MENU

減損会計ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ管理会計の単位・連結の見直し・20年超・4つの割引率・超過額の配分・期中の減損

減損会計ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ管理会計の単位・連結の見直し・20年超・4つの割引率・超過額の配分・期中の減損

無料の学習ツール「減損会計ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。登場する会社と設例の数値はすべて架空の例です(原典の設例の数値は使っていません)。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📋 応用タブ冒頭 処理早見表
必ずそうなる選択の余地がない処理 「できる」扱い要件を満たせば選べる処理(継続適用) 認められない基準・指針で否定されている処理
① グルーピングと兆候(第7〜17項)
論点原則の処理認められる扱い・例外根拠
グルーピングの単位継続的に収支を把握する最小の単位。相互補完的なら束ねる必ずそうなる
処分・廃止を決めた重要な資産、将来の使用が見込まれない遊休資産は切り離して最小単位に
第7・8項
翌期以降の単位当期の単位を翌期以降も継続「できる」扱い
事実関係が変わった場合は見直す
第9項
連結での単位個別の単位を基礎「できる」扱い
連結の見地から見直す(割引率も見直す)
第10・47項
営業損益の継続マイナスおおむね過去2期マイナス(当期見込みが明らかにプラスなら除く)「できる」扱い
管理会計で営業CFだけを使っていればそれで判定。計画どおりの立上げ赤字は兆候にしない
第12項
市場価格の下落50%程度以上の下落は少なくとも兆候「できる」扱い
50%未満でも減損の可能性が高い場合(処分予定など)は個別判断。評価額・指標を市場価格とみなせる
第15項・第89項
のれんの兆候のれん単独では判断できず、より大きな単位で必ずそうなる
配分法を採用したら配分先のグループの兆候で
第17項
② 認識の判定と測定(第18〜47項)
論点原則の処理認められる扱い・例外根拠
見積期間(判定)主要な資産の経済的残存使用年数と20年の短い方。20年超は20年経過時点の回収可能価額を加算「できる」扱い
税法耐用年数に基づく残存耐用年数を経済的残存使用年数とみなす(不合理でない限り)
第18・21項
割引前CFとリスク見積値から乖離するリスクを反映させない必ずそうなる
反映させるのは使用価値の算定だけ(CFか割引率のどちらか)
第19・39項
正味売却価額の算定必ずしも現在の正味売却価額を算定しなくてよい必ずそうなる
明らかに正味売却価額が高い場合・処分がすぐ予定されている場合は算定する
第28項
将来時点の正味売却価額収益還元で算定「できる」扱い
困難なら現在の正味売却価額(減価額控除後)、重要性が乏しければ残存価額を使える
第29項
構成資産(主要な資産以外)経済的残存使用年数経過時点の正味売却価額を加算「できる」扱い
合理的な計画があれば計画のCFの現在価値、償却資産なら簿価−減価額を使える
第18・33項
将来CFの基礎取締役会等が承認した中長期計画を外部・内部情報と整合的に修正「できる」扱い
計画がなければ過去の平均に成長率(ゼロ・マイナスも)。発生基準+非資金項目の加減も可
第36項
含めるもの・含めないもの現在の価値を維持する設備投資は含める。計画されていない増強・再編、利息・法人税等は含めない「できる」扱い
建設中の利払いの原価算入分、賃貸不動産の保証金運用益は含められる
第38・41・42項
割引率税引前。測定時点の率を使い、翌期以降も同じ方法「できる」扱い
期間によって異なる割引率を使える
第43〜45項
③ 共用資産・のれん・減損後・開示(第48〜64項)
論点原則の処理認められる扱い・例外根拠
共用資産の判定単位より大きな単位(まずグループごと→その後)「できる」扱い
合理的な配賦基準があれば帳簿価額を配分する方法(継続適用・類似グループも同じ)
第48〜50項
増加額の配分原則として共用資産・のれんへ必ずそうなる
共用資産の簿価−正味売却価額を超えることが明らかな場合、のれんの簿価を超える場合は各グループへ
注8・注11
のれんの分割取得対価が概ね独立して決まり、独立した業績報告がある事業単位に、取得時の時価比率で「できる」扱い
時価と純資産時価の差額の比率など他の合理的な方法
第51項
減損損失の戻入れ行わない認められない
回収可能価額が回復しても戻さない(IFRSと違う)
基準 三 2.
減損後の減価償却減損後の帳簿価額で規則的に。処分予定でも残存価額まで必ずそうなる
販売目的で流動資産に振り替える場合は除く。遊休資産の償却費は営業外費用
第55・56項
B/S表示直接控除形式「できる」扱い
独立間接控除・合算間接控除(償却資産)
第57項
注記重要な減損損失:資産の概要・経緯・金額と内訳・グルーピング方法・回収可能価額の算定方法「できる」扱い
多数のグループは用途・場所でまとめて記載できる。初年度は損失がなくてもグルーピング方針を注記できる
第58・59項
期中(四半期等)の減損年度決算でやり直さない必ずそうなる
年度までに新たな兆候があれば追加で判定
第63項

「できる」扱いは、採用したら継続適用が前提です。

はじめに

今日の地図 ── 「必ずそうなる」と「できる」扱いの早見表

📍 ラボの場所:応用タブ冒頭「処理早見表」
ハルカ
先生、基礎編で5段の流れは分かりました。応用タブの早見表は、何を見るための表ですか。
先生
適用指針の論点を、必ずそうなる処理と「できる」扱い、認められない処理に分けた地図だよ。実務で手が止まるのは、だいたい「できる」の行なんだ。
ハルカ
「できる」扱いが思ったより多いです。選べるなら、楽な方を選びたくなります。
先生
選べる代わりに、採用したら継続適用が前提だよ。今日はこの中から、実務で質問の多い8つを順に見ていこうか。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A1 ラボの図
部品Z製造工場単独では収支把握なし製品群A製造工場収支管理あり製品群B製造工場収支管理あり部品外部販売外部販売部品Z工場はグルーピングの基礎にならず、AとBの共用資産。AとBが相互補完的なら事業部全体が1グループ
応用 A1

管理会計の単位から決める ── 手順と落とし穴

📍 ラボの場所:応用タブ A1
ハルカ
部品Z工場は単独では収支を把握していない、とあります。工場なのにグルーピングの単位にならないんですか。
先生
ならないんだ。基礎になるのは資産と対応して継続的に収支を把握している単位だからね。製品群A工場とB工場が基礎で、部品Z工場は両方に貢献する共用資産になるよ。
迷いポイント 予算管理の単位(事業部)が、そのままグルーピングの単位?
ハルカ
うちの会社は事業部単位で予算を組んでいるので、事業部がグルーピングの単位になりますよね。
先生
予算の単位より小さいことがあるんだ(第70項)。資産に対応して収支を見ている単位が工場やラインなら、そこが基礎。事業部で束ねるのは、A・Bのキャッシュ・イン・フローが相互補完的なときだけだよ。
ハルカ
正直に言うと、グルーピングは経理が決算のときに決めるものだと思っていました。管理会計の区分が先にあるんですね。
先生
先に管理会計、後に減損。順番を逆にすると、恣意的に見えてしまうんだよ。
💡 そうだったのか!
基礎は資産と対応して収支を把握している単位(予算の単位より小さいことも)。単独で収支を見ていない工場は共用資産。束ねるのは相互補完的なときだけ。
📝 減損会計ラボ【設例・グルーピング編】(設例1-1〜1-6)記事を読む ▶
📙 応用 A3 ラボの図
部品子会社Y簿価 500X社 工場A簿価 900販売子会社Z簿価 300個別:工場Aだけで判定。割引前CF 820 < 簿価 900 → 回収可能価額 650 まで減額(▲250)
個別:工場Aが資産グループ

工場Aの割引前CF 820 < 帳簿価額 900 → 回収可能価額 650 まで減額し、減損損失 250。

個別財務諸表では、グルーピングが自社を超えて他社に及ぶことはない(第10項)。

🧾 連結修正仕訳
個別の減損損失の戻入れ
借方金額貸方金額
機械装置等(工場A)250減損損失250
応用 A3

連結の見地からの見直し ── 個別の減損が連結で消えることがある

📍 ラボの場所:応用タブ A3・設例・基礎1-6 ステップ3
ハルカ
個別では工場Aで減損 250 なのに、連結では認識しない、とあります。同じ工場なのに結論が変わるんですか。
先生
連結では、連結管理上の単位でグルーピングを見直すことがあるんだ(第10項)。部品子会社Y・工場A・販売子会社Zを製品群Aグループとして管理していれば、その単位で判定するよ。
迷いポイント 個別で計上した減損損失は、連結でも必ずそのまま残る?
ハルカ
個別で確定した減損損失を、連結で消すことはできませんよね。
先生
連結修正仕訳で戻し入れることがあるんだ。製品群Aグループには兆候がないので認識せず、個別の 250 を戻す(割引前CF 1,900 も帳簿価額 1,700 を上回る)。仕訳はその下にあるとおりだよ。
ハルカ
これ、資本連結ラボの応用編で習った「子会社株式の簿価は個別と連結で違う」話と似ていますか。
先生
よく覚えていたね。個別の数字をそのまま足すのが連結ではない、という点は同じなんだ。ただし逆に、連結の単位の方が個別より小さくなることは想定されていないよ。
💡 そうだったのか!
連結では連結管理上の単位で見直すことがあり、個別の減損損失を連結修正で戻し入れる場合がある。連結の単位が個別より小さくなることは想定されていない。
📝 資本連結ラボ【応用編】(個別の簿価と連結上の簿価)記事を読む ▶
📙 応用 B1 ラボの図
✔ 当該資産グループの減価償却費✔ 本社費など間接的に生ずる費用(配分額)✔ 営業上の取引の損益(棚卸資産評価損など)✔ 内部振替価額による収支
含める:営業上の取引に関連して生ずる損益(第12項(1))

実務上は、この考え方を反映した管理会計上の損益区分に基づいて判定する(第78項)。

管理会計で営業CFだけを用いている場合は、営業CFの継続マイナスで判定する(第12項(3))。

応用 B1

「営業活動から生ずる損益」の範囲と「継続」の意味

📍 ラボの場所:応用タブ B1
ハルカ
兆候①の「営業活動から生ずる損益」は、損益計算書の営業損益と同じですか。
先生
少し違うんだ。管理会計上の営業損益で、その資産グループの減価償却費や本社費の配分額を含める。支払利息や税金、大規模な経営改善計画による一時的な損益は含めないよ。
迷いポイント 本社費の配分で赤字になる店舗は、兆候から外していい?
ハルカ
店の実力は黒字で、本社費を乗せたから赤字になる店は、兆候なしにしてもいいですよね。
先生
配分した本社費も含めて判定するんだ(第12項(1))。店の実力だけで見ると、兆候の入口が甘くなってしまう。管理会計で営業CFだけを使っている会社なら、営業CFで判定してよいんだよ。
ハルカ
営業損益の箱に「入れるもの」「入れないもの」があるんですね。私の冷蔵庫と違って、何でも入れていいわけではないと。
先生
冷蔵庫も、入れたものは覚えておいた方がいいね。
💡 そうだったのか!
兆候①は管理会計上の営業損益で、減価償却費と本社費の配分を含め、支払利息・税金・一時的な損益は除く。「継続」はおおむね過去2期。
📝 減損のKAM事例267社を分析|監査人は兆候の何を見るか?記事を読む ▶
📙 応用 C1 ラボの図
15101520251年目年20年1〜20年目:割引前CFをそのまま合計 / 21年目以降(赤):20年経過時点の回収可能価額として加算
1510152025+売却 150例:年 90 のCFが25年、25年後の正味売却価額 150年
応用 C1

20年超の資産と主要な資産 ── 20年経過時点の回収可能価額を足す

📍 ラボの場所:応用タブ C1
ハルカ
25年使う資産でも、割引前CFは20年で区切るんですね。21年目以降の赤い部分はどうなるんですか。
先生
捨てるのではなく、20年経過時点の回収可能価額に置き換えて足すんだ。例では20年目までの 1,800 に、21〜25年目のCFと売却額を5%で割り引いた 507 を加えて 2,307 になるよ。
迷いポイント 20年で区切るのは、減損が出やすくなるだけの上限?
ハルカ
区切らずに25年分を単純に足せば 2,400 で帳簿価額と同じ、認識しなくて済みます。会社に不利な上限ですよね。
先生
不利にするための上限ではないんだ。長期の見積りほど不確実だから、21年目以降は割り引いた価値で見る。判定が変わるのは、それだけ遠い将来のCFに頼っていた証拠なんだよ。
ハルカ
「主要な資産」の年数で区切るとありますが、主要な資産はどう決めるんですか。
先生
資産グループの将来CF生成能力にとって最も重要な構成資産だよ。その資産なしに他の構成資産を取得するか、容易に取り替えないかなどで総合判断する(第23項)。土地を選ぶときは、本当に最も重要かに留意するんだ。
💡 そうだったのか!
見積期間は主要な資産の年数と20年の短い方。20年超は20年経過時点の回収可能価額を加算。長期の不確実性を抑えるための上限。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(プリセット「主要な資産が25年(20年ルール)」)
  2. 「使用後(n年後)の正味売却価額」を 150 から 600 に変える

👀 20年経過時点の回収可能価額が増えて、割引前CF総額が 2,307 → 2,660 になり、「下回らない → 認識しない」に変わります。

ラボを開く ▶
📝 減損会計ラボ【設例・判定と測定編】(設例2型:20年ルール)記事を読む ▶
📙 応用 C4 ラボの図
1,400帳簿価額975① 6%減損 4251,043② 4.59%減損 3571,022③ 5%減損 378931④ 7%減損 469
応用 C4

割引率の4つの候補 ── 税引前にそろえる

📍 ラボの場所:応用タブ C4
ハルカ
4つの割引率で、減損損失が 357〜469 まで変わりますね。リース会計ラボで「割引率が低いほど負債は大きい」と習いましたが、減損ではどう効くんですか。
先生
よく覚えていたね。現在価値の性質は同じで、率が低いほど現在価値は大きいんだ。減損で割り引く先は使用価値だから、率が低いほど使用価値が大きく、減損損失は小さくなるよ。
迷いポイント 税引後のWACCや市場利回りを、そのまま割引率に使える?
ハルカ
会社のWACCは税引後で計算しているので、それをそのまま使えば簡単ですね。
先生
そのままは使えないんだ。将来CFが税引前だから、率も税引前にそろえる。自己資本コストを (1−税率) で割り戻して 4.59%、市場利回り 3.5% も割り戻して 5% にしているよ。
ハルカ
①のハードルレート 8% から 2% を引いているのは、どうしてですか。
先生
ハードルレートには目標の上積み分が入っているからね。資産に固有のリスクを反映した収益率にするには、その 2% を除くんだ。どの率を採るかは根拠を残し、翌期以降も同じ方法で算定するよ。
💡 そうだったのか!
割引率の候補は4つ(+総合勘案)。すべて税引前にそろえ、ハードルレートは上積み分を除く。率が低いほど使用価値は大きく、損失は小さい。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(プリセット「基礎6・応用6の数字(4つの割引率)」)
  2. 「うち目標の上積み分(%)」を 2 から 0 に変える

👀 ①の割引率が 8% になり、使用価値 975 → 889、減損損失 425 → 511。②〜④の数字は変わりません。

ラボを開く ▶
📝 KAM割引率とは?開示事例95社で学ぶ算定方法記事を読む ▶
📙 応用 D2 ラボの図
共用資産(本社) 簿価 250減損 ▲80 → 170資産グループA 簿価 300兆候なし—超過額の配分 ▲41→ 259資産グループB 簿価 450兆候あり 割引前CF 470割引前CF ≧ 簿価 → 認識せず超過額の配分 ▲61→ 389資産グループC 簿価 600兆候あり 割引前CF 520認識 → 回収可能価額 350減損損失 ▲250超過額の配分 ▲48→ 302より大きな単位:簿価合計 1,600(減損控除前の各グループ 1,350 + 共用資産 250)vs 割引前CF 1,250→ 認識 → 回収可能価額 1,120 まで減額:減損 ▲480増加額 230(減損 − グループごとの分)→ 原則として共用資産へ 80、超過額 150 は各グループへ
各グループの回収可能価額が容易に把握できないときは、帳簿価額(減損後)の比率で配分(第48項(5)②)

増加額 230 のうち、共用資産には簿価 250 − 正味売却価額 170 = 80 まで。超過額 150 を A 41・B 61・C 48 に配分。

配分後の帳簿価額:A 259・B 389・C 302・共用資産 170。

応用 D2

超過額の配分 ── 共用資産の簿価−正味売却価額を超えたら各グループへ

📍 ラボの場所:応用タブ D2
ハルカ
増加額 230 のうち、共用資産には 80 までで、残り 150 を各グループに配分しています。80 はどこから来た数字ですか。
先生
共用資産の帳簿価額 250 − 正味売却価額 170 だよ。共用資産を正味売却価額より下げるのは行き過ぎだから、注8により、超えることが明らかな分は各グループへ配分するんだ。
迷いポイント 超過額の配分は、帳簿価額の比で機械的に決まる?
ハルカ
150 を A・B・C の帳簿価額の比で割れば終わりですよね。
先生
3通りあるんだ。回収可能価額が分からなければ帳簿価額比(41・61・48)。Cの回収可能価額 350 が分かるなら、Cを下回らないようにA・Bへ(60・90)。全部分かるなら差額の比だよ。
ハルカ
帳簿価額比だとCが 302 になって、せっかく測った回収可能価額 350 を下回ってしまうんですね。測った意味がなくなります。
先生
意味をなくさないための「ただし書き」が、第48項(5)②に用意されているんだよ。
💡 そうだったのか!
共用資産への配分は帳簿価額 − 正味売却価額が上限。超過額は帳簿価額比/回収可能価額が分かるグループを下回らないように/差額の比の3通りで各グループへ。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクからシミュレーションを開く(プリセット「応用7-1(4)の数字」)
  2. 「超過額の配分方法」を 「回収可能価額が分かるグループを下回らないように」 に変える

👀 配分が A 41・B 61・C 48 から A 60・B 90・C 0 に変わり、Cは回収可能価額 350 のままです。減損損失の合計 480 は同じです。

ラボを開く ▶
📝 減損会計ラボ【設例・共用資産とのれん編】(設例7-1(4):3つの配分方法)記事を読む ▶
📙 応用 E2 ラボの図
第1四半期第2四半期第3四半期年度末減損処理 ▲300改めて判定・測定しない(確定)
期中会計期間の減損処理は年度決算で見直さない(第63項)

2025年改正で、期中財務諸表に関する会計基準(第37号)の公表に伴い明確化された(第68-A2項)。第二種中間財務諸表の中間会計期間も同じ扱い。

減損損失の戻入れを行わないことと整合する。期中に減損した資産の減価償却は、期中から新しい帳簿価額で行う。

応用 E2

期中(四半期・中間)で減損したら ── 年度決算でやり直さない

📍 ラボの場所:応用タブ E2
ハルカ
第2四半期で減損 ▲300 を計上したら、年度末にもう一度、年間を通して判定し直すんだと思っていました。
先生
やり直さないんだ(第63項)。期中会計期間の減損処理は確定で、年度決算で事業年度全体を対象に改めて会計処理はしない。2025年の改正で明確になった点だよ。
迷いポイント 年度末までに業績がさらに悪化していたら?
ハルカ
第4四半期にさらに悪化していたら、第2四半期の数字のままで放っておくんですか。
先生
放ってはおかないよ。年度までに新たな兆候があれば、追加で判定して必要なら認識する。ただ、第2四半期の 300 を取り消したり計算し直したりはしないんだ。
ハルカ
第2四半期の減損は、ボールペンで書いた数字なんですね。年度末に鉛筆で書き直せると思っていました。
先生
鉛筆で書けるのは見積りの下書きまでで、計上した減損は消さない。戻入れをしないこととも整合しているんだよ。
💡 そうだったのか!
期中の減損は年度決算でやり直さない(第63項、2025年改正で明確化)。新たな兆候があれば追加で判定。戻入れなしと整合し、期中から新しい帳簿価額で償却。
📙 応用 E5 ラボの図
有形固定資産の帳簿価額= 本体 + 資産計上した除去費用(減損の対象になる帳簿価額)将来キャッシュ・アウト・フロー除去費用部分は含めない(負債に計上済み → 二重認識を避ける)
資産除去債務が負債に計上されている場合、将来CFの見積りに除去費用部分を含めない(資産除去債務基準 第44項)

除去費用は負債(資産除去債務)として既に認識され、対応する額が資産計上されて減価償却で費用配分されている。減損のCFでもう一度控除すると二重になる。

対象資産の帳簿価額には、資産計上された除去費用が含まれたまま減損の判定・測定を行う。

応用 E5

資産除去債務との関係 ── 除去費用を二重に見ない

📍 ラボの場所:応用タブ E5
ハルカ
資産除去債務を計上している設備の減損で、将来CFに除去費用を入れるかどうかで迷ったことがあります。
先生
入れないんだ(資産除去債務基準 第44項)。除去費用は負債に計上済みで、対応する額が資産に計上されて償却されている。減損のCFでもう一度引くと二重になるよ。
迷いポイント 除去費用を資産計上した分は、減損の帳簿価額から外す?
ハルカ
二重にならないように、帳簿価額の方からも除去費用分を外して判定するんですか。
先生
帳簿価額は含めたままだよ。資産計上した除去費用は有形固定資産の一部として表示されるからね。外すのは、将来キャッシュ・アウト・フローの除去費用部分だけなんだ。
ハルカ
法律が変わって新しく除去義務ができた場合は、どうなりますか。
先生
法律的環境の著しい悪化として、減損の兆候になりうるんだ(第14項(3))。引当金という科目名だけでは判断できないから、まず資産除去債務基準の対象かを確かめるんだよ。
💡 そうだったのか!
資産除去債務を計上していれば、減損の将来CFに除去費用を含めない(帳簿価額は含めたまま)。法令改正による除去義務の発生は兆候になりうる。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて減損会計ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

減損会計ラボを開く ▶
📝 減損会計ラボ【基礎編】(兆候・認識の判定・回収可能価額・配分)基礎編を読む ▶
📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
予算管理の単位(事業部)がそのままグルーピングの単位?資産と対応して収支を把握している単位が基礎。予算の単位より小さいことがある(第7・70項)応用A1
個別で計上した減損損失は連結でも必ずそのまま残る?連結管理上の単位で見直し、連結修正仕訳で戻し入れる場合がある(第10・75項)応用A3
本社費の配分で赤字になる店舗は兆候から外していい?外せない。減価償却費と本社費の配分を含む管理会計上の営業損益で判定(第12項(1))応用B1
20年で区切るのは減損が出やすくなるだけの上限?長期の不確実性を抑える上限。21年目以降は20年経過時点の回収可能価額として加算(第18項(2)・注4)応用C1
税引後のWACCや市場利回りをそのまま割引率に使える?使えない。(1−税率) で割り戻して税引前にそろえる。ハードルレートは上積み分を除く(第43・45項)応用C4
超過額の配分は帳簿価額の比で機械的に決まる?3通り。帳簿価額比/回収可能価額が分かるグループを下回らないように/差額の比(第48項(5))応用D2
年度末までに業績がさらに悪化していたら?期中の減損はやり直さない。新たな兆候があれば追加で判定(第63項)応用E2
除去費用を資産計上した分は減損の帳簿価額から外す?外さない。外すのは将来CFの除去費用部分だけ(資産除去債務基準 第44項)応用E5
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。応用の論点は、管理会計の区分が先にあって減損が後に来ること、見積りの不確実性を20年の上限と税引前の割引率で抑えること、そして「できる」扱いは根拠を残して継続すること。この3つに集約できるんだ。
ハルカ
基礎編では数字の計算を追っていましたが、今日は「どの単位で」「どの率で」「どの方法で」という選択の方が多かったです。前は選べると聞くと楽だと思っていたのに、今は選ぶ方が責任が重いと感じます。
先生
その感じ方が、実務の感覚に近いんだ。選んだ理由を文書で残しておけば、監査でも翌期の自分にも説明できるよ。
ハルカ
では、私の「選んだ理由」も今日から書き残します。まずは、お昼にどちらの定食にしたかから。
先生
定食の記録は継続適用しなくていいよ。次からは設例編で、グルーピングの設例1-1〜1-6をラボの画面と一緒に1つずつ見ていこうか。

参考資料

「固定資産の減損に係る会計基準」・「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日)、企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(最終改正 2025年10月16日。設例1〜10)、企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」第44項(減損との関係)、土地の再評価に関する法律第8条。IFRSは IAS 36「資産の減損」。基準確認日:2026年10月12日。ラボの設例は、原典の設例1〜10と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです(原典の数値は画面に出していません)。

シリーズ:基礎編/応用編 / 設例編:グルーピング編(設例1-1〜1-6)・判定と測定編(設例0・2〜6)・共用資産とのれん編(設例7-1・7-2・8)・配分と土地再評価編(設例9・10) / 関連:【早見表】固定資産の減損に係る会計基準・適用指針/KAM割引率とは?開示事例95社で学ぶ算定方法/資本連結ラボ【応用編】(個別の簿価と連結上の簿価)/リース会計ラボ【基礎編】(使用権資産・リース負債・割引率)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。