年末調整ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ178万円・基礎控除・扶養の壁
無料の学習ツール「年末調整ラボ」の読み方ガイドです。ラボの「2026年の改正点」タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
この記事の事例:4人家族の会社員Aさん
| Aさんの給与収入 | 480万円 |
| 社会保険料 | 70万円 |
| 妻(パート)の給与収入 | 130万円 |
| 長女(20歳・大学生)のアルバイト給与 | 130万円 |
| 長男(16歳・高校生) | 収入なし |
| 新生命保険料(一般) | 年10万円 |
はじめに
今日の題材 ── 2026年分の年末調整は何が変わった?
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ全体
ハルカ
先生、今年の年末調整は改正が多いと聞きました。うちの会社でも、何から確かめればいいのか分からなくて。
先生
数字の変わり方を一つずつ見ればいいよ。今日はラボの設例と同じ、4人家族のAさんを手元に置いておこうか。2025年分のルールなら年税額は 30,100 円、2026年分のルールなら 10,900 円になるんだ。
ハルカ
同じ人なのに、19,200 円も違うんですか。何がそんなに効いているんでしょう。
先生
その答えを、ラボの「2026年の改正点」タブを上から順に読みながら探していこうか。最後には、家族の収入を聞いただけで、何が変わるか言えるようになるよ。
ラボの「2026年の改正点」タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📌 改正点 ② ラボの図
⚠ 例外:2026年11月30日以前に年末調整を済ませた人
死亡退職した人、年の途中で海外転勤して非居住者になった人、休業・休職して年末までに復職しない人などで、居住者として最後に給与を受けた日が2026年11月30日以前の人は、その時点の年末調整では改正後の控除(基礎控除104万円など)が適用されません。改正後の控除を受けるには確定申告等が必要です。
出典:国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q1-3・Q7-1(休業・休職者はQ7-1)
改正点 ②
年末調整は「12月にまとめて計算し直す」仕組み
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ②
ハルカ
改正は2026年分からと聞きました。1月のお給料から、もう新しい控除で計算するんですか。
先生
図の帯を見てごらん。1月から11月までは令和8年分の税額表で毎月の源泉徴収をして、改正は12月1日に施行されるんだ。だから新しい控除を使うのは12月の年末調整からだよ。
迷いポイント 改正の減税分は、毎月の給与で少しずつ戻る?
ハルカ
毎月の天引きが少しずつ減って、気づかないうちに戻っているんだと思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。11月までの源泉徴収は変わらないから、1年分の差は12月の年末調整でまとめて精算されるんだ。ただし、11月30日以前に年末調整を済ませた人は例外で、図の下の赤い枠のとおり確定申告などで受けることになるよ。
ハルカ
そういえば、源泉所得税は前に別表五(二)で出てきました。あれも会社の預り金だったんですか。
先生
よく覚えていたね。ただ、あちらは会社が受け取る利子から差し引かれた、会社自身の税金だったんだ。年末調整のほうは従業員の税金を会社が預かっている分だから、12月の還付は預り金から返すことになるんだよ。
ハルカ
1年分のおつりを、12月にまとめて会社が手渡す…。年末調整って、会社が開く大きな「おつりの日」なんですね。
先生
おつりの日の担当者は、11月がいちばん忙しいけれどね。申告書を集めて確かめてから、12月に精算するんだ。
💡 そうだったのか!
改正は2026年12月1日施行。
11月までの源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で1年分をまとめて精算します(11月30日以前に年末調整を済ませた人は確定申告などで)。
📝 【源泉徴収|給与】給与所得の源泉徴収事務(令和7年度+8年度改正補足)記事を読む ▶
📌 改正点 ③ ラボの図
改正点 ③
所得税がかかり始める水準 160万円 → 178万円
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ③
ハルカ
「178万円の壁」という言葉をよく聞きます。178万円まで、誰でも所得税がかからないんですか。
先生
図の帯を見てごらん。給与所得控除の最低保障額 74万円と基礎控除 104万円を足すと 178万円になるんだ。2025年分は 65万円+95万円で 160万円だったよ。
迷いポイント 178万円は、誰にとっても税金がかからないライン?
ハルカ
ということは、年収178万円までなら、どんな人でも税金ゼロですね。
先生
これは給与だけで、ほかの控除がない単身者の場合なんだ。給与以外の所得があれば下がるし、社会保険料を払っていればもっと上がるよ。住民税や社会保険の「106万円・130万円」とも別の制度なんだ。
💡 そうだったのか!
178万円は、給与だけの単身者で
給与所得控除74万円+基礎控除104万円になる水準です。条件が変われば金額も変わります。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 「🧮 シミュレーション」タブを開き、プリセット「単身・年収178万円(社保なし)」を押す
- 右の「給与収入(年間)」を 1790000 に変える
👀 178万円では、年調年税額が 2025年分 9,100円 → 2026年分 0円。179万円にすると、2026年分も 500円 かかり始めます。
ラボを開く ▶📝 【国税庁タックスアンサー】No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか記事を読む ▶
📌 改正点 ④ ラボの図
数値で見る(グラフと同じ内容)
| 合計所得金額 | 2025年分 | 2026・27年分 | 差 | 2028年分以後(現行法) |
|---|
| 132万円以下 | 95万 | 104万 | +9万 | 99万 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万 | 104万 | +16万 | 62万 |
| 336万円超 489万円以下 | 68万 | 104万 | +36万 | 62万 |
| 489万円超 655万円以下 | 63万 | 67万 | +4万 | 62万 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万 | 62万 | +4万 | 62万 |
| 2,350万円超 | 48万〜0 | 同じ | ― | 同じ |
改正点 ④
基礎控除:所得489万円以下は一律104万円に
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ④
先生
図の黄色い部分が増えた控除だよ。2025年分は 95万・88万・68万円と階段だったけれど、2026・27年分は合計所得 489万円以下なら一律 104万円になったんだ。
迷いポイント 高い年収の人ほど、基礎控除がたくさん増える?
ハルカ
税金をたくさん払っている人のほうが、たくさん増えるのかと思っていました。
先生
増え方がいちばん大きいのは、合計所得 336万円超 489万円以下の人で、68万円から 104万円の +36万円なんだ。655万円を超える人は +4万円にとどまるよ。Aさんの合計所得は 340万円だから、ちょうどこの +36万円の層に入るんだ。
ハルカ
中くらいの年収の人が、いちばんの勝ち組だったんですね。今まで階段の途中で、ずっと足踏みしていたんですね。
先生
勝ち負けではないけれど、Aさんの 19,200円の大半はここから来ているんだ。もう一つ、この 104万円は令和8・9年分だけの上乗せを含んでいるよ。
💡 そうだったのか!
2026・27年分は、合計所得489万円以下なら基礎控除は
一律104万円。増え幅が最大なのは 336万円超489万円以下の層(+36万円)です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 「🧮 シミュレーション」タブでプリセット「設例の家族(年収480万円)」を押す
- 下の「計算の比較」の基礎控除の行を見る
👀 基礎控除が 680,000 → 1,040,000(+360,000)。年調年税額は 30,100円 → 10,900円 になります。
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📌 改正点 ⑤ ラボの図
改正点 ⑤
給与所得控除の最低保障額 65万円 → 74万円
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ⑤
ハルカ
給与所得控除の最低保障額が 74万円になったのは、どんな人に関係するんですか。
先生
図の2本の線を見てごらん。黄色い差が出ているのは給与収入 220万円未満の人だけで、220万円で同じ線に合流しているよ。
迷いポイント 給与所得控除は、全員が 9万円増える?
ハルカ
最低保障が 9万円上がったなら、全員の控除が 9万円ずつ増えるんですよね。
先生
増えるのは給与収入 220万円未満の人だけなんだ。Aさんのように 480万円の人は変わらないよ。年末調整では表で計算するから、219万1,000円から 220万円の手前は端数の調整も入るんだ。
💡 そうだったのか!
最低保障額 74万円の効果は
給与収入220万円未満の人だけ。それ以上の人の給与所得控除は変わりません。
📌 改正点 ⑥ ラボの図
改正点 ⑥
家族の「収入の壁」が動いた(123万→136万円など)
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ⑥
ハルカ
パートの妻の「扶養の壁」も変わったと聞きました。
先生
図の4本の帯を見てごらん。扶養親族や同一生計配偶者の所得要件が 58万円から 62万円になって、給与収入に直すと 123万円 → 136万円 に上がったんだ。配偶者特別控除の上限も 201.6万円から 207万円になったよ。
迷いポイント 控除の金額が同じなら、申告書の書き方も今までと同じ?
ハルカ
Aさんの妻は 130万円なので、どちらの年でも 38万円の控除ですよね。何も変わらないと思っていました。
先生
金額は同じでも、区分が変わるんだ。2025年分は「配偶者特別控除」、2026年分は所得が 56万円になって「配偶者控除」なんだよ。長女も「特定親族特別控除」から「特定扶養親族」に移るから、申告書の書く欄が変わるんだ。
ハルカ
中身は同じなのに、名札だけ付け替わる…。席替えで隣の人は同じなのに、座席表の名前だけ変わった気分です。
先生
その座席表を見て、会社は年末調整をするからね。新しく扶養に入る家族は、扶養控除等(異動)申告書も出し直すんだよ。
💡 そうだったのか!
壁は 123万円 →
136万円。控除額が同じでも
区分が変わるので、申告書の書き方と異動申告に注意します。
⏱ 30秒だけラボで試す
- プリセット「設例の家族(年収480万円)」を押す
- 右の「配偶者の給与収入(年間)」を 2070000 に変え、次に 2080000 に変える
👀 207万円では「家族の判定」の配偶者が 2025年分 対象外 → 2026年分 配偶者特別控除(3万)。208万円にすると、2026年分も対象外になります。
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📌 改正点 ⑦ ラボの図
数値で見る(グラフと同じ内容)
| 19〜22歳の子の給与収入 | 2025年分 | 2026年分 |
|---|
| 123万円以下 | 特定扶養 63万 | 特定扶養 63万 |
| 123万円超 136万円以下 | 特定親族 63万 | 特定扶養 63万 |
| 136万円超 150万円以下 | 特定親族 63万 | 特定親族 63万 |
| 150万円超 159万円以下 | 特定親族 61万 → 51万(段階的) | 特定親族 63万 |
| 159万円超 188万円以下 | 特定親族 51万 → 3万(段階的) | 特定親族 61万 → 11万(段階的) |
| 188万円超 197万円以下 | 0(対象外) | 特定親族 11万 → 3万(段階的) |
| 197万円超 | 0(対象外) | 0(対象外) |
改正点 ⑦
特定親族特別控除(19〜22歳):2025年創設、2026年は入口が上がる
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ⑦
ハルカ
大学生の子のアルバイトが増えても、控除が急になくならないのはなぜですか。
先生
2025年分から始まった特定親族特別控除のおかげだよ。図の階段のように、子の所得が要件を超えても、63万円から段階的に減っていくんだ。2026年分は、その入口が所得 58万円超から 62万円超に上がったよ。
迷いポイント 控除の段階の金額も、2026年に増えた?
ハルカ
入口が上がったなら、61万・51万…という段階の金額も上がったんですよね。
先生
段階の金額は2025年と同じなんだ。変わったのは所得の入口だけで、給与収入に直すと、2026年分は 159万円まで 63万円の控除が続くよ。2025年分は 150万円までだったんだ。
💡 そうだったのか!
特定親族特別控除は2025年創設。2026年は
入口が所得62万円超に上がっただけで、段階の金額は同じです。
⏱ 30秒だけラボで試す
- プリセット「設例の家族(年収480万円)」を押す
- 右の「その子の給与収入(年間)」を 1590000 に変える
👀 長女の控除が 2025年分 51万円 → 2026年分 63万円。年調年税額は 36,200円 → 10,900円 になります。
ラボを開く ▶
📌 改正点 ⑧ ラボの図
改正点 ⑧
23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除(新設)
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ⑧
ハルカ
生命保険料控除も増えたそうですね。私の上司も「12万円が 14万円になる」と喜んでいました。
先生
図の2本の線のとおり、23歳未満の扶養親族がいる人は、新生命保険料の一般生命保険料控除の上限が 4万円から 6万円になったんだ。16歳未満の子でもいいんだよ。
迷いポイント 生命保険料控除の合計の上限は、14万円になる?
ハルカ
一般が 2万円増えるなら、介護医療や個人年金と合わせた上限も 14万円になりますよね。
先生
合計の上限は12万円のままなんだ。もともと3つとも上限まで使っている人は、合計が変わらないこともあるよ。
ハルカ
上司には、まだ喜ばないでくださいと伝えておきます。ぬか喜びを止めるのも、経理の仕事ですね。
先生
伝え方はやさしくね。本当に増える人もいるから、保険料控除申告書で23歳未満の扶養親族の氏名を書いてもらうことが大事なんだ。
💡 そうだったのか!
23歳未満の扶養親族がいると一般生命保険料控除は
最高6万円。ただし
合計の上限12万円は変わりません。
⏱ 30秒だけラボで試す
- プリセット「設例の家族(年収480万円)」を押す
- 右の「新生命保険料(一般)」を 120000 に変える
👀 生命保険料控除が 2025年分 40,000円 → 2026年分 60,000円(10万円のときは 55,000円)。
ラボを開く ▶
📌 改正点 ⑨ ラボの図
改正点 ⑨
年末調整のあと(2027年1月〜)に変わる事務
📍 ラボの場所:「2026年の改正点」タブ ⑨
ハルカ
年末調整が終わったら、今年の仕事は一段落ですね。
先生
年明けの提出事務も変わるんだ。図の1行目のとおり、2027年1月からは、給与支払報告書を市区町村に出せば、税務署提出用の源泉徴収票は原則として出さなくてよくなるよ。
迷いポイント みなし提出なら、従業員への源泉徴収票も要らない?
ハルカ
税務署に出さなくていいなら、源泉徴収票そのものを作らなくてよくなるんですね。
先生
従業員本人への交付は引き続き必要なんだ。変わるのは税務署への提出だけだよ。あわせて、法定調書を e-Tax などで出す義務は、前々年 100枚以上から 30枚以上に広がるんだ。
💡 そうだったのか!
2027年1月からは
税務署提出用の源泉徴収票は原則不要(みなし提出)。本人への交付は続きます。e-Tax等の義務は30枚以上に。
📝 【法定調書】源泉徴収票及び支払調書の提出(令和8年度)記事を読む ▶
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべて年末調整ラボの画面そのものです。「2026年の改正点」タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。
年末調整ラボを開く ▶今日のまとめ ── 迷いポイント早見表
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。改正は12月1日施行で、12月の年末調整でまとめて精算するんだ。基礎控除は所得489万円以下なら104万円、扶養の壁は136万円になった。そして控除額が同じでも、区分が変わる家族がいるんだ。
ハルカ
前は「金額が合っていればいい」と思っていました。今日は、区分が変わると申告書の書き方まで変わると分かって、年末調整は計算より確認の仕事なんだと思いました。
先生
そのとおりだよ。年末調整の担当者がいちばん時間を使うのは、申告書の確認なんだ。
ハルカ
確認なら任せてください。……ただ、数字を見るとすぐ計算したくなるので、申告書を開く前に深呼吸から始めます。
先生
深呼吸のあとで、区分を一つずつ見ていけば大丈夫だよ。次の応用編では、誰が年末調整の対象で、いつ何をするのかを見ていこうか。
参考資料
国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(昨年と比べて変わった点 p.3〜4)・「令和8年分 年末調整についてのお知らせ」・「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」・「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」・「令和7年分 年末調整のしかた」。ラボの設例の数値は独自のものです。
このシリーズの記事:応用編/📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶
サイト内の関連:給与所得の源泉徴収事務/源泉徴収票及び支払調書の提出/パート収入はいくらまで所得税がかからないか/令和8年度税制改正大綱
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。