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リース会計ラボ【設例・特殊なリース料編】|先生と一緒に図で学ぶ設例11〜14 残価保証・販売型・変動リース料・建設協力金

無料の学習ツール「リース会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、リース料の中身と貸手の販売型の設例(設例11〜14)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📕 設例11 ラボの図
借手のリース料の総額 54,500リース負債(現在価値) 48,143利息 6,357割引率 年7%(半年ごとに 3.5%)で割り引く割引率は ①貸手の計算利子率を知り得ればそれ、②知り得なければ借手の追加借入利子率
はじめに

設例11 残価保証 ── 借手は「支払見込額」を入れる

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例11
ハルカ
車両のリースで、終わったときの処分価額を 4,000 まで保証する約束があります。リース料に 4,000 を足すんですよね。
先生
借手が入れるのは、保証額ではなく支払うと見込む額なんだ。この設例では 2,500 と見積もっているので、借手のリース料は 6,500×8回+2,500=54,500 になる。半年ごとの前払いなので、年7%の半分の 3.5% で割り引いて、左の図のとおりリース負債は 48,143 だよ。
迷いポイント 残価保証は、保証額(4,000)を全額リース料に入れる?
ハルカ
保証は最大 4,000 なので、全額を入れておく方が慎重な気がします。
先生
借手は実際に払うと見込む額を入れるんだ。保証額を全額入れるのは貸手の方だよ。今日は設例11の借手と貸手を見てから、販売型の設例12、変動リース料の設例13、建設協力金の設例14へ進もうか。
💡 そうだったのか!
残価保証は、借手は支払見込額、貸手は保証額の全額をリース料に含めます。同じ契約でも、借手と貸手で入れる額が違います。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションタブ →「🏁 開始日の計上」→ プリセット「設例11型:残価保証(半年・前払い)」
  2. 「残価保証の支払見込額」を 2500 → 4000 に変える

👀 リース負債(開始日)が 48,143 → 49,282 に増えます。見込額が変わると負債が変わる、というしくみが確かめられます。

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設例・応用タブの設例11を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例11 ラボの画面
最終時点:負債残高 2,415 + 最終期間の利息 85 = 支払見込額 2,500 実際の精算額 = 保証額 4,000 - 処分価額 1,500 = 2,500
🧾 終了時
X5年3月31日(決算日):最終期間の利息
借方金額貸方金額
支払利息85未払利息85
原資産の返却
借方金額貸方金額
減価償却累計額48,143使用権資産48,143
残価保証の支払額が確定:見込額どおりなら差額なし
借方金額貸方金額
リース負債2,415未払金2,500
未払利息85

見込額と実際の精算額が違えば差額が損益になります。見込額が変わる見通しになった時点(期中)では、負債を見直して使用権資産で調整します(適用指針第47項(2))。

設例11 ①

借手の終了時 ── 見込みどおりなら差額は出ない

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例11 ステップ4
ハルカ
4年たって車両を返しました。処分価額は 1,500 だったそうです。
先生
保証額 4,000 に届かない 2,500 を借手が払うことになる。最後の時点で、負債の残高 2,415 と最終期間の利息 85 の合計は 2,500 で、見込額と同じだよ。左の仕訳のとおり、リース負債 2,415 と未払利息 85 を未払金 2,500 に振り替えるので、損益は出ないんだ。
迷いポイント 見込額と実際の精算額が違ったら、どう処理する?
ハルカ
見込みがはずれたら、あとから全部直すんですか。
先生
期中に見込額が変わる見通しになった時点で、負債を見直して使用権資産で調整するんだ。最後に確定した精算額が見込額と違えば、その差額だけが損益になるよ。
💡 そうだったのか!
残価保証は、見込額が変わった時点で負債を見直し、使用権資産で調整します。終了時の差額だけが損益に出ます。
📕 設例11 ラボの図
現在価値基準:貸手のリース料の現在価値 ÷ 現金購入価額(計算利子率 0.949%)基準 90%100% ○経済的耐用年数基準:貸手のリース期間 ÷ 経済的耐用年数基準 75%66.7% ×判定:所有権移転外ファイナンス・リース(リース投資資産)
🧾 貸手
開始日
借方金額貸方金額
リース投資資産55,000買掛金55,000
開始日:第1回回収(前払い・全額元本)
借方金額貸方金額
現金預金6,500リース投資資産6,500
終了時:残価保証額で原資産を貯蔵品へ
借方金額貸方金額
貯蔵品4,000リース投資資産3,981
受取利息19
処分:処分価額と保証額の差が売却損
借方金額貸方金額
貯蔵品売却損2,500貯蔵品4,000
売掛金(処分先)1,500
残価保証の履行請求:売却損が埋まる
借方金額貸方金額
売掛金(借手)2,500貯蔵品売却損2,500
設例11 ②

貸手 ── 保証額の全額をリース料に入れて分類

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例11 ステップ5
ハルカ
貸手の側は、保証額 4,000 を全額入れるんですよね。
先生
そうだよ。貸手のリース料は 52,000+4,000=56,000 で、これで計算利子率を解くと現在価値基準は 100%、所有権移転外ファイナンス・リースになる。リース投資資産は現金購入価額の 55,000 で計上するんだ。
迷いポイント 処分価額が保証額より低かったら、貸手は損をする?
ハルカ
4,000 のつもりが 1,500 でしか売れなかったら、貸手は 2,500 の損ですよね。
先生
左の仕訳を見て。いったん貯蔵品売却損 2,500 が出るけれど、借手に残価保証の履行を請求して、同じ 2,500 の売掛金を計上するので、売却損は埋まるんだ。保証があるから、貸手は処分のリスクを負わずに済むんだよ。
💡 そうだったのか!
貸手は保証額 4,000 で原資産を受け取り、処分で出た損失を残価保証の請求で埋めます。
📕 設例12 ラボの図
リース投資資産の内訳(開始日)リース投資資産(B/S) 60,000受取利息相当額 20,000= リース料債権部分 75,000 + 見積残存価額部分 5,000 - 受取利息相当額 20,000(注記:適用指針第104項(1))
🧾 原則的な取扱い(第71項(1))
開始日:リース料から利息を控除した額で売上
借方金額貸方金額
リース投資資産56,892売上高56,892
開始日:原資産の帳簿価額を売上原価に
借方金額貸方金額
売上原価58,000棚卸資産58,000
開始日:見積残存価額の現在価値をリース投資資産に振替
借方金額貸方金額
リース投資資産3,108売上原価3,108
設例12

製造・販売業者のリース ── 開始日に売上高と売上原価

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例12
ハルカ
自社の製品をリースで提供するメーカーです。リース会社とは処理が違うんですか。
先生
製造・販売業者は、開始日に売上高と売上原価を計上するんだ。分類には、現金購入価額の代わりに借手に対する現金販売価額 60,000 を使う。計算利子率 9.979% で割り引くと、リース料の現在価値は 56,892 で 94.8%、ファイナンス・リースだよ。
迷いポイント 売上高は、現金販売価額の 60,000 で計上する?
ハルカ
売上が 60,000 じゃなくて 56,892…。なんだか値切られた気分です。
先生
値切られたわけではないんだ。60,000 のうち、見積残存価額 5,000 の現在価値 3,108 は売上に入れないだけだよ。
ハルカ
では、売上原価はどうなるんですか。
先生
原資産の帳簿価額 58,000 から、残存価額の現在価値 3,108 を引いた 54,892 が売上原価になる。だから販売益は 56,892-54,892=2,000 だよ。B/Sには、左の図のとおりリース投資資産 60,000 が載り、以後の回収で受取利息 20,000 を5年間に配分していくんだ。
💡 そうだったのか!
製造・販売業者は、リース料の現在価値で売上高、帳簿価額から残存価額の現在価値を引いた額で売上原価を計上します。販売益は開始日に出ます。
📕 設例12 ラボの図
リース投資資産の内訳(開始日)リース投資資産(B/S) 58,000受取利息相当額 22,000= リース料債権部分 75,000 + 見積残存価額部分 5,000 - 受取利息相当額 22,000(注記:適用指針第104項(1))
🧾 簡便法(第71項(1)①ただし書き)
開始日
借方金額貸方金額
リース投資資産55,068売上高55,068
開始日
借方金額貸方金額
売上原価58,000棚卸資産58,000
開始日:残存価額の現在価値
借方金額貸方金額
リース投資資産2,932売上原価2,932
第1回回収:利息が 548 大きくなる
借方金額貸方金額
現金預金15,000リース投資資産8,465
受取利息6,535
設例12 ①

販売益に重要性がないとき ── 利息に含めてしまう簡便法

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例12 ステップ5
ハルカ
販売益 2,000 が小さい場合は、もっと簡単にできますか。
先生
できるよ。帳簿価額 58,000 で計算利子率を解き直すと 11.267% になり、売上高と売上原価は同じ 55,068 で、開始日の販売益はゼロになる。販売益に当たる 2,000 は、利息に含めて各期に配分するんだ。
迷いポイント 簡便法を選ぶと、5年間の利益が変わる?
ハルカ
開始日に利益が出ないので、全体でも利益が減りそうです。
先生
5年間の利益の合計はどちらも 22,000 なんだ。原則は販売益 2,000+利息 20,000、簡便法は利息 22,000。変わるのは、利益が出る時期と、P/Lで売上総利益に出るか受取利息に出るかだけだよ。
💡 そうだったのか!
簡便法でも利益の総額は同じです。販売益を開始日に出すか、利息として期間に配分するかの違いです。
📕 設例13 ラボの図
固定リース料○ 含める指数・レート連動の変動リース料○ 開始日の指数で含める残価保証の支払見込額○ 見込額を含める購入オプション行使価額○ 合理的に確実なら含める解約違約金○ 解約を織り込むときのみ売上・使用量連動の変動リース料× 含めない(発生時に費用)リースを構成しない部分(保守料等)× 含めない(原則)
🧾 X1年4月1日
開始日:指数連動分は開始日の指数で負債に(適用指針第25項)
借方金額貸方金額
使用権資産400,000リース負債360,000
現金預金40,000
🧾 X2年3月31日
期末:売上連動分は発生時に費用(第51項)。負債・資産は動かさない
借方金額貸方金額
支払リース料6,000未払費用6,000
期末:使用権資産の償却(400,000÷10年)
借方金額貸方金額
減価償却費40,000減価償却累計額40,000
設例13

変動リース料 ── 指数連動は入れる、売上連動は入れない

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例13
ハルカ
家賃は毎年CPIで改定され、さらに売上の1%を払う契約です。どちらも負債に入れるんですか。
先生
左の表のとおり、扱いが分かれるんだ。指数連動分は開始日の指数で計算して負債に入れる。当初の年額 40,000 の残り9回分で、リース負債は 360,000。開始日に払う1回分 40,000 は使用権資産に含めるので、使用権資産は 400,000 だよ。
迷いポイント 売上連動の変動リース料も、見込額で負債に入れる?
ハルカ
売上の1%も毎年必ず払うので、見込額で入れておくんですよね。
先生
売上連動分は負債に入れず、発生したときに費用にするんだ。左下の仕訳のとおり、X1年度の売上 600,000 の1%で 6,000 を支払リース料と未払費用に計上する。B/Sの負債と使用権資産は動かさないよ。
ハルカ
売上が増えるほど家賃も増える…。大家さんが共同経営者みたいです。
先生
経営会議には来ないから、安心していいよ。
💡 そうだったのか!
指数連動は開始日の指数で負債に入れ、支払額が実際に変わったら見直します。売上連動は負債に入れず、発生時に費用です。
📕 設例14 ラボの図
建設協力金の支払額 30,000長期貸付金(現在価値) 23,306使用権資産 6,694差額は「安く借りる代わりに無利息で貸した」対価 → 使用権資産に含めてリース期間で償却(適用指針第29項)
🧾 X1年4月1日(建設協力金の支払日)
差額は「安い賃料の対価」として使用権資産へ(適用指針第29項)
借方金額貸方金額
長期貸付金23,306現金預金30,000
使用権資産6,694
設例14

建設協力金 ── 無利息で貸した分は使用権資産に

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例14
ハルカ
入居するビルの建設資金 30,000 を地主に渡しました。10年後までに返してもらえるので、貸付金 30,000 ですよね。
先生
返済は6年目からで、当初5年は無利息なんだ。返ってくるキャッシュ・フローを 4% で割り引くと、現在価値は 23,306。貸付金はこの額で計上して、差額の 6,694 は使用権資産に含めるよ。
迷いポイント 支払った 30,000 を、そのまま貸付金にする?
ハルカ
どうして差額が使用権資産になるんですか。
先生
無利息で貸す代わりに、家賃が安くなっていると考えるんだ。だから差額は「安く借りる権利」の対価で、リース期間で償却する。P/Lでは毎年、償却費 669 が出る一方で、貸付金に 4% の利息を計上して返済額まで増やしていくので、受取利息も出るよ。X2年3月期の受取利息は 932 なんだ。
ハルカ
無利息で貸す代わりに家賃が安くなる…。友だちにお金を貸して、利息の代わりにランチをおごってもらう感じですね。
先生
その「おごり」の分を、使用権資産として帳簿に載せるんだよ。
💡 そうだったのか!
建設協力金は現在価値で貸付金にし、差額を使用権資産に含めます。P/Lには償却費と受取利息の両方が出ます。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてリース会計ラボの画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

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今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例11残価保証は保証額を入れる?借手は支払見込額(2,500)、貸手は保証額の全額(4,000)
設例11見込みが違ったら?見込みが変わった時点で負債を見直し、使用権資産で調整。終了時の差額だけが損益
設例12販売型の売上高は現金販売価額?リース料の現在価値(56,892)。販売益は 2,000
設例12簡便法で利益が減る?5年間の合計は同じ 22,000。出る時期と区分が変わる
設例13売上連動分も負債に入れる?入れない。発生時に費用。指数連動は開始日の指数で入れる
設例14建設協力金は支払額で貸付金?現在価値(23,306)で貸付金、差額 6,694 は使用権資産
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。残価保証は借手が支払見込額、貸手が保証額の全額。販売型は開始日に売上と原価を立て、売上連動の変動リース料は負債に入れず発生時に費用にする。建設協力金は、現在価値との差額を使用権資産に含めるんだ。
ハルカ
売上連動の家賃…。もし私の家賃が「お給料の1%上乗せ」だったら、昇給のたびに大家さんがにこにこしそうです。
先生
その上乗せ分は発生したときの費用だから、負債は膨らまないよ。
ハルカ
負債は膨らまなくても、お財布はしぼみます…。
先生
そこは会計基準では救えないね。次の契約変更・見直し編では、契約の途中で条件が変わったときを見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」/企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(同・設例)(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、適用指針の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・識別編(設例1〜7)/設例・リース期間編(設例8)/設例・基本の計算編(設例9・10)/設例・契約変更・見直し編(設例15〜17)/設例・サブリース・経過措置編(設例18〜20)
サイト内の関連:新リース基準(第34号)まとめ/リース管理台帳・仕訳ジェネレーターβ

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。