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グローバルミニマム課税ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ国別実効税率15%・SBIE・誰が課すか

グローバルミニマム課税ラボ【基礎編】

無料の学習ツール「グローバルミニマム課税ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

今日の事例
事例A P社グループのB国子会社(単位:百万円)
グループ日本の親会社P社(3月決算)・連結総収入は毎年9億ユーロ
子会社B国の販売子会社(P社が100%保有)
対象会計年度2026年4月〜2027年3月
GloBE所得/調整後対象租税額6,000 / 720
給与等/有形固定資産等5,000 / 5,000
B国のQDMTTなし
はじめに

今日の題材 ── B国の販売子会社

📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、会社の海外子会社の税金を調べるように言われました。「グローバル・ミニマム課税」という言葉が出てきて、何のことか分からなくて。
先生
大きな多国籍グループについて、国ごとに最低15%の税負担を確保する制度なんだ。今日は事例AのB国子会社を使って、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
ハルカ
B国の税は6,000に対して720…。12%ですね。15%より低いです。
先生
いいところに気づいたね。その足りない3%がどう扱われるかが、今日の中心なんだよ。
ラボの基礎タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📗 基礎 ① ラボの図
① 引き下げ競争:税の安い国に利益が集まる② 歯止め:どこでも最低15%A国 25%B国 12%C国 5%安い国に利益を移せばグループの税が下がるA国+3%B国+10%C国15%15%に足りない分を上乗せ(トップアップ)
基礎 ①

なぜこの制度があるのか ── 最低15%の歯止め

📍 ラボの場所:基礎タブ ①
ハルカ
そもそも、なぜ世界共通の最低税率が必要なんですか。
先生
図の①を見てごらん。国どうしが法人税を下げ合うと、グループは税の安い国に利益を集めるよね。それでは税収の奪い合いが止まらないから、2021年に約140の国・地域で「最低15%」に合意したんだ。
迷いポイント 税率の安い国に子会社を置くのは違法?
ハルカ
じゃあ、税率の安い国に子会社を置くこと自体が禁止になったんですね。
先生
置くこと自体は自由なんだよ。図の②のとおり、国ごとの実効税率が15%に足りなければ、足りない分をトップアップ税額として上乗せする仕組みなんだ。
ハルカ
最低15%の保障ですか。私のお小遣いにも、最低保障の制度がほしいです。
先生
お小遣いの交渉は家庭の話だから、ラボでは計算できないね。こちらは「払う側」の最低ラインだよ。
💡 そうだったのか!
国ごとの実効税率が15%に足りなければ、足りない分をトップアップ税額として上乗せします。
📗 基礎 ② ラボの図
① 対象グループ?7.5億ユーロ・4年中2年② セーフ・ハーバー?CbCRの数字で3テスト③ 国別実効税率対象租税 ÷ GloBE所得④ トップアップ税額(所得 − SBIE)× 不足率⑤ 誰が課す?QDMTT → IIR → UTPR①で外れれば制度の対象外。②に当たる国は③④を省略。国ごと(所在地国単位)に計算する
国別実効税率の物差し(最低税率15%)15%未満:足りない分を穴埋め15%以上:トップアップなし0%5%10%15%20%25%この国 12%1 QDMTT:所在地国が先に02 IIR:日本の親会社154.83 UTPR:各国に配分(日本分)0順番:QDMTT(その国)→ IIR(最終親会社等)→ UTPR(残りを各国で)→ トップアップ税額 154.8、日本で課される額 154.8
判定の順番 単位:百万円
ステップ見るもの結果
① 特定多国籍企業グループ等か直前4年度の連結総収入 9・9・9・9 億ユーロ当たる(7.5億ユーロ以上が 4年度)
② 移行期間CbCRセーフ・ハーバーデミニマス ×・簡素な実効税率 ×・通常利益 ×当たらない → 本計算
③ 国別実効税率調整後対象租税額 720 ÷ 国別グループ純所得 6,00012%(15%に 3% 不足)
④ トップアップ税額(純所得 − SBIE 840)× 3%154.8
⑤ 誰が課すかQDMTT 0 → 残り 154.8IIR(日本の親会社):日本 154.8
基礎 ②

判定の5ステップ ── いつも同じ順番で

📍 ラボの場所:基礎タブ ②
ハルカ
どこから手をつければいいのか、順番が分かりません。
先生
順番はいつも同じなんだ。図のとおり、①対象グループか、②セーフ・ハーバーに当たるか、③国別実効税率、④トップアップ税額、⑤誰が課すか。この5ステップを国ごとに繰り返すよ。
迷いポイント トップアップ税額は日本の親会社が必ず払う?
ハルカ
B国の足りない分は、日本の親会社が払うことに決まっているんですよね。
先生
⑤で「誰が課すか」を決めるんだ。B国が自分で先に課すこともあるし、親会社の国が課すこともあるよ。事例AはB国に仕組みがないから、日本の親会社が 154.8 を課されるんだ。
💡 そうだったのか!
判定は5ステップの順。国ごとに計算し、最後に「誰が課すか」を決めます。
📗 基礎 ③ ラボの図
9億€4年前9億€3年前9億€2年前9億€1年前7.5億€7.5億ユーロ以上の年度が 4 つ → 2つ以上なので対象(特定多国籍企業グループ等)
基礎 ③

対象グループ ── 7.5億ユーロと4年中2年

📍 ラボの場所:基礎タブ ③
ハルカ
この制度は、どの会社が対象なんですか。
先生
図のとおり、直前の4年度のうち2年度以上で連結総収入が7.5億ユーロ以上のグループなんだ。160円/ユーロなら約1,200億円だよ。
迷いポイント 1年でも7.5億ユーロを超えたら対象?
ハルカ
事例Eのグループは、1年前に7.6億ユーロなので対象ですよね。
先生
7.5億ユーロ以上なのは4年のうち1年だけだから、対象外なんだ。子会社の実効税率が低くても、トップアップ税額は生じないよ。
ハルカ
私の貯金箱は7.5ユーロくらいなので、あと1億倍で対象になれますね。
先生
1億倍になる前に、まずは4年のうち2年、貯め続けるところからかな。
💡 そうだったのか!
対象は直前4年度のうち2年度以上で7.5億ユーロ以上のグループ。1年だけ超えても対象外です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Eが入っています)
  2. 「2年前」を 7.2 → 7.5 に変える

👀 7.5億ユーロ以上の年度が2つになり、対象グループに。トップアップ税額は 0 → 154.8 になります。

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📗 基礎 ④ ラボの図
GloBE所得6,000調整後対象租税72015%の位置国別実効税率 = 720 ÷ 6,000 = 12%(15%に 3% 不足)
国別実効税率(簡略) 単位:百万円
項目金額・割合メモ
国別グループ純所得(GloBE所得)①6,000
調整後対象租税額 ②720税額控除を反映した後の金額
+ 適格な税額控除等(SBTI)③0上限 275(給与等と減価償却費の多い方 × 5.5%)
国別実効税率((② + ③)÷ ①)12%
トップアップ税率(15% − 実効税率)3%15%に足りない分
基礎 ④

国別実効税率 ── 法定税率ではない

📍 ラボの場所:基礎タブ ④
ハルカ
B国の法定税率が20%なら、15%を超えているので安心ですよね。
先生
見るのは法定税率ではなく国別実効税率なんだ。図のとおり、調整後対象租税額 720 を国別グループ純所得 6,000 で割って 12% だよ。
迷いポイント 国別実効税率は、会計の実効税率と同じ?
ハルカ
決算書の税効果会計の注記に出てくる実効税率と同じものですか。
先生
別の計算なんだ。分母も分子もGloBEルールで調整するから、税額控除や繰延税金の扱いで数字が変わるよ。細かい調整は応用編で見ようか。
💡 そうだったのか!
判定は国別実効税率(調整後対象租税額 ÷ 国別グループ純所得)で。法定税率でも会計の実効税率でもありません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 「調整後対象租税額」を 720 → 900 に変える

👀 国別実効税率が15%ちょうどになり、トップアップ税額は 154.8 → 0 になります。

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📗 基礎 ⑤ ラボの図
GloBE所得 6,000SBIE 840超過利潤 5,160給与等 5,000 × 9.4% = 470有形固定資産等 5,000 × 7.4% = 370穴埋めの対象は超過利潤だけ人と設備が厚い国ほど小さくなる
実質ベースの所得除外額 単位:百万円
項目金額メモ
給与等の費用 × 9.4%470給与 5,000
有形固定資産等 × 7.4%370有形資産 5,000
実質ベースの所得除外額(SBIE)8402026年開始の年度の率
超過利潤(純所得 − SBIE、下限0)5,160トップアップ税率を掛ける元
基礎 ⑤

実質ベースの所得除外額 ── 人と設備の分は除く

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑤
ハルカ
足りない3%は、所得6,000の全部に掛けるんですか。
先生
全部ではないんだ。図のとおり、給与等と有形固定資産等の一定割合を実質ベースの所得除外額(SBIE)として除くよ。2026年開始の年度は 9.4% と 7.4% だから、5,000 × 9.4% + 5,000 × 7.4% = 840 なんだ。
迷いポイント SBIEの率は毎年同じ?
ハルカ
9.4%と7.4%をずっと使えばいいんですね。
先生
経過措置で毎年下がって、2033年開始の年度からは5%になるんだ。同じ工場と人員でも、将来はトップアップ税額が増えることがあるよ。
ハルカ
人と設備が多いほど得なら、実家の猫のこむぎも従業員として数えたいです。
先生
こむぎは給与をもらっていないから、給与等には入らないね。家の番は立派にしているけれどね。
💡 そうだったのか!
給与等と有形固定資産等の一定割合(SBIE)は穴埋めの対象から除きます。実体の厚い国ほどトップアップ税額は小さくなります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 「給与等の費用」を 5,000 → 15,000 に変える

👀 SBIEが 840 → 1,780 に増え、トップアップ税額は 154.8 → 126.6 に下がります。

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📗 基礎 ⑥ ラボの図
トップアップ税率3%(15% − 12%)超過利潤5,160トップアップ税額 = 3% × 5,160 = 154.8ここから、誰が課すか(QDMTT → IIR → UTPR)を決める
実質ベースの所得除外額 単位:百万円
項目金額メモ
給与等の費用 × 9.4%470給与 5,000
有形固定資産等 × 7.4%370有形資産 5,000
実質ベースの所得除外額(SBIE)8402026年開始の年度の率
超過利潤(純所得 − SBIE、下限0)5,160トップアップ税率を掛ける元
国別実効税率(簡略) 単位:百万円
項目金額・割合メモ
国別グループ純所得(GloBE所得)①6,000
調整後対象租税額 ②720税額控除を反映した後の金額
+ 適格な税額控除等(SBTI)③0上限 275(給与等と減価償却費の多い方 × 5.5%)
国別実効税率((② + ③)÷ ①)12%
トップアップ税率(15% − 実効税率)3%15%に足りない分
基礎 ⑥

トップアップ税額 ── 不足率 × 超過利潤

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑥
ハルカ
トップアップ税額は、どう計算するんですか。
先生
図のとおり、SBIEを除いた超過利潤に、15%に足りない率を掛けるんだ。事例Aは 5,160 × 3% = 154.8 だよ。
迷いポイント 実効税率が15%を少し下回ったら、全部に課税?
ハルカ
14.9%だったら、所得の全部に15%かかってしまうんですか。
先生
足りない0.1%分だけなんだ。15%に近いほど直線的に小さくなって、15%でゼロになるよ。「全部かゼロか」で段差のあるCFC税制とは、ここが違うんだ。
💡 そうだったのか!
トップアップ税額 = 超過利潤(純所得 − SBIE)× 不足率(15% − 実効税率)。15%でゼロになります。
📗 基礎 ⑦ ラボの図
① QDMTT子会社の所在地国が先に課す② IIR最終親会社等が持分に応じて③ UTPR残りをグループ各国で配分日本:国内最低課税額に対する法人税2026年4月以後開始日本:国際最低課税額に対する法人税2024年4月以後開始日本:国際最低課税残余額に対する法人税2026年4月以後開始前の段で課された分は後ろの段で差し引く。QDMTTが全額課すか、QDMTTセーフ・ハーバー適用ならIIR・UTPRはゼロ
誰がトップアップ税額を課すか(QDMTT → IIR → UTPR) 単位:百万円
項目金額メモ
トップアップ税額154.8
① 所在地国のQDMTT(先に課す)0QDMTTなし
残り154.8トップアップ税額 − QDMTT(下限0)
② IIR:残り × 帰属割合 100%154.8日本の最終親会社等
日本で課される額154.8
誰がトップアップ税額を課すか(QDMTT → IIR → UTPR) 単位:百万円
項目金額メモ
トップアップ税額154.8
① 所在地国のQDMTT(先に課す)154.8同額が課されると仮定
残り0トップアップ税額 − QDMTT(下限0)
日本で課される額0
基礎 ⑦

誰が課すか ── QDMTT → IIR → UTPR

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑦
ハルカ
計算したトップアップ税額は、どこの国に払うんですか。
先生
図のとおり、順番が決まっているんだ。まず子会社の国のQDMTT、次に最終親会社等の国のIIR、それでも残れば各国のUTPR。前の段で課された分は後ろで差し引くよ。
迷いポイント B国がQDMTTを入れたら、二重に払う?
ハルカ
B国がQDMTTで課して、日本もIIRで課したら、二重になりませんか。
先生
IIRは、QDMTTで課された分を差し引いた残りに課すんだ。事例Bのように、B国のQDMTTがトップアップ税額と同じ 154.8 だと仮定すれば、B国が先に課して、日本のIIRはゼロだよ。実際のQDMTTの額はGloBEの計算と違うこともあるから、ラボでは税額を入力することもできるんだ。
💡 そうだったのか!
順番はQDMTT → IIR → UTPR。前の段で課された分は差し引くので、二重には課されません。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 「所在地国のQDMTT」を なし → あり(同額を仮定) に変える

👀 トップアップ税額 154.8 はB国が先に課し、日本で課される額は 154.8 → 0 になります。「あり(税額を入力)」で100にすると、残りの54.8が日本のIIRになります。

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📗 基礎 ⑧ ラボの図
デミニマス収入1,000万€・利益100万€未満× 当たらない簡素な実効税率17%以上(2026年開始)○ 当たる通常利益税引前利益 ≦ SBIE× 当たらないCbCR(国別報告事項)の数字で判定。どれか1つで、その国のトップアップ税額はゼロ→ この国はセーフ・ハーバーに当たる
移行期間CbCRセーフ・ハーバー(どれか1つで可) 単位:百万円
テスト結果メモ
適用できる年度か○ 2027年12月31日以前開始
① デミニマス:収入 12,000・税引前 3,100(基準 1,600・160 未満)×1,000万ユーロ・100万ユーロ(160円/ユーロ)
② 簡素な実効税率:560 ÷ 3,100 = 18.1%(基準 17%以上)○2026年開始の年度は17%
③ 通常利益:税引前 3,100(基準 SBIE 410 以下)×
判定当たるこの国のトップアップ税額はゼロ
基礎 ⑧

移行期間CbCRセーフ・ハーバー ── 3テストで計算省略

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑧
ハルカ
子会社のある国ごとに、毎年この計算をするのは大変そうです。
先生
そのための移行期間CbCRセーフ・ハーバーなんだ。図のとおり、国別報告事項(CbCR)の数字で、デミニマス・簡素な実効税率・通常利益の3つのテストのどれかに当たれば、その国のトップアップ税額はゼロとみなされるよ。
迷いポイント 簡素な実効税率の基準は15%?
ハルカ
簡素な実効税率も15%以上なら通るんですよね。
先生
年度で基準が上がるんだ。2024年開始は15%、2025年開始は16%、2026年と2027年開始は17%だよ。事例Cは18.1%で17%以上だから当たるんだ。令和8年度改正で、2027年12月31日以前に開始する年度まで延長されたよ。
💡 そうだったのか!
CbCRの数字で3つのテストのどれかに当たれば、その国のトップアップ税額はゼロ。簡素な実効税率の基準は年度で上がります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Cが入っています)
  2. 「簡素な対象租税」を 560 → 500 に変える

👀 簡素な実効税率が約16.1%で17%未満になり、セーフ・ハーバーに当たらなくなります。トップアップ税額は 0 → 51.8 です。

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📗 基礎 ⑨ ラボの図
対象会計年度 終了2027年3月末決算・CbCR作成翌年度中申告・GIRの期限2028年6月30日期限:終了の翌日から1年3か月(初回延長の要件を満たせば1年6か月)税率:法人税 90.7% + 地方法人税(法人税額 × 93/907)→ 合計100%
日本での税額(学習用) 単位:百万円
項目金額メモ
課税標準(国際最低課税額)154.8
法人税(× 90.7%)140.4法法82条の5
地方法人税(法人税 × 93/907)14.4地方法人税法24条の3
合計154.8課税標準と同額
対象会計年度2026年4月〜2027年3月
税額の申告書の期限2028年6月30日終了後1年3か月
情報申告(GIR)の期限2028年6月30日終了後1年3か月

期限は月末で、その日が土日・祝日・12月29日〜1月3日なら翌営業日に繰り下げて表示しています(国税通則法10条2項)。1年6か月は「初回延長の要件を満たす」を選んだ手続だけで、要件は手続ごとに別に判定します。税額の申告書:その内国法人が最初に提出すべき場合で、それより前の対象会計年度に自社やグループの他の内国法人が情報申告の規定の適用を受けていなかったとき(法法82条の6ほか)。GIR:最初に提供すべき場合で、それより前の対象会計年度にグループの他の法人が提供義務を負っていなかったとき(法法150条の3第9項)。

税額がゼロでも、特定多国籍企業グループ等なら情報申告(GIR)は必要です(最終親会社等が所在地国で提出し情報交換される場合などの免除あり)。国際最低課税額に対する法人税の申告書は、課税標準がある年度に提出します。CFC税制のように所得に足す制度ではなく、別建ての税です。法人税の一種なので損金の額には算入されず、費用に計上した場合は通常の法人税と同じく別表四で加算します。

基礎 ⑨

申告・情報申告と税率 ── 1年3か月と90.7%

📍 ラボの場所:基礎タブ ⑨
ハルカ
日本で課される 154.8 は、どうやって納めるんですか。
先生
法人税として 90.7%、その法人税額の93/907を地方法人税として納めるんだ。合計すると課税標準と同じ 154.8 になるよ。申告と情報申告(GIR)の期限は、対象会計年度終了の日の翌日から1年3か月。事例Aなら2028年6月30日だね。
迷いポイント 税額がゼロなら、何も出さなくてよい?
ハルカ
事例BのようにB国が全部課して日本の税額がゼロなら、何も出さなくていいですよね。
先生
税額の申告書は要らないけれど、対象グループならGIRは原則必要なんだ。最終親会社等の国から情報交換される場合などの免除はあるよ。
ハルカ
1年3か月も先なら、夏休みの宿題よりずっと余裕がありますね。
先生
集める数字が世界中の子会社分だから、宿題よりずっと量が多いんだ。初回延長の要件を満たせば1年6か月になるけれど、要件は税額の申告書とGIRで別に判定するんだ。事例Aで延長になると9月30日が土曜日だから、期限は10月2日に繰り下がるよ。早めに準備しようね。
💡 そうだったのか!
税率は法人税90.7%+地方法人税。期限は終了後1年3か月(初回延長の要件を満たせば1年6か月)。税額ゼロでもGIRは原則必要です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべてグローバルミニマム課税ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

グローバルミニマム課税ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
低税率国の子会社は禁止?置くのは自由。15%に足りない分を上乗せ①
トップアップは必ず日本の親会社?QDMTT → IIR → UTPR の順で決まる②⑦
1年でも7.5億ユーロ超なら対象?直前4年度のうち2年度以上(事例Eは対象外)③
法定税率20%なら安心?国別実効税率で判定(事例A:12%)④
SBIEの率はずっと同じ?毎年下がり2033年開始から5%⑤
14.9%なら全部に課税?不足率0.1%分だけ。15%でゼロ⑥
QDMTTとIIRで二重に?前の段で課された分は差し引く(事例B:日本0)⑦
簡素な実効税率の基準は15%?2026・2027年開始は17%(事例C)⑧
税額ゼロなら何も出さない?GIRは原則必要⑨
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。対象は7.5億ユーロ以上が4年中2年のグループ。国ごとの実効税率が15%に足りなければ、SBIEを除いた超過利潤に不足率を掛けて、QDMTT → IIR → UTPR の順に課すんだ。
ハルカ
妹と、こむぎのおやつ代を「最低15%は出す」ルールにしました。私が出さなかった分は、妹が先に出すそうです。
先生
妹さんが先に出すなら、QDMTTの役だね。そのあと足りない分をあなたが出せば、IIRになるよ。
ハルカ
妹に「私の国に先に払って」と言われました。
先生
それなら二重には払わなくていいね。次の応用編では、計算の細目やセーフ・ハーバー、令和8年度の見直しを見ていこうか。

参考資料

法人税法82条〜82条の22・150条の3/地方法人税法/国税庁「グローバル・ミニマム課税への対応に関する改正のあらまし」(令和5年4月・令和7年4月)/財務省「グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置」(令和8年1月23日閣議決定)。ラボの数値はすべて独自の学習用で、実際の申告額の計算には使えません。
このシリーズの記事:応用編
サイト内の関連:グローバルミニマム課税とは?わかりやすく|15%と7.5億ユーロの判定/外国子会社合算税制ラボ/国際税務 全体像ナビ

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。