MENU

連結税効果ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ評価減の回収可能性・一部売却の税金・未実現損失

連結税効果ラボ【応用編】

無料の学習ツール「連結税効果ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。左の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

※ 記事とラボの数値・税率(30%など)は、学習用に置いた仮定です。参照している企業会計基準適用指針第28号は、2026年7月の改正を反映した版です。この改正の原則適用は2028年4月1日以後に開始する年度からで、連結税効果の計算の考え方は変わりません。

📙 応用 早見表
連結修正繰延税金使う税率・金額回収可能性相手勘定
取得時・資本連結
子会社の資産の評価増
(負債の評価減)
負債子会社の税率―評価差額(繰延税金負債の分だけ純資産が減り、のれんが増える)。実現時の取崩しは法人税等調整額
子会社の資産の評価減
(負債の評価増)
資産子会社の税率判断する 個別と合算評価差額(繰延税金資産を認識すると純資産が増え、のれんは減る)。実現時の取崩しは法人税等調整額
のれん・負ののれん認識しない―――
個別で計上した子会社株式評価損の消去負債
個別の繰延税金資産と同額。損金算入済みなら計上しない
――法人税等調整額
内部取引の消去
未実現利益の消去資産売手が売却年度に納付した税額
課税所得が上限
判断しない法人税等調整額。税率が変わっても修正しない
未実現損失の消去負債売手が軽減された税額
損金算入前の課税所得が上限
―法人税等調整額
債権債務の消去に伴う貸倒引当金の修正負債
損金不算入:個別の繰延税金資産と同額・相殺
債権者の税率―法人税等調整額
子会社に対する投資(個別上の簿価 と 連結上の価額の差)
連結上の価額 < 個別上の簿価
将来減算一時差異
原則 計上しない
売却の意思決定など+回収可能性があれば資産
親会社の税率判断する法人税等調整額(一部はその他の包括利益・資本剰余金)
連結上の価額 > 個別上の簿価
将来加算一時差異(売却等で解消)
負債
自分で売却時期を決められ、売却の意思がない(または売却しても税務上 損益が繰り延べられる)なら計上しない
親会社の税率―法人税等調整額(一部はその他の包括利益・資本剰余金)
留保利益(配当で解消)負債
配当時に追加の税金が見込まれる場合。配当しない方針なら計上しない
配当にかかる追加税率
益金算入・外国源泉税
―法人税等調整額
親会社の持分変動による差額
追加取得・一部売却・増資
一時差異なら資産・負債。売却時は法人税等相当額親会社の税率―資本剰余金
はじめに

今日の地図 ── 連結手続別 税効果の処理早見表

📍 ラボの場所:応用タブ 冒頭の📋
ハルカ
先生、応用タブは論点が27もあって、どこから読めばいいのか迷います。
先生
左の早見表が地図だよ。行は「どの連結修正か」、列は「資産か負債か・使う税率・回収可能性を見るか・相手勘定」なんだ。今日は、このうち実務で迷いやすい論点を選んで見ていこうか。
ハルカ
「回収可能性」の列が、判断する・しない・「―」とバラバラですね。
先生
そこが覚えどころだよ。評価減と投資の将来減算は判断する、未実現利益は判断しない。負債の行は、そもそも回収の話がないから「―」なんだ。なお投資の将来加算の行は、売却時期を自分で決められて売る意思がないときのほか、売る意思があってもグループ内売却などで売却損益が税務上繰り延べられるときも、繰延税金負債を計上しないよ。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A-1 ラボの要点

ラボの要点(評価差額の実現)

  • 事例A:翌期に土地の一部(評価増 100 の部分)を売却。連結上の売却益は個別より 100 小さくなります。
  • 対応する繰延税金負債 30 を取り崩し、法人税等調整額(貸方)に計上します。
  • S社の連結上の利益は 250 − 100 + 30 = 180。非支配株主に帰属する利益もこの額で計算します(54)。
  • 償却資産なら、減価償却を通じて毎期少しずつ実現します。
🧾 仕訳で確認
評価増の実現:個別上の売却益(または償却不足)を連結上の簿価で修正
借方金額貸方金額
固定資産売却益など100諸資産(土地など)100
実現に応じて繰延税金負債を取り崩す
借方金額貸方金額
繰延税金負債30法人税等調整額30
非支配株主に帰属する当期純利益(連結上の利益 180 × 30%)
借方金額貸方金額
非支配株主に帰属する当期純利益54非支配株主持分54
のれんの償却
借方金額貸方金額
のれん償却額39.3のれん39.3
応用 A-1

評価差額の実現 ── 売却・償却したら、繰延税金負債を取り崩す

📍 ラボの場所:応用タブ A-1(事例A)
ハルカ
事例Aで計上した繰延税金負債90は、ずっと残るんですか。
先生
時価評価した資産を売ったり償却したりすると、評価差額が実現して、そのぶん一時差異が解消するんだ。左の要点のとおり、翌期に土地の一部(評価増100の部分)を売ったら、繰延税金負債30を取り崩すよ。
迷いポイント 取り崩すときも、相手は評価差額?
ハルカ
計上したときが評価差額だったので、取り崩しも評価差額ですよね。
先生
取崩しの相手は法人税等調整額なんだ。連結上の売却益が個別より100小さくなる損益の修正と、税金の修正を対にするためだよ。S社の連結上の利益は 250−100+30=180、非支配株主に帰属する利益も180の30%で54になるね。
💡 そうだったのか!
評価差額の税効果は、取得時は評価差額が相手。実現したときの取崩しは法人税等調整額が相手です。
📙 応用 A-2 ラボの図
子会社の純資産(時価評価後)簿価の純資産 1,900評価差額 152.5繰延税金負債 97.5評価差額(税効果前)250 のうち税金分は純資産にならない純資産 2,052.5 を持分で分ける親会社持分1,642(80%)非支配株主持分410.5取得原価 2,260 との差親会社持分 1,642のれん 618税効果なしなら のれん 540→ 税効果で +78
🧾 仕訳で確認
評価差額に係る繰延税金資産・繰延税金負債
借方金額貸方金額
繰延税金資産22.5繰延税金負債120
評価差額97.5
応用 A-2

評価減の繰延税金資産 ── 回収可能性は個別と合算して判断

📍 ラボの場所:応用タブ A-2(プリセットJ)
ハルカ
評価増なら繰延税金負債でしたけど、評価減のときはどうなるんですか。
先生
評価減は将来減算一時差異だから繰延税金資産だよ。左の図の例は、評価減150×30%=45のうち、回収できる50%の22.5だけを計上しているんだ。
迷いポイント 評価減の繰延税金資産は、全額計上してよい?
ハルカ
取得時の話なので、回収可能性まで考えなくていい気がします。
先生
評価減の繰延税金資産は、その子会社(納税主体)の個別の繰延税金資産と合算して回収可能性を判断するんだ。計上できなかった分は子会社の資本を小さくするから、のれんが大きくなるよ。この例ののれんは618で、税効果なしの540より大きいね。
ハルカ
評価減があると聞いて、「のれんが減ってラッキー」と一瞬思っていました。
先生
減るかどうかは回収できる割合しだいだよ。この例は評価増400もあるから、全体では繰延税金が負債側になって、のれんは増えているんだ。
💡 そうだったのか!
評価減の繰延税金資産は回収可能性の判断が必要。子会社の個別の繰延税金資産と合算して判断し、計上できない分はのれんを大きくします。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🏗 取得時の評価差額」で「評価増と評価減の両方(繰延税金資産の回収可能性50%)」を読み込む
  2. 「評価減の繰延税金資産の回収可能割合(%)」を 50 → 100 にする

👀 繰延税金資産が 22.5 → 45、のれんが 618 → 600 に減ります。0%にすると、のれんは 636 です。

ラボを開く ▶
📙 応用 B-2 ラボの要点

ラボの要点(将来減算一時差異)

  • 計上するのは、次の両方を満たすときだけです。
  • (1) 予測可能な将来に売却などの意思決定・実施計画がある、または個別で計上した評価損が予測可能な将来に損金算入される。
  • (2) その繰延税金資産に回収可能性がある。
  • グループ内への売却で、税務上、売却損益が繰り延べられる場合は(1)に当たりません。
応用 B-2

投資の将来減算一時差異 ── 原則として繰延税金資産は計上しない

📍 ラボの場所:応用タブ B-2
ハルカ
子会社が赤字続きで、連結上の価額が個別の簿価より小さくなったら、繰延税金資産ですよね。
先生
左の要点を見て。投資の将来減算一時差異は、原則として計上しないんだ。計上するのは、①予測可能な将来に売却などの意思決定や実施計画がある、②その繰延税金資産に回収可能性がある、の両方を満たすときだけだよ。
迷いポイント 売ると決めたら、それだけで繰延税金資産を計上できる?
ハルカ
売ると決めたなら、税金が減るのは確実ですよね。
先生
売れば税金が減る見込みでも、それを使える課税所得がなければ資産にはならないんだ。だから②の回収可能性も必要だよ。グループ内への売却で、税務上売却損益が繰り延べられる場合は①に当たらないんだ。
ハルカ
売る予定と、税金を減らせる体力の両方がそろって、はじめて資産なんですね。
💡 そうだったのか!
投資の将来減算一時差異は、売却などの意思決定と回収可能性の両方がそろったときだけ、繰延税金資産を計上します。
📙 応用 B-4 ラボの要点

ラボの要点(留保利益)

  • 国内子会社:受取配当金の一部または全部が益金に算入される場合に、その税額を計上します。全額が益金不算入なら計上しません。
  • 在外子会社:①配当の一部が益金に算入される、②外国源泉所得税が損金不算入で追加の税負担になる、のどちらか・両方を見込みます(→ B-9)。
  • 配当しない方針を採っている、または他の株主と配当しない合意がある場合など、追加の税金が見込まれない可能性が高いときは計上しません。
  • 例(在外子会社を想定し、外国源泉税は0と簡略化。配当の益金算入5% × 税率30% = 追加税率 1.5%):留保利益の親会社持分 320 × 1.5% = 繰延税金負債 4.8。国内の100%子会社からの配当は、通常は全額が益金不算入なので計上しません。
🧾 仕訳で確認
留保利益:配当で受け取るときの追加税金(第24項) 留保利益の親会社持分 80 × 1.5%
借方金額貸方金額
法人税等調整額1.2繰延税金負債1.2

第1年度:留保利益(80)に対する税効果。毎期、増えた分だけ追加計上します。

応用 B-4

留保利益 ── 配当で受け取るときの追加の税金

📍 ラボの場所:応用タブ B-4(プリセット「留保利益を配当で回収(在外子会社・益金算入5%)」)
ハルカ
売る予定がなくても、投資の差に税効果が出ることはあるんですか。
先生
あるよ。子会社の利益を配当で受け取るとき、親会社で追加の税金がかかる場合なんだ。左の要点の例は在外子会社を想定していて、受取配当の5%が益金に入る前提だよ(外国源泉税は0と簡略化)。だから留保利益の親会社持分320×1.5%(5%×30%)=4.8を繰延税金負債にしているんだ。
迷いポイント 配当の税効果は、どの子会社でも同じように計上する?
ハルカ
国内でも海外でも、配当なら同じ1.5%で計算すればいいですよね。
先生
国内の100%子会社からの通常の配当は、全額が益金不算入になるのが原則だから、追加の税金はなく計上しないんだ。一部が益金に入る場合や、在外子会社で外国源泉税がかかる場合は、その税額を計上するよ。配当しない方針なら、どちらでも計上しないんだ。
ハルカ
子会社からの配当って、実家から仕送りをもらうたびに手数料が引かれる感じですね。
先生
引かれる手数料の見込みを、先に負債にしておくイメージだね。留保利益が増えるたびに、増えた分だけ追加で計上するんだ。
💡 そうだったのか!
配当で回収する留保利益に追加の税金がかかるなら、その見込み額を繰延税金負債にします。配当しない方針なら計上しません。
📙 応用 B-6 ラボの図
子会社株式:個別上の簿価 と 連結上の価額(=子会社の資本の親会社持分+のれん未償却額)2,0002,000取得時差 +0税効果なし2,0002,050第1年度末差 +50税効果なし2,0002,100第2年度末差 +100税効果なし2,0002,150第3年度末差 +150税効果なし2,0002,200第4年度末差 +200税効果なし2,0002,250第5年度末差 +250繰延税金負債 15▼ 売却を意思決定個別上の簿価子会社の資本の親会社持分のれん未償却額差=投資に係る一時差異
🧾 仕訳で確認
売却した持分を非支配株主持分へ振り替え、個別上の売却益を修正
借方金額貸方金額
子会社株式400非支配株主持分450
子会社株式売却益50
売却持分と売却価額の差額(親会社の持分変動による差額)を資本剰余金へ
借方金額貸方金額
子会社株式売却益170資本剰余金170
差額に対応する法人税等相当額を資本剰余金から控除(第28項) 170 × 30%
借方金額貸方金額
資本剰余金51法人税等51
売却により一時差異が解消:意思決定時の税効果を取り崩す
借方金額貸方金額
繰延税金負債15法人税等調整額15
応用 B-6

一部売却(支配は継続)── 売却益は資本剰余金へ。税金も資本剰余金から

📍 ラボの場所:応用タブ B-6(事例E)
ハルカ
事例Eは、100%子会社の20%を620で売っても、まだ子会社のままの話ですね。
先生
そうだよ。支配が続く一部売却は資本取引なんだ。個別の売却益220は連結では消えて、売却持分450と売却価額620の差170を資本剰余金に計上するよ。
迷いポイント 個別で払った税金66は、そのまま連結P/Lの税金費用?
ハルカ
売却益が資本剰余金に行っても、税金はP/Lに残りますよね。
先生
差額170に対応する法人税等相当額51(170×30%)は、法人税等から資本剰余金に振り替えるんだ。残りの15は、前期末に売却を決めたときの繰延税金負債15の取崩しと見合うから、連結P/Lの税金費用は差し引きゼロになるよ。
ハルカ
せっかく620で売れたのに、連結の利益がゼロ…。少しがっかりです。
先生
がっかりしなくていいよ。170から51を引いた119は、ちゃんと資本剰余金に残るんだ。
💡 そうだったのか!
支配が続く一部売却では、売却の差額も、それに対応する法人税等相当額も資本剰余金。税金費用がゼロになるのは、売る割合と同じ割合で前期末に税効果を計上していたからです。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「📈 子会社への投資」で「事例E」を読み込む
  2. 「売却を決めた持分(%)」を 20 → 0 にする

👀 売却年度の連結の税金費用が 0 → 15、税引後の売却損益が 0 → ▲15 になります。前期末に計上していなかった分が、売却年度に出てくるからです。

ラボを開く ▶
📙 応用 C-1 ラボの図
売手S社(子会社・非支配0%)税金を納付済み(税率 30%)買手P社(親会社)期末に在庫として保有未実現利益 500消去した 500 の行き先税効果を引いた残りを、持分比率で分ける繰延税金資産96親会社株主404繰延税金資産 = 課税所得の上限 320 × 売手の税率 30% = 96回収可能性は判断しない。税率が変わっても修正しない(繰延法)。
応用 C-1

未実現利益は「繰延法」── 課税所得が上限

📍 ラボの場所:応用タブ C-1(プリセット「課税所得が上限になる未実現利益」)
ハルカ
未実現利益の税効果は、回収可能性を見ないんですよね。だったら、いくらでも計上できるんですか。
先生
その代わりに上限があるんだ。左の図の例は、未実現利益500に対して、売手の売却年度の課税所得が320。繰延べられるのは実際に払った税金だけだから、320×30%=96にとどまるよ。
迷いポイント 売手が赤字の年に、グループ内で利益を乗せて売ったら?
ハルカ
赤字でも利益を乗せて売ったなら、その分の税金はかかっていそうです。
先生
課税所得がゼロなら、その年に払った税金はないよね。だから繰延税金資産も計上しないんだ。「回収可能性を見ない」のは、すでに払った税金を繰り延べる考え方だからだよ。
ハルカ
払った分だけ前払い扱い。当たり前ですけど、きちんとしていますね。
💡 そうだったのか!
未実現利益の税効果は売手が払った税金の額。回収可能性は見ないかわりに、売手の売却年度の課税所得が上限です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔁 内部取引の消去」で「課税所得が上限になる未実現利益」を読み込む
  2. 「売手の売却年度の課税所得の上限」の 320 を消して空欄にする

👀 繰延税金資産が 96 → 150(500×30%)になります。0 を入れると、繰延税金資産は 0 です。

ラボを開く ▶
📙 応用 C-2 ラボの要点

ラボの要点(未実現損失)

  • 未実現損失を消去(買手の資産を売手の簿価に戻す)→ 将来加算一時差異 → 繰延税金負債。
  • 上限は、売手の売却年度の「その損失を損金に算入する前の課税所得」です。
  • 回収不能と認められる損失は、そもそも消去しません(連結会計基準 第36項ただし書き)。
  • 回収可能性のスケジューリングでは、未実現損失の繰延税金負債に係る将来加算一時差異は使いません。
応用 C-2

未実現損失 ── 売手が軽減された税金を繰延税金負債に

📍 ラボの場所:応用タブ C-2
ハルカ
グループ内で損をして売った場合は、どうなるんですか。
先生
向きが逆になるんだ。未実現損失を消去すると、買手の資産が売手の簿価に戻って連結の利益が増えるよね。売手はその損失で税金が軽くなっているから、繰延税金負債を計上するよ。
迷いポイント 未実現損失の上限も、未実現利益と同じ課税所得?
ハルカ
上限の考え方は、利益のときと同じですよね。
先生
上限は、売手の売却年度の「その損失を損金に算入する前の課税所得」なんだ。軽減された税金を繰り延べるのだから、損失を引く前の所得で見るんだよ。回収不能と認められる損失は、そもそも消去しないんだ。
ハルカ
グループ内で損を出して売るなんて、年末に安売りで在庫を妹に押しつける私みたいです。
先生
妹さんに押しつけた分は、連結で見れば「売っていない」ことになるね。事例Bの360を損失にすると、繰延税金負債108、非支配株主に帰属する利益は63増えるんだ。
💡 そうだったのか!
未実現損失は繰延税金負債。上限は損金算入前の課税所得で、消去すると連結の利益が増えます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔁 内部取引の消去」で「事例B」を読み込む
  2. 「期末に残る未実現利益(損失はマイナス)」を 360 → −360 にする

👀 税効果が 繰延税金資産108 → 繰延税金負債108(指標は ▲108)になり、非支配株主に帰属する利益の増加が 63、親会社株主に帰属する当期純利益への影響が +189 になります。

ラボを開く ▶
📙 応用 C-4 ラボの図
① 個別(債権者のP社)S社向け債権1,200貸倒引当金▲240繰延税金資産0(損金算入済み)② 連結修正債権・債務を消去▲1,200貸倒引当金を取消+240繰延税金負債72③ 連結B/SS社向け債権0貸倒引当金0繰延税金負債72当期純利益への影響+168損金算入済み = 将来、連結上は戻入れのない分だけ税金が増えるので、繰延税金負債を計上する(第33項)
🧾 仕訳で確認
連結固有の将来加算一時差異に係る繰延税金負債
借方金額貸方金額
法人税等調整額72繰延税金負債72
応用 C-4

貸倒引当金が損金算入済みのとき ── 債権者の税率で繰延税金負債

📍 ラボの場所:応用タブ C-4(プリセット「損金算入済みの貸倒引当金」)
ハルカ
基礎の事例Cは損金不算入でした。損金算入済みの引当金なら、どう違うんですか。
先生
左の図を見て。損金算入済みなら、個別では一時差異がないから繰延税金資産もないよね。連結で引当金240を取り消すと、相殺する相手がないまま繰延税金負債72(240×30%)が残るんだ。税率は債権者側のものを使うよ。
迷いポイント 損金算入済みなら、いつも繰延税金負債を計上する?
ハルカ
算入済みなら、機械的に負債を計上すればいいんですね。
先生
原則はそうだけれど、債務者の業績が悪化しているなど、将来その税金を納付する見込みが極めて低いときは計上しないんだ。グループ内の貸し借りでも、相手の状況を見るんだよ。
ハルカ
同じ引当金でも、損金算入済みかどうかで、相殺で消えるか負債が残るかが分かれるんですね。
💡 そうだったのか!
損金算入済みの引当金を連結で取り消すと、債権者の税率で繰延税金負債が残ります。納付の見込みが極めて低いときは計上しません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションの「🔁 内部取引の消去」で「損金算入済みの貸倒引当金」を読み込む
  2. 「債務者の状況」を「業績悪化(納付見込みが極めて低い)」にする

👀 連結で計上する繰延税金負債が 72 → 0、当期純利益への影響が 168 → 240 になります。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて連結税効果ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

連結税効果ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
評価差額の取崩しも相手は評価差額?実現時の取崩しは法人税等調整額(事例Aで30)応用A-1
評価減の繰延税金資産は全額計上?子会社の個別と合算して回収可能性を判断。計上できない分はのれんを大きくする応用A-2
売ると決めたら投資の繰延税金資産?意思決定と回収可能性の両方が必要応用B-2
配当をもらう予定の留保利益は?追加の税金が見込まれるなら繰延税金負債(国内100%子会社の通常の配当は全額益金不算入で計上なし)。配当しない方針なら計上しない応用B-4
一部売却の税金はP/Lに残る?差額に対応する法人税等相当額は資本剰余金から控除(事例Eで51)応用B-6
未実現利益の繰延税金資産に上限は?売手の売却年度の課税所得が上限(回収可能性は見ない)応用C-1
未実現損失のときは?繰延税金負債。上限は損金算入前の課税所得応用C-2
損金算入済みの引当金を取り消すと?債権者の税率で繰延税金負債が残る。納付見込みが極めて低ければ計上しない応用C-4
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。評価減と投資の将来減算は回収可能性を判断する、未実現利益は判断しないかわりに課税所得が上限。一部売却の税金は、差額といっしょに資本剰余金へ行くんだ。
ハルカ
妹にクローゼットの半分をプリンで貸している話、グループ内の取引だと思えば、連結では「なかったこと」になるんですね。
先生
考え方の練習としてはそうなるね。ただ、プリンは妹さんとの取引だから、消去するなら家族全員をひとつの連結グループと見たときの話だよ。
ハルカ
じゃあ、実家のこむぎも連結子会社ですね。非支配株主は……たぶん、こむぎ本人です。
先生
支配しているのがどちらかは、よく考えた方がよさそうだね。次の設例編では、事例A〜Cを1ステップずつ追っていこうか。

参考資料

企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」/企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」/企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの事例の数値は、適用指針第28号の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。
このシリーズの記事:基礎編/設例・取得時と内部取引編(事例A〜C)/設例・子会社への投資編(事例D〜F)/設例・在外子会社とグループ内の株式売買編(事例G〜I)
連結決算ラボの関連:資本連結ラボ/未実現利益消去ラボ/内部取引消去ラボ/連結決算ラボ(総合ナビ)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。