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セグメント情報ラボ【設例・差異調整と関連情報編】|先生と一緒に図で学ぶ事例G〜H 差異調整・地域・主要な顧客・収益の分解

セグメント情報ラボ【設例・差異調整と関連情報編】

無料の学習ツール「セグメント情報ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例・応用タブから、注記を作る事例(事例G・H)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
設例・応用タブの2つの事例(単位:百万円)
事例G 差異調整報告セグメント計 3,380+その他 58=3,438
 調整額(4項目)▲1,590
 連結の営業利益1,848
事例H 関連情報と収益の分解情報事例Aと同じ会社
 区分する国(売上高)米国・中国
 主要な顧客1社(○○商事)
はじめに

今日の題材 ── 事例G・H

📍 ラボの場所:設例・応用タブ
ハルカ
今日は報告セグメントを決めたあと、注記を書く側の話ですね。
先生
そうだよ。事例Gは、セグメントの合計を連結の数字につなげる差異調整。事例Hは、財務諸表の数値で作る関連情報と、収益の分解情報とのつながりなんだ。
ハルカ
同じ注記でも、測る物差しが違うんでしたよね。
先生
よく覚えていたね。事例Gのセグメントの数字は経営者に報告される金額、事例Hの関連情報は財務諸表の数値だよ。その違いを意識しながら見ていこうか。
ラボの設例・応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
事例G ステップ3

📊 差異調整の図

報告セグメント計から、連結財務諸表の営業利益まで報告セグメント計3,380その他+58セグメント間取引消去▲85全社費用▲1,140のれんの償却額▲320棚卸資産の調整額▲45連結の営業利益1,848

一番上が報告セグメントの利益の合計。調整額を順に足し引きして、一番下の連結財務諸表の利益につなげます。

①セグメント間取引消去:セグメント間取引に含まれる未実現利益など。

②全社費用:どの事業セグメントにも配分していない本社の一般管理費など。

③のれんの償却額:この会社は、セグメント利益を「のれん償却前」で管理しています。

④測定方法の差:社内管理では棚卸資産を簿価切下げ前で評価しているため、財務諸表との差を調整します。重要な差異は個別に記載します。

合計 3,438  セグメント間取引消去 ▲85  全社費用 ▲1,140  のれんの償却額 ▲320  棚卸資産の調整額 ▲45 = 連結の営業利益 1,848
事例G

差異調整(利益) ── 4つの調整で営業利益につなぐ

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ3
ハルカ
報告セグメント計3,380にその他58を足すと3,438で、連結の営業利益は1,848。1,590も差があるなんて、どこかで数字が迷子になっていませんか。
先生
迷子ではないよ。図のとおり、差は4つに分けて説明できるんだ。①セグメント間取引消去▲85、②全社費用▲1,140、③のれんの償却額▲320、④棚卸資産の調整額▲45。合計で▲1,590だよ。
迷いポイント ③と④は、なぜセグメント利益に入っていない?
ハルカ
のれんの償却も棚卸資産の評価も、会社の費用ですよね。
先生
この会社は、セグメント利益をのれん償却前で管理していて、社内では棚卸資産を簿価切下げ前で評価しているんだ。経営者に報告される金額で開示するから、財務諸表との差を調整額で埋めるよ。④のような測定方法の差は、重要なら個別に書くんだ。
ハルカ
迷子だと思っていた1,590円…じゃなくて1,590百万円に、ちゃんと4人の保護者がいたんですね。
先生
保護者の名前を全部書いておけば、読む人も安心できるね。
💡 そうだったのか!
差異調整は、消去・全社費用・のれんの償却額・測定方法の差のように、調整の中身を個別に示して連結の数字につなげます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「② 注記表と差異調整」で「事例G」を読み込む
  2. 右の「全社費用(利益を減らす額)」を 1,140 → 1,000 にする

👀 調整後の利益が 1,848 → 1,988 になり、連結P/Lの営業利益 1,848 と合わないので「不一致」と出ます。

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事例G ステップ4

📊 差異調整の図

報告セグメント計から、連結財務諸表の営業利益まで報告セグメント計3,380その他+58セグメント間取引消去▲85全社費用▲1,140のれんの償却額▲320棚卸資産の調整額▲45連結の営業利益1,848

一番上が報告セグメントの利益の合計。調整額を順に足し引きして、一番下の連結財務諸表の利益につなげます。

資産:セグメント間の債権を相殺消去し、本社建物や余資運用資金などの全社資産を加えます。

負債:この会社は、セグメント別の負債を経営者に定期的に報告しているので、負債も開示します。本社の借入金は全社負債です。

資産:合計 39,150 − セグメント間の債権の相殺消去 2,260 + 全社資産 7,900 − 棚卸資産の調整額 45 = 44,745 負債:合計 17,500 + 全社負債 9,600 = 27,100
事例G

差異調整(資産・負債) ── 全社資産と本社の借入金

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例G ステップ4
ハルカ
資産の差異調整も、利益と同じ形ですか。
先生
図の下の式を見て。セグメント資産の合計39,150から、セグメント間の債権の相殺消去2,260を引き、本社建物や余資運用資金などの全社資産7,900を足す。棚卸資産の調整額45を引いて、連結の資産合計44,745になるよ。
迷いポイント 負債も、必ず開示する?
ハルカ
資産を出すなら、負債もセットですよね。
先生
負債は、最高経営意思決定機関に定期的に提供され、使用されている場合に開示するんだ。この会社はセグメント別の負債を報告しているから開示して、本社の借入金9,600を全社負債として足し、合計17,500から27,100につなげているよ。
ハルカ
本社の借入金は、どの事業にも配らないんですね。家族旅行の立替えを、だれにも請求しない父みたいです。
先生
請求しないかわりに、表の中で「全社負債」と名前を付けて見せるんだ。
💡 そうだったのか!
資産は相殺消去と全社資産で、負債は全社負債で連結の数字につなぎます。負債は、経営者に定期的に提供・使用されている場合に開示します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「② 注記表と差異調整」で「事例G」を読み込む
  2. 右の「全社資産」を 7,900 → 8,000 にする

👀 調整後の資産合計が 44,745 → 44,845 になり、連結B/Sの資産合計 44,745 と合わないので「不一致」と出ます。

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事例H ステップ3

📊 地域に関する情報の判定図

売上高(顧客の所在地別)基準額 42,600 の10%=4,26010%日本58.5% →国内米国16.0%区分して開示中国10.6%区分して開示ドイツ5.4%その他に含めるその他9.6%その他有形固定資産(所在地別)基準額 18,500 の10%=1,85010%日本74.1% →国内米国6.2%その他に含める中国14.3%区分して開示ドイツ2.2%その他に含めるその他3.2%その他

赤い点線が10%ライン。国内と海外に分け、海外のうち単一の国で10%以上のものを区分して開示します。分母は、左が損益計算書の売上高、右が貸借対照表の有形固定資産です。

まず国内と海外に分けます。国内は 58.5% で90%以下なので、省略できません。

海外のうち、単一の国で損益計算書の売上高の10%以上(4,260 以上)の国を「主要な国」として区分します。

地域ごとの情報 (1) 売上高

日本米国中国その他合計
24,9006,8004,5006,40042,600

(注)売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。

事例H

地域ごとの情報 ── 国内と「主要な国」を分ける

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例H ステップ3
ハルカ
事例Hは、事例Aと同じ会社なんですね。地域の情報は、どこから決めるんですか。
先生
まず国内と海外に分けるんだ。国内は58.5%で90%以下なので、省略はできないよ。海外のうち、単一の国で損益計算書の売上高の10%以上(4,260以上)の国を「主要な国」として区分するんだ。
迷いポイント ドイツ(5.4%)は、どこに入る?
ハルカ
海外の国なので、ドイツも1列もらえますよね。
先生
10%に届かない国は区分しないで、「その他」にまとめるんだ。図の表では、米国6,800と中国4,500が区分され、ドイツは「その他」6,400の中に入っているよ。売上高を分類した基準(顧客の所在地)も注記するんだ。
ハルカ
ドイツ、ちょっとかわいそうです。ソーセージを買いに行って応援したくなりました。
先生
応援は自由だけれど、10%に届くかは、会社の売上高が決めるんだ。下の実習で、届いたときの変化を見てみようか。
💡 そうだったのか!
地域の情報は、国内と、海外のうち単一の国で10%以上の国を区分し、残りは「その他」にまとめます。国内が90%超なら省略できます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「③ 関連情報・収益の分解」で「事例H」を読み込む
  2. ドイツの売上高を 2,300 → 4,300、「その他」を 4,100 → 2,100 にする(合計は 42,600 のまま)

👀 ドイツが 10.1% になり、売上高で区分する国が 2 → 3 か国に増えます。

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事例H ステップ5・6

単一の外部顧客への売上高が、損益計算書の売上高の10%以上なら、顧客の名称、売上高、関連する主な報告セグメントの名称を開示します。

同じ企業集団に属する顧客への売上高は、知り得る限り集約して判定するのが望ましいとされています。

主要な顧客ごとの情報

顧客の名称又は氏名売上高関連するセグメント名
○○商事(株)5,300産業機械、電子部品

判定の確認(学習用)

顧客の名称売上高損益計算書の売上高に対する割合判定
○○商事(株)5,30012.4%10%以上 → 注記に記載
△△電機(株)3,9009.2%10%未満 → 必須の開示の対象外(任意の開示は可)

判定の確認用の表です(この表自体は注記の形ではありません)。分母は損益計算書の売上高 42,600、10%ラインは 4,260 です。

収益認識会計基準の「収益の分解情報」は、各報告セグメントの売上高との関係が分かるように注記します。

ここでは「財又はサービスの移転の時期」で分解し、報告セグメントごとに示しています。リース収益など、顧客との契約から生じる収益以外は、ここでは分けて示しています。

産業機械電子部品住宅設備物流サービスソフトウェアその他合計
一時点で移転される財又はサービス14,60012,6006,400065045034,700
一定の期間にわたり移転される財又はサービス3,20009002,1001,10007,300
顧客との契約から生じる収益17,80012,6007,3002,1001,75045042,000
その他の収益(リース収益など)60000000600
外部顧客への売上高18,40012,6007,3002,1001,75045042,600

※「一定の期間にわたり移転」と「その他の収益」に入力しなかった残りの額を「一時点で移転」としています(このツールの計算上の扱い)。リース収益(不動産賃貸など)は収益認識会計基準の範囲外(第3項(2))のため、「その他の収益」に入力します。

一番下の行の合計 42,600 は、入力した連結P/Lの売上高(42,600)と一致します。

事例H

主要な顧客と、収益の分解情報とのつながり

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 事例H ステップ5・ステップ6
ハルカ
主要な顧客は、上位の何社かを並べるんですか。
先生
主要な顧客の表を見て。単一の外部顧客への売上高が、損益計算書の売上高の10%以上なら、顧客の名称・売上高・関連するセグメント名を開示するんだ。○○商事は12.4%で載るけれど、△△電機は9.2%なので必須の開示の対象外だよ。
迷いポイント 収益の分解情報とセグメント売上高は、どうつなぐ?
ハルカ
収益の分解なので、顧客との契約から生じる収益の42,000ですよね。
先生
収益の分解情報の表の一番下の行を見て。この設例では、契約から生じる収益42,000に、リース収益などのその他の収益600を足して、セグメントの外部顧客への売上高42,600とのつながりが分かる形にしているんだ。基準が求めているのは、両者の関係を理解できる十分な情報だよ。報告セグメントごとに並べると、この関係がひと目で分かるね。
💡 そうだったのか!
主要な顧客は、売上高が10%以上の場合、名称・売上高・関連する主な報告セグメントの名称を開示します。収益の分解情報は、セグメントの外部顧客への売上高との関係が理解できるように示します(この設例では、その他の収益を加えた一番下の行で42,600につなげています)。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてセグメント情報ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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続けて読む📗 基礎編 ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
事例G(利益)報告セグメント+その他3,438と営業利益の差1,590は?消去▲85・全社費用▲1,140・のれんの償却額▲320・棚卸資産の調整額▲45を個別に示す
事例G(資産・負債)負債も必ず開示?経営者に定期的に提供・使用されている場合。全社資産・全社負債で連結の数字につなぐ
事例H(地域)どの国を区分?まず国内と海外に分け、海外のうち10%以上の単一の国を区分。10%未満の国は「その他」へ
事例H(顧客・収益)収益の分解情報とセグメント売上高は?主要な顧客は10%以上なら名称・売上高・関連する主な報告セグメント。分解情報は、セグメントの外部顧客への売上高との関係が分かるように示す
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。差異調整は、合計と連結の差を中身ごとに個別に示してつなげる。関連情報は財務諸表の数値で、地域はまず国内と海外に分け、海外のうち10%以上となる単一の国を区分する。収益の分解情報は、セグメントの外部顧客への売上高との関係が分かるように示すんだ。
ハルカ
今月のスマホ代、請求額が思っていたより高くて。明細を見たら、24回払いの本体代と、通話料が別々に書いてありました。
先生
中身ごとに分けて書いてあるから、差の理由が分かったんだね。それが差異調整の考え方だよ。
ハルカ
じゃあ、通話料は「全社費用」ということにして、来月は妹にも少し配分してみます。
先生
配分するなら、合理的な基準が要るね。シリーズはこれで一巡だよ。基礎編から読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」第19項・第20項・第25項・第26項・第29項〜第32項/企業会計基準適用指針第20号 第12項・第16項〜第18項/企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」第80-10項・第80-11項(いずれも企業会計基準委員会)。事例の数値は独自のものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・報告セグメントの判定編(事例A〜C)/設例・集約・結合・継続性編(事例D〜F)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。