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収益認識ラボ①【設例・履行義務の識別編】|先生と一緒に図で学ぶ設例5・6 重要な統合サービス・著しい修正・相互依存性

収益認識ラボ①【設例・履行義務の識別編】|先生と一緒に図で学ぶ設例5・6 重要な統合サービス・著しい修正・相互依存性

無料の学習ツール「収益認識ラボ①」の読み方ガイドです。ラボの設例タブから、履行義務の識別の設例(設例5-1・5-2、6-1〜6-4)を2つずつ比べながら、先生と生徒の会話形式で見ていきます。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📘 設例・基礎3 ラボの画面
約束した財・サービス第34項(1):別個となる可能性単独で/容易に利用できる資源と組み合わせて便益を享受できる○第34項(2):契約の観点で別個他の約束と区分して識別できる(適用指針第6項の3要因で判断)別個の履行義務区分して識別できないことを示す要因(適用指針第6項)(1) 結合後のアウトプットに統合する重要なサービス(2) 他の財・サービスを著しく修正・顧客仕様にする(3) 相互依存性・相互関連性が高い×なら他の約束と結合(適用指針第7項)
はじめに

設例5・6 ── 履行義務はいくつ?

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎3 ステップ2の関連図
ハルカ
先生、今日は履行義務の数え方ですね。数えるだけなら簡単そうです。
先生
数えるための関門が2つあるんだ。図の第34項(1)は「単独で、又は手に入りやすい資源と組み合わせて便益を受けられるか」、第34項(2)は「契約の中で、他の約束と区分できるか」。今日の6つの設例は、ほとんどが(1)は○で、(2)で答えが分かれるんだよ。
ハルカ
(2)の見分け方を練習する回なんですね。
先生
そうだよ。結論が対になる設例を並べて比べると、分かれ目がよく見えるんだ。2つずつ比べていこうか。
設例・基礎タブの基礎3を開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📘 設例・基礎3 ラボの画面
×
(1) 重要な統合サービスを提供している個々の作業を「物流センター」という結合後のアウトプットに統合する
—
(2)(3) の要因(1)に該当するので、判定は不要

※ 適用指針第6項の(1)〜(3)は、すべてを満たすべき要件ではなく、区分して識別できないことを示す代表的な要因の例示です。契約の約束の性質(個々に移転するのか、結合後のアウトプットを移転するのか)を総合して判断します。

設計基礎工事建設設備の据付仕上げ履行義務 1実線=単独で1つの履行義務/点線=結合して1つの履行義務
第34項(2)を満たさない → 全体で1つの履行義務

「別個となり得る」((1)○)けれど、「契約の観点では別個でない」((2)×)という典型例。

次は、この単一の履行義務が一定の期間にわたり充足されるかを判定します(顧客の土地での建設なら第38項(2))。

設例5-1

重要な統合サービス ── 建設は丸ごと1つ

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎3 ステップ3・4
ハルカ
設計も基礎工事も建設も、他の会社が単独で請け負っている仕事ですよね。なのに1つの履行義務なんですか。
先生
単独で提供されているから、(1)は○なんだ。でもA社は、それぞれの作業を「物流センター」という1つの完成品に統合する責任を負っている。これが適用指針第6項(1)の重要な統合サービスで、(2)が×になるよ。
迷いポイント 他社も単独で提供している=別個?
ハルカ
同業他社が単独で売っているなら、それだけで別個だと思っていました。
先生
他社が単独で売っているのは、(1)の「別個となる可能性」の手がかりなんだ。契約の中で何を約束しているかは(2)で見るから、統合する約束なら全部で1つにまとめるよ。
💡 そうだったのか!
(1)が○でも、完成品に統合する約束なら(2)で×。建設のような契約は全体で1つの履行義務です。
📕 設例・応用3 ラボの画面
×
(1) 重要な統合サービスを提供しているさまざまな活動を統合して装置を完成させる責任を負う
×
(3) 相互依存性・相互関連性が高い製造プロセスはこの契約に特有で、1つの活動の変更が他の活動に重要な影響を与える

※ 適用指針第6項の(1)〜(3)は、すべてを満たすべき要件ではなく、区分して識別できないことを示す代表的な要因の例示です。契約の約束の性質(個々に移転するのか、結合後のアウトプットを移転するのか)を総合して判断します。

製造プロセス確立材料調達製造・組立試験装置8台履行義務 1実線=単独で1つの履行義務/点線=結合して1つの履行義務
装置8台と関連する活動のすべてで1つの履行義務

1台ずつ独立して動くことは「(1)別個の可能性」の話。契約の約束の性質が「統合して製造すること」なら(2)で結合します。

設例5-2

特殊な装置8台 ── 1台ずつ動いても1つ

📍 ラボの場所:設例・応用タブ 応用3 ステップ3・4
ハルカ
検査装置は1台ずつ単独で動くんですよね。8台なら8つの履行義務になりそうです。
先生
1台ずつ動くから、(1)は○なんだ。でもA社は、顧客の設計どおりに製造プロセスを作り、材料調達から試験までを統合して装置を仕上げる責任を負っている。1つの活動を変えると他の活動にも大きく響くから、相互依存性も高いんだ。
迷いポイント 台数ごとに引き渡すなら、台数ごとの履行義務?
ハルカ
1台ずつ届くなら、届くたびに別の約束を果たしているように見えます。
先生
引き渡しの単位ではなく、約束の性質で判断するんだ。この契約の約束は「統合して製造すること」だから、8台と関連する活動のすべてで1つの履行義務になるよ。
ハルカ
8台で1つ…。8人家族の家なのに、表札が1枚しかないみたいです。
先生
表札は1枚でも、住んでいるのは8台なんだよ。数えるのは表札の方だね。
💡 そうだったのか!
単独で動く装置でも、統合して製造する約束なら全体で1つ。数えるのは引き渡しの回数ではなく約束の性質です。
📘 設例・基礎4 ラボの画面
ライセンスインストールアップデートサポート履行義務 1履行義務 2履行義務 3履行義務 4実線=単独で1つの履行義務/点線=結合して1つの履行義務
4つの履行義務

ライセンスの性質(アクセス権か使用権か)の判定は③特定の取引編(設例23)で扱います。

各履行義務について、一定の期間か一時点かを判定します。

ライセンスカスタマイズアップデートサポート履行義務 1履行義務 2履行義務 3実線=単独で1つの履行義務/点線=結合して1つの履行義務
3つの履行義務(ライセンス+カスタマイズで1つ)

設例6-1との大きな違いは、インストールがソフトを著しく修正・顧客仕様化すること。さらにライセンスとカスタマイズを統合して顧客仕様のシステムを提供する重要な統合サービスも生じるため、両者は契約の観点で区分して識別できず、1つの履行義務になります。

「他社もできるかどうか」だけでは決まりません。

設例6-1・6-2

ソフトとインストール ── 4つか、3つか

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎4/設例・応用タブ 応用4 ステップ4
ハルカ
同じソフトとインストールなのに、設例6-1は4つ、6-2は3つなんですね。
先生
違うのはインストールの中身だけなんだ。6-1は画面の設定変更程度で、ソフトを修正しない。6-2は顧客の既存システムとつなぐために、ソフトを大幅に修正して顧客仕様にする。これが適用指針第6項(2)の要因に当たるんだ。しかも6-2では、ライセンスとカスタマイズを統合して顧客仕様のシステムを提供する重要な統合サービス(第6項(1))も生じる。だから両者は契約の観点で区分できず、1つにまとまるよ。
迷いポイント 他社でもできるカスタマイズなら、別個?
ハルカ
6-2のカスタマイズも他社でできるそうです。それなら別個にしていいのでは。
先生
「他社ができるか」だけでは決まらないんだ。ソフトが著しく修正されて、ライセンスとカスタマイズが統合された1つのシステムになるなら、他社にできても結合するよ。アップデートとサポートは、どちらの設例でも別個のままなんだ。
💡 そうだったのか!
6-1との大きな違いは著しい修正・顧客仕様化。6-2では重要な統合サービスも生じるため、ライセンスとカスタマイズを結合して3つになります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから設例・基礎タブの基礎4(設例6-1)を開き、ステップ3を見る
  2. 「設例・応用」タブで応用4(設例6-2)のステップ3を開く

👀 「(1) 重要な統合サービス」と「(2) 著しい修正・顧客仕様化」が ○(ない)→ ×(ある) に変わり、ステップ4の履行義務が 4つ → 3つ になります。

ラボを開く ▶
📘 設例・基礎5 ラボの画面
○
(1) 重要な統合サービスはない引渡しと据付を別々に履行できる
○
(2) 著しい修正・顧客仕様化はない据付で包装機を修正しない
○
(3) 相互依存性・相互関連性は高くない据付は包装機に著しい影響を与えない

※ 適用指針第6項の(1)〜(3)は、すべてを満たすべき要件ではなく、区分して識別できないことを示す代表的な要因の例示です。契約の約束の性質(個々に移転するのか、結合後のアウトプットを移転するのか)を総合して判断します。

○
(1) 重要な統合サービスはない装置と試薬を結合後のアウトプットに統合しない
○
(2) 著しい修正はないどちらも他方を修正しない
○
(3) 相互依存性は高くない試薬は装置に必要だが、一方を他方と独立して履行できる

※ 適用指針第6項の(1)〜(3)は、すべてを満たすべき要件ではなく、区分して識別できないことを示す代表的な要因の例示です。契約の約束の性質(個々に移転するのか、結合後のアウトプットを移転するのか)を総合して判断します。

設例6-3・6-4

設備と据付・設備と専用消耗品 ── どちらも2つ

📍 ラボの場所:設例・基礎タブ 基礎5/設例・応用タブ 応用5 ステップ3
ハルカ
据付がないと設備は動かないし、専用の試薬がないと分析装置は使えません。それでも別々なんですか。
先生
どちらも2つの履行義務なんだ。設例6-3の包装機は汎用品で、据付は単純で他社もできる。設例6-4の試薬は装置に必要だけれど、装置を渡す約束と試薬を渡す約束は、それぞれ独立して果たせるんだ。
迷いポイント 「必要不可欠」なら、相互依存性が高い?
ハルカ
試薬がないと装置が使えないなら、相互依存性は高いと言っていいですよね。
先生
必要なだけでは足りないんだ。適用指針第6項(3)が見ているのは、一方が他方に著しい影響を与えるかなんだ。試薬を買わなくても装置は渡せるし、装置を別に手に入れても試薬は渡せるから、相互依存性は高くないよ。
ハルカ
私にとってのクロワッサンとコーヒーも、必要不可欠ですけど別々に買っています。
先生
どちらか一方だけを買う日もあるなら、たしかに別個の約束だね。
💡 そうだったのか!
「必要」と「相互依存性が高い」は別物。互いに著しい影響を与えるかで判断します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. リンクから設例・基礎タブの基礎3(設例5-1)を開き、ステップ4を見る
  2. プルダウンで基礎5(設例6-3)に切り替えて、同じステップ4を見る

👀 同じ「設備の据付」を含む契約でも、履行義務が 1つ(点線で結合)→ 2つ(実線で別々) に変わります。統合サービスの有無が分かれ目です。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて収益認識ラボ①の画面そのものです。設例タブを開けば、同じ図を見ながら、ステップを1つずつ読み返せます。

収益認識ラボ①を開く ▶

今日のまとめ ── 設例ごとの結論

設例迷いポイント答え
設例5-1他社も単独で提供=別個?(1)は○でも、完成品に統合する約束なら(2)で×。全体で1つ
設例5-21台ずつ動く装置8台は8つ?統合して製造する約束なら全体で1つ。数えるのは約束の性質
設例6-1・6-2他社もできるカスタマイズは別個?6-1との大きな違いは著しい修正・顧客仕様化。6-2では重要な統合サービスも生じ、ライセンスとカスタマイズを結合(4つ→3つ)
設例6-3・6-4必要不可欠なら相互依存性が高い?互いに著しい影響を与えるかで判断。どちらも2つ
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。今回の設例5・6では、第34項(1)は多くが○で、答えを分けたのは(2)なんだ。統合・著しい修正・相互依存性は、全部を満たすべき要件ではなく判断の手がかりになる代表的な要因。この3つの目で約束の性質を見れば、履行義務の数はぶれにくくなるよ。
ハルカ
モンステラの棚の組み立てサービスを思い出しました。組み立てで棚を改造したわけではないので、棚と組み立ては別々ですね。
先生
汎用の棚と単純な組み立てなら、設例6-3と同じ形だね。もちろん、個人の買い物に会計基準は要らないから、考え方の練習としてだよ。
ハルカ
ただ、組み立てのお兄さんが、棚の位置まで決めて部屋の模様替えまでしてくれたら、重要な統合サービスになりそうです。
先生
そこまでしてくれたら、たしかに1つにまとまりそうだね。次の設例編では、設例7〜9で、一定の期間か一時点か、そして進捗度を見ていこうか。

参考資料

企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(第32〜34項)/企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(第4〜7項、設例5・6)(いずれも企業会計基準委員会)。ラボの設例は、適用指針の設例と同じパターンを独自の設定で組み立てたものです。基準確認日:2026年9月29日。
サイト内の関連:【早見表】収益認識基準・適用指針
このシリーズの記事:基礎編/応用編/設例・5ステップと契約変更編(設例1〜4)/設例・一定の期間と進捗度編(設例7〜9)

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。