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収益認識ラボ③【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ消化仕入・他社ポイント・更新オプション・買戻しの判定

収益認識ラボ③【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ消化仕入・他社ポイント・更新オプション・買戻しの判定

無料の学習ツール「収益認識ラボ③」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📋 応用タブ冒頭 処理早見表
保証② 履行義務の数引当金 or 履行義務本人と代理人③ 取引価格の範囲総額 or 純額オプション・ポイント②④ 履行義務と配分重要な権利なら配分非行使部分⑤ 認識時期行使パターンに比例ライセンス⑤ 一定期間か一時点かアクセス権 or 使用権買戻契約⑤ 支配の移転金融取引・リース・返品権委託販売・請求済未出荷・検収⑤ 支配の移転時点引渡し≠収益のことがある

① 保証・本人と代理人(適用指針第34〜47項)

状況判断処理設例
合意された仕様に従っているという保証のみ履行義務でない引当金(企業会計原則注解(注18))設例16
保証サービス(追加のサービス)を含む保証サービスは履行義務取引価格を配分。区分できなければ一括して単一の履行義務第35・36項
保証を単独で購入できる(個別に価格設定)別個のサービス履行義務として識別し配分第38項
提供前に財・サービスを支配している本人対価の総額を収益設例18・19・30(買取仕入)
他の当事者が提供するように手配するだけ代理人報酬・手数料(純額)を収益設例17・30(消化仕入)
1つの契約に複数の特定の財・サービスそれぞれ判定一部は本人、一部は代理人になり得る設例20

② オプション・非行使部分・前払(第48〜60項)

状況判断処理設例
ポイント・クーポンが通常の値引きを超える重要な権利 → 履行義務独立販売価格(行使の可能性を反映)で配分。行使時・消滅時に収益設例22
独立販売価格で追加購入できるだけのオプション重要な権利でない配分しない。行使時に収益第49項
更新オプション(同じ条件で類似のサービス)重要な権利 → 履行義務簡便法:提供すると見込むサービスの予想対価で配分設例21・第51項
他社ポイントの付与自社の履行義務でない第三者のために回収する額を取引価格から除く設例31
契約負債の非行使部分(権利を得ると見込む)変動対価の制限で判断顧客の権利行使パターンに比例して収益第54・55項
非行使部分(権利を得ると見込まない)—顧客が残りの権利を行使する可能性が極めて低くなった時に収益第54項
非行使部分(法律により他の当事者への支払が要求される)—収益ではなく負債を認識第56項
入会金など返金不要の前払移転を生じさせるか将来の財・サービスの提供時に収益。更新オプションがあれば更新期間を考慮第57〜60項

③ ライセンス・買戻し・引渡しの特則(第61〜83項)

状況判断処理設例
ライセンスが他の財・サービスと別個でない単一の履行義務第35〜40項で一定期間か一時点かを判定設例24-1
知的財産に著しく影響する活動を企業が行う(3要件)アクセスする権利一定の期間にわたり収益設例25
3要件のいずれかを満たさない(単独で機能するソフト等)使用する権利一時点(使用できるようになった時)設例23・24-2
売上高・使用量ベースのロイヤルティライセンスのみ/支配的顧客の売上・使用時と履行義務の充足時の遅い方設例25・第67項
先渡・コール:買戻価格 ≧ 販売価格(金利考慮)支配は移転しない金融取引(商品は認識し続け、受取額は借入金)設例26-1
先渡・コール:買戻価格 < 販売価格支配は移転しないリース(リースバックを含むなら金融取引)第69項
プット:顧客に行使の重要な経済的インセンティブあり支配は移転しない買戻価格<販売価格ならリース、≧かつ>時価なら金融取引設例26-2・第72・73項
プット:重要な経済的インセンティブなし(買戻価格 ≧ 販売価格なら時価以下も必要)支配は移転返品権付きの販売(②編)第72・73項
販売業者が支配を獲得していない(委託販売)引渡時に収益なし最終顧客への販売時に収益第75・76項
請求済未出荷で4要件をすべて満たす顧客が支配を獲得出荷前でも収益。保管サービスは別の履行義務か検討第79・160項
検収が形式的(仕様適合を客観的に判断できる)検収は支配に影響しない客観的に判断できなければ検収まで待つ第80〜83項

設例番号は原典(適用指針)のもの。設例30・31は日本の実務に合わせた設例。

はじめに

今日の地図 ── 特定の取引の早見表

📍 ラボの場所:応用タブ冒頭「処理早見表」
ハルカ
先生、基礎編で「特定の取引は5ステップの判断を具体化したもの」と分かりました。実務では、どこで迷うんですか。
先生
図の早見表を見てほしいんだ。保証は履行義務の数、本人と代理人は取引価格の範囲、ポイントは配分、ライセンスと買戻しは支配の移転。論点ごとにどのステップの判断が動くかが並んでいるよ。迷うのは、その判断を自分の契約に当てはめるところなんだ。
ハルカ
表の下には、原典の設例の番号まで入っています。全部読まないといけませんか。
先生
全部でなくていいよ。手元の契約に近い行を探して、その設例を設例タブで追えば十分なんだ。今日はこの中から、実務で質問の多い8つの論点を順に見ていこうか。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 1 ラボの図
買取仕入(返品条件付を含む)→ 本人納品時に検収、法的所有権はA社に保管管理責任・棚卸ロス等の在庫リスクはA社販売までの間、商品の使用を指図できる→ 支配している → 売上高は販売価格の総額、売上原価に仕入原価消化仕入 → 代理人納品時に検収せず、法的所有権は仕入先のまま在庫リスクを一切負わない品揃え・販売価格の決定権は仕入先顧客への販売時に所有権が瞬時に移転するだけ(第45項)→ 支配していない → 純額(手数料収入)小売業の消化仕入は、日本の実務に合わせて置かれた設例(設例30)。マーチャンダイジングへの関与があっても、個々の商品の支配の判定は第47項の指標で行う売上高は大きく変わるが、利益(粗利)は同じ。財務諸表の見え方(売上高・原価率)に影響する
🧾 仕訳で確認(設例30型:消化仕入の商品を 6,000 で販売、料率 75%)
収益の計上(代理人:純額)
借方金額貸方金額
現金預金(顧客から回収)6,000買掛金(他の当事者へ)4,500
手数料収入1,500

売上高は手数料収入 1,500 だけ。買取仕入なら売上高 6,000・売上原価 4,500 で、利益は同じ 1,500。

応用 1

消化仕入と買取仕入 ── 小売業の判定

📍 ラボの場所:応用タブ 1・設例・応用6
ハルカ
同じ店で同じように売っている商品でも、仕入契約の形で本人か代理人かが変わるんですか。
先生
そうなんだ。図の左の買取仕入は、納品時に検収して法的所有権が移り、棚卸ロスなどの在庫リスクも負い、販売価格も自分で決める。販売まで商品の使用を指図できるから支配していて本人だよ。右の消化仕入は、所有権は仕入先のまま、在庫リスクも負わず、品揃えも価格も仕入先が決める。顧客に売れた瞬間に所有権が通り抜けるだけだから、支配していなくて代理人なんだ(第45・47項)。
ハルカ
基礎編の3つの指標が、そのまま○と×で並んでいますね。
先生
そう、基礎3の指標をこの取引に当てはめたのが設例30なんだ。日本の商慣行に合わせて置かれた、日本独自の設例だよ。
迷いポイント 同じ商品を同じ値段で売るなら、売上高も同じ?
ハルカ
どちらも 6,000 で売って利益 1,500 なら、売上高も 6,000 でそろえたいです。
先生
利益はどちらも 1,500 だけれど、売上高は買取仕入が 6,000、消化仕入は手数料収入の 1,500 なんだ。原価率も 75% と 0% で大きく違って見えるよ。利益が同じでも、財務諸表の見え方が変わるんだ。
ハルカ
「消化仕入」という名前なので、商品が売れて消化されるまで、お店の胃袋には入っていない、ということですね。
先生
胃袋に入るのは手数料の 1,500 だけ、と覚えておくといいよ。
💡 そうだったのか!
買取仕入は本人(総額)、消化仕入は代理人(純額)。利益は同じでも、売上高と原価率が大きく変わります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「本人と代理人」のシミュレーションを開く(応用6・消化仕入の数字)
  2. 右の「顧客に提供される前に、企業がその財・サービスを支配しているか」を 「支配している → 本人」 に変える

👀 売上高が 1,500 → 6,000 に、利益は 1,500 のまま。同時に「3つの指標はすべて『いいえ』です」と注意が出ます。指標と支配の判断が食い違うときは、第44項のどれを支配しているのかを確かめる合図です。

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📙 応用 3 ラボの図
顧客A社(小売)B社(ポイント運営)代金 5,0001ポイント 1 円を支払B社が顧客にB社ポイントを付与(A社はポイントを支配しない)売上高 4,95050↑ 第三者のために回収した額 → 未払金A社の観点では、他社ポイントは顧客に重要な権利を提供していない(第48項)。A社はポイントを支配せず、B社へ支払う義務を負うだけ→ 取引価格の算定で、B社のために回収した額を除外する(基準第47項)。自社ポイント(設例22)のように契約負債にはしない
🧾 仕訳で確認(設例31型:販売 5,000、100円につき他社ポイント1、1ポイント 1円)
商品の販売時(他社ポイントの付与を連絡)
借方金額貸方金額
現金預金5,000売上高4,950
未払金(他社へ)50
他社へのポイント相当額の支払時
借方金額貸方金額
未払金(他社へ)50現金預金50

自社ポイント(設例22)は契約負債にして使用時に売上。他社ポイントは最初から売上に含めない。

応用 3

他社ポイントの付与 ── 第三者のために回収する額

📍 ラボの場所:応用タブ 3・設例・応用7
ハルカ
他社が運営する共通ポイントを、うちの店でも付けています。基礎編の自社ポイントと同じで、契約負債にするんですよね。
先生
図を見てほしいんだ。顧客が 5,000 払い、A社はB社に 1 ポイント 1 円で 50 を支払う。ポイントを付与するのはB社で、A社はポイントを支配していない。A社の観点では顧客に重要な権利を与えていないから、A社の履行義務ではないんだ(第48項、設例31)。
迷いポイント 他社ポイントの分も、自社の売上に含めて契約負債にする?
ハルカ
お客さんは 5,000 払っているので、売上は 5,000 で、ポイント分の 50 を契約負債にすればいいですよね。
先生
契約負債にはしないんだ。50 は第三者のために回収する額だから、取引価格から除いて、売上高は 4,950、B社への 50 は未払金だよ(基準第47項)。自社ポイントなら売上の一部を繰り延べるけれど、他社ポイントは最初から売上に含めないんだ。
ハルカ
基礎編の本人と代理人で、第三者のために回収する額は収益にしない、とありました。ポイントの運営会社に代わって預かっているだけ、という見方ですね。
先生
そう、つながっているね。もしA社が重要な権利を与え、ポイントを支配していると判断される設計なら、自社ポイントと同じ処理になるよ。
💡 そうだったのか!
他社ポイントは第三者のために回収する額。売上高から除いて未払金にし、契約負債にはしません。
📙 応用 4 ラボの図
受け取る対価(件数 × 1件あたり対価)と、予想コストの比率で配分した収益X1年度受取 100,000(50件)収益 77,872X2年度受取 80,000(40件)収益 83,064X3年度受取 64,000(32件)収益 83,064総額 244,000 を予想コスト(更新の可能性で調整)47,000 の比率で配分 → X1年度末に残る 22,128 が更新オプションに配分された額更新オプションの独立販売価格を直接見積らず、提供すると見込むサービスの予想対価で配分する(第51項)
🧾 仕訳で確認(設例21型:50件 × 2,000、更新率 80%・80%、1件あたりコスト 300/400/500)
契約における取引開始日(50件 × 2,000)
借方金額貸方金額
現金預金100,000契約負債100,000
X1年度末(予想 40件が更新)
借方金額貸方金額
契約負債77,872売上高77,872
現金預金80,000契約負債80,000

取引開始日に受け取った 100,000 のうち、X1年度の収益は 77,872。残りの 22,128 が更新オプション(将来のサービスへの前払)に配分される。

応用 4

更新オプションの簡便法 ── 予想対価で配分

📍 ラボの場所:応用タブ 4・設例・応用1
ハルカ
1年 2,000 のメンテナンス契約で、翌年も 2,000 で更新できるオプションが付いています。これも重要な権利ですか。
先生
後から契約すると 6,000 や 10,000 と著しく高いなら、契約した人だけが受けられる値引きだから重要な権利なんだ(第48項)。ただ、同じサービスが同じ条件で続くときは、オプションの独立販売価格を見積らずに、提供すると見込むサービスの予想対価で配分できるよ(第51項の簡便法)。
迷いポイント 1年目に受け取った 2,000 は、1年目の売上?
ハルカ
1年目の契約で 2,000 もらったら、1年目のサービスの対価として売上にしますよね。
先生
一部は2年目以降の前払なんだ。図では、50件のうち更新率 80% で 40件、32件と見込み、予想対価の総額は 244,000。この設例では、予想コストの比率がサービスの移転を適切に描写すると判断して、更新の可能性で調整した予想コスト 47,000 の比率で各年度に配分しているよ。X1年度に受け取った 100,000 のうち、収益は 77,872、残りの 22,128 が更新オプションに配分された契約負債なんだ。
ハルカ
実際の更新が 40件ではなく 30件だったら、どうなるんですか。②編で、見積りが変わったら変わった期で調整する、とやりましたよね。
先生
そう、よく覚えていたね。更新の件数が違えば予想対価も変わるから、見積りの変更として取引価格と収益を見直すんだ。
ハルカ
2,000 の請求書を見て、22,128 を未来に送るんですね。売上の一部が、タイムカプセルに入っている気分です。
先生
タイムカプセルを開けるのは、2年目のサービスを提供した時だよ。
💡 そうだったのか!
更新オプションは予想対価で配分する簡便法が使える。1年目の受取額の一部は、2年目以降の前払として契約負債です。
📙 応用 5 ラボの図
返金不要の前払 100 → 契約負債(第52・53項)行使されると見込む部分 9010顧客が 72 を行使収益 72契約負債のまま8↑ 非行使部分 10 は、行使のパターンに比例して収益 8(第54項前段)非行使部分の権利を「得ると見込む」かは、変動対価の制限(第54・55項)の考え方で判断する(適用指針第55項)見込めないなら、顧客が残りの権利を行使する可能性が極めて低くなった時に収益を認識する
応用 5

非行使部分の見積り ── 制限の考え方で判断

📍 ラボの場所:応用タブ 5・設例・応用8
ハルカ
基礎編で、非行使部分は「権利を得ると見込む」なら比例的に収益にする、とありました。見込めるかどうかは、どう決めるんですか。
先生
変動対価の制限の考え方で判断するんだ(第55項)。著しい減額が生じない可能性が高いといえるか、各決算日に見直すか。図の 10 を見込めるのは、過去の使用実績が十分で、使用パターンが安定しているときだよ。
ハルカ
②編の応用で、制限の判断には5つの要因があって、経験が乏しいとか外部要因で大きく変わるとかが挙がっていましたね。
先生
そのとおりだよ。新しいプログラムで実績がない、外部要因で使用率が大きく変わり得る。そういうときは見込めないんだ。
迷いポイント 非行使率は、何%以上なら見込める?
ハルカ
非行使率が何%以上なら「見込める」と判断していい、という数値の基準はありますか。
先生
数値の基準はないんだ。見るのは率の大きさではなく、見積りの根拠が十分かなんだよ。見込めるなら行使パターンに比例して収益、見込めないなら有効期限切れなど行使の可能性が極めて低くなった時に収益だよ(第54項)。ポイントの場合は、使用見込みを独立販売価格に織り込むことで、同じことを配分の段階で行っているんだ。
ハルカ
私のパン屋さんのスタンプカード、9個のまま3か月止まっています。パン屋さんから見ると、私は非行使部分の候補ですね。
先生
候補のうちは、お店の側ではまだ契約負債のままだよ。見込めるかどうかを決めるのは、お店の過去の実績なんだ。
💡 そうだったのか!
見込めるかは率の大きさではなく、見積りの根拠で判断。実績が十分で安定していれば比例的に認識、乏しければ可能性が極めて低くなった時に認識します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「ポイント・非行使部分」のシミュレーションを開く(応用8の数字)
  2. 右の「非行使部分の見込み(%)」を 10 から 20 に変える

👀 非行使部分の見込みが 20,000 になり、当期の収益が 80,000 → 90,000(うち非行使部分 8,000 → 18,000)、期末の契約負債が 20,000 → 10,000 に。見込みを大きくするほど早く収益になるので、根拠が問われます。

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📙 応用 7 ラボの図
ライセンスを供与顧客が売上を計上/使用ロイヤルティを収益にライセンスのみに関連する(またはライセンスが支配的な項目の)売上高・使用量ベースのロイヤルティは、変動対価の見積り・制限(第50〜55項)を適用せず、(1) 顧客の売上計上時・使用時 (2) 配分先の履行義務の充足時 の【いずれか遅い方】で認識(第67項)該当しないロイヤルティ(ライセンスが支配的でない契約など)は、原則どおり変動対価として見積って制限を判断(第68項・②編)
応用 7

ロイヤルティの例外と「支配的な項目」

📍 ラボの場所:応用タブ 7・設例・応用5
ハルカ
基礎編で、売上高ロイヤルティは見積らずに顧客の売上が立った時に認識する、と習いました。どんな契約でも使えるんですか。
先生
使えるのは、ロイヤルティがライセンスのみに関連するか、ライセンスが契約の支配的な項目のときなんだ(第67項)。ライセンス以外の財・サービスが中心の契約なら、原則どおり変動対価として見積って制限を判断するよ(第68項)。
迷いポイント フランチャイズの設備とロイヤルティ、配分はどうする?
ハルカ
設備 300,000 と売上高 5% のロイヤルティを受け取るフランチャイズなら、ロイヤルティも設備とライセンスに比率で配分するんですよね。
先生
この設例では、ロイヤルティの全体がライセンスの約束に関係し、設備には固定対価を配分するのが独立販売価格の比率と整合的だから、ロイヤルティの全額をライセンスに配分できるんだ(基準第72項)。設備は引渡時に 300,000 を売上、ロイヤルティは顧客の月次売上 2,000,000 が立った時に 100,000 を売上にするよ。
ハルカ
顧客の売上の報告が遅れたら、こちらの決算も止まってしまいませんか。
先生
決算日に入手できる情報で見積るんだ。報告の遅れは実務上の論点で、第67項の例外そのものを変えるものではないよ。
💡 そうだったのか!
例外が使えるのはライセンスのみ、またはライセンスが支配的なとき。ロイヤルティの全額をライセンスに配分できる場合もあります(第72項)。
📙 応用 8 ラボの図
販売価格 500買戻価格 440予想時価 350判定:リースとして処理(買戻価格と販売価格、買戻価格と予想時価の2つの比較)
応用 8

プット・オプションと予想時価 ── 重要な経済的インセンティブ

📍 ラボの場所:応用タブ 8・設例・基礎8
ハルカ
顧客が買い戻しを請求できるプット・オプションでは、どうやって処理を決めるんですか。
先生
取引開始日に、顧客に行使する重要な経済的インセンティブがあるかを判定するんだ(第72項)。手がかりは、買戻価格と買戻日の予想時価の関係や、消滅までの期間だよ。図では販売 500、買戻 440、予想時価 350。時価より大幅に高い値段で買い戻してもらえるなら、顧客は行使するよね。
ハルカ
リースのときも、延長オプションを行使することが合理的に確実かを、経済的インセンティブで判断しましたね。
先生
そう、同じ言葉が出てきたね。顧客にとって得かどうかで、将来の行動を見込むところは共通なんだ。
迷いポイント インセンティブがあればリース、なければ?
ハルカ
インセンティブがあればリースで、なければ…普通の販売ですよね。
先生
なければ、顧客は使い続けるか市場で売ると見込まれるから、支配は移転して返品権付きの販売になるんだ。②編の返金負債と返品資産の処理だよ。インセンティブがあって買戻価格が販売価格より低ければリース、買戻価格が販売価格以上で時価より高ければ金融取引なんだ(第73項)。
💡 そうだったのか!
プットは重要な経済的インセンティブで分かれる。あれば支配は移転せずリースか金融取引、なければ返品権付きの販売です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「買戻契約」のシミュレーションを開く(基礎8の数字)
  2. 右の「買戻価格」を 440,000 から 300,000 に、「顧客に行使の重要な経済的インセンティブがあるか」を 「ない」 に変える

👀 買戻価格 300,000 が予想時価 350,000 を下回り、判定が リースとして処理 → 返品権付きの販売 に変わります。顧客は買い戻してもらうより持ち続ける方が得なので、支配は顧客に移転しています。

ラボを開く ▶
📝 収益認識ラボ②【基礎編】(取引価格・変動対価・金融要素・配分)記事を読む ▶
📙 応用 9 ラボの図
販売価格(金利考慮後) 525買戻価格 520判定:リースとして処理(買戻価格と販売価格の比較)
応用 9

買戻価格と販売価格の比較 ── 金利相当分の考慮

📍 ラボの場所:応用タブ 9・設例・基礎7
ハルカ
買戻価格が販売価格より高いか低いかで、金融取引かリースかが分かれるんですよね。520,000 で買い戻すなら 500,000 より高いので金融取引です。
先生
そこに一つ注意があるんだ。第69・72・73項はどれも、比較するときに金利相当分を考慮すると定めているよ。1年後に 520,000 で買い戻すなら、500,000 を1年間預けたときの利息分を考えないと、本当に高く買い戻しているのか分からないんだ。
迷いポイント 名目の買戻価格が販売価格より高ければ、必ず金融取引?
ハルカ
数字が大きい方が高い、で決めてはいけないんですか。
先生
ラボでは学習用に、販売価格を年利で買戻日まで複利計算した額と比べる簡易法を置いているよ。図のとおり、年利 5% なら 500 は 525 になるから、買戻価格 520 はそれより低い。実質的には安く買い戻しているので、リースの方向なんだ。金融取引になったときの差額は、金利や加工・保管コストとして処理するよ(第70項)。
ハルカ
②編の金融要素でも、リース会計ラボでも、時間がたつとお金の価値が変わるという話がありました。買戻しの比較でも同じことを考えるんですね。
先生
そう、同じ考え方だよ。1年後の 520,000 と今日の 500,000 を、同じ目盛りに乗せて比べるんだ。
💡 そうだったのか!
買戻価格と販売価格の比較では金利相当分を考慮。名目で高くても、実質的に同じか低いことがあります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから「買戻契約」のシミュレーションを開く(基礎7の数字)
  2. 右の「買戻価格」を 540,000 から 520,000 に、「金利相当分の年利(%)」を 0 から 5 に変える

👀 販売価格(金利考慮後)が 525,000 と表示され、買戻価格 520,000 がそれを下回るので、判定が金融取引 → リースとして処理 に変わります。年利を 3% に戻すと 515,000 となり、金融取引に戻ります。

ラボを開く ▶
📝 リース会計ラボ(買戻契約をリースとして処理する場合の計算)ラボを見る ▶
📙 応用 10 ラボの図
委託販売契約(第75・76項)販売業者に引き渡しても、業者が支配を獲得していなければ引渡時に収益を認識しない指標:企業が支配を保持/返還や第三者への販売を要求できる/業者に無条件の支払義務がない請求済未出荷契約(第77〜79項)請求したが物理的占有を企業が保持。第39・40項を適用したうえで、4要件すべてで顧客が支配を獲得:(1)合理的な理由 (2)顧客のものとして区分識別 (3)移転の準備が整う (4)企業が使用・転用できない顧客による検収(第80〜83項)合意された仕様に従うと客観的に判断できる → 検収は形式的(支配の時点に影響しない)客観的に判断できない → 検収まで支配は移転しない試用目的の引渡し → 検収か試用期間終了までいずれも「顧客がいつ支配を獲得したか」(第39・40項、①編)を具体化した取扱い。出荷・引渡し・請求の時点と一致するとは限らない
応用 10

請求済未出荷の4要件と、検収の実務

📍 ラボの場所:応用タブ 10・設例・応用9
ハルカ
期末に、お客さんの都合で出荷を待っている機械があります。完成して請求書も出しました。売上にしていいですか。
先生
基礎編の4要件を、当てはめて確かめるんだ(第79項)。顧客の要望という合理的な理由があるか、その顧客のものとして区分保管しているか、いつでも出荷できるか、他の顧客に振り向けられないか。4つすべてが○で、しかも基準第39・40項の支配の指標も満たしているなら、出荷前でも顧客が支配を獲得しているよ。
迷いポイント 保管料を別にもらっていないなら、保管サービスは考えなくていい?
ハルカ
保管料は請求していないので、保管サービスのことは考えなくていいですよね。
先生
対価を別にもらっていないことは、考えなくていい理由にはならないんだ。顧客の商品を預かる義務は履行義務の候補になるから、通常の識別(基準第32〜34項)で別個かを判定するよ(第160項)。設例・応用9では、3か月の保管が契約全体に対して重要性が乏しいから評価を省略して(第93項)、800,000 の全額を請求時に収益にしているんだ。重要性があって別個なら、取引価格の一部を保管サービスに配分して、保管期間にわたって認識するよ。
ハルカ
正直に言うと、「請求書を出した日が売上の日」で一度も疑ったことがありませんでした。
先生
その習慣が、期末にいちばん危ないところなんだよ。
💡 そうだったのか!
請求済未出荷は4要件すべてと支配の指標で判断。保管サービスは対価の有無ではなく、重要性と別個かどうかで扱いを決めます。
📝 売上の期間帰属の適切性とは?KAM事例263社分析【カットオフ監査】記事を読む ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて収益認識ラボ③の画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

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📓 ハルカの学習ノートで、この章を見る学習ノートへ ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
同じ商品を同じ値段で売るなら、売上高も同じ?買取仕入は本人(総額 6,000)、消化仕入は代理人(純額 1,500)。利益は同じでも売上高と原価率が変わる(第45・47項、設例30)応用1
他社ポイントの分も売上に含めて契約負債にする?しない。第三者のために回収する額として売上高から除き、未払金(基準第47項、設例31)応用3
1年目に受け取った 2,000 は1年目の売上?一部は2年目以降の前払。第51項の予想対価で配分(設例21では予想コストの比率で各年度に)、残りは契約負債応用4
非行使率は何%以上なら見込める?数値の基準はない。見積りの根拠(実績の十分さ・安定性)で判断(第54・55項)応用5
フランチャイズの設備とロイヤルティの配分は?ロイヤルティの全体がライセンスに関係し整合的なら、全額をライセンスに(基準第72項、設例25)応用7
プットにインセンティブがなければ?支配は移転し、返品権付きの販売。あれば買戻価格と販売価格・時価の関係でリースか金融取引(第72・73項)応用8
名目の買戻価格が販売価格より高ければ必ず金融取引?金利相当分を考慮して比較。実質的に低ければリースの方向(第69・72・73項)応用9
保管料をもらっていないなら保管サービスは考えなくていい?対価の有無では決まらない。別個かを識別し、重要性が乏しければ評価を省略(第93・160項)応用10
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。本人と代理人は、仕入契約の形で同じ店でも分かれ、利益が同じでも売上高の見え方が変わる。ポイントや非行使部分は、数値の基準ではなく見積りの根拠で判断する。買戻しは金利相当分と予想時価まで見て、請求済未出荷は4要件と保管サービスを確かめる。この3つを持ち帰ってほしいんだ。
ハルカ
基礎編では論点の名前を追いかけていましたが、今日は「数字が同じでも見え方が変わる」「対価がなくても義務はある」と、見え方と中身のずれに気づく回でした。前は数字が合えば安心していたけれど、今回は数字が合っていても判断が違うと結論が変わると分かります。
先生
それが応用の目なんだよ。数字が合うことと、判断が正しいことは別なんだ。判断の理由を残しておけば、売上高が5分の1になった説明もできるね。
ハルカ
では、売上高が5分の1になった決算書を見ても、まず「支配しているか」から確かめることにします。驚くのは、その後にします。
先生
驚く順番まで決めたのは、ずいぶん落ち着いてきた証拠だよ。次からは設例編で、設例16〜20と30の保証・本人と代理人を、ラボのステップで1つずつ追っていこうか。

参考資料

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(2024年9月13日最終改正)、企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(2025年10月16日までの修正を反映)と設例。基準確認日:2026年10月1日。原文はASBJ(第29号)・ASBJ(適用指針第30号)で公開されています。

シリーズ:基礎編/応用編 / 設例編:保証と本人・代理人編(設例16〜20・30)・ポイントとオプション編(設例21・22・31・非行使部分)・ライセンスと買戻し編(設例23〜26・請求済未出荷) / 関連:収益認識ラボ②【基礎編】(取引価格・変動対価・金融要素・配分)/【早見表】収益認識基準・適用指針(論点を項番号で検索)/リース会計ラボ(買戻契約をリースとして処理する場合の計算)/売上の期間帰属の適切性とは?KAM事例263社分析【カットオフ監査】

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。