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移転価格税制ラボ【ローカルファイル作成編】|先生と一緒に学ぶ16項目の草案づくり

移転価格税制ラボ【ローカルファイル作成編】

無料の学習ツール「移転価格税制ラボ」の読み方ガイドです。移転価格税制ラボの「ローカルファイルを作る」モードを、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの画面です。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

🧰 フェーズ1 学ぶ
フェーズ1 学ぶ:文書化の3層の画面
はじめに

今日の題材 ── ローカルファイルを作る4フェーズ

📍 ラボの場所:「ローカルファイルを作る」モード > フェーズ1 学ぶ
ハルカ
基礎編で「ローカルファイルは先に作って保存しておくもの」と分かりました。でも、実際に何から手をつければいいのか分かりません。
先生
このページの「ローカルファイルを作る」モード(文書化ナビ)は、そのための道具なんだ。学ぶ → 棚卸・判定・設計 → 作る → 守るの4フェーズで、取引を入れると判定が出て、16項目のフォームから草案を出力できるよ。
ハルカ
入力した会社の数字は、どこかに送られるんですか。
先生
入力はブラウザの中(localStorage)に保存されるだけで、サーバーには送られないんだ。共用のパソコンなら、作業のあとに「初期化」で消しておこうね。今日は、サンプルの会社を使って順に見ていこうか。
移転価格税制ラボの「ローカルファイルを作る」モードを開きながら読むと分かりやすいです開く ▶
🧰 フェーズ2 棚卸
フェーズ2の国外関連取引の棚卸の画面(サンプル)
フェーズ2

2-3 国外関連取引の棚卸 ── 相手ごと・取引ごとに並べる

📍 ラボの場所:「ローカルファイルを作る」> フェーズ2 > 2-3
ハルカ
フェーズ2では、まず何を入れるんですか。
先生
会社情報と国外関連者を入れたら、2-3で取引の棚卸をするんだ。サンプルでは、タイの子会社に部品の輸出6,200とノウハウの使用許諾450、ドイツの子会社に製品の輸出2,100と貸付けが並んでいるよ。単位は百万円だね。
ハルカ
金額の欄が「前事業年度」と「当事業年度」の2つありますね。
先生
義務の判定は前事業年度の取引額で行うんだ。ローカルファイルに書くのは当事業年度の取引だから、記載用の金額も別に入れておくんだよ。
迷いポイント 貸付金は、元本の額を書く?
ハルカ
正直に言うと、ドイツへの貸付けは、貸した元本の額をそのまま書くところでした。
先生
金銭の貸借と債務保証は、元本ではなく利息・保証料の額が「対価」なんだ。サンプルの12は利息の額だよ。無形資産取引は、勘定科目の名前ではなく中身でチェックを入れるんだ。
💡 そうだったのか!
棚卸は相手ごと・取引ごとに、相殺前の総額で入れます。貸付けと保証は元本ではなく利息・保証料が対価です。
🧰 フェーズ2 判定
フェーズ2の判定の画面(タイはあり・ドイツは免除)
フェーズ2の算定方法の設計の画面
フェーズ2

2-4 判定と2-5 算定方法の設計

📍 ラボの場所:「ローカルファイルを作る」> フェーズ2 > 2-4・2-5
ハルカ
棚卸を入れると、すぐ判定が出るんですね。
先生
タイは合計6,650百万円で50億円以上、無形資産も450百万円で3億円以上だから義務あり。ドイツは2,112百万円で免除だよ。基礎編の事例Aと同じ物差しなんだ。
ハルカ
2-5の「算定方法の設計」は、算定方法編で使った参考事例集ナビと同じ質問ですか?
先生
そのとおり、同じエンジンなんだ。取引ごとにカードを開いて、効く質問に答えると候補と理由が出て、それがフェーズ3の「2号イ 算定方法・選定理由」の下書きになるよ。候補と違う方法を採るなら、上書きすればいいんだ。
迷いポイント 同じ相手との取引なら、算定方法は1つにまとめる?
ハルカ
タイとの取引は全部、1つの方法でまとめて検証すればいいですよね。
先生
取引ごとに考えるのが基本なんだ。まとめて検証するなら、その合理性を「2号ヘ 複数の取引を一の取引として算定する場合の合理性」に書くことになるよ。
💡 そうだったのか!
判定は国外関連者ごと、算定方法は取引ごと。2-5の候補と理由が、そのまま2号イの下書きになります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「ローカルファイルを作る」→ フェーズ2 を開き、「サンプルを読み込む」
  2. 2-3の取引3(ドイツへの製品の輸出)の前事業年度の金額を 2,100 → 4,988 に変える

👀 ドイツの合計が 5,000百万円 になり、2-4の判定が「免除」→「あり」に変わります。50億円ちょうどは義務ありです。

ラボを開く ▶
🧰 応用 B-2 ラボの図
ローカルファイルを「作れる」ようにする実務の順番(ガイドブックⅡ・Ⅲの流れ)① 取引の棚卸相手×種類×金額② 機能・リスク分析誰が何を担うか③ 方法と検証対象最も適切な方法④ 比較対象の選定DB・有報・基準⑤ 書類にまとめる16項目に当てはめ
国外関連者が作ったLF相当の書類を集約してよい(最新の情報に基づくもの。翻訳を求められ得る)
FAQ問77
監査済FSが間に合わなければ未監査FSで算定してよい(調査で重要な書類として監査済FSを求められ得る)
問82
当年度の比較対象の財務情報がなければ前年度の情報でよい(方法や比較対象を改めて選び直す場合を除く)
問83
ローカルファイルがあれば、調査で検討する前に比較対象の財務情報の更新は求めない
問84・事務運営指針2-4(3)
作る前に

例示集の順番と、許される簡便 ── どこまで書けばいいか

📍 ラボの場所:「しくみと文書化を学ぶ」> 応用タブ B-2
ハルカ
16項目を全部、完璧に書かないといけないと思うと、気が遠くなります。
先生
図のとおり、国税庁の例示集は項目ごとに「必要な情報の例」と「準備する書類」を示していて、その順番に沿って集めればいいんだ。既存の資料(契約書、組織図、セグメント損益など)を使い回せるものも多いよ。図の下の4つは、FAQで認められている簡便なんだ。たとえば国外関連者が作ったローカルファイル相当の書類を集約してもいい(問77)、当年度の比較対象の財務情報がなければ前年度の情報でもいい(問83)、という具合だよ。
迷いポイント 既存の資料をそのまま添付するのは、手抜き?
ハルカ
社内の資料を添付するだけでは、手抜きだと思われませんか。
先生
既存の資料を使うこと自体は問題ないんだ。大事なのは、16項目のどこに当たるのかが分かることと、数字が別表17(4)や決算の数字と合っていることだよ。
ハルカ
16項目と聞いて、卒業論文をもう1本書く覚悟をしていました。
先生
論文というより、集めた資料に「目次と説明」を付ける作業に近いんだ。その目次がフェーズ3のフォームなんだよ。
💡 そうだったのか!
例示集の順番で資料を集め、既存資料も使います。大事なのは16項目との対応と、ほかの数字との整合です。
🧰 フェーズ3 作る
フェーズ3の記載事項フォーム(16項目)
フェーズ3

3-2 記載事項フォーム ── 16項目と「自動生成の下書き」

📍 ラボの場所:「ローカルファイルを作る」> フェーズ3 > 3-2
ハルカ
フェーズ3のフォームには、最初から下書きが入っている項目がありますね。
先生
フェーズ2の入力から、1号イ(資産・役務の内容)や2号イ(算定方法・選定理由)などに自動生成の下書きが入るんだ。選んだ方法で使わない2号ハ・ニは「該当なし」になるよ。だから記入状況は「該当なしを除く14項目」なんだ。2号ホ(算定に予測を用いた場合の予測の内容)は、DCF法に限らずTNMMなどでも予測を使えば要るから、いつも表示して、使わないときは「用いていない」と書く形にしてあるよ。
迷いポイント 自動生成の下書きは、そのまま提出できる?
ハルカ
下書きが入っている項目は、もう完成ですよね。
先生
下書きはたたき台なんだ。機能・リスク分析(1号ロ)や比較対象の選定(2号ロ)、差異調整(2号ト)は、会社の実態と専門家の検討が要る項目だから、未記入のまま【要検討】として草案に残るよ。
💡 そうだったのか!
フェーズ2の入力から下書きが入りますが、たたき台です。機能・リスク分析や比較対象の選定は、実態に合わせて自分で書きます。
🧰 フェーズ3 草案
フェーズ3の草案プレビューの画面
フェーズ3

草案プレビュー ── Word互換形式で出力

📍 ラボの場所:「ローカルファイルを作る」> フェーズ3 > 草案プレビュー
ハルカ
右の草案プレビューには、項目ごとに文章が並んでいますね。
先生
16項目の順に草案が組み上がって、Word互換形式(.doc)で出力できるんだ。未記入は【要検討】、自動で作った文は【自動生成のたたき台・要修正】と明示されるよ。
ハルカ
【自動生成のたたき台・要修正】って、ツールが自分で謙遜しているみたいですね。
先生
謙遜ではなく、正直な表示なんだ。どこを自分で直すべきかが一目で分かるようにしているんだよ。
迷いポイント 草案を出力したら、ローカルファイルは完成?
ハルカ
Wordで出せたら、これでローカルファイルの完成ですね。
先生
出力はスタートなんだ。比較対象の選定、差異調整、算定方法の最終判断は専門家の検討が前提だよ。草案は、その検討を早く始めるための材料なんだ。
💡 そうだったのか!
草案はWord互換形式で出力でき、未記入と自動生成の箇所が明示されます。最終判断は専門家の検討が前提です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 「ローカルファイルを作る」→ フェーズ2で「サンプルを読み込む」
  2. フェーズ3を開き、草案プレビューの「Word互換形式で出力(.doc)」を押す

👀 草案が .doc ファイルとして保存されます。開くと、未記入の1号ロ・2号ロなどに【要検討】、自動生成の文に【自動生成のたたき台・要修正】が付いています。

ラボを開く ▶
🧰 フェーズ4 守る
フェーズ4の年次更新チェックの画面
フェーズ4の事前確認(APA)の目安の画面
フェーズ4

年次更新と事前確認 ── 毎年、申告期限までに

📍 ラボの場所:「ローカルファイルを作る」> フェーズ4
ハルカ
一度作ったら、来年はそのまま使えますか。
先生
ローカルファイルは事業年度ごとに作るんだ。4-1の年次更新チェックのとおり、前事業年度の取引額で義務を判定し直し、市場や組織など重要な前提条件が変わっていないかを確かめるよ。
迷いポイント 去年の文書の日付だけ変えれば十分?
ハルカ
数字が大きく変わらなければ、去年の文書の日付だけ変えればいいですよね。
先生
取引額・損益・比較対象の数字は毎年変わるから、そこは更新が要るんだ。「JSON書き出し」で今年の入力を保存して、来年読み込んでも、手入力した記載は前年のまま残るよ。事業年度・算定方法・取引額を変えると、手入力した欄に「要見直し」と【要検討】が付くけれど、市場や機能の変化までは自動では分からないんだ。金額・前提・方法を変えたら、16項目と出力草案を読み直そうね。
ハルカ
今年の自分から来年の自分へ、タイムカプセルを渡すみたいですね。
先生
中身が数字なのが、少し事務的なタイムカプセルだね。毎年の更正リスクを下げたいなら、4-2の事前確認(APA)も検討の候補になるよ。
💡 そうだったのか!
ローカルファイルは毎年作り直し、義務も毎年判定し直します。入力を引き継いでも手入力は前年のまま。金額・前提・方法を変えたら、16項目と草案を読み直します。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、移転価格税制ラボの「ローカルファイルを作る」モードの画面です。同じページで「ローカルファイルを作る」を開けば、実際に操作しながら読み返せます。

「ローカルファイルを作る」を開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
貸付金は元本の額を書く?利息・保証料の額が対価2-3
同じ相手なら算定方法は1つにまとめる?取引ごとが基本。まとめるなら2号ヘに合理性2-4・2-5
既存資料の添付は手抜き?使ってよい。16項目との対応と数字の整合が大事B-2
自動生成の下書きはそのまま提出できる?たたき台。機能・リスク分析などは自分で書く3-2
草案を出力したら完成?最終判断は専門家の検討が前提草案
去年の文書の日付だけ変えれば十分?毎年作り直し、義務も判定し直す4-1
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。ローカルファイルは、棚卸 → 判定 → 方法の設計 → 16項目 → 草案の順に作って、毎年判定し直す。下書きはたたき台で、機能・リスク分析と比較対象の説明は自分の会社の言葉で書くんだ。
ハルカ
シリーズの最初は「移転価格は大丈夫?」と聞かれて何も答えられませんでした。いまは、どの取引に義務があって、どの方法で、どの順に書けばいいかを、上司に説明できそうです。
先生
それが一番の成長だね。一つ足すと、説明できたら次は、期中のモニタリングで「外れないようにする」側に回ることなんだ。
ハルカ
では来年は、タイの子会社の1.2%を「世間並みの性格」に育てるところから始めます。
先生
性格ではなく価格設定で、だね。基礎編から読み返すと、図の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

租税特別措置法66条の4(第6項・第7項・第12項・第14項・第17項・第18項)・66条の4の2・66条の4の4・66条の4の5/同施行規則22条の10・22条の10の4・22条の10の5/移転価格事務運営要領(事務運営指針)/国税庁「移転価格税制に係る文書化制度(FAQ)」(令和6年6月)・「ローカルファイル作成に当たっての例示集」(令和2年6月)・「同時文書化対応ガイド」・「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」/OECD移転価格ガイドライン第5章。ラボと記事の数値はすべて独自の学習用で、実際の申告・文書の作成には使えません。
このシリーズの記事:📗 基礎編/📙 応用編/📘 設例・基本の3パターン編/📘 設例・外国親・期限・調査編/🧭 算定方法編
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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。