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連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・非資金取引と組織再編編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・応用⑦⑩⑪ 株式対価・事業譲受・合併

連結キャッシュ・フロー計算書ラボ【設例・非資金取引と組織再編編】|先生と一緒に図で学ぶ設例・応用⑦⑩⑪ 株式対価・事業譲受・合併

無料の学習ツール「連結キャッシュ・フロー計算書ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、非資金取引と組織再編の設例(設例・応用⑦⑩⑪)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・応用⑦⑩⑪(単位:百万円)
設例⑦ 一部だけ現金の資産取得資産600=株式450+現金150。使用権資産120
 → 投資活動▲150(残りは注記)
設例⑩ 事業譲受現金380・受け入れた現金40
 → 投資活動▲340
設例⑪ 合併(P社が取得企業)株式500+交付金30・受け入れた現金90
 → 投資活動/独立表示▲30 / 90
はじめに

今日の題材 ── 設例・応用⑦⑩⑪

📍 ラボの場所:設例・応用タブ
ハルカ
先生、最後は株式で払う取引と、合併や事業譲受ですね。金額が大きくて緊張します。
先生
金額は大きくても、考え方は1つだよ。現金が動いた部分だけがCF、動かない部分は注記で補うんだ。設例⑦で考え方を押さえて、⑩⑪で組織再編に当てはめていこうか。
ハルカ
シリーズの最後にふさわしい、まとめの回ですね。
先生
そうだね。基礎編からの話が全部つながるよ。
ラボの設例・応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例⑦ ステップ2・3
資産の取得(600)のうち、現金で払った部分だけがキャッシュ・フロー現金 150株式の発行 450対価投資活動に記載有形固定資産の取得による支出 ▲150「重要な非資金取引」として注記株式の発行 450/使用権資産 120取引の全体と、キャッシュ・フローとの関係がわかるように注記します(実務指針 第49項)

「重要な非資金取引」として、株式の発行による資産の取得 450、使用権資産の計上 120 を注記し、取引の全体とCFとの関係がわかるようにします。

翌期以降のリース料の支払(元本部分)は財務活動に出てきます(応用 A-2)。

設例⑦

一部だけ現金の資産取得 ── CFは150、残りは注記

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例⑦ ステップ2・3
ハルカ
600の資産を買ったのに、投資活動は▲150だけなんですね。
先生
図のとおり、対価のうち株式450は資金が動かないよね。だから投資活動に書くのは、現金で払った150だけなんだ。リースで計上した使用権資産120も、資金は動いていないよ。
迷いポイント 株式450と使用権資産120は、どこにも書かない?
ハルカ
お金が動いていないなら、CF計算書とは関係なさそうです。
先生
翌期以降のCFに大きく影響するので、「重要な非資金取引」として注記などで開示するんだ。取引の全体とCFとの関係が分かれば、財務諸表の他の箇所で開示することもできるよ。使用権資産は、翌期以降のリース料の元本部分が財務活動に出てくるんだ。
ハルカ
株式で払うなんて、ポイントカードで全額払ったような気分です。お財布は無傷ですね。
先生
お財布は無傷でも、株主が増えるという大きな出来事だから、注記などで開示するんだよ。
💡 そうだったのか!
対価の一部だけが現金の取引は、現金の部分だけをCFに書き、残りは重要な非資金取引として注記などで開示します。
設例⑦を開くラボで開く ▶
📕 設例⑩ ステップ2・3
事業譲受:払った現金から、受け入れた現金を差し引いて投資活動へP社(グループ)事業を受け入れる相手(グループ外)事業を渡す現金 380事業(うち現金 40)投資活動事業譲受による支出▲340独立表示(期首残高の下)この取引ではなし―注記資産・負債の主な内訳(重要な場合)グループの現金の増減 ▲340 = 投資活動 ▲340(現金が動いた部分だけがCF)

重要な場合は、譲り受けた資産・負債の主な内訳と、譲受価額・「事業譲受による支出」との関係を注記します。のれん 70 = 譲受価額 380 − 純資産 310(簡易計算)。

設例⑩

事業譲受 ── 受け入れた現金を差し引いて投資活動へ

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例⑩ ステップ2・3
ハルカ
事業を380で譲り受けて、その事業には現金40が入っていました。
先生
図の下の段を見て。受け入れた現金40は、その日からグループの現金になるよね。だから 380−40=340を、投資活動に「事業譲受による支出」として独立の項目で書くんだ。子会社株式の取得と同じ考え方だよ。
迷いポイント 譲り受けた資産・負債は、帳簿価額で考える?
ハルカ
相手の帳簿の金額をそのまま使えば、簡単そうです。
先生
事業譲受は企業結合なので、資産・負債は取得日の時価が基礎になるんだ。重要な場合は、その内訳と、譲受価額380から支出340への関係を注記するよ。のれん70は、380から純資産310を引いた簡易計算なんだ。
💡 そうだったのか!
事業譲受の支出は支払った現金 − 受け入れた現金(340)。投資活動に独立の項目で書き、重要なら資産・負債の内訳を注記します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔀 組織再編」で「事業譲渡」を読み込む
  2. 「投資活動に記載」と「のれん/譲渡損益」を見る

👀 譲渡では向きが逆になり、受け取った 260 から渡した現金 25 を引いた 235 の収入、譲渡益 45 になります。

ラボを開く ▶
📕 設例⑪ ステップ2〜4
合併:受け入れた現金は独立表示、株式の交付は非資金取引P社(存続会社)事業を受け入れる消滅会社(グループ外)P社に吸収される交付金 30+株式 500事業(うち現金 90)投資活動合併交付金の支払額▲30独立表示(期首残高の下)合併で受け入れた現金90注記非資金取引:株式の交付5003区分のCFは投資 ▲30 だけ。合併に伴う現金の増加 90 は区別して表示(グループの現金の増減 60)

株式の交付 500 は重要な非資金取引として注記などで開示し、引き継いだ資産・負債の主な内訳も示します。グループの現金の増減 60 のうち、3区分のCFは投資 ▲30 だけで、合併に伴う現金の増加 90 は3区分とは区別して表示します。

設例⑪

合併 ── 交付金は投資活動、受け入れた現金は区別して独立表示

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例⑪ ステップ2〜4
ハルカ
P社が相手の会社を吸収合併して、株式500と交付金30を渡しました。相手は現金90を持っていました。
先生
この設例は、P社が存続会社で会計上の取得企業のケースだよ。交付金30は現金の支払なのでCFに含める(この設例では投資活動▲30)。株式500は資金が動かないので、重要な非資金取引として注記などで開示するんだ。
迷いポイント 受け入れた現金90は、投資活動の収入?
ハルカ
相手の現金が入ってくるなら、投資活動の収入にしたくなります。
先生
合併で受け入れた消滅会社の現金は、非連結子会社を新たに連結したときに準じて、「合併に伴う現金及び現金同等物の増加額」として3区分とは区別して独立表示するんだ。グループの現金は60増えるけれど、3区分のCFは投資▲30だけだよ。
ハルカ
合併で相手の貯金箱ごと引っ越してくるなんて、ルームシェアの初日みたいです。
先生
初日に貯金箱の中身を数えておくと、あとで困らないね。それが区別して表示する90なんだよ。
💡 そうだったのか!
合併で受け入れた現金は3区分とは区別して独立表示。株式の交付は重要な非資金取引として注記などで開示し、交付金など現金の部分だけをCFに含めます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔀 組織再編」で「⑪ 合併(株式+交付金)」を読み込む
  2. 「合併交付金(現金で支払)」を 30 → 0 にする

👀 「投資活動に記載」が ▲30 → 0 になり、「独立表示(合併で受け入れた現金)」は 90 のままです。株式だけの合併では、3区分のCFは生じません。

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今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結キャッシュ・フロー計算書ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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続けて読む📗 基礎編 ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例⑦ ステップ2・3株式で払った450はCF?CFは現金150だけ。株式450・使用権資産120は非資金取引として注記等で開示
設例⑩ ステップ2・3事業譲受の支出は380?受け入れた現金を引いた340。資産・負債は取得日の時価が基礎
設例⑪ ステップ2〜4合併で受け入れた現金90は投資活動?3区分とは区別して独立表示。交付金30だけがCF
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。組織再編でも、CFに書くのは現金が動いた部分だけ。事業譲受・譲渡は受け入れた(渡した)現金を差し引いて投資活動、合併で受け入れた現金は区別して独立表示、株式の交付は注記などで開示するんだ。
ハルカ
シリーズを全部読んで、モンステラの棚を買ったときのことを思い出しました。棚は現金で払って、組み立ては妹がプリン2個で手伝ってくれたんです。
先生
棚の代金は外に出たお金だね。プリンで払った手伝いは、考え方の練習でいえば非資金取引に近いよ。
ハルカ
じゃあ、プリン2個は重要な非資金取引として、冷蔵庫に注記を貼っておきます。
先生
妹さんも喜ぶね。基礎編から読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。ラボで数字を動かしながら、ゆっくり復習してみようか。

参考資料

企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」第二の二の4・第四・注9/移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」第24項・第46項・第48項・第49項(企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、実務指針の設例と同じ種類の論点を独自の数値で組み立てたものです。株式交換・株式移転・会社分割の表示は、実務指針に個別の定めがないため、ラボでは「実務の例」として紹介しています。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・相殺消去編(設例・基礎①〜④)/設例・営業CFの作り方編(設例・基礎⑤⑥・応用⑧)/設例・連結範囲の変動と調整編(設例・応用①〜⑤)/設例・外貨編(設例・応用⑥⑨)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。