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資産除去債務ラボ【税務調整編】|先生と一緒に図で学ぶ債務確定・別表四と別表五(一)・税効果

資産除去債務ラボ【税務調整編】|先生と一緒に図で学ぶ債務確定・別表四と別表五(一)・税効果

無料の学習ツール「資産除去債務ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「🧾 税務調整」タブを上から順に、会計と法人税の違いと、別表四・別表五(一)の書き方を先生と生徒の会話形式で見ていきます。会計処理そのものは基礎編「応用編」「設例編」で扱っています。設例の会社と数値はすべて架空の例です。別表はラボと同じ簡略版で、解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の設例
設例の条件(単位:千円)
設備本体の取得価額6,000
除去までの年数(耐用年数)5年
除去費用の見積額(割引前)1,500
割引率2%
計上額(割り引いた額)1,359
除去の年の実際の支出1,560
はじめに

今日の題材 ── 設備 6,000 と除去費用 1,500 の5年間

📍 ラボの場所:税務調整タブ ④「設例の条件」
ハルカ
先生、資産除去債務の会計は設例編まで読みました。でも申告書を作るとき、どの別表に何を書くのかが分かりません。
先生
今日はそこを、ラボの税務調整タブで見ていこうか。題材は設備 6,000、5年後に除去費用 1,500 がかかる設例だよ。2%で割り引くと、計上額は 1,359 なんだ。
ハルカ
実際の除去では 1,560 かかった、という設定ですね。会計の数字は基礎編と同じ形です。
先生
そう。今日は同じ5年間を、法人税の目でもう一度見るんだ。税務調整タブの6つの節を、上から順に読んでいこうか。
税務調整タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
🧾 税務 1 ラボの図
📒 会計企業会計基準第18号
差
🧾 税務(法人税)法人税法
除去の義務を負った時に、割引後の金額 1,359 を負債に計上
≠
計上しない。損金は期末までに債務が確定したものだけ
同額を設備の帳簿価額に加えて減価償却
≠
税務の取得価額に入らないので、その分の償却は損金にならない
期首残高×割引率の時の経過を毎期費用に
≠
見積りの利息なので損金にならない
除去の年は債務を取り崩し、履行差額だけ費用
≠
工事等が行われ債務が確定した年に、除去費用 1,560 をまとめて損金(この設例は工事と支払が同じ年度)
5年間の費用の合計
=
損金の合計は会計と同じ(時期だけがずれる)
税務 1

会計と税務の違い ── 税務は「債務が確定した時」まで損金にしない

📍 ラボの場所:税務調整タブ 1
ハルカ
会計と税務の列が並んでいて、真ん中に「≠」がたくさんあります。最後の行だけ「=」ですね。
先生
税務は、償却費を除いて、期末までに債務が確定した費用しか損金にしないんだ(法人税法第22条第3項第2号)。資産除去債務は将来の支出の見積りだから、計上した時点では債務が確定していないよ。
迷いポイント 時の経過の費用は「利息」だから、損金になる?
ハルカ
時の経過による調整額は「利息費用」とも呼ばれますよね。利息なら損金でいいと思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。お金を借りて払う利息ではなく、見積りの負債が時間とともに膨らんだ分なんだ。債務が確定していないので、損金にならないよ。
ハルカ
「利息」という名前に、すっかりだまされていました。
先生
名前より中身で見ればいいんだよ。損金になるのは、除去の工事が行われた年なんだ。
💡 そうだったのか!
税務は債務が確定した年に損金。除去費用分の償却も時の経過も、除去の年までは損金にならず、5年間の合計だけが会計と一致します。
🧾 税務 2 ラボの図
加算所得が増える減算所得が減る赤字=税務では損金にならない・計上しない緑字=税務の損金(小さい文字)=根拠
論点📒 会計🧾 税務(法人税)📝 調整と別表
資産除去債務の計上義務を負った時に、割引後の金額で負債に計上(第4・6項)計上しない(債務未確定)
別表四なし(損益に出ない)
別表五(一)「資産除去債務」を+で記載
除去費用の資産計上負債と同額を有形固定資産の帳簿価額に加える(第7項)取得価額に含めない
別表五(一)「設備(除去費用)」を△で記載
  • 計上時は上の行と合わせて差引ゼロ
除去費用分の減価償却残存耐用年数にわたり減価償却(第7項)損金にならない(税務の取得価額の外)
別表四加算・留保(減価償却超過額など)
別表五(一)△が毎期小さくなる
時の経過による調整額期首残高×当初の割引率を費用に(第9項)損金にならない(債務未確定)
別表四加算・留保
別表五(一)+が増える
見積りの変更資産と負債に同額を加減(第10・11項)処理なし
別表四なし
別表五(一)2行を同額だけ加減
除去(履行)債務を取り崩し、差額は履行差額(第15項)除去・原状回復の工事等が行われ、債務が確定した事業年度に損金算入(支払が翌期でも可)
別表四債務の残高を減算・留保(認容)
別表五(一)2行とも残高ゼロへ
敷金の簡便法(返還予定の敷金)返還予定の敷金から、将来の原状回復費用相当額を見積もって償却(指針第9項)見積りの償却額は損金にならない(債務未確定)
原則として会計の償却額を加算・留保し、原状回復費用が確定した段階で減算(認容)
敷金のうち契約上返還されない金額(会計は上の簡便法などで処理)税務上の繰延資産(資産を賃借するための権利金等)に該当すれば、税務の償却期間で損金(法人税法施行令第14条第1項第6号ロ、法人税基本通達8-1-5)
税務上認められる償却額(別表十六(六) 繰延資産の償却額の計算に関する明細書)と会計の償却額の差を調整
使用権資産に加えた除去費用使用権資産の帳簿価額に加算して償却(リース指針第28項)不動産の賃借は税務上の賃貸借が多く、使用権資産そのものを認めない
  • 加算・留保(考え方は設備と同じ)
  • リース会計ラボの税務調整タブも参照
消費税(会計処理とは別)
  • 除去の作業代金は、除去を行った課税期間の課税仕入れ
  • 計上時・時の経過は対象外
申告調整なし

敷金の返還されない部分の扱いは契約内容によります(法人税法施行令第14条第1項第6号ロ、法人税基本通達8-1-5ほか)。金額が少額なら一時の損金になる場合もあります。

早期除去:除去費用分を償却し切る前に除去した場合は、未償却の除去費用(会計では除却損等に含まれる)に係る別表五(一)の差異も、その年に取り崩します。対象外:除去の支出が別の資産(建替え後の建物など)の取得価額になる場合は、この設例の対象外です。

税務 2

差異の一覧表 ── どの処理が、どの別表に出るか

📍 ラボの場所:税務調整タブ 2
ハルカ
計上・償却・時の経過・見積りの変更・除去と、処理ごとに別表の書き方が並んでいます。
先生
基礎編の5段の流れを、そのまま税務の列に写した表なんだ。右端の「調整と別表」で紺の「別表四」と紫の「別表五(一)」の札を見比べると、別表四に出る処理と別表五(一)だけの処理が分かるよ。
迷いポイント 計上した日に、資産除去債務 1,359 を別表四で加算する?
ハルカ
会計で負債を 1,359 立てたなら、税務で認めない分として別表四で加算するんですよね。
先生
計上の仕訳は資産と負債の両建てで、損益には出ていないんだ。だから別表四はなし。別表五(一)に「資産除去債務 +」と「設備(除去費用)△」を書いて、差引ゼロにするよ。
ハルカ
見積りの変更も、同じ考え方ですか。
先生
そう。資産と負債が同じ額だけ動くので、別表五(一)の2行を同じ額だけ動かすんだ。
💡 そうだったのか!
損益に出ない処理(計上・見積りの変更)は別表四を通さず、別表五(一)の2行を同じ額だけ動かします。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、見積りの変更の時期を 3 にする(変更後の見積額は 1,800 のまま)
  2. 年度ボタンで 3年目 を選ぶ

👀 3年目の別表四は +300 のままです。別表五(一)は、資産除去債務の増が 320(時の経過 29+変更 291)、設備(除去費用)の増が ▲291 になります。

ラボを開く ▶
🧾 税務 3 ラボの図
P/L 当期純利益会計の数字から出発別表四(1年分の調整)+ 加算:会計の費用が多すぎる− 減算:税務の損金が多い所得金額 → 法人税「留保」の分だけ別表五(一)(調整の残高を繰り越す)期首 − 減 + 増 = 期末(税務と会計の帳簿の差)一時差異→ 税効果会計
税務 3

別表の書き方 ── 別表四で1年分を調整し、別表五(一)で残高を繰り越す

📍 ラボの場所:税務調整タブ 3
ハルカ
当期純利益から別表四、別表四の「留保」から別表五(一)、その残高から税効果へ。矢印が一本の道になっています。
先生
別表四は1年分の調整、別表五(一)は残高を繰り越す表なんだ。資産除去債務の調整はいつか必ず戻るので、処分はすべて留保だよ。
ハルカ
これ、収益認識ラボ⑤で習った「差の行き先」と同じですか。会計と法人税の差は別表四へ、翌期以降に戻る留保は別表五(一)に残る、という話でした。
先生
よく覚えていたね。同じ道だよ。違うのは、資産除去債務には計上の日に別表五(一)へ直接書く行がある点なんだ。
迷いポイント 別表五(一)の期末残高は、何と一致していればいい?
ハルカ
毎年、期首に増減を足し引きするだけなら、残高はあまり見なくてもいいですよね。
先生
期末の残高は、税務と会計の帳簿の差そのものなんだ。資産除去債務の行は会計の資産除去債務、設備の行は除去費用の未償却残高と一致するはずだよ。B/Sと照合すると、書き漏れに気づけるんだ。
ハルカ
実は、別表五(一)は「去年の数字を写す表」だと思っていました。
先生
写すだけなら、毎年同じ数字になってしまうよ。期首 − 減 + 増で、ちゃんと動くんだ。
💡 そうだったのか!
別表四は1年分、別表五(一)は残高。期首 − 減 + 増 = 期末で、期末の残高は会計のB/Sと照合できます。
📝 収益認識ラボ⑤【基礎編】(差の行き先:別表四・五(一))記事を読む ▶
🧾 税務 4 ラボの図(1年目)
会計の費用(除去費用の分)税務の損金(除去費用の分)29901年目加算 29929902年目加算 29930003年目加算 30030104年目加算 3013611,5605年目減算 1,199

除去費用に関係する分だけを比べています(設備本体の償却費は会計と税務で同じなので除外)。会計は毎年少しずつ、税務は除去の年にまとめて。この記事の図は固定表示です。年度の切替・条件変更は、リンク先のラボで操作してください。

1年目:取得時に会計は資産と負債を同額で計上(1,359)。税務はどちらも計上しないので、別表五(一)に+と△を書いて差引ゼロ。損益に出ないので別表四には出ません。期末に、償却と時の経過の分を加算します。
📒 会計の費用(1年目)
  • 減価償却費(設備本体)1,200
  • 減価償却費(除去費用分)272
  • 利息費用(時の経過)27
計 1,499
🧾 税務の損金(1年目)
  • 減価償却費(設備本体・償却限度額)1,200
計 1,200
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)── 1年目簡略版
区分項目総額①留保②社外流出③
加算減価償却超過額(除去費用分)272272
加算資産除去債務(時の経過による調整額)2727
減算なし
所得への影響(加算 − 減算)+299
別表五(一)(利益積立金額の計算に関する明細書)── 1年目簡略版
区分(項目)期首現在①当期の減②当期の増③差引翌期首現在④①−②+③
資産除去債務001,3861,386
設備(除去費用の資産計上額)0▲272▲1,359▲1,087
合計(この論点の分)0▲27227299
税務 4(1年目)

設例で書いてみる ── 導入設例を年度ごとに別表へ

📍 ラボの場所:税務調整タブ ④ 年度ボタン「1年目」
ハルカ
1年目の棒は、会計の費用 299、税務の損金 0 です。その下に、別表四と別表五(一)が出ています。
先生
会計の費用は、除去費用分の償却 272 と時の経過 27 で 299。税務の損金はゼロだから、別表四で 272 と 27 を加算・留保して、所得が 299 増えるんだ。
迷いポイント 除去費用分の償却も、償却限度額の範囲なら損金にできる?
ハルカ
設備の償却費は償却限度額まで損金ですよね。除去費用分の 272 も、設備と合わせて限度額の中に入れればいいのでは。
先生
除去費用は、税務の取得価額に入っていないんだ。限度額の計算の外にあるので、その分の償却費はまるごと加算だよ。設備本体の 1,200 は、会計と税務で同じなんだ。
ハルカ
同じ設備なのに、除去費用分だけ名簿に載っていないゲスト扱いなんですね。
先生
取得価額という名簿に載っていないからね。損金になるのは、除去の年なんだよ。
💡 そうだったのか!
1年目は、除去費用分の償却 272 と時の経過 27 を加算・留保。別表五(一)は資産除去債務 1,386、設備(除去費用)▲1,087 で、差引 299 が残ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 税務調整タブ ④ で、年度ボタンを 2年目・3年目・4年目 と順に押す

👀 加算は 299・300・301 と少しずつ増え、別表五(一)の合計は 598・898・1,199 と積み上がります。時の経過の分が、毎年少しずつ大きくなるためです。

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🧾 税務 4 ラボの図(5年目)
会計の費用(除去費用の分)税務の損金(除去費用の分)29901年目加算 29929902年目加算 29930003年目加算 30030104年目加算 3013611,5605年目減算 1,199

除去費用に関係する分だけを比べています(設備本体の償却費は会計と税務で同じなので除外)。会計は毎年少しずつ、税務は除去の年にまとめて。この記事の図は固定表示です。年度の切替・条件変更は、リンク先のラボで操作してください。

5年目(除去の年):実際の支出 1,560 が税務の損金。会計は債務 1,500 を取り崩し、差額 60 だけを費用にしたので、債務の残高 1,500 を減算(認容)します。別表五(一)の残高はゼロに戻ります。
📒 会計の費用(5年目)
  • 減価償却費(設備本体)1,200
  • 減価償却費(除去費用分)272
  • 利息費用(時の経過)29
  • 履行差額60
計 1,561
🧾 税務の損金(5年目)
  • 減価償却費(設備本体・償却限度額)1,200
  • 除去費用(実際の支出)1,560
計 2,760
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)── 5年目簡略版
区分項目総額①留保②社外流出③
加算減価償却超過額(除去費用分)272272
加算資産除去債務(時の経過による調整額)2929
減算資産除去債務の認容(除去の実施)1,5001,500
所得への影響(加算 − 減算)▲1,199
別表五(一)(利益積立金額の計算に関する明細書)── 5年目簡略版
区分(項目)期首現在①当期の減②当期の増③差引翌期首現在④①−②+③
資産除去債務1,4711,500290
設備(除去費用の資産計上額)▲272▲27200
合計(この論点の分)1,1991,228290

✔ 5年間の加算の合計 1,500 = 減算 1,500。会計の費用の総額と税務の損金の総額は一致します。

税務 4(5年目)

除去の年 ── 実際の支出 1,560 が損金になる

📍 ラボの場所:税務調整タブ ④ 年度ボタン「5年目」
ハルカ
5年目は棒が逆転しています。会計の費用 361 に対して、税務の損金が 1,560 です。
先生
除去の工事が行われて、債務が確定した年だからね。税務は実際の支出 1,560 をまとめて損金にするんだ。会計は債務 1,500 を取り崩して、差額の 60 だけを履行差額として費用にしているよ。
迷いポイント 除去の年は、履行差額 60 だけを損金にすればいい?
ハルカ
会計の費用は履行差額 60 なので、税務も 60 だけ損金にすれば、帳尻が合いそうです。
先生
税務の損金は実際の支出 1,560 なんだ。会計で債務の取り崩しに使った 1,500 は費用になっていないので、債務の残高 1,500 を減算(認容)するよ。その年の加算 272 と 29 と合わせて、所得への影響は ▲1,199 なんだ。
ハルカ
4年間ためてきた 1,199 が、最後の年にまとめて戻ってくるんですね。
先生
そう。別表五(一)の残高も、5年目の期末でゼロに戻るんだ。
💡 そうだったのか!
除去の年は、実際の支出が損金。会計で取り崩した債務の残高 1,500 を減算(認容)して、5年間の加算 1,500 と減算 1,500 が一致します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、除去の年の実際の支出額を 1,800 にする
  2. 年度ボタンで 5年目 を選ぶ

👀 税務の損金は 1,800 になりますが、別表四の減算(資産除去債務の認容)は 1,500 のままです。増えた 300 は会計でも履行差額として費用になるので、調整は要りません。

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🧾 税務 5 ラボの図(1年目末)

1年目末の別表五(一)の残高から

別表五(一)の項目期末残高一時差異の種類繰延税金の参考額×30%・回収可能性判定前
資産除去債務1,386将来減算一時差異繰延税金資産(参考) 416
設備(除去費用の資産計上額)▲1,087将来加算一時差異繰延税金負債(参考) 326
繰延税金資産は、回収可能性(将来の課税所得・スケジューリング)を判断してから計上します。上の金額は判定前の参考額です。

実効税率 30% は説明用の仮定です。表の金額は回収可能性判定前の参考額で、計上額そのものではありません。表示は同一納税主体で相殺します(税効果会計ラボ)。

税務 5

税効果へのつながり ── 別表五(一)の残高が一時差異になる

📍 ラボの場所:税務調整タブ ⑤(1年目末)
ハルカ
1年目末の別表五(一)の残高から、繰延税金資産 416 と繰延税金負債 326 が出ています。
先生
別表五(一)の残高は、そのまま一時差異の候補なんだ。資産除去債務の 1,386 は将来減算一時差異、設備(除去費用)の ▲1,087 は将来加算一時差異だよ。実効税率 30% は説明用の仮定なんだ。
ハルカ
応用編のE2で、「資産と負債が同じ額でも、一時差異は項目ごとに見る」と習いました。それが別表五(一)では2行になっているんですね。
先生
そのとおりだよ。応用編で考え方を見て、今日は申告書の行で確かめたことになるね。
迷いポイント 繰延税金資産 416 は、このまま計上してよい?
ハルカ
表に 416 と出ているので、この金額で仕訳を切ればいいですよね。
先生
表の金額は回収可能性を判定する前の参考額なんだ。資産除去債務は除去の年にまとめて減算されるので、その年に課税所得が足りるかをスケジューリングして判断するよ。表示は、同じ納税主体の繰延税金負債と相殺するんだ。
💡 そうだったのか!
別表五(一)の残高は一時差異の候補。資産除去債務は将来減算、除去費用の資産計上額は将来加算で、繰延税金資産は回収可能性を判断してから計上します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 税務調整タブ ④ で、年度ボタンを 4年目 にする
  2. ⑤ の表を見る

👀 4年目末は、資産除去債務 1,471 に繰延税金資産(参考)441、設備(除去費用)▲272 に繰延税金負債(参考)82 です。除去が近づくほど、将来加算の側が小さくなります。

ラボを開く ▶
📝 税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異・繰延税金資産・回収可能性)記事を読む ▶
🧾 税務 6 ラボの図
  • ✖ 計上時に、資産除去債務の金額を別表四で加算・減算する✔ 計上時は損益に出ないので別表四はなし。別表五(一)に両建てで書いて差引ゼロ
  • ✖ 時の経過による調整額は利息なので損金になる✔ 債務が確定していない見積りの増加なので損金不算入(加算・留保)
  • ✖ 除去費用分の償却も、償却限度額の範囲なら損金にできる✔ 税務の取得価額に入っていないので、その分はまるごと加算
  • ✖ 除去の年は、履行差額だけを損金にすればよい✔ 税務の損金は実際の支出額。会計で取り崩した債務の残高を減算して合わせる
  • ✖ 別表五(一)の残高を毎年確認しない✔ 期末残高=会計の資産除去債務と、除去費用の未償却残高。B/Sと照合する
税務 6

よくある誤り ── 申告書を作る前のチェック

📍 ラボの場所:税務調整タブ 6
ハルカ
誤りと正しい扱いが5組並んでいます。今日の話が、ほぼ全部入っていますね。
先生
申告書を作る前のチェックリストとして使えるよ。特に計上時の別表四と除去の年の減算は、実務家でも間違いやすいところなんだ。
迷いポイント 敷金の簡便法を使っていれば、税務調整は要らない?
ハルカ
賃借オフィスは敷金の簡便法で処理しています。負債を立てていないので、別表も関係ないですよね。
先生
簡便法で毎期償却している額も、原状回復の見積りだから、原則として加算・留保なんだ。原状回復の費用が確定した段階で減算するよ。返還されない敷金が税務上の繰延資産に当たるなら、税務の償却期間で考えるんだ。
ハルカ
帳簿で楽をした分、別表で少し働くことになるんですね。
先生
帳簿が楽になった分、台帳を丁寧に作っておくと安心だよ。
💡 そうだったのか!
チェックの要は2つ。計上時は別表四なし、除去の年は債務の残高を減算。敷金の簡便法でも、償却額は原則として加算・留保です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて資産除去債務ラボの画面そのものです。税務調整タブを開けば、同じ図を見ながら、数字を変えて別表の動きを確かめられます。

資産除去債務ラボを開く ▶
📝 続けて読む:減損会計ラボ【税務調整編】(償却超過額・土地の否認)記事を読む ▶
📝 資産除去債務ラボ【基礎編】(両建処理・時の経過)記事を読む ▶
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
時の経過の費用は「利息」だから損金?債務が確定していない見積りの増加。損金不算入(加算・留保)税務1
計上した日に資産除去債務を別表四で加算?損益に出ないので別表四なし。別表五(一)に両建てで差引ゼロ税務2
別表五(一)の期末残高は何と一致?会計の資産除去債務と、除去費用の未償却残高。B/Sと照合する税務3
除去費用分の償却も償却限度額の範囲なら損金?税務の取得価額の外なので、まるごと加算税務4
除去の年は履行差額だけ損金にすればいい?損金は実際の支出。債務の残高 1,500 を減算(認容)する税務4
繰延税金資産 416 はこのまま計上してよい?回収可能性判定前の参考額。スケジューリングで判断し、相殺して表示税務5
敷金の簡便法なら税務調整は要らない?償却額は原則として加算・留保。費用が確定した段階で減算税務6
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。税務は債務が確定した年に損金。計上と見積りの変更は別表五(一)だけ、償却と時の経過は毎年加算、除去の年に債務の残高を減算する。別表五(一)の残高は、一時差異の候補になるんだ。
ハルカ
前は、税務調整は会計が終わったあとの「おまけ」だと思っていました。今日は、会計の5段の流れを一つずつ写していくと、別表の行が自然に決まるのが分かりました。
先生
そこまで分かれば、別表の行を自分で組み立てられるよ。会計を理解していることが、そのまま税務の力になるんだ。
ハルカ
では来年の申告書は、私が全部…いえ、まずは別表五(一)の2行からお任せください。
先生
その2行が合っていれば、残りもきっとついてくるよ。次の減損会計ラボの税務調整編では、評価損にならない減損損失を、償却超過額として追っていこうか。

参考資料

法人税法第22条第3項(債務確定)・第31条(減価償却資産の償却費)・第33条(資産の評価損)・第53条(リース取引以外の賃借料。令和7年度改正)・第64条の2(リース取引)、法人税法施行令、法人税基本通達、法人税申告書 別表四・別表五(一)・別表十六の記載要領(国税庁)。基準確認日:2026年10月13日。別表の表示はラボと同じ「簡略版」で、項目名や行のまとめ方は会社ごとに異なります。実際の申告は、最新の法令・通達と顧問税理士の確認のうえで行ってください。 会計:企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」・企業会計基準適用指針第21号。

シリーズ:基礎編/応用編/設例・取得から除去と算定編(設例1〜3)/設例・見積りの変更と使用の都度編(設例4・5)/設例・賃借建物とリース編(設例6・使用権資産)/設例・注記と経過措置編(設例7-1・7-2・8)/税務調整編(この記事) / ほかのラボの税務調整編:リース会計ラボ【税務調整編】/減損会計ラボ【税務調整編】 / 関連:税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異・繰延税金資産・回収可能性)/収益認識ラボ⑤【基礎編】(差の行き先:別表四・五(一))

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。