無料の学習ツール「セグメント情報ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、事業セグメントをまとめる・残す事例(事例D〜F)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
設例・応用タブの3つの事例(単位:百万円)
| 事例D 似た事業セグメントを集約する | スーパー3つを集約 → 報告3・その他1 |
| 集約後のスーパー | 売上高 13,000(72.7%) |
| 事例E 小さい事業セグメントを結合する | 計測+校正を結合 → 報告3・その他1 |
| 結合後の売上高 | 2,130(内部売上高なし) |
| 事例F 前年度の報告セグメントが10%未満 | 接着剤を継続して区分 → 報告4 |
| 接着剤の割合 | 売上高6.3%・利益6.7%・資産6.2% |
はじめに
今日の題材 ── 事例D〜F
📍 ラボの場所:設例・応用タブ
ハルカ
今日は「集約」「結合」「継続性」ですね。どれも「まとめる」「残す」の話で、頭の中で混ざりそうです。
先生
順番で覚えるといいよ。集約は10%判定の前、結合は10%判定のあと、継続性は前年度との関係なんだ。事例D・E・Fが、それぞれ1つずつに当たるよ。
ハルカ
タイミングで分けると、少し整理できました。
先生
どの事例も、似ているか、重要かという会社の判断は前提として置いてあるんだ。ラボが計算するのは、その判断をしたあとの10%と75%だよ。
ラボの設例・応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
事例D ステップ2・7
事例D
似た事業セグメントを集約する ── 10%判定の「前」にまとめる
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例D ステップ2・ステップ7
ハルカ
関東・関西・東北のスーパーを1つにまとめるんですね。東北は小さいから、まとめてあげる感じですか。
先生
判定図の下の本文を見て。3つは業態・商品・顧客・販売方法・規制が同じで、長期的な売上総利益率も近い、という前提なんだ。集約は小さいからではなく、似ているからまとめるものだよ。集約がセグメント情報の基本原則と整合していることも要件なんだ。
迷いポイント 集約したあとの10%判定は、どの数字で行う?
ハルカ
3つそれぞれで判定して、合格した分をまとめるんですよね。
先生
集約は10%判定の前だから、3つの単純合計で判定するんだ。判定図のとおり、集約後のスーパーは売上高13,000で72.7%。1つの報告セグメントとして開示するよ。
ハルカ
三姉妹が一つの名前でデビューしたみたいですね。
先生
デビューのときは、集約した旨を「報告セグメントの概要」に書くのを忘れないようにね。
💡 そうだったのか!
集約は、基本原則と整合し、経済的特徴と5つの要素がすべて類似する(似ているから)ときにまとめるもので、10%判定の前に行います。集約後の合計で判定し、集約した旨を注記に記載します。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションの「① 報告セグメントの判定」で「事例D」を読み込む
- 関東・関西・東北スーパーの「集約」を3つとも X → - にする
👀 関東(35.8%)と関西(28.5%)はそれぞれ報告セグメントになり、東北(8.4%)は「その他」へ。報告セグメントは 3 → 4、カバー率は 97.5% → 87.7% です。
ラボを開く ▶事例E ステップ5・7
事例E
小さい事業セグメントを結合する ── 10%判定の「あと」にまとめる
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例E ステップ5・ステップ7
ハルカ
計測サービスと校正サービスは、どちらも10%に届いていませんね。
先生
そうなんだ。判定表でも、2つとも3つの基準がすべて×だよ。ただ、経済的特徴がおおむね類似し、5つの要素の過半数が類似している、という前提なので、結合して1つの報告セグメントにできるんだ。
迷いポイント 結合したら、合計でまた10%を超えないといけない?
ハルカ
結合しても、合わせて10%に届かなければ意味がないですよね。
先生
結合した報告セグメントに、10%以上を求める定めはないんだ。事例Eでは内部売上高がないので、結合後の売上高は2,130(外部顧客への売上高と同じ)。10%には届いていないけれど、報告セグメントとして区分しているよ。結合は、会社が任意で選べる方法なんだ。
ハルカ
10%に届かないメンバーどうしで組むユニット…。学園祭の即席バンドみたいですね。
先生
即席でも、組むには経済的特徴と要素の過半数が似ている必要があるよ。
💡 そうだったのか!
結合は、量的基準を満たさない事業セグメントどうしを、経済的特徴+要素の過半数が類似するときにまとめるものです。結合後に10%を満たす必要はありません。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションの「① 報告セグメントの判定」で「事例E」を読み込む
- 校正サービスの「結合」を Y → - にする
👀 結合の相手がいなくなるので「結合していません」という注意が出て、計測・校正はどちらも「その他」へ。報告セグメントは 3 → 2、カバー率は 89.7% になります。
ラボを開く ▶事例F ステップ5
事例F
前年度の報告セグメントが10%を下回った ── 引き続き区分する?
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例F ステップ5
ハルカ
接着剤は、売上高6.3%・利益6.7%・資産6.2%。3つとも10%未満なのに、報告セグメントのままなんですね。
先生
判定図の「継続→報告」を見て。接着剤は前年度に報告セグメントで、会社は、区分をやめると利用者の理解に重要な影響があると判断したんだ。だから引き続き区分して開示するよ。
迷いポイント 継続するかどうかは、会社が自由に決めていい?
ハルカ
会社の判断なら、残したいものは全部残せますね。
先生
判断の軸は決まっているんだ。区分しなくなったら、利用者が業績を理解し将来キャッシュ・フローを評価するうえで重要な影響があるかで判断するよ。重要でなくなって「その他」に移すときは、変更した旨を開示し、原則として前年度のセグメント情報も当年度の区分で組み替えて開示するんだ。
ハルカ
部屋のモンステラの鉢も、葉っぱが少し減っても主役のままです。この気持ち、分かります。
先生
主役を続けるには理由が要る、というところまで同じだね。
💡 そうだったのか!
量的基準は相当期間の継続性に配慮して適用します。前年度の報告セグメントは、10%を下回っても引き続き重要なら区分を続けます。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションの「① 報告セグメントの判定」で「事例F」を読み込む
- 接着剤の「資産」を 1,210 → 2,100 にする
👀 資産の10%ライン 2,030 を超えるので、接着剤の判定が「継続→報告」から、量的基準による「報告」に変わります。報告セグメントの数(4)は同じです。
ラボを開く ▶今日のまとめ ── 設例ごとの結論
| 設例 | 迷いポイント | 答え |
|---|---|---|
| 事例D | 集約は10%判定のあと? | 前。基本原則と整合し似ているからまとめ、合計(スーパーは72.7%)で判定。集約した旨を記載 |
| 事例E | 結合後にまた10%が必要? | 不要。10%未満どうしを、経済的特徴+要素の過半数が類似するとき任意で結合 |
| 事例F | 10%を下回ったら即「その他」? | 前年度の報告セグメントで、区分をやめると重要な影響があるなら継続 |
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。集約は10%判定の前に似たものをまとめ、結合は10%判定のあとに小さいものどうしをまとめる。前年度の報告セグメントは、重要なら継続して区分するんだ。
ハルカ
週末のパン屋巡りのスタンプカードも、似たお店を集約して1枚にしたら、すぐにたまりそうです。
先生
スタンプカードはお店ごとのルールだから、ハルカさんの側で1枚にまとめることはできないね。
ハルカ
じゃあ、クロワッサンのお店とメロンパンのお店は、前年度の常連として継続します。重要性は私の胃袋が判断します。
先生
判断の軸がはっきりしていていいね。最後の設例編では、差異調整と関連情報を見ていこうか。
参考資料
企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」第11項・第13項・第16項/企業会計基準適用指針第20号 第8項・第9項(いずれも企業会計基準委員会)。事例の数値は独自のものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・報告セグメントの判定編(事例A〜C)/設例・差異調整と関連情報編(事例G〜H)
