リース会計ラボ【税務調整編】|先生と一緒に図で学ぶ賃貸借の損金・別表四と別表五(一)・税効果
無料の学習ツール「リース会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「🧾 税務調整」タブを上から順に、会計と法人税の違いと、別表四・別表五(一)の書き方を先生と生徒の会話形式で見ていきます。会計処理そのものは基礎編「応用編」「設例編」で扱っています。設例の会社と数値はすべて架空の例です。別表はラボと同じ簡略版で、解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の設例
設例の条件(単位:千円)
| 契約 | 事務所の普通借家(税務上は賃貸借) |
| 月額のリース料 | 200 |
| 借手のリース期間 | 5年 |
| 割引率 | 2% |
| 支払時期 | 月末払い |
| 開始日のリース負債=使用権資産 | 11,410 |
はじめに
今日の題材 ── 月額 200 の事務所を5年借りる
📍 ラボの場所:税務調整タブ ④「設例の条件」
ハルカ
先生、新しいリース基準で、事務所の賃借もB/Sに載ると分かりました。でも、申告書はどうなるんですか。
先生
今日はそこを、ラボの税務調整タブで見ていこうか。題材は月額 200 千円で5年借りる事務所だよ。2%で割り引くと、リース負債と使用権資産は 11,410 なんだ。
ハルカ
5年間の支払は 200 × 60 回で 12,000 ですね。会計では、それが償却費と利息に分かれます。
先生
そう。今日は同じ5年間を、法人税の目でもう一度見るんだ。税務調整タブの6つの節を、上から順に読んでいこうか。
🧾 税務 1 ラボの図
📒 会計企業会計基準第34号
差
🧾 税務(法人税)法人税法(令和7年度改正後)
借手は原則すべてのリースで使用権資産・リース負債を計上(単一モデル)
≠
「リース取引」(中途解約不能+フルペイアウト)だけ売買扱い。それ以外は賃貸借
賃貸借に当たる契約(不動産の普通借家など)も、償却費+利息で費用に
≠
支払うこととされている金額のうち債務が確定した分を損金(法人税法第53条)
利息が前半に多く、費用が前倒しになる
≠
毎年の債務が確定した賃借料どおり
所有権移転外のファイナンス・リース
≒
リース期間定額法で償却。リース期間は会計のリース期間を使う
リース期間全体の費用の合計
=
損金の合計は会計と同じ(時期がずれる)
税務 1
会計と税務の違い ── 税務は、リースを2つに分けたまま
📍 ラボの場所:税務調整タブ 1
ハルカ
会計は「単一モデル」、税務は「リース取引」と「賃貸借」の2つ。ここから違うんですね。
先生
法人税は、中途解約できないこととフルペイアウトの2つを満たす「リース取引」だけを売買として扱うんだ(法人税法第64条の2)。それ以外は賃貸借で、債務が確定した賃借料が損金になるよ(第53条)。
迷いポイント 会計でオンバランスにしたら、税務でも使用権資産の償却費が損金になる?
ハルカ
会計で使用権資産を計上して償却しているなら、その償却費がそのまま損金になると思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。賃貸借に当たる契約なら、税務の損金は債務が確定した賃借料なんだ。会計の償却費と利息は、別表四で加算して入れ替えるよ。
ハルカ
私の1Kのアパートも普通借家です。会計の目と税務の目で、同じ部屋を二重に管理するみたいですね。
先生
会社の事務所なら、まさにその二重の管理になるんだよ。だから台帳に「税務区分」の列を持たせるんだ。
💡 そうだったのか!
会計は単一モデルでも、税務は
リース取引と賃貸借を分けたまま。賃貸借なら、
債務が確定した賃借料が損金です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、割引率を 5 にする
👀 1年目の加算は 206、5年目の減算は 218 に広がります。割引率が高いほど利息が前半に寄り、会計と税務の差が大きくなります。
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🧾 税務 2 ラボの図
加算所得が増える減算所得が減る赤字=税務では損金にならない・計上しない緑字=税務の損金(小さい文字)=根拠
| 論点 | 📒 会計 | 🧾 税務(法人税) | 📝 調整と別表 |
|---|
| ① 区分の判定 | - 借手は単一モデル
- 短期・少額などの簡便法だけオフバランス
| 「リース取引」(中途解約不能+フルペイアウト)は売買、それ以外は賃貸借(法人税法第64条の2、第53条) | どちらに当たるかで②〜④の調整が変わる |
| ② 賃貸借:開始日 | 使用権資産・リース負債を計上 | 計上しない | 別表四なし 別表五(一)「リース負債」+、「使用権資産」△の両建て |
| ③ 賃貸借:毎期 | 減価償却費+支払利息 | 支払うこととされている金額のうち債務の確定した部分を損金(法人税法第53条) | 別表四償却費と利息を加算、支払賃借料を減算(留保) 別表五(一)2行の残高が減っていく |
| ④ リース取引(所有権移転外) | 使用権資産をリース期間で償却、利息法で利息 | - 売買
- リース期間定額法で償却(法人税法施行令第48条の2)
- リース期間は会計のリース期間(法人税基本通達7-6の2-10の2)、取得価額は原則リース料の合計額(同7-6の2-9)
- ただし利息相当額を合理的に区分できる場合は取得価額から除き、期間の経過に応じて損金にできる
| 会計の償却費・利息と税務の償却費・利息に差があれば調整(同7-6の2-16) |
| ⑤ 残価保証(所有権移転外) | 支払見込額をリース料に含める | 2027年4月1日以後に締結する契約から、取得価額から残価保証額を控除せず、1円まで償却 | 差が出れば償却超過・不足として調整 |
| ⑥ 短期・少額の簡便法 | リース料を費用処理 | - 税務上の賃貸借なら賃借料として損金
- 税務上のリース取引なら売買扱いで、賃借料として損金経理した額を償却費として扱う
| - 賃貸借なら通常は差なし
- リース取引なら償却限度額との差があれば調整
|
| ⑦ フリーレント | リース期間にわたり費用を配分 | - 課税上弊害がない場合は、賃貸借期間にわたり支払うべきものとして均等に損金(法人税基本通達12の5-3-2)
- 損金経理が要件
| - 税務上の配分額と会計の費用合計が一致する場合は差なし
- オンバランス・利息法では「償却費+利息」が毎年同額にならず、差が生じ得る
|
| ⑧ 原状回復(資産除去債務) | 除去費用を使用権資産に加算 | | 加算・留保(資産除去債務ラボの税務調整タブ) |
| ⑨ 消費税 | — | (課税取引を前提。土地・住宅の貸付けは原則非課税) - 賃貸借:原則として契約・慣習で定められた支払うべき日の属する課税期間の課税仕入れ
- リース取引:引渡し時に一括控除
- 所有権移転外を賃貸借処理(短期・少額の費用処理を含む)した場合は分割控除も可(消費税法基本通達11-3-2)
| 申告調整なし(課税仕入れの時期に注意) |
| ⑩ 事業税(付加価値割) | — | - 不動産の賃貸借の損金算入額は「純支払賃借料」
- 会計上の支払利息は純支払利子に入れない
| 集計の仕組みを用意する |
| ⑪ 適用初年度の既存契約 | 期首に使用権資産・リース負債を計上し、累積的影響額は期首の利益剰余金で調整(経過措置) | - 税務は賃貸借のまま
- 期首の利益剰余金の調整は所得に影響しない
| 期首から別表五(一)で使用権資産・リース負債(既存の前払・未払賃料の振替を含む)の差異を管理する(会計の利益剰余金と税務の利益積立金額の差として記載) |
リース期間定額法の残価保証額の見直しは2027年4月1日以後に締結される所有権移転外リース取引から適用されます(それ以前の契約は経過措置あり)。中小企業で、引き続き賃貸借処理をしている会社は、税務と会計の差は基本的に生じません。
税務 2
差異の一覧表 ── どの処理が、どの別表に出るか
📍 ラボの場所:税務調整タブ 2
ハルカ
①区分の判定から⑪適用初年度まで、ずいぶん行がありますね。税務の列には、赤字と緑字が混ざっています。
先生
赤字は「損金にならない」、緑字は「損金になる」の印だよ。最初の①で「リース取引か、賃貸借か」が決まると、②〜④のどの行を使うかが決まるんだ。今日の事務所は賃貸借なので、②開始日と③毎期の行を見ればいいよ。
迷いポイント 会計の「リース」に当たる契約は、すべて税務上のリース取引?
ハルカ
会計でリースと識別したなら、税務でもリース取引として売買扱いになるんですよね。
先生
税務は、中途解約不能とフルペイアウトの2要件で判定するんだ。不動産の普通借家は、途中で解約できることが多いので、多くは賃貸借になるよ。
ハルカ
会計の「リース」と税務の「リース取引」。名前が似ているのに、別人なんですね。
先生
似ているからこそ、判定の列を分けて持つんだよ。
💡 そうだったのか!
会計のリースと、税務の「リース取引」は
別の判定。普通借家の多くは税務上の賃貸借で、②③の行で調整します。
🧾 税務 3 ラボの図
税務 3
別表の書き方 ── 別表四で1年分を調整し、別表五(一)で残高を繰り越す
📍 ラボの場所:税務調整タブ 3
ハルカ
当期純利益から別表四、別表四の留保から別表五(一)、その残高から税効果へ。矢印が一本の道になっています。
先生
別表四は1年分の調整、別表五(一)は残高を繰り越す表なんだ。リースの調整は最終年に必ず戻るので、処分はすべて留保だよ。
ハルカ
これ、収益認識ラボ⑤で習った「差の行き先」と同じですか。会計と法人税の差は別表四へ、翌期以降に戻る留保は別表五(一)に残る、という話でした。
先生
よく覚えていたね。同じ道だよ。リースでは、開始日に別表五(一)へ直接書く行があるのが特徴なんだ。
迷いポイント 開始日に、リース負債 11,410 を別表四で調整する?
ハルカ
開始日に負債が 11,410 も増えたので、別表四で何か調整しないといけない気がします。
先生
開始日の仕訳は、使用権資産とリース負債の両建てで、損益には出ていないんだ。だから別表四はなし。別表五(一)に「リース負債 +」「使用権資産 △」を書いて、差引ゼロにするよ。
💡 そうだったのか!
開始日は
別表四なし。別表五(一)にリース負債と使用権資産を両建てし、毎年、償却と元本の返済の分だけ残高を減らします。
📝 収益認識ラボ⑤【基礎編】(差の行き先:別表四・五(一))記事を読む ▶
🧾 税務 4 ラボの図(1年目)
金額は千円(年度別の表示額には、累計額との整合を保つための端数調整を含みます。実際の申告では、契約に基づく債務確定額を円単位で集計してください。)。会計は利息が前半に多く費用が前倒しになり、税務は毎年の債務確定の賃借料。この記事の図は固定表示です。年度の切替・条件変更は、リンク先のラボで操作してください。
1年目:開始日に会計は使用権資産とリース負債を 11,410 ずつ計上。税務はどちらも認めないので、別表五(一)に+と△を書いて差引ゼロ(別表四には出ません)。期中は、会計の償却費+利息を加算し、債務が確定した賃借料を減算します。
📒 会計の費用(1年目)- 減価償却費(使用権資産)2,282
- 支払利息(リース負債)208
計 2,490
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)── 1年目簡略版
| 区分 | 項目 | 総額① | 留保② | 社外流出③ |
|---|
| 加算 | 使用権資産の減価償却費 | 2,282 | 2,282 | |
| 加算 | リース負債の支払利息 | 208 | 208 | |
| 減算 | 支払賃借料(リース料) | 2,400 | 2,400 | |
| 所得への影響(加算 − 減算) | +90 | | |
別表五(一)(利益積立金額の計算に関する明細書)── 1年目簡略版
| 区分(項目) | 期首現在① | 当期の減② | 当期の増③ | 差引翌期首現在④①−②+③ |
|---|
| リース負債 | 0 | 2,192 | 11,410 | 9,218 |
| 使用権資産 | 0 | ▲2,282 | ▲11,410 | ▲9,128 |
| 合計(この論点の分) | 0 | ▲90 | 0 | 90 |
税務 4(1年目)
設例で書いてみる ── 事務所の普通借家(税務上の賃貸借)
📍 ラボの場所:税務調整タブ ④ 年度ボタン「1年目」
ハルカ
1年目は、会計の費用 2,490 に対して税務の損金 2,400。差の 90 が加算です。
先生
会計は償却費 2,282 と利息 208。税務は債務が確定した賃借料 2,400 だよ。別表四では、償却費と利息を加算して、賃借料を減算するんだ。
ハルカ
基礎編で「利息は利息法、償却は定額法」と習いました。利息は負債が大きい最初の年ほど多いので、費用が前倒しになるんですね。
先生
そのとおりだよ。その前倒しの分が、前半の加算になって表に出てくるんだ。
迷いポイント 1年目の別表四は、差額の 90 を1行で書けばいい?
ハルカ
所得への影響は +90 だけなので、「リースの調整 90」と1行で済ませたくなります。
先生
純額の1行でも所得は同じだよ。ただ、償却費・利息・賃借料の3行で書くと、会計の数字や台帳と照合しやすいんだ。どちらにするか、会社として決めておくといいよ。
ハルカ
開始日に 11,410 も負債が増えたのに、所得は1円も動かないなんて。少し肩すかしです。
先生
動くのは別表五(一)の方だよ。1年目末は、リース負債 9,218 と使用権資産 ▲9,128 が残るんだ。
💡 そうだったのか!
1年目は、償却費 2,282 と利息 208 を加算、賃借料 2,400 を減算して
所得は +90。別表五(一)には差引 90 が残ります。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 税務調整タブ ④ の「設例の条件」で、借手のリース期間を 10 にする
👀 1年目の加算は 191 になり、1〜5年目が加算、6〜10年目が減算です。期間が長いほど利息の前倒しが大きく、差が長く続きます。
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🧾 税務 4 ラボの図(5年目)
金額は千円(年度別の表示額には、累計額との整合を保つための端数調整を含みます。実際の申告では、契約に基づく債務確定額を円単位で集計してください。)。会計は利息が前半に多く費用が前倒しになり、税務は毎年の債務確定の賃借料。この記事の図は固定表示です。年度の切替・条件変更は、リンク先のラボで操作してください。
5年目(最終年):会計の費用 2,308 と債務確定の賃借料 2,400 の差は 減算 92。別表五(一)の残高はゼロに戻ります。
📒 会計の費用(5年目)- 減価償却費(使用権資産)2,282
- 支払利息(リース負債)26
計 2,308
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)── 5年目簡略版
| 区分 | 項目 | 総額① | 留保② | 社外流出③ |
|---|
| 加算 | 使用権資産の減価償却費 | 2,282 | 2,282 | |
| 加算 | リース負債の支払利息 | 26 | 26 | |
| 減算 | 支払賃借料(リース料) | 2,400 | 2,400 | |
| 所得への影響(加算 − 減算) | ▲92 | | |
別表五(一)(利益積立金額の計算に関する明細書)── 5年目簡略版
| 区分(項目) | 期首現在① | 当期の減② | 当期の増③ | 差引翌期首現在④①−②+③ |
|---|
| リース負債 | 2,374 | 2,374 | 0 | 0 |
| 使用権資産 | ▲2,282 | ▲2,282 | 0 | 0 |
| 合計(この論点の分) | 92 | 92 | 0 | 0 |
✔ 5年間の会計の費用の合計 12,000 = 債務確定の賃借料の合計 12,000。差は時期のずれだけです(表示は千円未満を四捨五入。年度別の表示額には、累計額との整合を保つための端数調整を含みます。実際の申告では、契約に基づく債務確定額を円単位で集計してください。)。
税務 4(5年目)
最終年 ── 別表五(一)の残高がゼロに戻る
📍 ラボの場所:税務調整タブ ④ 年度ボタン「5年目」
ハルカ
4年目から棒が逆転して、4年目は減算 45、5年目は減算 92 です。
先生
利息が小さくなって、会計の費用が賃借料 2,400 を下回るからだね。5年目は償却費 2,282 と利息 26 で 2,308。差の 92 を減算すると、別表五(一)の残高はゼロに戻るんだ。
迷いポイント 前半に加算した分は、払いすぎのまま戻ってこない?
ハルカ
1〜3年目に 90・46・1 と加算して、所得を多めに出しました。その分は取られっぱなしですよね。
先生
後半の減算で戻るんだ。加算の合計 137 と、減算の合計 45+92=137 が一致するよ。5年間の会計の費用 12,000 と、税務の損金 12,000 も同じなんだ。
ハルカ
時期がずれるだけで、5年間の合計は同じなんですね。
先生
そう。表示の端数は、累計額に合わせて調整しているよ。実際の申告では、契約に基づく債務確定額を円単位で集計するんだ。
💡 そうだったのか!
差は
時期のずれだけ。前半の加算 137 は後半の減算 137 で戻り、最終年の期末に別表五(一)の残高はゼロになります。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 税務調整タブ ④ で、年度ボタンを 4年目 にする
👀 4年目は減算 45。別表五(一)は、リース負債 2,374、使用権資産 ▲2,282 で、差引 92 が残ります。5年目の減算 92 で、これがゼロになります。
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🧾 税務 5 ラボの図(1年目末)
1年目末の別表五(一)の残高から
| 別表五(一)の項目 | 期末残高 | 一時差異の種類 | 繰延税金の参考額×30%・回収可能性判定前 |
|---|
| リース負債 | 9,218 | 将来減算一時差異 | 繰延税金資産(参考) 2,765 |
| 使用権資産 | ▲9,128 | 将来加算一時差異 | 繰延税金負債(参考) 2,738 |
| 繰延税金資産は、回収可能性(将来の課税所得・スケジューリング)を判断してから計上します。上の金額は判定前の参考額です。 |
実効税率 30% は説明用の仮定です。表の金額は回収可能性判定前の参考額で、計上額そのものではありません。表示は同一納税主体で相殺します(税効果会計ラボ)。
税務 5
税効果へのつながり ── 別表五(一)の残高が一時差異になる
📍 ラボの場所:税務調整タブ ⑤(1年目末)
ハルカ
1年目末の残高から、繰延税金資産の参考額 2,765 と、繰延税金負債の参考額 2,738 が出ています。
先生
リース負債の 9,218 は将来減算一時差異、使用権資産の ▲9,128 は将来加算一時差異だよ。実効税率 30% は説明用の仮定なんだ。
ハルカ
税効果会計ラボで、「負債は会計>税務なら将来減算、資産は会計>税務なら将来加算」と習いました。税務ではどちらもゼロなので、その形ですね。
先生
よく覚えていたね。会計のB/Sにだけ載っている2行が、そのまま2つの一時差異になるんだ。
迷いポイント 2つはほぼ同額だから、一時差異は純額の 90 だけ見ればいい?
ハルカ
9,218 と 9,128 なら、差の 90 だけを一時差異として扱えば簡単ですよね。
先生
一時差異は項目ごとに見るんだ。繰延税金資産は回収可能性を判断してから計上して、同じ納税主体の繰延税金負債と相殺して表示するよ。表の金額は、回収可能性を判定する前の参考額なんだ。
💡 そうだったのか!
リース負債は将来減算、使用権資産は将来加算の一時差異。
項目ごとに扱い、繰延税金資産は回収可能性を判断してから計上します。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 税務調整タブ ④ で、年度ボタンを 4年目 にする
- ⑤ の表を見る
👀 4年目末は、リース負債 2,374 に繰延税金資産(参考)712、使用権資産 ▲2,282 に繰延税金負債(参考)685 です。最終年の期末には、表が空になります。
ラボを開く ▶📝 税効果会計ラボ【基礎編】(一時差異・繰延税金資産・回収可能性)記事を読む ▶
🧾 税務 6 ラボの図
- ✖ 会計でオンバランスにしたので、税務でも使用権資産の償却費が損金になる✔ 賃貸借に当たる契約は、支払うべきリース料(債務確定分)が損金。償却費と利息は加算する
- ✖ 会計の「リース」に当たる契約は、すべて税務上のリース取引✔ 税務は中途解約不能+フルペイアウトで判定。不動産の普通借家の多くは賃貸借
- ✖ 開始日に、リース負債の計上額を別表四で調整する✔ 開始日は損益に出ないので別表四はなし。別表五(一)に両建てで書く
- ✖ 別表五(一)の残高を確認しない✔ 期末残高は会計のリース負債・使用権資産の残高と一致する。台帳と照合する
- ✖ 消費税は、会計の支払利息・償却費に合わせて控除する✔ 通常の賃貸借は、原則として契約・慣習で定められた支払うべき日の属する課税期間で課税仕入れ。会計処理の形とは別に判定する
税務 6
よくある誤り ── 申告書を作る前のチェック
📍 ラボの場所:税務調整タブ 6
ハルカ
誤りと正しい扱いが5組並んでいます。最後に消費税の行もありますね。
先生
申告書を作る前のチェックリストとして使えるよ。特に区分の判定と開始日の別表四は、実務家でも間違いやすいところなんだ。
迷いポイント 消費税は、会計の支払利息・償却費に合わせて控除する?
ハルカ
会計の費用が償却費と利息に分かれたので、消費税も毎年その割合で控除するのかと思っていました。
先生
課税取引を前提にすると、通常の賃貸借は、原則として契約や慣習で定められた支払うべき日の属する課税期間の課税仕入れなんだ。実際の支払が遅れても、時期は支払うべき日で考えるよ。土地や住宅の貸付けは、原則として非課税なんだ。
ハルカ
会計の分け方に合わせて、消費税まで分割するつもりでした。
先生
消費税は、契約で決まった支払うべき日で見ればいいんだよ。
💡 そうだったのか!
チェックの要は、
税務区分の判定と
開始日の両建て。賃貸借の消費税は、会計処理の形ではなく、原則として契約・慣習で定められた
支払うべき日の属する課税期間で課税仕入れとします。
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべてリース会計ラボの画面そのものです。税務調整タブを開けば、同じ図を見ながら、数字を変えて別表の動きを確かめられます。
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この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。