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人的資本可視化指針ラボ【応用編】|図で学ぶ人材戦略の3ステップ・独自指標の説明・業種別データ

人的資本可視化指針ラボ【応用編】|図で学ぶ人材戦略の3ステップ・独自指標の説明・業種別データ

無料の学習ツール「人的資本可視化指針ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📙 応用 早見表
要素論点考えられる開示(要約)項番
ガバナンスガバナンス機関の名称・役割リスク・機会を監督する機関と、その責任の位置づけ9項(1)(2)
ガバナンススキル・コンピテンシー監督機関が人的資本の戦略を監督するのに必要なスキル・能力をどう確保しているか9項(3)
ガバナンスモニタリング体制どの頻度で、どんな情報を入手して議論しているか9項(4)
ガバナンス経営者等への委任CHROや経営者等が関与する委員会等に役割を委任している場合、その内容と監督の方法10項
人材戦略人的資本関連のリスク・機会業績に大きく影響するリスク・機会(3つのCでの整理も有益との意見)14項(1)
人材戦略影響が生じる時間軸リスク・機会の影響が生じる時間軸(短期・中期・長期)と、その定義と計画期間との関係14項(2)〜(4)
人材戦略ビジネスモデル等への影響リスク・機会が現在・将来のビジネスモデルとバリュー・チェーンに与える影響15項
人材戦略当期の財務的影響リスク・機会が当期の財政状態・経営成績・キャッシュ・フローに与えた影響17項(1)(2)
人材戦略人材戦略を踏まえた将来の財務的影響人材戦略が将来の財政状態・業績・キャッシュ・フローに及ぼす影響(最も重要な情報との意見)17項(3)(4)
人材戦略戦略・意思決定への対応リスク・機会に人材戦略と意思決定でどう対応してきたか、今後どう対応するか23項
人材戦略レジリエンス人的資本のリスクから生じる不確実性に、戦略とビジネスモデルがどこまで耐えられるか24項・25項
リスク管理リスク管理のプロセスリスクを見つけ、評価し、見守るプロセスと、使う情報源29項(1)
リスク管理機会の管理プロセス機会についても識別・評価・モニタリングしている場合、そのプロセス29項(2)
リスク管理全社的リスク管理との統合人的資本のリスク管理が、全社的なリスク管理にどう統合されているか29項(3)
指標及び目標指標の開示リスク・機会と業績を見守る指標(独自の指標と比べやすい指標の組み合わせ)32項
指標及び目標比較可能性のある指標既存の基準・フレームワークの指標を使う場合は、その情報源35項
指標及び目標独自性のある指標企業が作成した指標の定義、算定方法、インプット、第三者認証の有無など36項
指標及び目標指標を変更したとき変更の内容・理由と、変更後の定義で更新した過去の数値(実務上不可能な場合を除く)37項・38項
指標及び目標目標の開示目標の指標、具体的な目標値、対象期間、基準期間、中間目標、実績など39項
はじめに

今日の題材 ── 4つの要素ごとの「考えられる開示」

📍 ラボの場所:応用タブ 早見表
ハルカ
基礎編で5段の流れと4つの要素は分かりました。応用タブは、表から始まるんですね。
先生
別紙の第2部が、ガバナンス・人材戦略・リスク管理・指標及び目標の4つの要素ごとに「投資家の期待」と「考えられる開示」を整理しているんだ。項番はSSBJの一般開示基準のもの。人的資本可視化指針ラボで行をクリックすると、別紙が架空のテック企業を念頭に書いた開示例の要約が開くよ。
ハルカ
この表をそのまま埋めれば、開示は完成ですか。
先生
表は地図であって、答えではないんだ。今日は応用タブから、人材戦略の作り方・時間軸・セグメント・独自指標の説明・経理の出番・株主還元・付録②・実際の業種別データの8つを順に見ていこうか。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A ラボの図
現在(500人)12018060125あるべき姿(5年後)(570人)160801509090開発エンジニア+40人AI専門人材+65人営業-30人カスタマーサクセス+30人管理部門-35人赤=不足(採用・育成)/紺=余剰(配置転換)ギャップ
② 必要な人材戦略・人的資本投資を整理あるべき姿と今を比べます。不足は採用・育成で、余りは配置転換やリスキリングで埋めます。
図の人数・施策は架空の例(AI機能を強みとするソフトウェア企業)です。
応用 A

人材戦略の策定:3つのステップ

📍 ラボの場所:応用タブ A
ハルカ
「あるべき姿 → ギャップ → 優先順位と時間軸」の3ステップですね。図は②のギャップを表示しています。
先生
架空のソフトウェア企業の例で、現在 500 人と5年後のあるべき姿 570 人を職種ごとに並べているんだ。AI専門人材は +65 人、開発エンジニアは +40 人、カスタマーサクセスは +30 人。逆に営業は −30 人、管理部門は −35 人だよ。
迷いポイント ギャップは「足りない人数」のこと?
ハルカ
ギャップというからには、足りない人数を数えて、その分を採用すればいいんですよね。
先生
足りない側だけではないんだ。赤が不足で、採用・育成で埋める。紺は余剰で、配置転換やリスキリングで活かす。営業の −30 人がカスタマーサクセスの +30 人に移る、というのが③で優先順位を付ける施策の1つなんだよ。
ハルカ
管理部門が 35 人も余るんですか。私の席も、数えられていませんよね。
先生
架空の会社の話だよ。それに、余りは配置転換で活かす方の数字なんだ。
💡 そうだったのか!
ギャップは不足と余剰の両方。不足は採用・育成、余剰は配置転換やリスキリングで埋め、③で優先順位と時間軸を付けます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用 A の「② ギャップと施策」を押す
  2. 続けて「③ 優先順位・時間軸」を押す

👀 ②では AI専門人材 +65 人・営業 −30 人などの差が赤と紺で出て、③では「AI人材のキャリア採用」が「影響が大きく、早く効く」最優先の位置に置かれます。

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📙 応用 B ラボの図
今1年後2年後3年後4年後5年後経営戦略人的資本中期目標:AI機能の売上比率30%目標:今年の研修受講率95%(1年のみ)⚠ 5年後の戦略目標とどうつながるのか分からない
応用 B

目標の時間軸は経営戦略とそろえる

📍 ラボの場所:応用タブ B
ハルカ
経営戦略の目標が5年後で、人的資本の目標が今年だけ。図には「⚠」が出ています。
先生
「ずれている例」を表示しているんだ。経営戦略は5年後に「AI機能の売上比率 30%」。それなのに人的資本の目標が「今年の研修受講率 95%」で終わっていると、5年後の戦略目標とどうつながるのかが読めないんだよ。
迷いポイント 人的資本の目標は、短い方が達成しやすくていい?
ハルカ
短い目標の方が毎年達成できて、開示の見栄えもいいと思います。
先生
投資家が見ているのは達成率ではなく、経営戦略とのつながりなんだ。「そろっている例」では、5年後に「AI専門人材 80 人」、途中に中間目標 40 人を置いている。指針は、経営戦略の目標の時間軸を念頭に人的資本の目標を設定する、という考え方だよ。5年後の事業開始に備えて3年後までに人材をそろえる、という目標も、この考え方に沿うんだ。
ハルカ
では、人的資本の目標を全部5年後に置いて、今年は何もしなくても大丈夫ですね。
先生
中間目標の 40 人が、その逃げ道をふさいでいるんだよ。
💡 そうだったのか!
人的資本の目標は経営戦略の時間軸と整合するように設定する。中間目標を置くのはよいが、戦略の目標年とのつながりを示します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用 B の「そろっている例」を押す
  2. 続けて「ずれている例」を押す

👀 「✔ 同じ時間軸」(5年後に AI専門人材 80 人、中間目標 40 人)と、「⚠ 5年後の戦略目標とどうつながるのか分からない」が切り替わります。

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📙 応用 C ラボの図
0%10%20%30%離職率(架空の例)連結グループ全体9.6%国内SaaS事業(従業員の50%)6.2%国内受託開発事業(従業員の35%)8.1%東南アジア子会社(従業員の15%)24.5%海外子会社に離職リスクが集中している
応用 C

連結平均では見えないもの:セグメント別の開示

📍 ラボの場所:応用タブ C
ハルカ
連結グループ全体の離職率は 9.6%。これなら問題なさそうに見えます。
先生
図をセグメント別に分けると、国内SaaS事業 6.2%、国内受託開発事業 8.1%、そして東南アジア子会社が 24.5% なんだ。従業員の 15% の子会社に、離職リスクが集中しているんだよ。
迷いポイント 連結の平均値を開示していれば、十分?
ハルカ
正直に言うと、私は月次の報告で全社平均の離職率しか見ていませんでした。
先生
その平均の裏に 24.5% が隠れていることがあるんだ。別紙は、新しい国の子会社で現地に合うサービスを担う人材を確保できるか、をリスク・機会として識別する例を挙げている。重要なリスクが一部の事業や地域にあるなら、セグメント別に出して説明するんだよ。
ハルカ
セグメント情報ラボで、事業ごとの利益を足しても連結の営業利益に戻らなかった話を思い出しました。全体の数字と事業ごとの数字は、別々に見ないといけないんですよね。
先生
よく覚えていたね。あちらは合計と連結の差を調整額で説明した。こちらは平均の中に隠れた差を、セグメント別に出して説明するんだ。
💡 そうだったのか!
連結平均は集中したリスクを隠す。重要なリスクがある事業・地域は、セグメント別に開示します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用 C の「セグメント別に分ける」を押す

👀 連結全体 9.6% の1本の棒が3本に分かれ、東南アジア子会社の 24.5% に「海外子会社に離職リスクが集中している」の注記が付きます。

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📝 セグメント情報ラボ【基礎編】(各事業の利益を足せば連結になる?)記事を読む ▶
📙 応用 D ラボの図
指標:「AIアカデミー修了者数 55人」
3/5説明の充足度
伝わり方意味は伝わり始めました。残りの説明がそろうと、経営戦略とのつながりまで読み取れます。
応用 D

独自指標を開示するときに添える説明

📍 ラボの場所:応用タブ D
ハルカ
「AIアカデミー修了者数 55 人」。独自の指標ですね。人的資本可視化指針ラボでチェックを入れると、充足度のメーターが上がるんですね。
先生
独自の指標は、それだけでは投資家に伝わらないんだ。定義・算定方法、重要だと考える理由、人材戦略とのつながり、時系列の実績と目標、財務諸表とのつながり。この5つの説明を足すと、55 人という数字が「成長ストーリーの証拠」になるんだよ。
迷いポイント 独自指標は、定義さえ書けば十分?
ハルカ
「修了=全6講座の修了試験に合格した社員数」と定義を書けば、あとは数字だけで伝わりますよね。
先生
定義だけでは「55 人は多いのか少ないのか」が分からないんだ。3年前 20 人から今年 55 人、目標 80 人という推移と、研修費が人件費に含まれるという財務とのつながりまで添えて、初めて読む側が評価できる。この5つは指針2.1.2と別紙の整理で、そのうち定義・算定方法・インプットは、SSBJの一般開示基準36項が独自の指標に求める説明と重なるんだ。36項は、第三者認証の有無や算定方法の限界・重要な仮定も挙げている。認証が必須という意味ではなく、していないならその旨を書く、という要求なんだよ。
💡 そうだったのか!
独自指標には5つの説明(定義・理由・戦略とのつながり・推移と目標・財務とのつながり)を添えます(指針2.1.2・別紙p.18、74)。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用 D のチェックを5つすべて入れる

👀 メーターが 1/5 から 5/5 になり、「✔ 定義から財務とのつながりまでそろい、独自指標が「成長ストーリーの証拠」として機能します」と出ます。

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📝 KPI設定マニュアル:人材育成の効果を数値化する記事を読む ▶
📙 応用 F ラボの図
人事部門戦略部門として経営トップCHRO・CXO等事業部門経営企画財務・経理IRサステナビリティ+ 従業員との対話:長期ビジョンや価値観を含めて共感を深め、社内に浸透させる
財務・経理人件費・研修費の内訳と財務諸表のつながり、人材戦略の財務的な影響を担う
会計人材の出番:人件費の内訳や、業績への影響の説明は経理・財務の専門領域です。
応用 F

経営層のコミットメントと人事部門の役割

📍 ラボの場所:応用タブ F
ハルカ
人事部門を中心に、経営トップ・事業部門・経営企画・財務・経理・IR・サステナビリティが並んでいます。経理も入っているんですね。
先生
図は「財務・経理」を選んだ状態なんだ。人件費・研修費の内訳と財務諸表のつながり、人材戦略の財務的な影響の見積り。ここは経理・財務の専門領域で、人事部門だけでは書けない部分だよ。
迷いポイント 人的資本の開示は、人事部門が1人で完成させるもの?
ハルカ
人事部門が原稿を書いて、経理は数字を渡すだけ、という分担でいいですよね。
先生
改訂版は、人事部門を管理部門ではなく「戦略部門」として、経理・財務やIRと組んで人材戦略をリードする役割と見ているんだ。経理が渡すのは数字だけではない。人件費の内訳がどの投資に当たるのか、人材戦略が将来の業績にどう効くのか、その説明を一緒に組み立てるんだよ。
💡 そうだったのか!
人的資本の開示は人事と経理・財務・IRの共同作業。財務とのつながりの説明は経理の出番です。
📙 応用 H ラボの図
人的資本投資中長期の企業価値の向上株主のリターン(還元・株価)両者は相反しない質の高い投資は、企業価値を通じて投資家の利益になる
改訂版の見方人的資本投資で企業価値が上がれば、投資家の利益にもなります。目先の利益は減っても、中長期のリターンにつながるという考え方です。
応用 H

株主還元と人的資本投資は「相反」するのか

📍 ラボの場所:応用タブ H
ハルカ
株主還元と人的資本投資。限られた利益の取り合いですよね。配当を増やせば研修費は減るし。
先生
それが「よくある見方」の方なんだ。図は改訂版の見方を表示しているよ。人的資本投資で中長期の企業価値が上がれば、株主のリターンにもつながる。両者は相反しない、という整理なんだ。
迷いポイント 人的資本投資は、目先の利益を減らすから投資家は嫌がる?
ハルカ
投資家は今期の利益を見ているので、費用が増える人的資本投資は嫌がると思っていました。
先生
別紙は、質の高い人的資本投資は足元の利益を減らす要因であっても、中長期の企業価値の向上を通じて株主のリターンに影響する、と整理しているんだ。だから改訂版は、人的資本投資の拡大が投資家の利益にもつながるという認識に立った対話を勧めているんだよ。
ハルカ
配当をもらう側と、研修を受ける側が綱引きしている図を想像していました。少し悲しかったです。
先生
改訂版の図では、同じ方向を向いて綱を引いているんだよ。
💡 そうだったのか!
株主還元と人的資本投資は企業価値でつながる。目先の利益は減っても、中長期のリターンに効くという考え方です。
📙 応用 I ラボの図
Composition(構成)人材の流動性ダイバーシティCapability人材育成Conditions(労働・職場環境)賃金従業員エンゲージメント健康・安全コンプライアンス・労働慣行付録②は、ISSB・SSBJ・SASB・米国SEC・EU(CSRD/ESRS)・有報の開示事項例を、この7分野に並べています参考資料であり、チェックリストではありません
C賃金の開示事項例(要約)
  • 平均給与、平均給与の対前年増減率(有報)
  • 従業員給与等の決定方針(有報、2026年3月期から)
  • 平均時給、最低賃金を得ている従業員の割合(SASB)
  • 適正賃金、年間報酬総額の比率(最高報酬取得者 ÷ その人を除く全従業員の中央値)(ESRS案)
  • 男女の賃金の差異(有報)
応用 I

付録②:領域別の開示事項例

📍 ラボの場所:応用タブ I
ハルカ
付録②は、3つのCの領域別に7つの分野があって、人的資本可視化指針ラボで分野をクリックすると開示事項例が出るんですね。図は「賃金」です。
先生
有報の平均給与や対前年増減率、SASB、ESRSなど、国内外の基準の開示事項例を並べた資料なんだ。どの基準がどの項目を求めているかを見比べられるよ。
迷いポイント 付録②の項目を全部開示すれば、国際基準にも対応できる?
ハルカ
ここに並ぶ項目をチェックリストにして、全部埋めれば完璧ですね。
先生
付録②自身が「チェックリストやテンプレートとして使うことを想定していない」と書いているんだ。法令や基準で必須の事項を満たしたうえで、自社の成長ストーリーを説明するのに合う開示事項を主体的に選ぶための参考資料なんだよ。それと、表のESRSの項目は2026年5月時点の案を基にしていて、その後に確定版が官報に載っている。細かい項目は原文で確かめる必要があるんだ。
💡 そうだったのか!
付録②はチェックリストではなく参考資料。法定の必須事項を満たしたうえで、自社のストーリーに合う項目を選びます。ESRSは確定版で確認を。
📝 サステナビリティ開示 文例ナビゲーター(他社の記載を見る)ツールを見る ▶
📙 応用 J ラボの図
0%25%50%75%100%その他金融業サービス業医薬品銀行業中央値 15.2%(61社)小売業情報・通信業不動産業食料品倉庫・運輸関連精密機器その他製品卸売業陸運業化学電気機器輸送用機器金属製品ガラス・土石製品機械建設業鉄鋼業種の中央値25〜75%の幅全業種の中央値 7.1%
女性管理職比率:銀行業 の中央値 15.2%(全業種 7.1%)業種で中央値が数倍違います。「10%」は建設業では上位、銀行業では下位です。
比べやすい指標こそ、「同業と比べて」「戦略から見て」どうかの説明が要ります。
応用 J

実データで見る:比較可能な指標は業種でこんなに違う

📍 ラボの場所:応用タブ J
ハルカ
これは実際のデータですね。女性管理職比率を業種別に並べると、こんなに違うんですか。
先生
taxjudgeが2026年3月期の有報、上場 2,199 社を対象に、指標ごとに開示している会社を集計したものなんだ。女性管理職比率なら 1,719 社だよ。銀行業の中央値は 15.2%、全業種は 7.1%。建設業は 2.9% だよ。箱は「真ん中の半分」、第1四分位数から第3四分位数までの幅なんだ。
迷いポイント 女性管理職比率 10% は、よい数字?
ハルカ
10% あれば、全業種の中央値 7.1% を超えているので、どの業種でも胸を張れますよね。
先生
業種で評価が逆になるんだ。10% は建設業では上位の方だけれど、銀行業では中央値 15.2% を下回る。比べやすい指標こそ、「同業と比べてどうか」「自社の戦略から見てどうか」の説明が要るんだよ。基礎編の天秤で見た、比較可能性の指標に文脈を添える話と同じなんだ。
ハルカ
建設業なら 10% で上位ですか。では来週から建設業に転職すれば、私も上位に…。
先生
転職の話ではなく、同業と比べる話だよ。
💡 そうだったのか!
比較可能な指標は業種で水準が数倍違う。同業の分布と自社の戦略に照らして説明します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. 応用 J で業種のプルダウンを「建設業」にする
  2. 指標のボタンを「平均年間給与」に切り替える

👀 女性管理職比率は建設業の中央値 2.9%(全業種 7.1%)、平均年間給与は建設業 867 万円(全業種 688 万円)と、業種で位置が入れ替わります。

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📝 人的資本開示ベンチマーク(同業比較ツール)ツールを見る ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて人的資本可視化指針ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
ギャップは足りない人数のこと?不足と余剰の両方。採用・育成と配置転換で埋める(指針2.2.1)応用A
人的資本の目標は短い方がいい?経営戦略の時間軸と整合するように設定する。中間目標は可(指針2.1.2)応用B
連結平均を開示すれば十分?集中したリスクはセグメント別に出す(別紙p.22)応用C
独自指標は定義だけで十分?定義・理由・戦略・推移と目標・財務の5つを添える(指針2.1.2・別紙p.18、74。定義・算定方法等はSSBJ一般開示基準36項)応用D
開示は人事部門だけで完成?経理・財務・IRとの共同作業。財務とのつながりは経理の出番(指針2.2.1)応用F
投資家は人的資本投資を嫌がる?企業価値を通じて株主のリターンにつながる(指針1.2.1)応用H
付録②を全部埋めれば完璧?チェックリストではない。法定の必須事項を満たしたうえで自社に合う項目を選ぶ(付録②)応用I
女性管理職比率 10% はよい数字?業種で評価が逆になる。同業の分布と戦略で説明(応用Jの実データ)応用J
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。人材戦略はあるべき姿とのギャップから作り、目標は経営戦略の時間軸と整合させる。開示する数字には、セグメント・定義・推移・財務とのつながりという文脈を添える。この2つを持ち帰ってほしいんだ。
ハルカ
基礎編では「数字は文脈があって意味を持つ」と習いました。今日は、その文脈をどう作るかの練習だった気がします。前は指標の数を気にしていたけれど、今回は説明の方が大事だと分かりました。
先生
いい整理だね。指標は少なくても、説明がそろっていれば伝わる。逆は難しいんだ。
ハルカ
では、うちの会社の有報の人件費の内訳を、明日こっそり眺めてみます。こっそりでなくてもいいですよね。
先生
堂々と眺めていいよ。それが経理の出番なんだから。ここまで読んだら基礎編から読み返すと、天秤や5段の流れの見え方がきっと変わるよ。ラボの設例タブの架空の3社も、同じ流れで追えるんだ。

参考資料

内閣官房・金融庁・経済産業省「人的資本可視化指針(改訂版)」「別紙 戦略に焦点をあてた人的資本開示」(2026年3月23日)、「付録② 人的資本に関する開示基準・開示事項例の整理」(2026年5月)、サステナビリティ基準委員会「サステナビリティ開示テーマ別基準第1号『一般開示基準』」。確認日:2026年10月12日。原文は内閣官房(非財務情報可視化研究会)で公開されています。応用A〜Hの事例・数値は架空の例、応用Jの数値はtaxjudgeが有価証券報告書から集計した実データです。公認会計士が監修しています。
動画で聞く:人件費はコストか明日への投資か(YouTube・22分)

シリーズ:人的資本可視化指針ラボ【基礎編】/人的資本可視化指針ラボ【応用編】(この記事)/人的資本開示/業種別の傾向と事例(総合ガイド)/女性管理職比率・男女間賃金差異の業種別相場/人的資本開示ベンチマーク(同業比較ツール)

📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る ▶

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。