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連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・営業CFの作り方編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎⑤⑥・応用⑧ 間接法・直接法・簡便法

連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・営業CFの作り方編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・基礎⑤⑥・応用⑧ 間接法・直接法・簡便法

無料の学習ツール「連結キャッシュ・フロー計算書ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、営業活動CFの作り方・書き方の設例(設例・基礎⑤⑥、設例・応用⑧)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
今日の3つの設例(単位:百万円)
設例・基礎⑤ 間接法と直接法売上1,200・減価償却費60・法人税等70
 → 小計/営業活動CF210 / 134
設例・基礎⑥ 簡便法と原則法グループ内の掛売上300・期末の売掛金70
 → 営業活動CF原則法 640 = 簡便法 640
設例・応用⑧ 持分法適用会社からの配当投資利益40・受取配当15
 → 営業活動CF315(2つの表示とも)
はじめに

今日の題材 ── 営業CFの作り方

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ⑤⑥、設例・応用タブ⑧
ハルカ
先生、営業CFは作り方も書き方もいろいろあって、頭の中で混ざってしまいます。
先生
今日は、その交通整理だよ。設例⑤は書き方(間接法と直接法)、設例⑥は作り方(原則法と簡便法)、設例・応用⑧は間接法で持分法の配当をどう書くかなんだ。
ハルカ
3つとも、最後の営業CFの金額は変わらないんですか。
先生
そうだよ。道筋が違っても同じ答えに着くことを、1つずつ確かめていこうか。
ラボの設例・基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例⑤ ステップ2
同じ「小計」に、2つの道筋でたどり着く間接法(利益から出発して調整)税金等調整前当期純利益184減価償却費60受取利息▲8支払利息14売上債権の増減額▲45棚卸資産の増減額▲25仕入債務の増減額30直接法(収入と支出を総額で並べる)営業収入1,155商品の仕入れによる支出▲715その他の営業支出(人件費・経費)▲230小計 210小計 210=小計の下:利息の受取額 8、利息の支払額 ▲14、法人税等の支払額 ▲70 → 営業活動によるキャッシュ・フロー 134
設例⑤

間接法 ── 利益184から小計210へ

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例⑤ ステップ2
ハルカ
利益は184なのに、営業CFは134なんですね。利益よりお金が少ないのは、なぜですか。
先生
図の表を上から見て。減価償却費60は足し戻すけれど、売上債権の増加45と棚卸資産の増加25は引くんだ。売ったのにまだ回収していない分、仕入れて倉庫に眠っている分だけ、お金が出ていっているからだよ。
迷いポイント 受取利息8を、いったん利益から引くのはなぜ?
ハルカ
受取利息はもらったお金なのに、引いてしまうんですか。
先生
利息は小計の下で、実際に受け取った額・支払った額を別の行で書くんだ(方法1の場合)。二重に数えないように、上ではいったん除くんだよ。小計210の下に、利息の受取8、支払▲14、法人税等▲70を並べて、営業CF134になるんだ。
ハルカ
利息だけ、いったん列から外れて並び直すんですね。人気のパン屋の整理券みたいです。
先生
整理券とは面白いね。呼ばれる場所が小計の下、というわけだよ。
💡 そうだったのか!
間接法は、利益に非資金損益と運転資本の増減を加減して小計に着き、その下に利息と法人税等の実額を書きます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🧾 間接法と直接法」で「⑤ 間接法と直接法」を読み込む
  2. 「売上債権の増加額」を 45 → 0 にする

👀 小計が 210 → 255、営業活動CFが 134 → 179 になります。売ったものを全部その期に回収すれば、利益に近いお金が入るためです。

ラボを開く ▶
📘 設例⑤ ステップ3

直接法の営業収入は「売上高 − 売上債権の増加」= 1,155。仕入れによる支出は「売上原価 + 棚卸資産の増加 − 仕入債務の増加」= 715。

小計は間接法 210 = 直接法 210。

設例⑤

直接法 ── 営業収入1,155から同じ小計210へ

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例⑤ ステップ3
ハルカ
直接法の営業収入1,155は、売上1,200とは違うんですね。
先生
売上1,200のうち、売上債権が45増えた分はまだ回収していないよね。だから営業収入は 1,200−45=1,155なんだ。仕入れによる支出も、売上原価720に棚卸資産の増加25を足し、仕入債務の増加30を引いた715になるよ。
迷いポイント 直接法と間接法では、どちらが正しい小計?
ハルカ
2つの方法で小計が違ったら、どちらを信じればいいんでしょう。
先生
どちらも210で同じになるんだ。直接法は収入と支出の総額を並べ、間接法は利益から調整するという道筋の違いだけだよ。連結で直接法を使うときは、グループ内の売上・仕入の代金を消すことも忘れないでね。
💡 そうだったのか!
直接法の営業収入=売上高 − 売上債権の増加。道筋が違っても、小計は間接法と同じ210になります。
📘 設例⑥ ステップ3・4

P社の営業CFは 390、S社は 250。合算すると 640。グループ内の代金 230(=売上 300 − 未回収 70)は、P社の収入とS社の支出で打ち消し合います。

(単位:百万円。▲はマイナス:CFの支出、または金額の減少)
営業活動(間接法)P社S社単純合算消去連結
原則法
連結
簡便法
税金等調整前当期純利益5002007000700700
売上債権の増減額▲110▲20▲13070▲60▲60
仕入債務の増減額07070▲7000
営業活動によるキャッシュ・フロー3902506400640640

※消去の列:グループ内の売掛金 70(P社の売上債権の増加)と、S社の買掛金 70(仕入債務の増加)を打ち消します(売上債権 +70、仕入債務 ▲70)。グループ内の売上 300 と仕入 300 は利益の中で相殺済みなので、利益の行の消去は0です。消去後の各行は、簡便法(連結B/S・P/L)の数値と一致します。

売上債権だけ個別の合算(グループ内の売掛金 70 を含む)を使い、仕入債務は連結の数値を使うと 570 になり、合いません。

簡便法では、連結B/S・連結P/Lの数値でそろえること、足りない情報(固定資産の取得・売却額など)は各社から集めることが大切です(応用 D-4)。

設例⑥

簡便法と原則法 ── 数値をつぎはぎしない

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例⑥ ステップ2〜4
ハルカ
P社がS社に300を掛けで売って、期末に70が未回収です。簡便法だとどうなるんですか。
先生
表の右端が簡便法だよ。連結P/Lの利益700と、連結B/Sの売上債権の増加60を使うと、700−60=640。連結B/Sではグループ内の売掛金70がもう消えているから、原則法の640とそのまま一致するんだ。
迷いポイント 売上債権だけ個別の合算の数値を使ってもいい?
ハルカ
手元にある数値を使えば、早く作れそうです。
先生
売上債権を個別の合算(グループ内の売掛金70を含む)にして、仕入債務は連結の数値にすると、570になって合わないんだ。簡便法では、連結B/S・連結P/Lの数値にそろえることが大事なんだよ。
ハルカ
左右で違う靴下を履いて出かけたら、夕方にやっと気づくのと同じですね。
先生
気づいたなら、履き替えればいいんだよ。数値も同じで、どちらかにそろえ直すんだ。
💡 そうだったのか!
簡便法は連結の数値でそろえるのが鉄則です。つぎはぎすると、グループ内の掛売上70の分だけ合わなくなります。
設例⑥のステップ4を開くラボで開く ▶
📕 設例・応用⑧ ステップ2・3

税金等調整前当期純利益 340 から、持分法による投資利益 40 を控除(非資金)。小計の下に配当の受取額 15 を記載。 → 営業CF 315。

受取配当金を営業活動に書いているので、投資利益と受取配当を相殺して「持分法による投資損益 ▲25」とだけ書くこともできます。営業CFは同じ 315。

設例・応用⑧

持分法適用会社からの配当 ── 2つの書き方

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例⑧ ステップ2・3
ハルカ
持分法による投資利益40は利益に入っていますけど、現金は入ってきていませんよね。
先生
そうだよ。だから間接法では、税金等調整前当期純利益340から40を控除するんだ。実際に入ってきた配当15は、方法1なら小計の下に「配当金の受取額」として書くよ。営業CFは 340−40+15=315なんだ。
迷いポイント 配当を受け取ったら、投資有価証券はどうなる?
ハルカ
配当はもらえてうれしいお金なので、投資の金額も増えそうです。
先生
持分法では、投資利益40を取り込んだときに投資有価証券が40増えて、配当15を受け取ると投資有価証券が15減るんだ。受取配当金を営業活動に書いているなら、投資利益と配当を相殺して「持分法による投資損益▲25」とだけ書くこともできるよ。営業CFは同じ315だね。
💡 そうだったのか!
持分法の投資損益は非資金なので利益から調整し、配当は方法に従って書きます。営業活動に書くなら、相殺して1行にしてもかまいません。
設例・応用⑧を開くラボで開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結キャッシュ・フロー計算書ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

連結キャッシュ・フロー計算書ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例⑤ ステップ2受取利息をいったん引くのはなぜ?小計の下で実額を書くため(方法1)。二重計上を防ぐ
設例⑤ ステップ3直接法と間接法で小計が違う?どちらも210。営業収入=売上−売上債権の増加
設例⑥ ステップ2〜4個別の数値をまぜてもいい?連結の数値にそろえる。つぎはぎすると570で合わない
設例・応用⑧持分法の配当はどう書く?投資利益を控除し配当を書く。営業なら相殺して1行でも可(315)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。直接法と間接法は書き方、原則法と簡便法は作り方の違いで、どれも同じ営業CFに着く。簡便法では連結の数値にそろえて、持分法の投資利益は非資金として利益から調整するんだ。
ハルカ
スマホの24回払い、残り19回なんです。毎月の引き落としを見ると、手元のお金が利益より少ない理由がよく分かりました。
先生
分割払いで買ったスマホは、会計でいえば購入だね。代金を後から払うほど、手元のお金は残りやすくなるよ。
ハルカ
じゃあ私の家計は、仕入債務の増加で営業CFを支えていたんですね。ちょっと複雑な気持ちです。
先生
払い終わる日まで、計画どおりに払えば大丈夫だよ。次の連結範囲の変動と調整編では、子会社株式の取得・売却と未達を追っていこうか。

参考資料

企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」第三の一・注7/移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」第12項・第23項・第47項(企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、実務指針の設例と同じ種類の論点を独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・相殺消去編(設例・基礎①〜④)/設例・連結範囲の変動と調整編(設例・応用①〜⑤)/設例・外貨編(設例・応用⑥⑨)/設例・非資金取引と組織再編編(設例・応用⑦⑩⑪)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。