在庫 600 には、P社の利益が含まれていますね。
先生
そうだよ。600 × 30% = 180 を未実現利益として消去するんだ。一方で、前期に取り込んだ在庫 450 の分 135 は、当期に外部へ売れたものとして実現させる。左の仕訳のとおり、税金等調整前で ▲45、税効果 13.5 を加えて、当期純利益への影響は ▲31.5 だよ。
迷いポイント 期首分の税効果は、当期の税率で計算し直す?
ハルカ
税率が変わっていたら、当期の税率で計算し直すんですよね。
先生
期首分は、前期に計上した税効果をそのまま取り崩すんだ(繰延法)。前期の利益率・税率で消去した額を戻すから、ラボでも前期の利益率と税率を別に入れられるよ。決算日の違いを整理して消去した未実現利益にも、税効果適用指針の第37項により、通常の未実現利益と同じ税効果を計上するんだ。
💡 そうだったのか!
期首分は前期に消去した額をそのまま実現させ、当期分を消去します。事例Gでは当期純利益への影響が ▲31.5 です。📕 事例I ラボの図
事例I
当期から仮決算に変更 ── 差異は消えるが、前期分は実現させる
📍 ラボの場所:応用タブ C-1 の図 / シミュレーション 事例I
ハルカ
事例Iは、事例GのS社が、当期から仮決算に変えたケースですね。
先生
そうだよ。左の図のとおり、仮決算ならS社の決算が連結決算日までの取引をすべて含むから、決算日の違いによる差異は生じない。整理前の差異 1,200 は、仮決算後には 0 になるんだ。
迷いポイント 仮決算に変えたら、前期に取り込んだ分はもう関係ない?
ハルカ
仮決算にしたなら、前期のズレ期間の話は忘れていいですよね。
先生
前期に正規の決算を基礎にして取り込んだ在庫の未実現利益 135 は、当期に実現させるんだ。前期の取込みは前期の判断だから、当期の方法とは関係ないよ。税効果 40.5 を差し引いて、当期純利益への影響は 94.5 になる。S社の期末在庫の内部利益は、この表の外で別に消去するんだ。
ハルカ
仮決算に変えたのに、前期の宿題だけはちゃんと追いかけてくるんですね。夏休みの宿題を、転校先まで持っていった気分です。
先生
前の期に始めたものは、当期にきちんと片づけようか。
💡 そうだったのか!
仮決算に変えても、前期に取り込んだ分の未実現利益は当期に実現させます(事例I:94.5)。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「📅 決算日の違い」→ プリセット「事例I」
- 「前期の連結の方法」を「仮決算」に切り替える
👀 当期純利益への影響(税効果後)が 94.5 → 0 に変わります。前期も仮決算なら、前期に取り込んだ分がないためです。
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今日のまとめ ── 設例ごとの結論
| 設例 | 迷いポイント | 答え |
|---|---|---|
| 事例G | 差が4か月でも多めに取り込めばいい? | 3か月を超えたら仮決算。正規の決算は使えない |
| 事例G | 取引高の差はズレ期間の売上 600? | 当期 600 と前期 450 の差で 150 |
| 事例G | 取り込みはS社の帳簿を直す? | 連結精算表の上で取り込み、翌期に振り戻す |
| 事例G | 期首分の税効果は当期の税率で? | 前期に計上した額をそのまま取り崩す(繰延法) |
| 事例I | 仮決算に変えたら前期分は無関係? | 前期に取り込んだ分の未実現利益は当期に実現(94.5) |
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。決算日の差が3か月以内なら正規の決算を基礎にできるけれど、ズレ期間の重要な取引は取り込んで整理する。未実現利益は、前期に取り込んだ分を実現させ、当期に取り込んだ分を消去する。仮決算に変えても、前期の分は当期に実現させるんだ。
ハルカ
実家は、こむぎのカレンダーが毎年4月始まりで、私の手帳は1月始まりです。だから、こむぎの誕生日会の予定がいつもズレます。
先生
決算日が違う会社どうしと同じだね。3か月以内のズレなら、ズレ期間の予定だけ取り込めば合うよ。
ハルカ
今年から、こむぎのカレンダーに合わせて手帳も4月始まりに「仮決算」しました。…その結果、1月から3月の予定が二重に書いてあります。
先生
前の期に取り込んだ分は、振り戻してから数えるんだったね。基礎編から読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。
参考資料
企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(第16項・第31項・第35項・注1・注4・注10・注12)/企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(第32項・第33項・第34〜37項)/外貨建取引等会計処理基準 三3/会社計算規則 第64条/連結財務諸表規則 第12条・第13条/企業会計基準第24号(過年度遡及)第4項(8)・第21項。ラボの事例の数値は、すべて独自の数値です。照合差異への対応(許容額・残差の扱い)は、基準に定めのない部分についてのラボの提案です。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・債権債務と貸倒引当金編(事例A・B・D・H)/設例・照合差異編(事例C・E・F・J)
