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外国税額控除ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ控除対象の判定・地方税の器・条約とCFC

外国税額控除ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ控除対象の判定・地方税の器・条約とCFC

無料の学習ツール「外国税額控除ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📙 応用 処理早見表
所得を課税標準とする外国の税か?(外国法人税)いいえ対象外(付加価値税・関税など)はい益金不算入の外国子会社配当に課された税か?はい対象外・損金不算入(法39条の2)いいえ通常行われない取引から生じた所得などに対する税か?はい対象外いいえ課税標準の35%を超える部分か?はい対象外・損金にはなる(高率負担部分)いいえ控除対象外国法人税 → 限度額まで控除※ 代表的な4つの問いです。条約の限度税率を超えて徴収された部分、利子等の制限なども別にあります
📋 処理早見表 所得・外国税の種類 × 取扱い(学習用に要約)
所得・外国税の種類外国税額控除外国税の損金算入日本での課税主な別表
国外支店(PE)の所得に課された法人税○(35%以下の部分)控除を選べば×(高率部分は○)全額課税(国外所得)六(二)・六(四)
海外から受ける使用料の源泉税○控除を選べば×全額課税(国外所得)六(二)・六(四)
海外から受ける利子の源泉税○(ただし利子等は令142条の2第2項の制限あり)控除を選べば×(対象外部分は○)全額課税(国外所得)六(五)ほか
外国子会社(25%以上・6か月以上)からの配当の源泉税××(損金不算入)配当の95%が益金不算入八(二)
持株25%未満(条約の引下げなし)の会社からの配当の源泉税○控除を選べば×全額課税(国外所得)六(二)・六(四)
子会社の所在国で損金算入される配当(損金算入される部分)○(その部分の源泉税)控除を選べば×その部分は益金不算入の対象外八(二)
租税条約の限度税率を超えて徴収された部分×○-六(四)
外国法人税のうち35%を超える部分(高率負担部分)×○-六(四)
外国子会社合算税制(CFC)で合算した所得に対応する外国税○(みなし納付・措置法)控除を選べば×合算所得に課税六(二)ほか ※本ラボ対象外
はじめに

応用タブの入口 ── 処理早見表

📍 ラボの場所:応用タブ 冒頭
ハルカ
基礎編で、器と繰越は分かりました。実務では、どこでつまずくんですか。
先生
応用タブの早見表を見ると、「何が控除の対象になるか」「地方税の器」「控除か損金算入か」「条約とCFC」の4つで迷いやすいんだ。上から順に見ていこうか。
ハルカ
外国で払った税金なら、どれも同じ扱いだと思っていました。
先生
図の判定フローは、代表的な4つの問いを並べたものなんだ。付加価値税のように、所得にかかる税でないものは最初の問いで対象外になるよ。ほかにも、租税条約の限度税率を超えて取られた部分や、利子等の制限のように、別のルールで外れるものがあるんだ。
💡 そうだったのか!
判定フローは代表的な4つの問い。これですべてではなく、条約の限度税率超過部分などの除外もあります。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A-1 ラボの図
外国で払った税源泉税・支店の法人税など① 外国法人税に当たらない税付加価値税・関税・任意に額を決められる税など② 高率負担部分課税標準の35%超③ 通常行われない取引に基因外国税の付け替えのような取引④ 日本で課税されない金額が対象益金不算入配当の源泉税など控除対象外国法人税の額代表的な4つのチェック。ほかにも除外規定がある(条約の限度税率超過部分など)
応用 A-1

A-1 控除対象から除かれる外国法人税(代表的な4つ)

📍 ラボの場所:応用タブ A-1
ハルカ
高率負担部分のほかにも、控除の対象から外れるものがあるんですか。
先生
代表的には、図の4つのふるいを確認するよ。①外国法人税に当たらない税、②高率負担部分、③通常行われない取引に基因する所得への税、④日本で課税されない金額に課された税。これですべてではなく、租税条約の限度税率を超えて取られた部分なども外れるんだ。その部分は原則として損金になるよ。
迷いポイント 益金不算入の配当の源泉税は、どのふるいに引っかかる?
ハルカ
配当の源泉税は、高率負担部分のふるいですか。
先生
④の「日本で課税されない金額が対象」のふるいなんだ。配当の95%を益金に算入しないから、その配当の源泉税は控除の対象から外れるよ。
ハルカ
4回もふるうなんて、パン屋さんの小麦粉みたいです。ふるった後の粉でしか、クロワッサンは焼けないんですね。
先生
そう、ふるいに残った税が、器と比べる材料になるんだ。ただ、ふるいは4枚だけではないことを覚えておいてね。
💡 そうだったのか!
まず確認したい代表的な4つのふるいです。条約の限度税率超過部分や利子等の制限など、ほかの除外規定もあります。
📙 応用 A-2 ラボの図
法人税の控除限度額 5,800(事例A)を「ものさし」にする5,800標準税率道府県 1% = 58 + 市町村 6% = 348 → 住民税の限度額 406例:超過税率の自治体道府県 2% = 116 + 市町村 8.4% = 487 → 住民税の限度額 603住民税の限度額は、法人税の限度額に率を掛けるだけ(地方法人税は地方法人税額 × 按分割合)
応用 A-2

A-2 地方税の控除限度額と超過税率

📍 ラボの場所:応用タブ A-2
ハルカ
住民税の器は、どうやって計算するんですか。
先生
図のとおり、法人税の控除限度額をものさしにして、道府県1%・市町村6%を掛けるだけなんだ。事例Aなら 5,800 × 1% = 58、5,800 × 6% = 348 で、住民税の器は 406 だよ。
迷いポイント 超過税率の自治体なら、器は自動で大きくなる?
ハルカ
超過税率の自治体に事務所があれば、器も自動で大きくなりますよね。
先生
原則は標準税率で計算するんだ。超過税率で課税する自治体に事務所があれば、選択によってその税率を使えるよ。複数の自治体があるときは従業者数で按分するんだ。
💡 そうだったのか!
住民税の器は法人税の控除限度額 × 率。原則は標準税率(1%・6%)です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 「税率(標準)を変える」を開き、市町村民税を 6.0 → 8.4 に変える

👀 市町村民税の限度額は 348 → 487、器の合計は 6,803 → 6,942 に広がります。

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📙 応用 A-3 ラボの図
事例B:控除対象外国法人税 7,500 の使い道外国税額控除当期に税が減る 6,803繰越 697損金算入約 2,042税は減らない(所得が減るだけ)控除は「税額」を直接減らし、損金算入は「所得」を減らす(×約27%)
応用 A-3

A-3 控除か損金算入か ── 控除対象外国法人税額について統一して選ぶ

📍 ラボの場所:応用タブ A-3
ハルカ
控除と損金算入は、外国税ごとに選べますか。
先生
選ぶのは、その年度の控除対象外国法人税額についてなんだ。一部でも控除を受ければ、その全部が損金不算入になるよ。図の事例Bでは、控除なら当期に税が 6,803 減って 697 を繰越。損金算入なら 7,500 が損金になるだけで、税の減少は約 2,042 だよ。
迷いポイント 損金算入の方が得になるのは、どんなとき?
ハルカ
7,500 全部が損金になるなら、損金算入の方が得に見えます。
先生
損金算入は所得を減らすだけだから、十分な所得があっても、税は外国税 × 税率の分しか減らないんだ。所得が足りない年は、当期の税はほとんど減らないよ。控除は税額から直接引くよ。器がほとんどなく、3年以内に余裕も見込めない会社でなければ、控除の方が有利になりやすいんだ。なお、高率負担部分のように控除対象外国法人税でないものは、どちらを選んでも損金のままだよ。
ハルカ
7,500 と 6,803 なら、大きい数字の方が勝ちだと思っていました。数字の大きさで決める作戦は、今日で卒業します。
先生
比べるのは「税がいくら減るか」だよ。いい卒業だね。
💡 そうだったのか!
控除と損金算入は、その年度の控除対象外国法人税額の全部について統一して選びます。比べるのは税の減り方です。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Bが入っています)
  2. 「控除か損金算入か」を「損金に算入する」に変える

👀 当期の控除は 6,803 → 0、繰り越す限度超過額も 697 → 0。「🔭 選択の比較」タブでは、損金算入による税の減少は約 2,042 と出ます。

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📙 応用 B-1 ラボの図
10%:米国・豪州・オランダ・ブラジルなど15%:フランス25%:原則S2 米国子会社 15%(条約国 → 対象)事例G 20%(原則国 → 対象外)事例C 40%(→ 対象)0%10%20%30%40%50%60%色の帯の中(その国の要件以上)なら外国子会社。同じ20%でも、条約国なら対象、原則国なら対象外
応用 B-1

B-1 租税条約で持株要件が下がる国

📍 ラボの場所:応用タブ B-1
ハルカ
持株25%未満だと、外国子会社にはならないんですよね。
先生
原則はそうだよ。ただ、租税条約の二重課税排除条項で、外国子会社の判定に使う持株割合が25%より低く定められている国もあるんだ。図のとおり、米国などは10%、フランスは15%だよ。
迷いポイント 同じ持株20%なら、どの国の子会社でも結論は同じ?
ハルカ
20%なら、どの国でも25%に届かないので対象外ですよね。
先生
条約で10%の国なら、20%でも外国子会社になるんだ。図のS2は、持株15%の米国子会社が対象になる例だよ。国ごとに条約を確認してね。
ハルカ
国によって基準が変わるなんて、実家のこむぎと同じです。私が3回なでると怒るのに、母には10回なでられても怒りません。
先生
こむぎの基準は条約に書いていないから、お母さんに確認するといいよ。
💡 そうだったのか!
持株要件は原則25%。条約で10%・15%に下がる国があります。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(プリセットS2:持株15%・条約で要件10%)
  2. 「持株要件」を 10% → 25%(原則) に変える

👀 外国子会社の要件を満たさなくなり、益金不算入額は 28,500 → 0。源泉税 1,500 は控除対象外国法人税に変わります(配当を国外所得に含める入力が必要、と注意が出ます)。

ラボを開く ▶
📙 応用 B-2 ラボの図
日本の親会社CFCで子会社の所得を合算外国子会社(CFC)現地で法人税を納付① 所得を合算② 合算所得に対応する現地の税親が納付したものとみなす → 外国税額控除③ 後から配当を受ける特定課税対象金額等の範囲で益金不算入等配当合算と配当の二重課税を②③の仕組みで調整する(範囲や計算の詳細はCFCダッシュボード)
応用 B-2

B-2 CFC(外国子会社合算税制)との関係

📍 ラボの場所:応用タブ B-2
ハルカ
CFCで合算された所得にも、外国の税金がかかっていますよね。
先生
大きな考え方としては、図の②のとおり、合算所得に対応する一定の外国税について外国税額控除の調整を行うんだ。その後に配当を受けたときも、すでに課税された金額に対応する部分について、二重課税を調整する仕組みになっているよ。
迷いポイント CFCの合算と配当で、2回課税される?
ハルカ
合算で1回、配当でもう1回、課税されそうです。
先生
その二重課税を避けるための調整規定があるんだ。ただ、CFCでは調整額の計算が別に必要で、配当の調整も特定課税対象金額等の範囲に限られるよ。この図では仕組みだけ押さえようか。計算はCFCダッシュボードで確認してね。
💡 そうだったのか!
合算所得に対応する一定の外国税はみなし納付で控除、後の配当は特定課税対象金額等の範囲で益金不算入等の調整が行われます。
📙 応用 B-3 ラボの図
✕繰り越す外国税を損金に落とす○控除を選んだら全額が損金不算入✕配当の源泉税を控除に含める○益金不算入配当の分は控除対象外✕欠損金控除後の所得で按分○欠損金を控除する前の所得を使う✕非課税国外所得・90%を忘れる○調整国外所得金額で按分する✕住民税からの控除を忘れる○法人税→地方法人税→住民税の順✕3年を過ぎた繰越を使う○別表六(三)で年度ごとに管理
応用 B-3

B-3 よくあるミス

📍 ラボの場所:応用タブ B-3
ハルカ
申告書で間違えやすいところを教えてください。
先生
図の6組の ✕ → ○ だよ。いちばん多いのは、繰り越す外国税を損金に落としてしまうミスなんだ。控除を選んだら、全額が損金不算入だよ。
迷いポイント 按分に使う所得は、欠損金を控除した後?
ハルカ
所得金額は、欠損金を控除した後の数字を使いますよね。
先生
限度額の按分に使う所得は、欠損金を控除する前の金額なんだ。控除後の数字を使うと、割合がずれてしまうよ。
ハルカ
6組とも、この記事を読む前の私がやりそうなことばかりです。✕のカードが、私の日記に見えてきました。
先生
今日から○の日記に書き換えていけばいいよ。
💡 そうだったのか!
按分の所得は欠損金控除前。控除を選んだら、繰り越す分も含めて全額が損金不算入です。

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて外国税額控除ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

外国税額控除ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
外国の税ならどれも控除できる?代表的な4つの問いで判定。条約の限度税率超過部分なども対象外早見表
配当の源泉税はどのふるい?④日本で課税されない金額に課された税A-1
超過税率なら器は自動で大きくなる?原則は標準税率。選択で超過税率を使えるA-2
損金算入の方が得?多くは控除が有利(事例B:6,803 vs 約2,042)A-3
持株20%はどの国でも対象外?条約で10%の国なら対象B-1
CFCと配当で二重課税?みなし納付の控除と、特定課税対象金額等の範囲での益金不算入等で調整B-2
按分の所得は欠損金控除後?欠損金控除前B-3
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。控除の対象かどうかは代表的な4つのふるいから確かめる(ほかの除外規定もある)。住民税の器は、法人税の限度額に率を掛けて出す。控除か損金算入かはその年度の控除対象外国法人税額について選んで、税がいくら減るかで比べるんだ。
ハルカ
週末のパン屋巡りで、クロワッサンとメロンパンに迷ったら、次からは「どちらの方が幸せが増えるか」で比べることにします。
先生
比べる物差しを先に決めるのは、いい練習だね。ただ、パンの幸せに控除限度額はないよ。
ハルカ
限度がないなら、両方買って器からあふれさせます。
先生
パンは3年も繰り越せないから、その日のうちに食べてね。基礎編から読み返すと、器と繰越の図の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

法人税法23条の2・39条の2・41条・69条/法人税法施行令22条の4・141条〜145条/地方法人税法12条/地方税法施行令9条の7・48条の13/租税特別措置法66条の7・66条の8(CFC)/国税庁 別表六(二の二)・六(五)・十七(三の七)。ラボの数値はすべて独自の学習用です(法令確認日:2026年9月28日)。
このシリーズの記事:基礎編
サイト内の関連:外国税額控除とは?わかりやすく/CFC(外国子会社合算税制)/国際税務 全体像ナビ

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。