無料の学習ツール「リース会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、サブリース・転リースと経過措置の設例(設例18〜20)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📕 設例18-1 ラボの図
はじめに
設例18-1 サブリースの分類 ── 使用権資産を基礎に判定
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例18-1
ハルカ
5年で借りた機械を、2年目の期首から第三者に4年間また貸しします。どこから考えればいいですか。
先生
自社は中間的な貸手で、借手と貸手の両方の顔を持つんだ。ヘッドリースは借手として、設例9-1と同じように使用権資産 75,753 とリース負債を計上している。サブリースは、貸手として分類するよ。
迷いポイント サブリースは、機械そのもの(原資産)の耐用年数で分類する?
ハルカ
機械の耐用年数は8年なので、4年÷8年で50%。オペレーティング・リースですよね。
先生
サブリースは、原資産ではなく使用権資産を基礎に分類するんだ。ヘッドリースの残りは4年で、サブリースも4年なので、左の図のとおり 100%。75%以上なのでファイナンス・リースになるよ(現在価値基準の結果が90%を大きく下回ることが明らかな場合は、75%基準は使わない。この設例は当たらない前提だね)。今日はこのあと、開始日と以後の処理、オペレーティング・リースになる設例18-2、転リースの設例19、経過措置の設例20へ進もうか。
💡 そうだったのか!
サブリースはヘッドリースの残存期間(使用権資産)と比べて分類します。原資産の耐用年数とは比べません。設例・応用タブの設例18-1を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例18-1 ラボの図
設例18-1 ①
サブリースの開始日と以後 ── 投資資産とリース負債が並ぶ
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例18-1 ステップ4〜5
ハルカ
ファイナンス・リースになると、開始日の仕訳はどうなるんですか。
先生
左の上の仕訳のとおり、使用権資産(取得原価 75,753、償却累計額 15,151、簿価 60,602)を消して、サブリースのリース料をヘッドリースの割引率7%で割り引いたリース投資資産 75,168 を計上する。差額 14,566 はサブリース利益として、純額で損益に出るんだ。
迷いポイント サブリースを始めたら、ヘッドリースのリース負債も消える?
ハルカ
また貸ししたので、元の借入れも一緒に片づいたような気がします。
先生
ヘッドリースの負債は残るんだ。以後は、サブリースから月 1,800 を回収してリース投資資産と受取利息に分け、ヘッドリースには月 1,500 を払ってリース負債と支払利息に分ける。B/Sにはリース投資資産とリース負債が両建てで並び、P/Lには受取利息と支払利息の両方が出るよ。
💡 そうだったのか!
サブリースがファイナンス・リースなら、使用権資産をリース投資資産に置き換え、差額を損益にします。ヘッドリースの負債はそのまま残ります。📕 設例18-2 ラボの図
設例18-2
サブリースがオペレーティング・リース ── 使用権資産はそのまま
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例18-2
ハルカ
同じ機械を、今度は1年だけまた貸しします。
先生
サブリース期間1年÷ヘッドリースの残存期間4年で 25%、経済的利益とコストのほとんどすべてが移るとも言えないので、オペレーティング・リースだよ。開始日の仕訳はなく、左の仕訳のとおり、回収する月 1,800 を受取リース料として収益にするんだ。
迷いポイント オペレーティング・リースなら、使用権資産の償却は止める?
ハルカ
人に貸しているあいだは、自分では使っていないので、償却は止めるんですよね。
先生
使用権資産はそのまま残るので、償却も続くんだ。3か月ごとに 3,788 を償却し、ヘッドリースの支払も続く。P/Lには受取リース料と、支払利息・減価償却費が並ぶよ。なお、ヘッドリースを短期リースや少額リースとしてB/Sに載せていない場合は、サブリースは必ずオペレーティング・リースになるんだ。
ハルカ
人に貸しているあいだも償却は続く…。旅行中でも、家賃だけはしっかり引き落とされる私の部屋と同じです。
先生
使っていなくても、使う権利を持っている限り減っていく、ということだね。
💡 そうだったのか!
サブリースがオペレーティング・リースなら、使用権資産を残したまま受取リース料を収益にします。償却とヘッドリースの支払は続きます。📕 設例19 ラボの図
設例19
転リース ── 受払の差額だけを損益に
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例19
ハルカ
A社から月 1,000 で借りた機械を、ほぼ同じ条件でC社に月 1,008 で貸します。差額の 8 が手数料です。
先生
ほぼ同一条件でまた貸しするのが転リースなんだ。ただし、この処理を使えるのは、原資産を基礎に貸手のリースを分類してファイナンス・リースに当たる場合だよ。この設例はそれに当たるので、リース投資資産とリース負債を、どちらも 50,502 で両建てする。毎月の仕訳は、C社からの回収とA社への支払で、元本と利息相当額がそのまま通り抜けていくんだよ。
迷いポイント 転リースでも、受取利息・支払利息や売上高を計上する?
ハルカ
毎月 1,008 を受け取って 1,000 を払って、残るのは 8…。財布の中を通り過ぎていくお金ばかりです。
先生
その「通り過ぎるだけ」という感覚が、この処理の考え方そのものなんだ。
ハルカ
では、P/Lには何が出るんですか。
先生
左の図のとおり、受取と支払の差額 8 だけが転リース差益として出るんだ。支払利息・売上高・売上原価は計上しない。利息相当額は自社の利益にならないので、預り金で処理するよ。
💡 そうだったのか!
転リース(原資産を基礎に分類してファイナンス・リースに当たる場合)はリース投資資産とリース負債を両建てし、P/Lには受払の差額だけを転リース差益として計上します。📕 設例20 ラボの図
設例20
経過措置 ── 旧オペレーティング・リースを期首に載せる
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 設例20
ハルカ
旧基準ではオペレーティング・リースで、毎年 12,000 を支払リース料にしていた契約です。新基準の適用初年度はどうなりますか。
先生
簡便法(期首の利益剰余金で調整する方法)を選ぶと、期首の残り4年分のリース料を、期首の追加借入利子率4%で割り引いて負債にするんだ。左の図のとおり、リース負債は 43,559 だよ。
ハルカ
旧基準の頃はB/Sに何も載っていなかったのに、期首にいきなり 43,559…。引っ越しの段ボールが一気に届いた気分です。
先生
中身を1件ずつ開けて、使用権資産をどう測るか選んでいこうか。
迷いポイント 使用権資産は、負債と同じ額にするしかない?
ハルカ
資産も 43,559 にしておけば、それで済みますよね。
先生
リース1件ごとに2つから選べるんだ。①開始日から新基準を適用していたとした簿価 42,738 か、②負債と同額の 43,559 か。①なら、左の図のとおり差額 821 だけ期首の利益剰余金が減る。②なら利益剰余金への影響はないけれど、以後の償却費は①より大きくなるよ。
💡 そうだったのか!
旧オペレーティング・リースは、期首の利子率で割り引いて負債にし、使用権資産は「開始日からの簿価」か「負債と同額」を1件ごとに選びます。⏱ 30秒だけラボで試す
- シミュレーションタブ →「🏁 開始日の計上」→ プリセット「設例20型:適用初年度の期首計上(残り4年)」
- 「割引率(年%・追加借入利子率など)」を 4 → 3 に変える
👀 「リース負債(開始日)」(ここでは適用初年度の期首)が 43,559 → 44,605 に増えます。
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今日のまとめ ── 設例ごとの結論
| 設例 | 迷いポイント | 答え |
|---|---|---|
| 設例18-1 | サブリースは原資産の耐用年数で分類? | ヘッドリースの残存期間(使用権資産)と比べる。4年÷4年=100%でFL |
| 設例18-1 | また貸ししたらヘッドリースの負債も消える? | 消えない。リース投資資産とリース負債が両建てになる |
| 設例18-2 | OLなら償却を止める? | 止めない。使用権資産は残り、受取リース料を収益に |
| 設例19 | 転リースで利息や売上を出す? | 出さない。受払の差額(8/月)だけを転リース差益に |
| 設例20 | 期首の使用権資産は負債と同額だけ? | 「開始日からの簿価」か「負債と同額」を1件ごとに選べる |
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。サブリースは使用権資産を基礎に分類し、ファイナンス・リースなら使用権資産をリース投資資産に置き換える。転リースは受払の差額だけを損益にし、適用初年度は期首の利子率で負債を測って、資産の測り方を1件ごとに選ぶんだ。
ハルカ
これで設例20まで全部終わりました。妹へのクローゼットのまた貸しも、私の残りの契約期間と同じ長さなので、ファイナンス・リースです。
先生
よく覚えていたね。プリンは毎月、リース投資資産の回収として受け取るのかな。
ハルカ
はい。ただ、受け取ったその日に食べてしまうので、B/Sに残る時間はほぼゼロです。
先生
回収したその日に消えるなら、帳簿はいつもすっきりだね。ここまで読んでくれたら、基礎編からもう一度読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。
参考資料
企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」/企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(同・設例)(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの設例の数値は、適用指針の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・識別編(設例1〜7)/設例・リース期間編(設例8)/設例・基本の計算編(設例9・10)/設例・特殊なリース料編(設例11〜14)/設例・契約変更・見直し編(設例15〜17)
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