ふるさと納税ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ手続の落とし穴・上限超えの負担・返礼品のルール・2027年の改正
無料の学習ツール「ふるさと納税ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
はじめに
今日の題材 ── 状況別の処理早見表
📍 ラボの場所:応用タブ 1
ハルカ
先生、基礎編で「上限の範囲内なら」「申告をしないなら」の2つの条件が分かりました。今日はその条件から外れたときですか。
先生
そう、外れたときに何が起きるかを見ていくんだ。早見表の行は、どれも社内で聞かれそうな状況だよ。手続、上限を超えた負担、限度、返礼品のルール、2027年の改正の順に進もうか。
ハルカ
「年の途中で引っ越した」「申告で書き忘れた」まであります。質問の答えが、表に先回りされています。
先生
表で行を見つけたら、応用タブの各節で理由を確かめるといいよ。上から読んでいこうか。
📙 応用 2 ラボの図
例:3団体に合計6万円を寄附し、全部ワンストップを申請。あとで医療費控除の確定申告をした(独自の数値・所得税率10%)。
✖ 申告書に1団体分(3万円)しか書かなかった
控除される額:28,000円
残り2団体(3万円)はワンストップも無効なので控除されない。
✔ 3団体の合計6万円を書いた
控除される額:58,000円
自己負担は2,000円(上限の範囲内)。
控除漏れ30,000円→所得税更正の請求+住民税市区町村に相談
応用 2
確定申告をするとワンストップ特例は無効になる
📍 ラボの場所:応用タブ 2
ハルカ
3団体に6万円を寄附して全部ワンストップを申請。医療費控除の確定申告で1団体分の3万円しか書かないと、控除は28,000円。全部書けば58,000円です。
先生
差の30,000円が控除漏れなんだ。申告をした時点で、申請済みのワンストップ特例は無効になる。申告書に書かなかった寄附は、どこでも控除されないよ。
迷いポイント 申告書には、ワンストップを申請していない寄附だけ書けばよい?
ハルカ
申請済みの分は自治体で手続が済んでいるので、申告書には申請していない分だけを書けばよいと思っていました。
先生
基礎6で見たとおり、申告をすると申請そのものが無効になるんだ。だから申請済みの分も含めて、その年のふるさと納税を全部書くよ。
ハルカ
申請済みの分は、もう別の窓口で受け付けてもらった気でいました。
先生
申告をした時点で、その窓口は閉まると思えばいいよ。書き漏れに後で気づいたら、所得税は更正の請求、住民税は住んでいる市区町村に相談しようか。
💡 そうだったのか!
確定申告をすると
ワンストップ特例は無効。申請済みの分も含めて、その年の寄附を
全部申告書に書きます。
📙 応用 3 ラボの要点
期限寄附した翌年の1月10日まで。12月末の寄附は特に間に合うか注意します。5団体の数え方同じ自治体に何回寄附しても1団体です。変更の届出申請後に住所・氏名などが変わったら、寄附先に変更の届出を出します(翌年1月10日まで)。💡 実務間に合わなかったら確定申告で寄附金控除を受けられます(その場合は全部の寄附を書く)。 応用 3
特例申請書の期限と変更の届出
📍 ラボの場所:応用タブ 3
ハルカ
申請書は、寄附した翌年の1月10日までに寄附先に届く必要があるんですね。12月末の寄附は、特に急がないといけません。
先生
そう、期限は「届く」日なんだ。申請のあとで住所や氏名が変わったら、寄附先に変更の届出を出す。これも翌年1月10日までだよ。
迷いポイント 同じ自治体に3回寄附したら、3団体と数える?
ハルカ
5団体以内という条件は、寄附した回数で数えるのだと思っていました。同じ町に3回寄附したら、それだけで3団体分です。
先生
同じ自治体に何回寄附しても、1団体と数えるんだ。ただし申請書は寄附ごとに出すのが一般的だから、回数の分だけ書類が要ることは覚えておこうか。
ハルカ
期限に間に合わなかったら、もう控除は受けられないんですか。
先生
確定申告をすれば、寄附金控除を受けられるよ。その場合も、その年の寄附を全部書くんだ。
💡 そうだったのか!
申請書と変更の届出は
翌年1月10日までに寄附先へ。5団体は
自治体の数で数え、間に合わなければ確定申告で控除を受けます。
📙 応用 4 ラボの要点
年の区切り1〜12月の寄附を合計します。12月の寄附が翌年扱いにならないよう、支払った日(受領証の日付)を確かめます。住民税の時期寄附した年の翌年度(6月〜翌年5月)の住民税が減ります。会社員は毎月の給与天引きの額で確かめます。所得税の時期確定申告をした人は、申告後に還付されます。ワンストップ特例の人は所得税の還付はなく、住民税が減ります。 応用 4
どの年の寄附になるか ── 12月の寄附と翌年度の住民税
📍 ラボの場所:応用タブ 4
ハルカ
控除は1月から12月の寄附を合計して、住民税はその翌年度、6月から翌年5月の分が減るんですね。
先生
そう、所得税は確定申告をした人なら申告後に還付される。ワンストップ特例の人は所得税の還付はなくて、翌年度の住民税がまとめて減るんだ。
迷いポイント 12月31日に寄附しても、手続が翌年なら翌年の寄附になる?
ハルカ
年末に寄附して、受領証が届くのが1月なら、翌年の寄附として扱われると思っていました。
先生
寄附をした日、つまり支払った日がどの年かで決まるんだ。受領証に書かれた日付で確かめるよ。12月の寄附なら、その年の所得と上限で考えるんだ。
ハルカ
大みそかは、除夜の鐘より受領証の日付が気になりそうです。
先生
日付さえ確かめれば、鐘はゆっくり聞いていいよ。年末の寄附は、その年の上限の目安と申請書の期限の両方を見ておこうか。
💡 そうだったのか!
寄附は
支払った日の年の分(1〜12月の合計)。住民税は
翌年度に減り、ワンストップ特例なら所得税の還付はありません。
📙 応用 5 ラボの図
上限ちょうどまで寄附した人が、さらに1万円寄附した場合。自己負担の合計=基本の2,000円+負担の増加額。
学習用の概算。上限を超えた部分は、確定申告なら所得税の分と基本分(10%)が、ワンストップ特例なら基本分(10%)だけが控除されます(申告特例控除額は特例控除額をもとに計算するため)。
応用 5
上限を超えたときの自己負担 ── ワンストップのほうが重くなる
📍 ラボの場所:応用タブ 5
ハルカ
上限ちょうどまで寄附した人が、さらに1万円寄附した場合の表ですね。税率10%なら、確定申告で約7,979円、ワンストップで約9,000円の負担増です。
先生
そう、上限を超えた部分は特例分で控除されないんだ。確定申告なら所得税の分と基本分(10%)が残るけれど、ワンストップ特例では基本分だけになるよ。
迷いポイント 上限を超えても、手続の違いで自己負担は変わらない?
ハルカ
上限の範囲内なら、どちらの手続でも控除の合計は同じでした。超えたときも同じだと思っていました。
先生
ワンストップ特例の申告特例控除額は、特例分をもとに計算するんだ。特例分が頭打ちになると、所得税の代わりの分も増えない。だから超えた部分の負担が重くなるよ。
ハルカ
上限を1万円超えただけで、自己負担が2,000円から11,000円。自分の気前のよさに、税金がついてきてくれませんでした。
先生
気前のよさは寄附先には届いているよ。ただ税金の面では、超えた分は寄附そのものなんだ。上限ぎりぎりではなく、少し余裕を持たせておこうか。
💡 そうだったのか!
上限を超えた部分の負担は
ワンストップ特例のほうが重い(確定申告は所得税の分と基本分、ワンストップは基本分だけが控除)。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 「控除の動き」タブで寄附額を 74664 にする(初期値の条件・手続はワンストップ特例)
- 手続を「確定申告」に変える
👀 自己負担が 11,000円から 9,979円に変わります。上限 64,664円を1万円超えた分の負担の差です。
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📙 応用 6 ラボの要点
所得税寄附金控除の対象は総所得金額等の40%まで総務省 制度概要。住民税基本分の対象は総所得金額等の30%まで総務省 制度概要。特例分は30%の限度の対象外で、所得割額の20%が上限です地方税法第37条の2第11項。⚠ 注意所得が少ない年収入が大きく減った年に、例年と同じ額を寄附すると限度に当たることがあります。 応用 6
所得税40%・住民税30%の限度
📍 ラボの場所:応用タブ 6
ハルカ
控除の対象になる寄附額には、所得税は総所得金額等の40%、住民税の基本分は30%の限度があるんですね。
先生
そう、所得が少ない年に例年と同じ額を寄附すると、この限度に当たることがあるんだ。収入が大きく減った年は気をつけたいね。
迷いポイント 住民税の30%の限度は、特例分にも掛かる?
ハルカ
住民税の限度が30%なら、基本分も特例分も、同じ30%の中で計算するのだと思っていました。
先生
30%の限度は基本分の計算にだけ使うんだ。特例分は30%の限度の対象外で、上限は所得割額の20%だよ(地方税法第37条の2第11項)。限度ごとに、どの控除に効くかを分けて見ようか。
ハルカ
40%は所得税、30%は基本分、20%は特例分。数字ごとに担当が違うんですね。
先生
そう、担当を取り違えないことが大事なんだ。ラボの「控除の動き」タブで、総所得金額等を小さくすると確かめられるよ。
💡 そうだったのか!
限度は
所得税40%・基本分30%(総所得金額等に対して)。特例分は30%の対象外で、
所得割額の20%が上限です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 「控除の動き」タブで、総所得金額等を 100000 にする(寄附4万円・ワンストップ特例のまま)
👀 「寄附額が総所得金額等の30%を超えています」と注意が出て、基本分が 2,800円に下がり、自己負担が 3,001円になります。
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📙 応用 7 ラボの図
✖ 禁止される例
・ポータルサイト運営事業者が寄附に付けるポイント(マイル・コイン等の名称を問わない)
・ポイントサイト経由でポータルサイトに移って寄附したときのポイント
・カード会社・決済事業者が、ふるさと納税の決済だけに追加で付けるポイント
✔ 対象外の例
・クレジットカード等の決済で、通常の買い物と同じように付くポイント
・自治体からのお礼状・感謝状・広報誌(経済的価値がない)
応用 7
ポータルサイトのポイント付与の禁止
📍 ラボの場所:応用タブ 7
ハルカ
禁止されるのは、ポータルサイトが寄附に付けるポイント、ポイントサイト経由のポイント、ふるさと納税の決済だけに追加で付くポイント。
先生
そう、名称を問わず、こうしたポイントを付けるサイトを通じた募集が禁止されたんだ(2025年10月から)。クレジットカード決済で、通常の買い物と同じように付くポイントは対象外だよ。
迷いポイント カード決済で付くポイントも、すべて禁止になった?
ハルカ
ポイントが禁止されたと聞いて、クレジットカードで寄附したときのポイントも、全部付かなくなったと思っていました。
先生
対象外なのは、通常の商取引と同じように付くポイントなんだ。総務省の指定制度Q&A(問3・問7)で禁止されたのは、ふるさと納税の寄附に向けて追加で付けるポイントのほうだよ。
ハルカ
ポイントを貯めて次の寄附に回す作戦は、立てる前に終わっていました。
先生
作戦を立てる前でよかったね。もう一つ、住んでいる自治体に寄附しても控除は受けられるけれど、返礼品は提供されないんだ。
💡 そうだったのか!
禁止されたのは
寄附に追加で付けるポイント。通常の決済ポイントは対象外です。地元の自治体への寄附は、控除はあっても返礼品はありません。
📙 応用 8 ラボの図
✔ 地場産品と認められる例
・区域内の果物を100%使い区域外で作ったジェラート
・区域外の原料を区域内の醸造所で醸造した酒
✖ 認められない例
・区域外で作ったビールに自治体のシールを貼っただけ
・輸入牛を区域内で熟成させただけの肉(熟成・精白は都道府県内産が原料のものに限る)
応用 8
返礼品のルール ── 返礼割合3割以下・地場産品
📍 ラボの場所:応用タブ 8
ハルカ
返礼品は返礼割合3割以下、地場産品であること。区域内の果物を使って区域外で作ったジェラートは、地場産品と認められる例なんですね。
先生
そう、原材料の主要な部分が区域内産か、区域内の工程で相応の付加価値が生じたものなどが地場産品なんだ。返礼割合は、個別の返礼品ごとに3割以下だよ。
迷いポイント 区域外で作った品でも、自治体のシールを貼れば地場産品?
ハルカ
自治体のロゴが付いていれば、その町の品として認められるのだと思っていました。
先生
シールを貼っただけでは、地場産品にならないんだ。輸入牛を区域内で熟成させただけの肉も認められない例だよ。基準に反すると、自治体の指定が取り消されるんだ。
先生
返礼品が急に変わったり取りやめになったりするのは、こうした基準の見直しが背景にあることがあるんだ。なお、法人が寄附する企業版ふるさと納税は別の制度で、返礼品の考え方も違うよ。
💡 そうだったのか!
返礼品は
返礼割合3割以下・地場産品。シールを貼っただけの品は認められず、基準に反すると指定が取り消されます。
📙 制度改正 2 ラボの図
特例分の上限(2026年分まで)2,400,000円→2027年分から1,930,000円
寄附の目安(税率45%・2026年)5,449,735円→2027年から4,382,887円
💡 所得割額が965万円を超える人は、2027年の寄附から上限の目安が下がります。
制度改正 2
2027年の寄附分から ── 特例控除額に193万円の定額上限
📍 ラボの場所:制度改正タブ 2
ハルカ
所得割額1,200万円・税率45%の人は、特例分の上限が240万円から193万円に下がって、寄附の目安も5,449,735円から4,382,887円に下がるんですね。
先生
そう、2027年(令和9年)の寄附分から、特例分に193万円の定額上限が加わるんだ。住民税では令和10年度分から影響が出るよ。
迷いポイント 2027年から、寄附できる額に193万円の上限ができる?
ハルカ
「193万円の上限」と聞いて、1年に寄附できる額が193万円までになると思っていました。
先生
193万円は特例分(特例控除額)の上限で、寄附できる額の上限ではないんだ。所得税の寄附金控除と住民税の基本分は変わらないから、超えた寄附にもその分の控除は付くよ。
先生
住民税の所得割額が965万円を超える場合なんだ。総務省のモデルケースでは給与収入1億円が目安だよ。一般的な所得の人の上限の計算は変わらないんだ。
💡 そうだったのか!
2027年の寄附分から、
特例分に193万円の定額上限。寄附額の上限ではなく、影響するのは
所得割額が965万円を超える場合です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- 「控除の動き」タブで「設例6」を読み込む(2027年・寄附500万円)
- 寄附する年を「2026年(令和8年)」に変える
👀 自己負担が 273,869円から 2,000円に変わります。同じ寄附でも、2027年からは特例分が 1,930,000円で頭打ちになります。
ラボを開く ▶
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべてふるさと納税ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。
ふるさと納税ラボを開く ▶
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。