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資産除去債務ラボ【設例・賃借建物とリース編】|先生と一緒に図で学ぶ設例6 敷金の簡便法・使用権資産への加算

資産除去債務ラボ【設例・賃借建物とリース編】|先生と一緒に図で学ぶ設例6 敷金の簡便法・使用権資産への加算

無料の学習ツール「資産除去債務ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、賃借建物の原状回復と使用権資産の設例(設例6型と応用4)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です(原典の設例の数値は使っていません)。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 設例・基礎4 ラボの画面
敷金 1,500 のうち 600 は原状回復に充てられ返ってこない敷金(資産)1,500返還されない 600毎期 75 ずつ費用(敷金の償却)= 600 ÷ 8年(同種の賃借建物への平均的な入居期間)負債・除去費用の資産計上はしない
🧾 入居時
入居時:敷金の支払
借方金額貸方金額
敷金1,500現金預金1,500
はじめに

設例6型と応用4 ── 借りた建物を元に戻す義務

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎4 ステップ2
ハルカ
先生、今日は借りている建物の原状回復ですね。基礎4は賃借したフロアで、入居時に敷金 1,500 を差し入れています。
先生
借りた建物を元に戻す義務の設例だよ。応用4では、新しいリース基準の使用権資産に除去費用を加える形も見るんだ。新しい基準は2027年4月1日以後開始の事業年度から原則適用で、早期適用もできるよ。
ハルカ
入居時の仕訳は、敷金 1,500 と現金預金 1,500 だけです。資産除去債務が出てきません。
先生
この設例は、両建てに代わる簡便法を選んでいるからなんだ。何を選んだのかから順に見ていこうか。
設例・基礎タブの基礎4を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・基礎4 ラボの画面
敷金 1,500 のうち 600 は原状回復に充てられ返ってこない敷金(資産)1,500返還されない 600毎期 75 ずつ費用(敷金の償却)= 600 ÷ 8年(同種の賃借建物への平均的な入居期間)負債・除去費用の資産計上はしない
🧾 1年目末
各期末:当期の負担に属する額
借方金額貸方金額
敷金の償却(費用)75敷金75
設例・基礎4

簡便法 ── 戻らない 600 を、平均入居期間 8年で毎期 75

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎4 ステップ3
ハルカ
敷金 1,500 のうち、原状回復に充てられて戻ってこない額を 600 と見積っています。それを 8年で割って毎期 75 ですね。
先生
そう。敷金が資産に計上されていれば、その部分は両建てに代えて、回収が見込めない額を費用にする方法を選べるんだ(指針第9項)。
迷いポイント 戻らない 600 は、入居したときに一度に費用にする?
ハルカ
戻らないと分かっているなら、入居した年に 600 を全部費用にするのが慎重だと思いました。
先生
当期の負担に属する額だけを費用にするんだ。期間は、同じ種類の物件への平均的な入居期間など合理的な期間だよ(指針第27項)。だから 600 ÷ 8年 = 75 なんだ。
ハルカ
敷金が、戻ってこない分を毎年少しずつ自分で食べていくみたいですね。
先生
食べているのではなく、使った年数の分だけ費用にしているんだよ。
💡 そうだったのか!
敷金が資産計上されていれば、その計上額に関連する部分に限り、両建てに代えて回収不能見込額を入居期間で費用にする簡便法を選べます(指針第9・27項)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーション「賃借建物と敷金」を開く(設例6型の数字)
  2. 「償却期間(平均的な入居期間・年)」を 8 から 10 に変える

👀 毎期の敷金の償却が 75 → 60 になります。費用の合計 600 は変わりません。

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📘 設例・基礎4 ラボの画面
① 認識② 算定③ 両建て④ 費用配分⑤ 見直し・履行
年簡便法:敷金の償却原則:除去費用の償却原則:利息費用原則:費用 計
1年目7567875
2年目7566874
3年目7567875
4年目7567875
5年目7566975
6年目7567875
7年目7566975
8年目7567976
合計60053367600

合計はどちらも 600(原則は 1.5% で割引)。原則ではB/Sに資産除去債務が載る。

シミュレーション「賃借建物と敷金」で、経過年数(適用初年度)や回収不能額を変えて試せる。

指針第9項第7・9項
設例・基礎4

原則(両建処理)と比べる ── 合計はどちらも 600

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎4 ステップ4
ハルカ
原則で両建てすると、除去費用の償却が 66〜67 と利息費用 8〜9 で、毎年の費用はほぼ 75。合計も 600 です。
先生
原則では 600 を 1.5% で割り引いた 533 を負債に載せて、時の経過で 600 まで増やすんだ。費用の総額は同じになるよ。
迷いポイント 合計が同じなら、簡便法と原則の違いはない?
ハルカ
費用が同じなら、どちらを選んでも決算書は同じに見えますよね。
先生
この設例では合計はどちらも 600 だけれど、各期への配分は少し違うんだ。それにB/Sの見え方も違う。原則は資産除去債務を負債に載せ、簡便法は対象部分の負債を載せずに敷金を費用にしていくよ。
ハルカ
同じ 600 でも、毎年の割り振りと、負債として見せるか敷金の目減りとして見せるかが違うんですね。服は同じで、着こなしが違う感じです。
先生
その着こなしの差が、財務諸表の読み手には大事なんだよ。
💡 そうだったのか!
この設例では簡便法と原則の費用の合計はどちらも 600。ただし各期への配分と、資産除去債務を負債に載せるかどうかが違います。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーション「賃借建物と敷金」を開く
  2. プリセット「全額返還の見込み(回収不能額ゼロ)」を選ぶ

👀 毎期の敷金の償却は 0。原則なら当初の負債も「回収不能見込額ゼロのため比較なし」と表示されます。

ラボを開く ▶
📕 設例・応用4 ラボの画面
使用権資産の計上額 = リース負債+前払リース料+付随費用+除去費用 − リース・インセンティブ5,725リース負債付随費用50除去費用362インセンティブ ▲100使用権資産 6,037
使用権資産の計上額 = リース負債+前払リース料+付随費用+除去費用 − リース・インセンティブ5,725リース負債付随費用50除去費用362インセンティブ ▲100使用権資産 6,037
🧾 リース開始日
リース開始日:使用権資産・リース負債・資産除去債務の計上
借方金額貸方金額
使用権資産6,037リース負債5,725
現金預金(リース・インセンティブ)100資産除去債務362
現金預金(付随費用)50
設例・応用4

使用権資産に加算 ── 5,725 + 50 + 362 − 100 = 6,037

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用4 ステップ2・3
ハルカ
応用4は倉庫を5年借りる設例ですね。リース負債 5,725 に、付随費用 50 と資産除去債務 362 を足して、インセンティブ 100 を引いて、使用権資産は 6,037 です。
先生
関連する固定資産が使用権資産なので、除去費用は使用権資産の帳簿価額に加えるんだ(リース指針第28項)。
ハルカ
リース会計ラボで、負債は割り引いた額で載ると習いました。原状回復の 400 も同じ 3% で割り引くんですか。
先生
よく覚えていたね。割り引くのは同じだけれど、率は別なんだ。資産除去債務は無リスクの税引前の利率で、ここでは 2% だよ(第6項(2))。
迷いポイント 資産除去債務も、リース負債と同じ 3% で割り引く?
ハルカ
同じ倉庫の契約から出る負債なので、率もそろえるのだと思っていました。
先生
リース負債の率はリースの基準が、資産除去債務の率は資産除去債務の基準が決めているんだ。だから 400 ÷ (1+2%)5 = 362 になるよ。
ハルカ
リース負債、付随費用、除去費用、マイナスのインセンティブ…。使用権資産は、中身がいろいろ詰まった福袋みたいですね。
先生
福袋と違って、中身は全部仕訳で説明できるよ。
💡 そうだったのか!
使用権資産 = リース負債+前払リース料+付随費用+除去費用−インセンティブ。資産除去債務の割引率はリース負債とは別です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーション「使用権資産」を開く(応用4の数字)
  2. 「除去費用の見積額(割引前)」を 400 から 800 に変える

👀 資産除去債務は 362 → 725、使用権資産は 6,037 → 6,400 に増えます。リース負債 5,725 は変わりません。

ラボを開く ▶
📕 設例・応用4 ラボの画面
① 認識② 算定③ 両建て④ 費用配分⑤ 見直し・履行
🧾 1年目末
1年目末:リース料の支払と利息
借方金額貸方金額
リース負債1,079現金預金1,250
支払利息171
1年目末:使用権資産の減価償却(借手のリース期間・定額)
借方金額貸方金額
減価償却費1,207減価償却累計額1,207
1年目末:時の経過による資産除去債務の増加
借方金額貸方金額
利息費用(時の経過による調整額)8資産除去債務8
年リース負債の利息リース負債の期末残高使用権資産の償却資産除去債務の利息費用資産除去債務の期末残高
1年目1714,6461,2078370
2年目1403,5361,2087377
3年目1062,3921,2077384
4年目721,2141,2088392
5年目3601,2078400

使用権資産(除去費用を含む)は借手のリース期間で定額償却(リース基準第38項)。

資産除去債務の時の経過は、減価償却費と同じ区分(第14項)。リース負債の利息は支払利息。

リース基準第38項第14項
設例・応用4

1年目末 ── 支払利息 171、減価償却費 1,207、利息費用 8

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用4 ステップ4
ハルカ
1年目末は3本の仕訳ですね。リース料の支払と支払利息 171、使用権資産の償却 1,207、資産除去債務の利息費用 8。
先生
使用権資産は、除去費用の部分も含めて借手のリース期間で定額償却しているんだ(リース基準第38項)。6,037 ÷ 5年で、1年目は 1,207 だよ。
迷いポイント 原状回復の利息費用 8 も、リース負債と同じ支払利息?
ハルカ
どちらも「利息」なので、171 と 8 を合わせて支払利息 179 にするのだと思っていました。
先生
区分が違うんだ。リース負債の利息は支払利息、資産除去債務の時の経過は減価償却費と同じ区分だよ(第14項)。合算しないように気をつけてほしいんだ。
💡 そうだったのか!
リース負債の利息は支払利息、資産除去債務の時の経過は減価償却費と同じ区分。同じ「利息」でも行き先が違います。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションのプリセット「前払リース料あり・インセンティブなし」を選ぶ
  2. 最初のプリセット「倉庫の賃借:付随費用・インセンティブあり」と見比べる

👀 使用権資産は 6,037 → 6,437。前払 300 が加わり、インセンティブ 100 を引かなくなった分の 400 だけ増えます。資産除去債務 362 は変わりません。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて資産除去債務ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

資産除去債務ラボを開く ▶
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
基礎4 簡便法戻らない 600 は入居時に一度に費用にする?平均的な入居期間など合理的な期間で配分。600 ÷ 8年 = 75(指針第9・27項)
基礎4 比較合計が同じなら簡便法と原則の違いはない?この設例では合計 600 で同じだが、各期の配分とB/Sが違う。原則は資産除去債務を負債に計上、簡便法は敷金を費用化
応用4 計上資産除去債務もリース負債と同じ 3% で割り引く?別の率。無リスクの税引前 2% で 362。除去費用は使用権資産に加算(リース指針第28項)
応用4 1年目原状回復の利息費用 8 も支払利息?支払利息はリース負債の 171 だけ。8 は減価償却費と同じ区分(第14項)
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。敷金が資産計上されていれば、その計上額に関連する部分に限り、回収不能見込額を入居期間で費用にする方法を選べる。リースの物件なら、除去費用は使用権資産に加える。割引率と利息の区分は、リース負債とは別。この3つが要点だよ。
ハルカ
私も引っ越すときは、モンステラの大きな棚を運び出して、部屋を借りたときの状態に戻すことになります。あの棚を見るたびに原状回復を思い出しそうです。
先生
退去のときに何を元に戻すかを、先に契約で確かめておく。そこは会社の原状回復と同じ考え方だよ。
ハルカ
では、棚を買う前に契約書を読むべきでした。今さらですが、帰ったら読み直します。
先生
気づいたときに読むので十分だよ。次の注記と経過措置編では、注記の作り方と、適用初年度、減損との関係を見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第18号 第6・7・14・15項、適用指針第21号 第9・27項・設例6、リース基準第33・34・38項、リース適用指針第18・28項。企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」(2008年3月31日公表、2024年9月13日改正)、企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(2011年3月25日改正。設例1〜8)、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」・企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(使用権資産との関係)。基準確認日:2026年10月12日。ラボの設例は、原典の設例1〜8と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです(原典の数値は画面に出していません)。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・取得から除去と算定編(設例1〜3)/設例・見積りの変更と使用の都度編(設例4・5)/設例・注記と経過措置編(設例7-1・7-2・8)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。