収益認識ラボ③【設例・ライセンスと買戻し編】|先生と一緒に図で学ぶ設例23〜26 ライセンス・買戻契約・請求済未出荷
無料の学習ツール「収益認識ラボ③」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、ライセンスと買戻しの設例(設例23〜26と請求済未出荷契約)を1つずつ、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。
📕 設例・応用2 ラボの画面
前提条件(独自の数値・設定)
- ①編の設例6-1と同じ前提。A社はB社との契約で、(1)ソフトウェア・ライセンス (2)インストール・サービス (3)アップデート (4)テクニカル・サポート の4つの履行義務を識別した。
- ここでは (1) のライセンスについて、約束の性質(アクセスする権利か使用する権利か)を判定する。
はじめに
設例23〜26と請求済未出荷 ── ライセンスと買戻し、支配の移転
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用2 ステップ1
ハルカ
先生、今日はライセンスと買戻しですね。基礎編では、どちらもステップ⑤の「支配の移転」に関わる、とありました。
先生
そうだよ。設例23〜25でライセンスが一時点か一定の期間かを判定し、設例26-1・26-2で買戻契約が金融取引かリースかを見て、最後に請求済未出荷で出荷前の収益を考えるんだ。今日はほとんど判定の設例で、計算は少ないよ。
ハルカ
判定ばかりだと、どこで迷うのかが分かりにくそうです。
先生
だからこそ、ラボの○×の判定表を1つずつ読むんだ。どの要件で結論が分かれたかが見えるよ。順に見ていこうか。
設例・応用タブの応用2を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📕 設例・応用2 ラボの画面
×
(1) 知的財産に著しく影響する活動を企業が行うことが、契約に定められ又は合理的に期待されるかアップデートとサポートの他に、ライセンス期間中にソフトの機能性を変化させる活動を行う義務は契約上も黙示的にもない。アップデートは別の履行義務なので考慮から外す(第63項(3))
×
ソフトの便益はA社の継続的な活動から得られるかアップデートやサポートがなくても機能する → B社の便益は実質的にA社の活動に依存しない
—
(2)(3)(1) を満たさないので、以降の要件を見るまでもなく第63項の要件は満たさない
ライセンスの対象となるソフトウェアは重要な単独の機能性を持っている。
一時点で存在する知的財産を使用する権利 → 一時点で充足される履行義務(第62項(2)・第64項)B社がライセンスを使用して便益を享受できるようになった時点で収益
ライセンス期間の長さや地域・用途の制限は判定に影響しない(第66項)。
インストール・アップデート・サポートはそれぞれの履行義務として、別に一定期間か一時点かを判定する。
設例23
ソフトウェア・ライセンス ── 使用する権利だから一時点
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用2 ステップ2・3
ハルカ
①編の設例6-1と同じ、ソフトのライセンスとインストール・アップデート・サポートの契約ですね。ライセンスはどう判定するんですか。
先生
ステップ2で第63項の3要件を見るんだ。(1)知的財産に著しく影響する活動を行うことが契約に定められているか合理的に期待されるか。アップデートとサポートは別の履行義務だから、ここでは考慮から外すよ(第63項(3))。それ以外に機能を変え続ける活動はないから×。(1)が×なら、以降を見るまでもなく使用する権利なんだ。
迷いポイント アップデートを約束しているなら、ソフトも「影響し続ける」?
ハルカ
アップデートを約束しているなら、ソフトに影響し続けていることになりませんか。
先生
アップデートが別の履行義務なら、その活動は要件の判定から外すんだ。アップデートがなくてもソフトは機能するから、顧客の便益はA社の活動に依存していないよ。だから一時点で、顧客が使えるようになった時に収益なんだ(第62項(2)・第64項)。期間や地域の制限は判定に影響しないよ(第66項)。
ハルカ
①編の設例6-1で4つの履行義務に分けたことが、ここで効いてくるんですね。分けた相手は、判定のときに席を外す。
先生
そう、よく覚えていたね。別個に分けたものは、ライセンスの判定では別の席に座ってもらうんだ。
💡 そうだったのか!
別の履行義務であるアップデートは
判定から外す。単独で機能するソフトは
使用する権利で、一時点の収益です。
📝 収益認識ラボ①【設例・履行義務の識別編】(設例5・6)記事を読む ▶
📕 設例・応用3・4 ラボの画面
×
(1) 単独で、又は容易に利用できる他の資源と組み合わせて便益を享受できるかB社は製造サービスなしにはライセンスから便益を得られない → 満たさない
—
(2) 契約の観点で区分して識別できるか(1) を満たさないので判定不要
ライセンスと製造サービスは別個でない → 単一の履行義務
○
(1) 別個となり得るか他社の製造サービスと組み合わせてライセンスから便益を得られ、ライセンスと組み合わせて製造サービスからも便益を得られる
○
(2) 契約の観点で区分して識別できるかライセンスを独立して購入でき、互いを著しく修正せず、統合する重要なサービスもない。製造はライセンスに依存するが、過去にライセンスを得た顧客にも製造できるので相互依存性は高くない
履行義務は2つ:特許権のライセンス、製造サービス
×
知的財産に著しく影響する活動を行うことが定められ、又は合理的に期待されるか成熟した製品で、A社の取引慣行ではサポート活動を行わない。複合薬Xには重要な独立した機能性があり、便益の相当部分はその機能性から得られる
供与時点で存在する知的財産を使用する権利 → 一時点(第62項(2)・第64項)
製造サービスは、別途一定の期間か一時点かを判定する(基準第35〜40項)。
設例24-1・24-2
特許のライセンスと製造 ── 他社が製造できるかで、履行義務の数が変わる
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用3 ステップ2、応用4 ステップ2・3
ハルカ
製薬会社が、複合薬Xの特許のライセンスと製造サービスを8年間提供します。24-1と24-2で、何が違うんですか。
先生
製造プロセスが特殊で他社が製造できないのが24-1、他社も製造できるのが24-2だよ。24-1では、顧客は製造サービスなしにライセンスから便益を得られないから、第34項(1)が×で別個でない。ライセンスと製造の束を1つの履行義務として、第35〜40項で一定の期間か一時点かを判定するんだ(第61項)。
迷いポイント ライセンスなら、いつもアクセス権か使用権かを判定する?
ハルカ
ライセンスが出てきたら、必ず3要件でアクセス権か使用権かを判定するんですよね。
先生
3要件に進むのは、ライセンスが別個のときだけなんだ。24-1は別個でないから、ライセンス固有の判定には進まないよ。24-2は他社も製造できるから別個で、ステップ3でライセンスの性質を見る。成熟した製品でサポート活動もしないから、使用する権利で一時点なんだ。製造サービスは別に判定するよ。
ハルカ
同じ薬、同じ契約期間なのに、工場の腕前で履行義務の数が変わるんですね。
先生
腕前というより、顧客が他から調達できるかで変わるんだよ。
💡 そうだったのか!
ライセンス固有の判定は
別個のときだけ。他社が製造できなければ単一の履行義務、できれば別個で使用する権利です。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから設例・応用タブの応用3を開き、ステップ2「別個の財・サービスか」を選ぶ
- プルダウンで応用4に切り替え、同じステップ2を選ぶ
👀 第34項(1)の判定が × → ○ に変わり、結論が「単一の履行義務」→「履行義務は2つ」に。応用4ではステップ3が1つ増え、ライセンスの性質(使用する権利)の判定に進みます。
ラボを開く ▶
📕 設例・応用5 ラボの画面
○
変動対価(ロイヤルティ)の全体がライセンスの約束に関係するかロイヤルティはライセンスの供与と交換に受け取る
○
設備に固定対価、ライセンスにロイヤルティを配分することは独立販売価格の比率と整合的か設備の独立販売価格 300,000。類似の契約でA社はロイヤルティ 5% と交換にライセンスを供与
固定対価 300,000 → 設備、売上高ロイヤルティの全額 → ライセンス
○
(1) 知的財産に著しく影響する活動を行うことが合理的に期待されるか評判を高める活動の取引慣行があり、報酬が売上高ロイヤルティなので、A社が自らの利益を最大化するよう活動することをB社は期待(共通の経済的利害)
○
(2) その活動により顧客が直接影響を受けるかB社はA社の活動から生じる変化に対応することが要求される
○
(3) 活動の結果、財・サービスが移転しないかA社の活動が生じても、財・サービスはB社に移転しない
ライセンス期間にわたり知的財産にアクセスする権利 → 一定の期間にわたり充足(第62項(1))
設備の引渡時| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金預金 | 300,000 | 売上高(設備) | 300,000 |
B社の月次売上高 2,000,000 が生じた時(ロイヤルティ 5%)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売掛金 | 100,000 | 売上高(ロイヤルティ) | 100,000 |
設例25
フランチャイズ ── アクセスする権利と、売上高ロイヤルティ
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用5 ステップ3・4・5
ハルカ
フランチャイズのライセンスと設備を提供して、対価は設備 300,000 と毎月の売上の 5%。ロイヤルティは変動対価ですよね。②編の方法で見積りますか。
先生
ステップ3で、ロイヤルティの全体がライセンスの約束に関係し、設備に固定対価を配分するのが独立販売価格と整合的だから、ロイヤルティの全額をライセンスに配分するんだ(基準第72項)。そのうえで、売上高に基づくロイヤルティはライセンスに明確に関係するから、見積らずに顧客の売上が生じた時に認識するよ(第67項)。
迷いポイント フランチャイズのライセンスは、使用する権利?
ハルカ
商号を使う権利なので、設例23と同じ使用する権利で、開店時に一時点ですよね。
先生
ステップ4の3要件は○が3つなんだ。A社は評判を高めるために顧客嗜好の分析や販促を続ける取引慣行があり、報酬が売上高ロイヤルティだから、B社はその活動を合理的に期待する。B社はその変化に対応することが求められ、活動そのもので財・サービスは移転しない。だからアクセスする権利で、一定の期間なんだ。ステップ5のとおり、設備は引渡時に 300,000、ロイヤルティは月次売上 2,000,000 が立った時に 100,000 だよ。
ハルカ
ブランドは、売った後も本部が磨き続けるから、毎月少しずつ渡している、ということですね。
先生
そう、磨き続けるからアクセスする権利になるんだ。磨くのをやめたソフトとは、そこが違うんだよ。
💡 そうだったのか!
本部が知的財産に影響し続けるフランチャイズは
アクセスする権利。ロイヤルティは全額をライセンスに配分し、
顧客の売上が生じた時に認識します。
📘 設例・基礎7 ラボの画面
×
B社は製品Xの支配を獲得したかA社が買い戻す権利を持つため、B社が使用を指図し残りの便益を享受する能力が制限される → 支配は移転しない
○
買戻価格 ≧ 販売価格か540,000 ≧ 500,000 → 金融取引として処理
金融取引:製品Xを認識し続け、受取額を借入金に
販売日(支配は移転しない:製品を認識し続け、受取額を金融負債に)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 現金預金 | 500,000 | 借入金 | 500,000 |
買戻日まで:買戻価格との差額を金利(又は加工・保管コスト等)として認識| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 支払利息 | 40,000 | 借入金 | 40,000 |
オプションが未行使のまま消滅:負債の消滅を認識して収益を認識(第71項)※製品の認識の中止と売上原価の仕訳は、取得原価を入力しない学習モデルのため省略| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 借入金 | 540,000 | 売上高 | 540,000 |
設例26-1
コール・オプション ── 500,000 は売上ではなく借入金
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎7 ステップ2・3・4
ハルカ
製品を 500,000 で売って、1年以内に 540,000 で買い戻せる権利を持っています。売った日に売上 500,000 ですよね。
先生
ステップ2の判定を見てごらん。A社が買い戻す権利を持つから、B社は製品の使用を指図し便益を享受する能力が制限されて、支配は移転しない(第69項)。買戻価格 540,000 ≧ 販売価格 500,000 だから金融取引なんだ。ステップ3の仕訳は、現金 500,000/借入金 500,000。製品は棚卸資産のまま、差額 40,000 は支払利息で借入金を増やすよ(第70項)。
迷いポイント 使わずに消滅したコールは、なかったことにして最初から売上?
ハルカ
結局買い戻さなかったのなら、販売日にさかのぼって売上にするんですよね。
先生
さかのぼらないんだ。ステップ4のとおり、オプションが未行使のまま消滅した時に、負債の消滅と収益を認識するよ(第71項)。借入金 540,000/売上高 540,000。この時点で製品の消滅と売上原価も認識するんだ。収益の額が 500,000 ではなく 540,000 になるのは、利息分が負債に積み上がっていたからだよ。
ハルカ
製品を渡して現金ももらったのに、帳簿では製品が倉庫にいて、お金は借金。1年間、二重生活をしているみたいです。
先生
帳簿が見ているのは実態だよ。買い戻せるうちは、まだ売っていないんだ。
💡 そうだったのか!
コールがあれば
支配は移転せず、受取額は借入金。未行使で消滅した時に、積み上がった
540,000 を収益にします。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「買戻契約」のシミュレーションを開く(基礎7の数字)
- 右の「オプションの結果」を 「行使して買い戻す」 に変える
👀 消滅時の仕訳が、借入金 540,000/売上高 540,000 から 借入金 540,000/現金預金 540,000 に変わります。買い戻せば、売上は立たず、製品は手元に残ったまま金融負債を決済するだけです。
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📘 設例・基礎8 ラボの画面
○
買戻価格は買戻日の予想時価を大幅に上回るか440,000 > 350,000(約 1.26倍)→ B社は買い戻してもらう方が有利
○
他に考慮すべき要因はないか消滅までの期間は1年。他の関連する要因はないと判断
B社はプット・オプションを行使する重要な経済的インセンティブを有する
×
B社は製品Xの支配を獲得するか行使のインセンティブがあるため、B社が使用を指図し残りの便益を享受する能力が制限される → 移転しない
○
買戻価格 < 販売価格か440,000 < 500,000、リースバックは含まない → リースとして処理
リース会計基準に従ってリースとして処理(販売ではない)リースの計算はリース会計ラボで
もしインセンティブがなければ(例:買戻価格が時価を下回る)、支配は移転し、返品権付きの販売として処理する(②編の返金負債・返品資産)。
買戻価格が販売価格以上で時価より高ければ金融取引(第73項、基礎7と同じ処理)。
設例26-2
プット・オプション ── 買戻 440,000 と時価 350,000 を比べる
📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎8 ステップ2・3
ハルカ
今度は顧客の要求で 440,000 で買い戻す義務です。買戻価格が販売価格 500,000 より安いので、普通の販売ですよね。
先生
プットでは、まずステップ2で顧客に行使する重要な経済的インセンティブがあるかを見るんだ(第72項)。買戻価格 440,000 は買戻日の予想時価 350,000 を大幅に上回るから、B社は買い戻してもらう方が有利で、インセンティブありだよ。
迷いポイント インセンティブがあると、どう処理が変わる?
ハルカ
インセンティブがあっても、買い戻すのはお客さんが決めることなので、販売は販売ですよね。
先生
インセンティブがあれば、B社は使い続けるより返す可能性が高いから、支配は移転しないんだ。ステップ3のとおり、買戻価格 < 販売価格でリースバックも含まないから、リースとして処理するよ。インセンティブがなければ支配は移転して、②編の返品権付きの販売。買戻価格が販売価格以上で時価より高ければ、基礎7と同じ金融取引なんだ(第73項)。
ハルカ
リース会計ラボでも、延長オプションを行使することが合理的に確実かを、経済的インセンティブで見ました。お客さんの気持ちを先回りして読むところは同じですね。
先生
そう、同じ目で見るんだ。気持ちではなく、価格の関係から行動を見込むところが共通なんだよ。
💡 そうだったのか!
プットは
買戻価格と予想時価の関係でインセンティブを判定。あれば支配は移転せず、買戻価格 < 販売価格なら
リースです。
⏱ 30秒だけラボで試す
- リンクから「買戻契約」のシミュレーションを開く(基礎8の数字)
- 右の「買戻価格」を 440,000 から 560,000 に変える
👀 判定が リースとして処理 → 金融取引 に変わり、現金 500,000/借入金 500,000 と支払利息 60,000 の仕訳が出ます。買戻価格が販売価格以上で時価より高いので、価格条件だけで金融取引になり、インセンティブの判断は要りません(第73項)。
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📕 設例・応用9 ラボの画面
○
(1) 契約を締結した合理的な理由があるかB社の工場改修の遅れという顧客の要望による
○
(2) 顧客に属するものとして区分して識別されているかB社向けと明示して区分保管
○
(3) 物理的に移転する準備が整っているか完成・検査合格済みで、いつでも出荷できる
○
(4) 企業が使用・他の顧客に振り向ける能力を持たないか他に販売も自社使用もできない
4要件をすべて満たす → B社は出荷前に機械の支配を獲得(機械の履行義務は請求時に充足)基準第39・40項の支配の指標(請求権・法的所有権・検収など)も満たしている前提。収益の額は、次のステップで保管サービスを評価してから確定する
×
保管サービスは別個の履行義務として評価が必要か保管サービスは約束した財・サービスの候補になる(第160項)。この設例では、3か月の保管が契約全体に対して定量的・定性的に重要性が乏しいため、履行義務かどうかの評価を省略できる(第93項)→ 配分せず、機械の対価 800,000 の全額を請求時に収益
完成・請求時(機械の支配がB社に移転)| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|
| 売掛金 | 800,000 | 売上高 | 800,000 |
保管料を別途受け取らないことは、配分しない理由にはならない。保管サービスが別個の履行義務かは、通常の履行義務の識別(基準第32〜34項)で判定し、重要性が乏しい場合に限り評価を省略できる(第93項)。重要性があり別個なら、取引価格の一部を保管サービスに配分して保管期間にわたり認識する(第160項)。
4要件のどれかを満たさなければ(例:他の顧客に振り向けられる汎用品)、機械の支配が移転するまで収益を認識しない(出荷日が常に認識日とは限らない)。請求額を先に受け取った(または支払期限が到来した)なら契約負債。
請求済未出荷
特注機械 800,000 ── 倉庫にあっても、4要件そろえば収益
📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用9 ステップ2・3
ハルカ
完成した特注機械を、お客さんの都合で3か月うちの倉庫に置いています。全額 800,000 を請求しました。出荷していないので、売上はまだですよね。
先生
ステップ2の4要件を見てごらん。顧客の工場改修の遅れという合理的な理由、B社向けと明示した区分保管、検査合格済みでいつでも出荷できる、他に振り向けられない。4つとも○で、基準第39・40項の支配の指標も満たす前提だから、B社は出荷前に支配を獲得しているんだ(第79項)。
迷いポイント 保管サービスは、履行義務として分けなくていい?
ハルカ
3か月預かるのもサービスですよね。800,000 の一部を保管サービスに配分しないんですか。
先生
いい問いだよ。保管サービスは履行義務の候補になる(第160項)。ステップ3では、3か月の保管が契約全体に対して重要性が乏しいから、履行義務かの評価を省略して(第93項)、800,000 の全額を請求時に収益にしているんだ。重要性があって別個なら、一部を配分して保管期間にわたって認識するよ。保管料を別にもらっていないことは、配分しない理由にはならないんだ。
ハルカ
倉庫にある機械を見て「まだ売れていない」と思ったのは、私の目が出荷基準のままだったんですね。
先生
目を支配基準に替えておこうか。ただし4要件のどれかが欠けたら、支配が移転するまで収益は認識できないよ。先に受け取った代金は契約負債なんだ。
💡 そうだったのか!
請求済未出荷は
4要件すべてで出荷前に収益。保管サービスは
重要性と別個かどうかで評価し、対価の有無では決めません。
📝 売上の期間帰属の適切性とは?KAM事例263社分析【カットオフ監査】記事を読む ▶
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この記事の図は、すべて収益認識ラボ③の画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。
収益認識ラボ③を開く ▶今日のまとめ ── 設例ごとの結論
おわりに
今日のふりかえり
先生
今日のまとめだよ。ライセンスは別個かどうかを先に見て、別個なら3要件でアクセスする権利か使用する権利かを判定する。買戻契約は支配が移転したかを価格の関係とインセンティブで見る。請求済未出荷は4要件と保管サービスを確かめる。どれも、ステップ⑤の「いつ支配が移転するか」を取引に当てはめた話なんだ。
ハルカ
③編を通して、新しい計算はほとんど出てきませんでした。出てきたのは、①編の別個の判定、②編の配分と制限、リースの経済的インセンティブ。前に習ったことが、別の取引の中で何度も顔を出すのが、今回いちばん嬉しかったことです。
先生
それがシリーズで読む力だよ。論点が増えたのではなく、同じ判断を使う場面が増えただけなんだ。
ハルカ
では、次に知らない取引が出てきても、まず「履行義務はいくつ・いくら・いつ支配が移るか」の3つを書いてから、慌てることにします。
先生
慌てる前に3つ書けるなら、もう慌てなくていいよ。③編はここまでだから、基礎編から読み返すと、早見表の1行1行が自分の言葉で読めるようになっているはずだよ。
参考資料
企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(第32〜40・72項)/企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(第61〜74・77〜79・93・160項、設例23〜26)(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの設例は、適用指針の設例と同じパターンを独自の数値で組み立てたものです。請求済未出荷契約(応用9)は原典に数値の設例がないため、第77〜79項の定めをもとに独自に設定しています。基準確認日:2026年10月1日。
サイト内の関連:【早見表】収益認識基準・適用指針/リース会計ラボ/売上の期間帰属のKAM事例分析
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・保証と本人・代理人編(設例16〜20・30)/設例・ポイントとオプション編(設例21・22・31・非行使部分)
この記事を書いた人
TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。