ふるさと納税ラボ【基礎編】|先生と一緒に図で学ぶ実質2,000円・3つの控除・上限額・ワンストップ特例
無料の学習ツール「ふるさと納税ラボ」の読み方ガイドです。ラボの基礎タブを上から順に、先生と生徒の会話形式で見ていきます。登場する人物と設例の数値はすべて架空の例です。解説は公認会計士・税理士が監修しています。各行の図はラボの図そのものです(記事内の図は表示用で、ボタンやクリックの操作はできません。操作は各節の「ラボで開く」「ラボを開く」からラボ本体で試せます)。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
今日の事例
説明用の例(独自の数値・ラボの初期値)
| 寄附する人 | 会社員・独身・給与のみ |
| 所得税の税率 | 10%(復興特別所得税を含めると10.21%) |
| 住民税の所得割額 | 25万円 |
| 総所得金額等 | 350万円 |
| 寄附 | 1年間に3つの自治体へ合計4万円 |
| 手続 | ワンストップ特例(申請書を3団体に提出) |
はじめに
今日の題材 ── 4万円を寄附した会社員
📍 ラボの場所:基礎タブ全体
ハルカ
先生、年末調整ラボの応用編で「寄附金控除は年末調整では受けられない」と習いました。最近、社内でふるさと納税のことをよく聞かれるんです。
先生
よく覚えていたね。今日はその寄附金控除の中身を、ふるさと納税ラボで開けていくんだ。題材は、所得税率10%・住民税の所得割額25万円の人が、4万円を寄附した例だよ。
ハルカ
「2,000円で返礼品がもらえる」としか説明できなくて、困っていました。
先生
その説明が、どこまで正しいかも見ていこう。表を手元に置いて、ラボの「基礎」タブを上から順に読んでいこうか。
📗 基礎 1 ラボの図
原則:寄附 → 受領証 → 確定申告 → 所得税の還付と翌年度の住民税の減額、の5段です。番号のボタンで1段ずつ見られます。
💡 どちらの方法でも、控除される合計額は同じです(上限の範囲内なら「寄附額−2,000円」)。
基礎 1
ふるさと納税は「納税」ではなく「寄附」 ── 寄附から控除までの流れ
📍 ラボの場所:基礎タブ 1
ハルカ
寄附 → 受領証 → 確定申告 → 所得税の還付と翌年度の住民税の減額、の5段ですね。ボタンを押すと、ワンストップ特例の流れにも切り替わります。
先生
そう、手続は確定申告とワンストップ特例の2つなんだ。どちらでも、上限の範囲内なら控除される合計は「寄附額−2,000円」で同じだよ。
迷いポイント ふるさと納税は、住民税を別の自治体に前払いする「納税」?
ハルカ
名前に「納税」とあるので、住んでいる町に払う住民税を、別の町に先に納める仕組みだと思っていました。
先生
それが、そうではないのだよ。法律の上では、自治体への寄附なんだ。寄附した人は、所得税の寄附金控除と住民税の寄附金税額控除で税が軽くなる。寄附先は、総務大臣の指定を受けた自治体だけだよ。
ハルカ
名前に「納税」と入っているのに、中身は寄附。名前に、すっかりだまされていました。
先生
名前は制度の愛称だと思えばいいよ。住民税が減るのは寄附した年の翌年度、6月からなんだ。会社員なら、給与天引きの額が下がる形で現れるよ。
💡 そうだったのか!
ふるさと納税は
自治体への寄附。「寄附額−2,000円」が上限まで所得税と住民税から控除され、手続は確定申告かワンストップ特例の2つです。
📗 基礎 2 ラボの図
寄附を増やしても、自己負担は本当に2,000円のまま?
自己負担2,000円所得税(所得控除)住民税 基本分住民税 特例分申告特例分(ワンストップ)上限を超えた自己負担
寄附額40,000=自己負担2,000+所得税3,880+住民税 基本分3,800+住民税 特例分30,320
💡 寄附額がいくらでも(上限の目安 64,664円 まで)、自己負担は2,000円のままです。
基礎 2
「実質2,000円」の正しい意味 ── 上限までなら自己負担は2,000円
📍 ラボの場所:基礎タブ 2
ハルカ
寄附4万円の内訳は、自己負担2,000円、所得税3,880円、住民税の基本分3,800円、特例分30,320円。足すと4万円ちょうどです。
先生
そう、控除される額は合計38,000円で、残りの2,000円が自己負担なんだ。この2,000円は、何団体に何回寄附しても1年に1回だけ差し引くよ。
迷いポイント いくら寄附しても、自己負担は2,000円のまま?
ハルカ
社内では「2,000円で返礼品がいくつでももらえる」と説明していました。寄附を増やしても、2,000円のままですよね。
先生
2,000円で済むのは、寄附額が上限の範囲内のときだけなんだ。この例の上限の目安は64,664円。それを超えた部分は特例分で控除されないから、ほとんどが自己負担になるよ。
先生
寄附するときは、まず4万円を全額支払うんだ。その後、所得税の軽減・還付と翌年度の住民税の減額で、税負担が合計3万8,000円軽くなる。残りの2,000円が自己負担だよ。
💡 そうだったのか!
「実質2,000円」は
上限の範囲内のときだけ。2,000円は年1回で、上限を超えた部分は自己負担になります。
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- 基礎2 の図の上のボタンで「寄附 9万円」を押す
👀 控除される額は 67,785円、自己負担は 22,215円になります。上限の目安 64,664円を超えた分のうち 20,215円が自己負担に上乗せされます。
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📗 基礎 3 ラボの図
① 所得税(寄附−2,000)×所得税率×1.02110.21%=所得税の軽減3,880円
② 住民税 基本分(寄附−2,000)×税率10%=基本分3,800円
③ 住民税 特例分(寄附−2,000)×90%−①の税率79.79%=特例分30,320円
💡 税率を変えても ①+②+③ = 38,000円(寄附額−2,000円)。所得税が多い人ほど、住民税の特例分が小さくなるように作られています。
基礎 3
所得税と住民税の3つの控除 ── 合計すると「寄附額−2,000円」
📍 ラボの場所:基礎タブ 3
ハルカ
①所得税、②住民税の基本分、③住民税の特例分。①は「寄附−2,000円」に10.21%、②は10%、③は79.79%を掛けています。
先生
①は所得控除で、寄附額−2,000円を所得から引くから、所得税率の分だけ税が軽くなる。1.021を掛けるのは、復興特別所得税を含めた率で計算するからだよ。
迷いポイント 所得税率が高い人ほど、控除の合計も大きくなる?
ハルカ
所得税の分は税率に比例して増えるので、税率が高い人ほど控除の合計も大きくなると思いました。
先生
合計は、税率に関係なく「寄附額−2,000円」なんだ。③の特例分が(90%−所得税率×1.021)で計算されるから、①が増えた分だけ③が減る。税率20%なら、所得税は7,760円、特例分は26,440円になるよ。
ハルカ
所得税が張り切ると、特例分が一歩下がる。息の合った二人組ですね。
先生
二人で合計38,000円になるように作られているんだ。ただし上限の範囲内の話だということは、次の基礎4で確かめようか。
💡 そうだったのか!
控除は
所得税・住民税の基本分・特例分の3つ。所得税率が変わっても、特例分が調整して、合計は「寄附額−2,000円」になります。
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- 基礎3 の図の上のボタンで「所得税率 20%」を押す
👀 所得税が 7,760円に増え、特例分が 26,440円に減ります。合計は 38,000円のままです。
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📗 基礎 4 ラボの図
特例分には「住民税所得割額の2割まで」という上限があります。寄附額を動かしてみましょう。
寄附額
所得割額250,000×上限20%=特例分の上限50,000
特例分の上限50,000÷90%−所得税率×1.02179.79%+下限2,000=寄附の上限の目安64,664円
💡 いま:寄附 40,000円 → 控除 38,000円・自己負担 2,000円
基礎 4
上限額の決まり方 ── 特例分が「住民税所得割額の2割」に届くところ
📍 ラボの場所:基礎タブ 4
ハルカ
所得割額25万円×20%で、特例分の上限は5万円。5万円÷79.79%+2,000円で、上限の目安が64,664円です。
先生
そう、特例分が所得割額の2割に届くところが、自己負担2,000円で済む寄附額の上限なんだ。分母に所得税率が入るから、税率が高い人ほど目安は大きくなるよ。
迷いポイント ふるさと納税には、寄附できる額の上限がある?
ハルカ
「上限額」と聞くので、それ以上は寄附を受け付けてもらえない額だと思っていました。
先生
寄附額そのものに上限はないんだ。特例分が所得割額の2割で頭打ちになるから、それを超えると自己負担が増えていく。グラフの曲線が緑の範囲を出て上がっていくのが、その部分だよ。
ハルカ
上限は「寄附の上限」ではなく、「2,000円で済む上限」なんですね。
先生
そのとおりだよ。2027年の寄附分からは、特例分に193万円の定額上限も加わるんだ。影響するのは所得割額が965万円を超える場合なので、応用編で詳しく見ようか。
💡 そうだったのか!
上限は
特例分が所得割額の2割に届く寄附額。寄附額に上限はなく、超えた部分の自己負担が増えていきます。
📗 基礎 5 ラボの図
収入給与・事業・年金など▶
所得給与所得控除などを引く▶
課税所得所得控除(社会保険料・iDeCo・医療費・家族など)を引く▶
所得割額×10%(標準税率)−調整控除▶
特例分の上限所得割額×20%▶
寄附の上限の目安特例分の上限÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円
上の要因を押すと、収入から「寄附の上限の目安」までのどの段に効くかが光ります。
💡 自分の上限額は、年収・家族・控除を全部入れて計算するのが確実です。
基礎 5
上限額が人によって違う理由 ── 年収だけでは決まらない
📍 ラボの場所:基礎タブ 5
ハルカ
収入 → 所得 → 課税所得 → 所得割額 → 特例分の上限 → 寄附の上限の目安。上限は、所得割額から決まるんですね。
先生
そう、だから上限は年収だけでは決まらないんだ。配偶者や扶養家族、社会保険料やiDeCo、医療費控除などで所得割額が変われば、上限も変わるよ。
迷いポイント 年収が同じなら、上限額も同じ?
ハルカ
年収が同じ同僚どうしなら、上限額も同じだと思っていました。ネットの「年収○○万円なら上限××円」の表も、そう読んでいました。
先生
その表は、独身・給与のみで控除が標準的な場合の目安なんだ。家族や控除が違えば、同じ年収でも上限は違うよ。しかも決まるのは寄附した年の所得だから、年の途中の転職や結婚でも変わるんだ。
ハルカ
年末調整ラボで、扶養控除や社会保険料控除を一つずつ確かめました。あの一つ一つが、所得割額を通して上限にも効いているんですね。
先生
つながったね。大まかな目安なら、前年の住民税決定通知書の所得割額から逆算できるよ。年収や家族から計算し直したいときは、限度額シミュレーション Pro を使おうか。
💡 そうだったのか!
上限は
寄附した年の住民税所得割額で決まります。家族・社会保険料・各種控除で変わるので、年収だけでは決まりません。
📗 基礎 6 ラボの図
1所得税の確定申告も、住民税の申告もしない予定ですか?(医療費控除・事業所得・年収2,000万円超などで申告する人は「申告する」)
2寄附先は5団体以内ですか?(同じ自治体に何回寄附しても1団体)
3寄附先ごとに特例申請書を、翌年1月10日までに出しましたか?
上から順に答えると、どちらの手続になるかが出ます。
基礎 6
ワンストップ特例か確定申告か ── 3つの質問で判定
📍 ラボの場所:基礎タブ 6
ハルカ
質問は3つ。申告をしないか、寄附先が5団体以内か、申請書を翌年1月10日までに出したか。全部「はい」ならワンストップ特例ですね。
先生
そう、1つでも外れたら確定申告か住民税の申告で控除を受けるんだ。同じ自治体に何回寄附しても1団体と数えるよ。
迷いポイント ワンストップ特例を申請しておけば、医療費控除で確定申告しても控除はそのまま?
ハルカ
申請書は出してあるので、医療費控除の確定申告をしても、ふるさと納税の分はワンストップで済むと思っていました。
先生
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になるんだ。だから、その年のふるさと納税を全部、申告書に書くよ。所得税の確定申告をせず、住民税の申告だけをする場合も、ワンストップ特例は使えないんだ。
ハルカ
ワンストップ特例は、一度乗ったら降りられない特急だと思っていました。確定申告に乗り換えた瞬間に、切符ごと消えるんですね。
先生
消えるのは申請だけで、控除は確定申告の側で受けられるよ。全部の寄附を書けば大丈夫なんだ。
💡 そうだったのか!
ワンストップ特例は
申告をしない・5団体以内・申請書の提出がそろうときだけ。確定申告や住民税の申告をすると無効なので、全部の寄附を申告書に書きます。
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- 基礎6 の質問1で「どちらかをする」を押す
👀 「確定申告(または住民税の申告)で寄附金控除を受けます。ワンストップ特例を申請していても無効になる」と出ます。
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基礎 7
返礼品の税金 ── 返礼品は「一時所得」
📍 ラボの場所:基礎タブ 7
ハルカ
返礼品10万円は、特別控除50万円のラインを超えないので、一時所得は0円です。
先生
返礼品を受け取った経済的な利益は、一時所得なんだ。一時所得は年間の合計から最高50万円を引いて、残りの2分の1を総所得金額に合算するよ。
迷いポイント 返礼品は寄附の見返りだから、税金とは関係ない?
ハルカ
自分のお金で寄附したお礼なので、返礼品に税金がかかるとは考えていませんでした。
先生
寄附した人が特産品を受けた利益は、一時所得に当たるんだ(国税庁の質疑応答事例)。返礼品だけで50万円を超えることは多くないけれど、保険の満期金などほかの一時所得と合計して判定するよ。
ハルカ
お礼の品なのに「所得」と呼ばれると、急に重みが出ますね。
先生
重みが出るのは、ほかの一時所得と重なった年だけだと思えばいいよ。その年は、合計で50万円を超えるかを確かめようか。
💡 そうだったのか!
返礼品は
一時所得。特別控除50万円があるので通常は課税されませんが、保険の満期金などと
合計して判定します。
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- 基礎7 の「ほかの一時所得の収入」に 450000 と入れる(返礼品は 100000 のまま)
👀 一時所得は 50,000円になり、その2分の1の 25,000円を総所得金額に合算すると出ます。
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📗 基礎 8 ラボの図
所得税:第二表に寄附先の名称と金額、第一表の寄附金控除欄に「寄附額の合計−2,000円」(総所得金額等の40%が限度)。
💡 e-Taxでは、マイナポータル連携で控除証明書のデータを取り込み、自動で入力できます。
基礎 8
確定申告書のどこに書くか ── 所得税の欄と住民税の欄
📍 ラボの場所:基礎タブ 8
ハルカ
確定申告書の第二表に寄附先の名称と金額、第一表の寄附金控除の欄に「寄附額の合計−2,000円」。その下に住民税の欄もあります。
先生
所得税は第一表と第二表、住民税は第二表の「住民税・事業税に関する事項」の寄附金税額控除の欄なんだ。両方に書くよ。
迷いポイント 確定申告書は、所得税の寄附金控除の欄だけ書けば足りる?
ハルカ
所得税の欄に書けば、住民税は税務署から市区町村に情報が回るので、それで済むと思っていました。
先生
住民税の欄が空欄だと、住民税で控除されないことがあるんだ(タックスアンサーNo.1155)。添付は寄附金の受領証か、年間の「寄附金控除に関する証明書」。e-Taxならマイナポータル連携で自動入力もできるよ。
ハルカ
もし書き漏れに後から気づいたら、どうすればいいですか。
先生
所得税は更正の請求で直せるんだ。所得税の額が変わらない場合は、住んでいる市区町村に相談しようか。
💡 そうだったのか!
確定申告では
所得税の寄附金控除の欄と住民税の欄の両方に書きます。漏れたら、所得税は更正の請求、住民税は市区町村に相談します。
今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?
この記事の図は、すべてふるさと納税ラボの画面そのものです。基礎タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。
ふるさと納税ラボを開く ▶
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。