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リース会計ラボ【設例・リース期間編】|先生と一緒に図で学ぶ設例8 普通借家・普通借地・合理的に確実

無料の学習ツール「リース会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、借手のリース期間の設例(設例8-1〜8-5)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 設例8-1 ラボの図
(延長オプションの行使の可能性)解約不能 3か月1年(契約期間)2年…更新可借手のリース期間 = 3か月+合理的に確実な期間
はじめに

設例8-1 普通借家 ── 1年契約でも延長オプションがある

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例8-1
ハルカ
事務所の賃貸借は「期間1年・3か月前通知で解約できる」契約です。リース期間は1年ですよね。
先生
左の図を見て。3か月前に通知すれば解約できるので、解約不能期間は3か月なんだ。一方で、普通借家契約では、貸手は正当事由がなければ更新を拒めない。だから借手は、借地借家法を根拠に1年を超える延長オプションを持っている、と整理するよ。
ハルカ
3か月と、延長オプション…。では、リース期間は何年になるんですか。
先生
設例8-1は、ここまでの整理が役目なんだ。3か月を出発点にして、延長が「合理的に確実」な期間を足していく。どこまで足すかは、設例8-2〜8-5で経済的インセンティブの5つの要因から決めていこうか。
設例・基礎タブの設例8-1を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
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📘 設例8-2 ラボの図
(延長オプションの行使の可能性)解約不能 1年合理的に確実1年5年10年シナリオ1:5年まで合理的に確実より高いシナリオ2:10年まで合理的に確実より低い借手のリース期間 = 5年
経済的インセンティブの要因(適用指針第17項)評価この設例での判断
① オプション期間の契約条件—市場レートで更新、その他の条件なし
② 大幅な賃借設備の改良○重要な附属設備を設置。延長しないと除却される → 延長のインセンティブ
③ 解約に関連するコスト△5年でリニューアルコストが発生。損益次第では延長しない可能性
④ 事業に照らした重要性△戦略的に重要な店舗ではなく、撤退もあり得る
⑤ 行使条件—なし

「○」は延長(または解約しない)方向のインセンティブあり、「△」は状況次第、「—」は特に考慮すべきものなし。

設例8-2

店舗 ── リニューアル前の5年と判断

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例8-2
ハルカ
店舗の1年契約で、途中解約はできず、1年後から毎年更新できます。店舗には使用可能期間10年の附属設備を入れました。
先生
経済的インセンティブの要因を見ると、附属設備を早く除却するのは不合理なので、延長の方向に働く。一方で、5年ごとにリニューアルのコストがかかり、戦略的に重要な店舗でもないので、損益しだいで撤退もあり得るんだ。
迷いポイント 附属設備の使用可能期間(10年)まで、リース期間に入れる?
ハルカ
設備が10年使えるなら、10年までは続けるつもりですよね。
先生
左の図のとおり、シナリオを2つ比べるんだ。5年(リニューアル前)までは延長が合理的に確実より高いけれど、10年までは、リニューアルコストを払ってまで続けるかが損益しだいなので低い。だから借手のリース期間は5年、解約不能1年+延長4年になるよ。
💡 そうだったのか!
「その期間までは延長が合理的に確実と言えるほど高いが、それを超えると低くなる」境目の期間を探します。設備の使用可能期間がそのまま答えになるとは限りません。
📝 設例8-2の個別解説記事記事を読む ▶
📘 設例8-3 ラボの図
(延長オプションの行使の可能性)解約不能 1年合理的に確実1年5年10年20年シナリオ1:5年まで合理的に確実より高いシナリオ2:10年まで合理的に確実より高いシナリオ3:20年まで合理的に確実より低い借手のリース期間 = 10年
経済的インセンティブの要因(適用指針第17項)評価この設例での判断
① オプション期間の契約条件—市場レートで更新
② 大幅な賃借設備の改良○他店より大規模な附属設備。除却の影響が大きい
③ 解約に関連するコスト△5年でリニューアルコスト。ただし戦略的位置づけから負担してでも継続する見込み
④ 事業に照らした重要性○戦略的に重要。損益だけで撤退しない
⑤ 行使条件—なし

「○」は延長(または解約しない)方向のインセンティブあり、「△」は状況次第、「—」は特に考慮すべきものなし。

設例8-3

戦略店舗 ── 同じ契約でも10年と判断

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例8-3
ハルカ
設例8-3は、契約条件が8-2とまったく同じです。答えも5年ですよね。
先生
契約は同じでも、借手の事情が違うんだ。この店舗は戦略的に重要で、他店より多額の附属設備を入れていて、損益だけでは撤退しない。左の図のとおり、10年まではリニューアルコストを払っても続ける見込みで合理的に確実より高く、設備の全面再設置が必要になる20年までは低い。だから10年になるよ。
ハルカ
同じ契約書なのに5年と10年…。契約書が、見た目はそっくりで性格だけ違う双子みたいです。
先生
性格を決めているのは、契約書ではなく借手の事情の方だよ。
迷いポイント 同じひな型の契約なら、リース期間も同じになる?
ハルカ
ひな型ごとに期間を決めておけば楽だと思っていました。
先生
ひな型は出発点としては使えるけれど、投資の規模や戦略上の位置づけで期間は変わるんだ。だから、物件ごとに判断の根拠を文書にしておく必要があるよ。
💡 そうだったのか!
同じ契約でも、投資規模と戦略的な重要性が違えばリース期間は5年から10年に変わります。判断の根拠を物件ごとに残します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 設例・基礎タブ → 設例8-2 → ステップ「シナリオごとに「合理的に確実」かを判断」を開く
  2. プルダウンで設例8-3 に切り替え、同じステップを開く

👀 8-2ではシナリオ2(10年)が ×、8-3では ○ になり、次のステップの借手のリース期間が 5年 → 10年 に変わります。

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📝 設例8-3の個別解説記事記事を読む ▶
📘 設例8-4 ラボの図
(解約オプションを行使しない可能性の可能性)解約不能 6か月合理的に確実6か月20年40年(契約期間)シナリオ1:20年まで解約しない合理的に確実より高いシナリオ2:20年を超えて継続合理的に確実より低い借手のリース期間 = 20年
経済的インセンティブの要因(適用指針第17項)評価この設例での判断
① オプション期間の契約条件—特に設定なし
② 大幅な賃借設備の改良○土地の上に店舗建物を建設。解約すると除却・解体費用
③ 解約に関連するコスト○建物の解体費用。転用しやすい立地なので転貸で使い切るインセンティブも
④ 事業に照らした重要性△戦略的に重要ではない
⑤ 行使条件—なし

「○」は延長(または解約しない)方向のインセンティブあり、「△」は状況次第、「—」は特に考慮すべきものなし。

設例8-4

普通借地 ── 建物を使い切る20年と判断

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例8-4
ハルカ
店舗を建てるための借地契約です。契約期間は40年で、6か月前に通知すれば解約できます。
先生
まず、解約不能期間は6か月だよ。残りは解約オプションの対象期間なので、今度は「解約しないことが合理的に確実」な期間を探すんだ。建物の物理的使用可能期間は20年で、解約すれば解体費用がかかる。収益が上がらなくても転貸して建物を使い切る予定なんだ。
迷いポイント 契約期間の40年、平均賃借期間の25年、事業計画の10年のどれを使う?
ハルカ
40年、25年、20年、10年…。数字のバーゲンセールみたいで、どれを選べばいいのか迷います。
先生
選ぶのは、建物を使い切る20年だよ。
ハルカ
どうして20年なんですか。
先生
左の図のとおり、20年までは解約すれば解体コストがかかり、転貸で使い切るつもりなので、解約しない可能性が合理的に確実より高い。20年を超えて続けるには建替えが必要で、その計画も決まっていないので低いんだ。だから借手のリース期間は20年になるよ。
💡 そうだったのか!
借地は契約期間が長く、解約条項があるのが普通です。契約期間ではなく「自社の建物を使い切る期間」が判断の軸になります。
📝 設例8-4の個別解説記事記事を読む ▶
📘 設例8-5 ラボの図
(延長オプションの行使の可能性)解約不能 5年5年10年5年を超えて更新合理的に確実より低い借手のリース期間 = 5年
経済的インセンティブの要因(適用指針第17項)評価この設例での判断
① オプション期間の契約条件—市場レートで更新
② 大幅な賃借設備の改良—重要な附属設備の設置なし
③ 解約に関連するコスト—特になし
④ 事業に照らした重要性△適した立地だが代替可能
⑤ 行使条件—なし

「○」は延長(または解約しない)方向のインセンティブあり、「△」は状況次第、「—」は特に考慮すべきものなし。

設例8-5

オフィス ── 考慮すべき要因がなければ解約不能期間のまま

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 設例8-5
ハルカ
オフィスの5年契約で、5年後は更新できます。過去に別のオフィスを10年借りたので、今回も10年ですよね。
先生
左の図を見て。重要な附属設備は置かず、立地は代わりを探せる。経済的インセンティブとして考慮すべき要因が特にないので、5年を超えて更新することは合理的に確実より低いんだ。だから借手のリース期間は5年、解約不能期間のままになるよ。
迷いポイント 過去に10年借りた実績があれば、それを期間の根拠にできる?
ハルカ
実績は、いちばん確かな根拠だと思っていました。
先生
見積りは、将来の経済的インセンティブに焦点を当てて行うんだ。過去の実績は参考にとどまるよ。設備投資がなく代わりのある一般的なオフィスなら、判断に手間をかけすぎないことも実務では大事なんだ。
ハルカ
過去の実績は根拠にならない…。前に通っていたジムが10年続いたからといって、新しいジムも10年続くとは限らない、というのと同じですね。
先生
入会金を払う前にその自己分析ができれば、立派なものだよ。
💡 そうだったのか!
考慮すべき経済的インセンティブがなければ、延長オプションは期間に含めません。過去の賃借実績は、将来の見積りの根拠になりません。
📝 設例8-5の個別解説記事記事を読む ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてリース会計ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例8-11年契約ならリース期間は1年?解約不能期間は解約通知期間(3か月)。普通借家は借地借家法により延長オプションを持つと整理
設例8-2設備の使用可能期間まで入れる?延長が合理的に確実な境目で決める。リニューアル前の5年
設例8-3同じ契約なら同じ期間?戦略的な重要性と投資規模で変わる。10年
設例8-4借地は契約期間40年?建物を使い切る20年。平均賃借期間や事業計画の年数ではない
設例8-5過去の実績(10年)を使う?使わない。考慮すべき要因がなければ解約不能期間の5年
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。リース期間は解約不能期間に、合理的に確実な延長期間を足して決める。同じ契約でも、投資の規模や戦略上の重要性で5年にも10年にもなり、過去の実績は根拠にならないんだ。
ハルカ
私のアパートで考えました。2年更新の普通借家で、解約不能は1か月。モンステラの棚は大幅な改良とは言えないので…合理的に確実なのは、次の更新まで、くらいでしょうか。
先生
きちんと要因を評価できているね。ほかに、引っ越しを考える事情はあるのかな。
ハルカ
実家の猫のこむぎが「帰っておいで」と呼んでいる気はするんですけど、猫は契約条件に入っていないので、考慮しないことにします。
先生
経済的インセンティブではなく、心のインセンティブだね。次の基本の計算編では、決めた期間をいよいよ割り引いていこうか。

参考資料

企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」/企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(同・設例)(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、適用指針の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・識別編(設例1〜7)/設例・基本の計算編(設例9・10)/設例・特殊なリース料編(設例11〜14)/設例・契約変更・見直し編(設例15〜17)/設例・サブリース・経過措置編(設例18〜20)
サイト内の関連:新リース基準(第34号)まとめ/リース管理台帳・仕訳ジェネレーターβ

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。