大野部長の学習ノート学ぶ世界部長編①資産除去債務ラボ
📙 部長編① 三つの視点
はじめに
一つの経営課題を、三つの視点で
この記事について
ハルカの基礎編・応用編・設例編が「資産除去債務を計算できるようになる」記事なら、この部長編は「資産除去債務を、毎期回る管理の仕組みにする」記事です。
経営課題
原状回復の義務が、会社のどこにあるのか、だれも全部は知らない設例の会社では、店舗の契約書は総務、出退店の計画は店舗開発、工事の実績は施設管理、工場の撤去義務は製造部門が持っている。経理の台帳に載っているのは、そのうち経理に届いたものだけ。この状態を、決算のたびに慌てない仕組みに変えるまでを検討します。
検討する三つの視点
1自部門の管理者として
台帳を誰が持ち、見積りをどの精度で。決算前に何を終えておくか
2全社の調整役として
情報を持つ部署から、いつ何を受け取るか。食い違ったら誰が決めるか
3経営層に説明する側として
方針・見積りの費用・見直しの条件を、何で判断してもらうか
到達点末尾の「決定事項」と、3つのひな形(管理台帳・情報の受け渡しルール・経営層向け一枚)
📙 ラボの図 応用A1 見積りの情報源
視点1
自部門の管理者として ── 台帳を誰が持ち、見積りをどの精度で
設例:店舗68(両建て20・敷金の簡便法48)、自社工場1。資産除去債務の台帳は担当1人がExcelで管理。
大野部長
先生、資産除去債務の計算そのものは、部の誰でもできます。
困っているのは、毎期の決算で「載せ漏れはないか」を誰も言い切れないことです。
困っているのは、毎期の決算で「載せ漏れはないか」を誰も言い切れないことです。
先生
大野さん、計算より管理の話ですね。
いま台帳に載っているのは、どうやって集まったものですか。
いま台帳に載っているのは、どうやって集まったものですか。
大野部長
新規出店の稟議が回ってきたときに、担当が拾っています。
稟議に原状回復の条項が書いていなければ、拾えません。
稟議に原状回復の条項が書いていなければ、拾えません。
先生
入口が一つだけなんですね。
網羅性は、台帳の中をいくら見ても確かめられませんよ。
外の資料と突き合わせる仕組みが要るでしょう。
網羅性は、台帳の中をいくら見ても確かめられませんよ。
外の資料と突き合わせる仕組みが要るでしょう。
大野部長
突き合わせる先は、契約の一覧と固定資産台帳ですね。
店舗68件と、工場の設備です。
店舗68件と、工場の設備です。
先生
ええ。
それと見積りの精度です。
68店を1店ずつ業者に見積らせますか。
それと見積りの精度です。
68店を1店ずつ業者に見積らせますか。
大野部長
そこまでは無理です。
過去の退店の実績から、面積当たりの単価を出してかけています。
過去の退店の実績から、面積当たりの単価を出してかけています。
先生
同じ種類の資産が多いなら、まとめて概括的に見積ることはできますよ。
大事なのは、単価の根拠を毎期どう更新するかでしょうね。
大事なのは、単価の根拠を毎期どう更新するかでしょうね。
大野部長
単価は3年前のままです。
最近の工事費の上がり方を考えると、怪しいと思っています。
最近の工事費の上がり方を考えると、怪しいと思っています。
先生
以前見た会社では、単価を何年も直さず、退店のたびに履行差額が出続けて、監査法人から見積りの方法そのものを問われていましたよ。
大野部長
……うちも同じ道を歩きかけています。
単価は、直近の退店実績と、代表的な店舗の業者見積りで毎年見直します。
単価は、直近の退店実績と、代表的な店舗の業者見積りで毎年見直します。
先生
いいと思います。
では、担当は一人のままでいいですか。
では、担当は一人のままでいいですか。
大野部長
よくないです。
到達条件を決めて、二人目を育てます。
①台帳の更新、②見積りの見直しの判定、③仕訳と注記、④監査法人への説明。
④まで一人でできて「回せる」と数えます。
到達条件を決めて、二人目を育てます。
①台帳の更新、②見積りの見直しの判定、③仕訳と注記、④監査法人への説明。
④まで一人でできて「回せる」と数えます。
先生
②が一番難しいでしょうね。
単価が変わったとき、見積りの変更として扱うかどうか、誰が決めますか。
単価が変わったとき、見積りの変更として扱うかどうか、誰が決めますか。
大野部長
判定は担当、承認は私です。
判定の基準を一枚に書いておきます。
判定の基準を一枚に書いておきます。
先生
もう一つ、決算の時期をどう守りますか。
決算の最中に68店の見直しをするのは、苦しいですよ。
決算の最中に68店の見直しをするのは、苦しいですよ。
大野部長
見直しは第3四半期に終えて、決算では、その後に変わった店舗だけを反映します。
先生
決算の前に終えておく範囲が決まっていると、担当も迷わずに判断できますね。
🔬 ラボで試す(30秒)
シミュレーション「見積額の算定」で、プリセット「採掘施設の解体と埋戻し」と「インフレなし・業者の利益なし」を見比べてください。資産除去債務は 2,616 と 2,088 になります。見積りの前提(業者に頼むか、インフレをどう見るか)を誰が決めるかで、計上額が変わることが分かります。
ラボのシミュレーションを開く ▶📙 ラボの図 応用E4 注記の実務
📙 部長編 情報の流れ
視点2
全社の調整役として ── 誰から、いつ、何を受け取るか
設例:契約書は総務、出退店計画は店舗開発、工事の実績は施設管理、工場の撤去義務は製造部門が持つ。
大野部長
次は全社です。
経理が必要な情報を、四つの部署がばらばらに持っています。
経理が必要な情報を、四つの部署がばらばらに持っています。
先生
それぞれの部署は、その情報を経理に渡す理由を知っていますか。
大野部長
……知らないと思います。
資産除去債務という言葉も、たぶん通じません。
資産除去債務という言葉も、たぶん通じません。
先生
では、言葉ではなく「出来事」で頼むのがいいでしょうね。
何が起きたら経理に知らせるか、ですね。
何が起きたら経理に知らせるか、ですね。
大野部長
契約を結んだとき、更新や条件を変えたとき、退店や移転が決まったとき、工事が終わって費用が確定したとき。
この四つです。
この四つです。
先生
そうです。
その四つを、それぞれの部署の既存の手続きに一行足す形にすると、続きやすいですよ。
その四つを、それぞれの部署の既存の手続きに一行足す形にすると、続きやすいですよ。
大野部長
契約の稟議書に「原状回復の義務」の欄を足す。
退店の決裁書に経理を回付先として入れる。
工事の完了報告に費用の内訳を付けてもらう。
退店の決裁書に経理を回付先として入れる。
工事の完了報告に費用の内訳を付けてもらう。
先生
いいですね。
ただ、一つ食い違いが出やすいところがありますね。
ただ、一つ食い違いが出やすいところがありますね。
大野部長
退店の計画ですね。
店舗開発は、決まる前の計画を外に出したがりません。
経理は、見積りの時期を見直すために早く知りたい。
店舗開発は、決まる前の計画を外に出したがりません。
経理は、見積りの時期を見直すために早く知りたい。
先生
ええ。
その二つがぶつかったら、誰が決めますか。
その二つがぶつかったら、誰が決めますか。
大野部長
決める人を決めていませんでした。
経理が案を作り、店舗開発の部長と私で合意し、合わなければ経営会議で決めます。
経理が案を作り、店舗開発の部長と私で合意し、合わなければ経営会議で決めます。
先生
それなら、受け渡しのルールに「食い違ったときの決め方」の行も入れておくといいでしょう。
大野部長
先生
移転の話が出たときに、その注記の判断が変わりますね。
誰が気づく仕組みにしますか。
誰が気づく仕組みにしますか。
大野部長
総務の移転検討の会議に、経理を入れてもらいます。
見積れるようになった時点で計上します。
見積れるようになった時点で計上します。
先生
いい仕組みですね。
見積れないという判断も、決算のたびに理由を確かめ直すことになりますよ。
移転の予定がないだけで、一律に計上しなくてよいわけではありませんからね。
見積れないという判断も、決算のたびに理由を確かめ直すことになりますよ。
移転の予定がないだけで、一律に計上しなくてよいわけではありませんからね。
📙 ラボの図 応用C1 敷金の簡便法
視点3
経営層に説明する側として ── 何を判断してもらうか
設例:敷金の簡便法を48店で採用。2027年4月1日以後開始の事業年度から新しいリース基準が原則適用。
大野部長
最後は経営層です。
正直、資産除去債務は経営会議の議題になったことがありません。
正直、資産除去債務は経営会議の議題になったことがありません。
先生
議題にするなら、何を判断してもらいますか。
仕組みの報告だけなら、一枚にする必要はないでしょう。
仕組みの報告だけなら、一枚にする必要はないでしょう。
先生
新しいリース基準のもとでも、敷金の計上額に関連する部分は簡便法を選べますよ。
続けるか変えるかで、何が違いますか。
続けるか変えるかで、何が違いますか。
大野部長
費用の総額や各期への配分は、見積りの前提や処理方法によって変わります。
特に変わるのは、B/Sに資産除去債務が負債として載るかどうかと、毎期の費用配分です。
特に変わるのは、B/Sに資産除去債務が負債として載るかどうかと、毎期の費用配分です。
先生
社長の視点で言えば、聞きたいのは「数字がどれだけ動くか」と「手間がどれだけ増えるか」でしょうね。
大野部長
原則にすると、48店分の負債と、使用権資産への加算が新たに載ります。
金額の試算を一枚に載せます。
金額の試算を一枚に載せます。
先生
ただ、すでに採用している簡便法を原則に変えるなら、会計方針の変更として認められるか、その理由と移行時の処理も確認が要りますね。
ほかに判断してもらうことはありますか。
ほかに判断してもらうことはありますか。
大野部長
二つ目は見積りにかける費用です。
代表的な店舗(10店)の業者見積りで、年60万円。
三つ目は見直しの条件です。
代表的な店舗(10店)の業者見積りで、年60万円。
三つ目は見直しの条件です。
先生
見直しの条件は、どう書きますか。
大野部長
退店や移転が決まったとき。
それと、工事単価が前回の見直しから10%以上動いたとき。
この10%は、設例の提案です。
それと、工事単価が前回の見直しから10%以上動いたとき。
この10%は、設例の提案です。
先生
ええ、基準に固定の割合はありませんね。
10%は社内の目安で、未満でも影響が重要なときや、除去の範囲・時期が変わったときは見直しを検討する、と添えておくといいですよ。
10%は社内の目安で、未満でも影響が重要なときや、除去の範囲・時期が変わったときは見直しを検討する、と添えておくといいですよ。
大野部長
見積りの変更は、原則として資産と負債の帳簿価額を調整して、残りの年数で費用にします。
ただ、除去までの期間が短い店舗では影響が大きくなることもある。
それも一枚に書きます。
ただ、除去までの期間が短い店舗では影響が大きくなることもある。
それも一枚に書きます。
先生
両建ての店舗なら、退店のときの履行差額は一度に出ますよ。
そこも一行あると親切でしょうね。
そこも一行あると親切でしょうね。
大野部長
書きます。……一枚を作ってみると、仕組みの話より先に、方針を決めてもらう話なんですね。
先生
それが分かっているなら、経営会議の当日は、私は要りませんね。
決定事項 ── 一つの経営課題を、三つの視点で
経営課題原状回復の義務が会社のどこにあるか、だれも全部は知らない
答え
- 情報の入口を増やす
- 突き合わせで網羅性を確かめる
- 方針を経営層に判断してもらう
1 自部門台帳を突き合わせ、担当を④まで育てる
- 管理台帳
- 契約一覧・固定資産台帳と突き合わせる
- 単価
- 直近の退店実績と代表店舗の業者見積りで毎年見直す
- 到達条件
- ①台帳の更新
- ②見積りの見直しの判定
- ③仕訳と注記
- ④監査法人への説明 → ④まで一人でできて「回せる」
- 分担
- 判定は担当・承認は部長
- 時期
- 第3四半期:全店の見直し
- 決算:その後に変わった店舗だけ反映
2 全社言葉ではなく、出来事で頼む
- 頼む出来事
- 契約の締結
- 更新・条件変更
- 退店・移転の決定
- 工事の完了
- 手続きに一行
- 各部署の既存の手続きに足す(稟議書の欄・決裁書の回付先・完了報告の内訳)
- 決め方
- 退店計画の受け渡しで食い違ったら、経理の案を店舗開発の部長と部長で合意 → 合わなければ経営会議
- 本社の移転
- 移転検討の会議に経理が入る
3 経営層方針・費用・見直しの条件を、先に判断してもらう
- 敷金の簡便法
- 続けるかを新しいリース基準の適用前に判断する
- B/Sと毎期の配分への影響を試算する
- 変える場合は、会計方針の変更としての理由と移行時の処理を確認する
- 見積りの費用
- 代表10店の業者見積り 年60万円
- 見直しの条件
- 退店・移転の決定
- 工事単価が前回から10%以上の変動(設例の社内目安)
- 未満でも、影響が重要なときや除去の範囲・時期が変わったときは検討する
- 損益への出方
- 見積りの変更は原則として残りの年数で費用配分(除去までの期間が短いと影響が大きいこともある)
- 両建ての店舗は、退店時の履行差額が一度に出る
この一枚を経営会議で説明するためのPowerPoint(9枚・図解入り。判断事項・課題と仕組み・簡便法と原則のB/S比較・比較欄・見直しの条件・損益への出方・決議事項)PowerPointをダウンロード
ひな形
実務のひな形 ── 管理台帳・情報の受け渡しルール・経営層向け一枚(Excel・PowerPoint)
📙 ひな形 テンプレートの構成
以下はすべて架空の会社の記入例です。Excelテンプレートでは記入例を残したまま配り、自社の状況に上書きして使います。
① 管理台帳 ── 処理(両建て・簡便法・注記)と、情報の持ち主を1行に
| 管理番号 | 拠点 | 義務の根拠 | 処理 | 除去の見込み時期 | 割引前の見積額と根拠 | 割引率 | 情報の持ち主 | 次回見直し |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| S-001 | 路面店(定期借地・自社建物) | 定期借地契約:満了時に建物を除去し更地で返還 | 両建て | 契約満了(残り9年) | 単価×床面積。直近の退店実績と代表店舗の業者見積りで更新 | 取得時の率(増加分はその時点の率) | 総務(契約)・店舗開発(計画) | 第3四半期 |
| S-002 | ショッピングセンター内店舗 | 賃貸借契約:退去時に内装を撤去して返還。敷金あり | 敷金の簡便法 | 平均入居期間で償却 | 回収不能見込額=敷金のうち原状回復に充てられる額 | — | 総務(契約)・施設管理(実績) | 第3四半期 |
| S-003 | 退店が決まった店舗 | 賃貸借契約(S-002と同じ型) | 敷金の簡便法 | 来期の第2四半期に退店 | 業者見積りを取得して見直し | — | 店舗開発(決定)・施設管理(見積り) | 退店決定時 |
| F-001 | 自社工場の大型設備 | 操業許可の条件:使用後に撤去する法的義務 | 両建て | 耐用年数の終了時 | 業者見積り(撤去・処分)。インフレを見込む | 取得時の率 | 製造部門(設備)・施設管理 | 第3四半期 |
| H-001 | 本社オフィス(賃借) | 賃貸借契約:退去時に原状回復。自動更新・移転予定なし | 計上しない(注記) | 見積れない | 移転の検討が始まったら見積る | — | 総務(移転検討の会議に経理が入る) | 毎期決算時/移転計画など見積可能性に影響する事象が生じた時 |
契約一覧・固定資産台帳と突き合わせて、載せ漏れがないかを確かめる。敷金の簡便法は、敷金の計上額に関連する部分に限る。見積れない場合は計上せず、概要・見積れない旨・理由を注記する。
② 情報の受け渡しルール ── 言葉ではなく、出来事で頼む
| 出来事 | 持っている部署 | 経理に届ける手段 | 期限 | 経理の作業 |
|---|---|---|---|---|
| 契約を結んだとき | 総務 | 契約の稟議書に「原状回復の義務」の欄を足す(有無・範囲・敷金) | 締結の翌月末 | 台帳に追加。処理(両建て・簡便法・見積れない)を判定 |
| 更新・条件を変えたとき | 総務 | 更新の稟議書に同じ欄 | 変更の翌月末 | 除去の時期・範囲の変化を確認 |
| 退店・移転が決まったとき | 店舗開発・総務 | 退店の決裁書の回付先に経理を入れる | 決裁の当月 | 時期の見直し、業者見積りの依頼 |
| 工事が終わったとき | 施設管理 | 工事の完了報告に費用の内訳(原状回復分)を付ける | 完了の翌月末 | 両建ては履行差額を処理。敷金の簡便法は敷金の精算額と帳簿価額との差額等を確認。どちらも工事実績を単価の資料として記録 |
| 工場の設備を入れ替えたとき | 製造部門 | 設備投資の稟議に撤去義務の欄 | 取得の当月 | 台帳に追加・除外 |
| 食い違ったとき | — | 経理が案を作り、相手部署の部長と経理財務部長で合意 | 随時 | 合わなければ経営会議で決める |
各部署の既存の手続き(稟議書・決裁書・完了報告)に一行足す形にする。新しい書類を増やさない。
③ 経営層向け一枚 ── 仕組みの報告ではなく、方針を判断してもらう
| ブロック | 載せること | 判断してもらうこと |
|---|---|---|
| 1 課題 | 原状回復の義務の情報が4部署に分かれ、台帳の入口は新規出店の稟議だけ。工事単価は3年前のまま | 課題の認識の共有 |
| 2 管理の仕組み | 出来事で受け渡すルール(4部署の既存手続きに一行)。契約一覧・固定資産台帳との突き合わせ。第3四半期に全店見直し | 仕組みの了承 |
| 3 敷金の簡便法 | 続ける場合と原則に変える場合の比較(下の比較欄。B/Sの負債・使用権資産への加算・毎期の配分)。新しいリース基準の適用前に判断。変える場合は会計方針の変更としての理由と移行時の処理を確認 | 方針の判断 |
| 4 見積りの費用 | 代表的な店舗(10店)の業者見積り 年60万円。単価の根拠を毎年更新 | 予算の承認 |
| 5 見直しの条件 | 退店・移転の決定時/工事単価が前回の見直しから10%以上動いたとき(設例の社内目安。基準に固定の割合はない。未満でも影響が重要なときや、除去の範囲・時期が変わったときは見直しを検討) | 条件の承認 |
| 6 損益への出方 | 見積りの変更は原則として資産・負債の帳簿価額を調整し、残りの年数で費用配分(除去までの期間が短いと影響が大きいこともある)。両建ての店舗は退店時の履行差額が一度に出る。簡便法の店舗は敷金の精算で確認 | 説明の了承 |
比較欄 ── 敷金の簡便法を続けるか、原則に変えるか(金額は自社で試算して記入)
| 比較項目 | 敷金の簡便法を継続 | 原則(両建て)に変更 |
|---|---|---|
| 資産除去債務(負債) | 対象部分は計上しない | ○○万円(48店分) |
| 使用権資産への加算(新しいリース基準の適用後) | 対象部分は加算しない | ○○万円 |
| 年間の費用(敷金の償却/除去費用の償却+時の経過) | ○○万円 | ○○万円 |
| 管理の手間(見積り・台帳の更新) | ○○時間/年 | ○○時間/年 |
| 変える場合の確認事項 | — | 会計方針の変更としての理由、移行時の処理、監査法人との協議 |
「代表10店・年60万円」「単価10%」は設例の社内目安で、基準に固定の数や割合はない。10%未満でも影響が重要なときや、除去の範囲・時期が変わったときは見直しを検討する。
3シート入りのExcelテンプレート(管理台帳/情報の受け渡しルール/経営層向け一枚)Excelをダウンロード
経営層向け一枚の説明資料(PowerPoint 9枚:判断事項・課題と仕組み・簡便法の比較・比較欄・費用と条件・損益への出方・決議事項)PowerPointをダウンロード
簡便法と原則の違いは、ラボのシミュレーションで数字を変えて確かめられますラボを開く ▶
📙 この記事の位置
おわりに
今日のふりかえり
大野部長
今日の三つの視点を、一言ずつにしておきます。
自部門は「突き合わせで網羅性を確かめ、見直しを決算の前に終える」。
全社は「言葉ではなく出来事で頼む」。
自部門は「突き合わせで網羅性を確かめ、見直しを決算の前に終える」。
全社は「言葉ではなく出来事で頼む」。
先生
さすがです。
経営層の視点は、どうなりますか。
経営層の視点は、どうなりますか。
大野部長
「仕組みの報告ではなく、方針を判断してもらう」。……三つとも、計算が得意なだけでは届かない場所でした。
先生
計算できる人がいる部だからこそ、仕組みに時間を使えるんですよ。
参考
一次情報・ラボ・前後の回
一次情報
- 企業会計基準委員会(ASBJ):企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」(2008年3月31日公表、2024年9月13日改正)。認識(第4・5項)、見積りの変更(第10・11項)、注記(第16項)。
- 企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(2011年3月25日改正)。見積りの情報源と概括的な見積り(第3項)、敷金の簡便法(第9・27項)、注記(第10・11項)。
- 企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」・企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(2027年4月1日以後開始する事業年度の期首から原則適用。2025年4月1日以後開始する事業年度の期首から早期適用可)。使用権資産への除去費用の加算、敷金の簡便法を選ぶ場合の取扱い。
ラボ・ツール
- 資産除去債務ラボ(5段の流れ・見積りの情報源・敷金の簡便法・注記・シミュレーション)
- ラボのシミュレーション「賃借建物と敷金」(簡便法と原則の比較)
- ラボのシミュレーション「使用権資産」(除去費用の加算)
- リース会計ラボ(使用権資産・借手のリース期間)
- 減損会計ラボ(資産除去債務との関係)
