MENU

利子控除制限ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ資金供与者等・調整所得・赤字の年と超過利子額

利子控除制限ラボ【応用編】|先生と一緒に図で学ぶ資金供与者等・調整所得・赤字の年と超過利子額

無料の学習ツール「利子控除制限ラボ」の読み方ガイドです。ラボの応用タブから、実務で迷いやすい論点を選んで、先生と生徒の会話形式で見ていきます。基礎タブの内容は基礎編で扱っています。各行の図はラボの図そのものです。重要な節の最後には、ラボで30秒だけ手を動かす小さな実習を置いています。

📙 応用 処理早見表
海外の親会社等?国外支配株主等の判定① 過少資本を計算3倍・総負債基準② 過大支払利子を計算20%・適用免除③ 大きい方を適用同額なら過少資本④ 超過利子額の繰越余裕の年に損金算入国外支配株主等がいなければ①は飛ばして②へ。②が適用免除なら①の結果だけ。
📋 処理早見表 状況 × 2つの制度(学習用に要約)
状況過少資本税制過大支払利子税制ポイント
海外の親会社(50%以上)から多額の借入○(3倍超なら)○(20%超なら)両方を計算して大きい方
海外の銀行・社債の利子(親会社の保証なし)×○第三者への利子も対象
海外の銀行からの借入に親会社が保証○(資金供与者等)○保証料も利子等に含む
国内の銀行・国内の会社への利子×(国外支配株主等でなければ)×(対象外支払利子等)受け手で日本の課税所得に含まれる
対象純支払利子等が2,000万円以下○(金額基準なし)×(適用免除①)過少資本には少額免除がない
赤字・利益が落ちた年3倍以内なら×○(かかりやすい)否認分は7年繰越
総負債が自己資本の3倍以下×(ただし書)-親会社借入の倍率だけで判断しない
受取配当が大きい持株会社-○(かかりやすい)受取配当は調整所得に足し戻さない
はじめに

応用タブの入口 ── 判定の順番と処理早見表

📍 ラボの場所:応用タブ 冒頭
ハルカ
基礎編で、2本の物差しは分かりました。実務では、どこでつまずくんですか。
先生
図の上の判定の順番を見てごらん。国外支配株主等がいるかを確かめて、過少資本、過大支払利子の順に計算し、大きい方を適用して、最後に超過利子額の繰越を管理するんだ。迷いやすいのは「誰からの借入が入るか」「調整所得に何を足すか」「赤字の年」「繰越の期限」の4つだよ。
ハルカ
早見表を見ると、国内の銀行への利子はどちらにも「×」なんですね。
先生
そうなんだ。親会社の保証があると話が変わるし、持株会社は受取配当のせいで過大支払利子税制がかかりやすいんだ。表は原則の要約だから、上から順に細目を見ていこうか。
💡 そうだったのか!
判定は国外支配株主等 → 過少資本 → 過大支払利子 → 大きい方 → 繰越の順。早見表は原則の要約です。
ラボの応用タブを開きながら読むと分かりやすいですラボで開く ▶
📙 応用 A-1 ラボの図
海外の親会社持分50%以上=国外支配株主等日本の子会社貸付海外の銀行第三者保証貸付ほかの第三者親会社が預金で担保貸付(背中合わせ)資金供与者等 も過少資本税制の対象:親会社が保証した第三者からの借入、親会社が担保を差し入れた借入など→ 負債の平均残高と負債の利子等(保証料を含む)に加える
応用 A-1

A-1 国外支配株主等と資金供与者等

📍 ラボの場所:応用タブ A-1
ハルカ
過少資本税制は、親会社から直接借りたお金だけが対象ですよね。
先生
図のとおり、それだけではないんだ。親会社が保証した海外の銀行からの借入や、親会社が預金を担保に差し入れた背中合わせ融資も「資金供与者等」からの借入として入るよ。親会社に払う保証料も、負債の利子等に含めるんだ。
迷いポイント 国外支配株主等は、持分100%の親会社だけ?
ハルカ
国外支配株主等って、100%の親会社のことですよね。
先生
持分50%以上を直接・間接に持つ海外の株主などが当たるんだ。兄弟会社や、実質的に支配している関係も政令で入るよ。受け手の側で日本の課税対象所得に含まれる利子は、負債の利子等から外れるんだ。
ハルカ
「背中合わせ融資」って、名前だけ聞くと、けんかした二人の記念写真みたいです。
先生
実際は、親会社と銀行が背中合わせでお金をつないでいる形なんだよ。だから親会社からの借入と同じように数えるんだ。
💡 そうだったのか!
対象は国外支配株主等(50%以上)からの借入に加え、保証・担保で親会社がつながる資金供与者等からの借入も含みます。
📙 応用 A-2 ラボの図
総負債6,500自己資本×34,500総負債が自己資本の3倍を超える → 過少資本税制の判定へ進む(ここでの総負債は、利子の支払の基因となる負債など資金調達に係るものに限る)
応用 A-2

A-2 総負債基準・類似法人の倍率・自己資本

📍 ラボの場所:応用タブ A-2
ハルカ
親会社からの借入が資本持分の3倍を超えたら、それで適用ですか。
先生
もう1つ、会社全体の総負債が自己資本の3倍を超えるかも見るんだ。ここでの総負債は、利子の支払の基因となる負債など資金調達に係るものに限られるよ。図の事例Aは、総負債 6,500 が自己資本の3倍 4,500 を超えているから、判定に進むんだ。3倍以下なら適用しないよ。
迷いポイント 倍率は必ず3倍?
ハルカ
3倍は法律で決まっていて、動かせないんですよね。
先生
同じ種類の事業をしていて規模などが似ている会社の比率に照らして、妥当な倍数を使うこともできるんだ。レポ取引の負債がある場合の2倍の特例もあるけれど、ラボでは扱わないよ。
💡 そうだったのか!
判定は親会社等からの借入 ÷ 資本持分と総負債 ÷ 自己資本の2段。倍率は類似法人の比率を使うこともできます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Aが入っています)
  2. 「持分割合 %」を 100 → 60 に変える

👀 資本持分は 900、その3倍は 2,700 に縮み、過少資本税制の否認は 45 → 99 に増えます。資本持分は持分割合で決まります。

ラボを開く ▶
📙 応用 A-3 ラボの図
所得金額欠損金控除前など+対象純支払利子等+減価償却費特別償却準備金を含む+貸倒損失匿名組合など所得金額は、次を「適用しない」で計算した金額(措令39条の13の2第1項)過少資本・過大支払利子・超過利子額の損金算入、欠損金の繰越控除、外国税の損金不算入(法41条)など寄附金は全額を損金に算入したものとして計算。0を下回るときは0。受取配当等の益金不算入額は足し戻さない(令和元年改正)→ 持株会社は調整所得が小さくなりやすい
応用 A-3

A-3 調整所得金額の中身 ── 足し戻すもの・足し戻さないもの

📍 ラボの場所:応用タブ A-3
ハルカ
調整所得は、所得に利子と減価償却費を足すだけですか。
先生
図のとおり、貸倒損失なども足し戻すよ。出発点の所得金額は、過少資本・過大支払利子・超過利子額の損金算入や、欠損金の繰越控除などを適用しないで計算した金額なんだ。寄附金は全額を損金に入れて計算するよ。
迷いポイント 受取配当の益金不算入額も足し戻す?
ハルカ
受取配当の益金不算入額も、足し戻しますよね。
先生
それが、そうではないのだよ。令和元年の改正の後は足し戻さないんだ。だから受取配当が大きい持株会社は、調整所得が小さくなって、過大支払利子税制がかかりやすいよ。
ハルカ
配当をたくさんもらって喜んでいたら、枠は小さいと言われるなんて。ほめられた直後に注意された気分です。
先生
注意しているわけではないよ。調整所得に数えない、というだけなんだ。
💡 そうだったのか!
調整所得は所得+純支払利子+償却費・貸倒損失など。受取配当の益金不算入額は足し戻しません。
📙 応用 A-4 ラボの図
物差し①(過少資本)物差し②(過大支払利子)借入 ÷ 資本持分 = 2倍3倍以内 → 否認 0純支払利子 250 > 20% 30否認 220所得 △300(赤字)+ 利子 250 + 償却 200 = 調整所得 150借入の量は変わらなくても、利益が落ちた年に突然かかるのが過大支払利子税制否認額は超過利子額として繰り越し、利益が戻った年に損金算入できる(7年)
応用 A-4

A-4 赤字の年・利益が落ちた年

📍 ラボの場所:応用タブ A-4
ハルカ
事例Fは、借入を資本持分の2倍に抑えている会社ですね。
先生
だから過少資本税制はかからないんだ。でも当期は所得が △300 の赤字だよ。図のとおり、調整所得は △300 + 250 + 200 = 150、その20%は 30。純支払利子 250 との差 220 が否認されるんだ。
迷いポイント 3倍以内なら、利子は全部損金?
ハルカ
借入は何も変えていないのに、否認されるんですか。
先生
過大支払利子税制は、借入の量ではなく利益で測るからね。赤字の年はもともと税が少ないから、すぐに税が増えるとは限らないけれど、欠損金は小さくなるんだ。
ハルカ
何もしていないのに、朝起きたら自転車のタイヤの空気だけ抜けていた日みたいです。
先生
空気を入れ直せるのは、利益が戻った年だよ。そこで超過利子額を損金算入できるんだ。
💡 そうだったのか!
3倍以内でも、赤字の年は過大支払利子税制がかかることがあります。否認分は超過利子額として繰り越します。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Fが入っています)
  2. 「所得金額」を △300 → 500 に変える

👀 調整所得は 950、20%は 190 になり、過大支払利子税制の否認は 220 → 60 に減ります。

ラボを開く ▶
📙 応用 B-1 ラボの図
当期が令和12年4月1日開始の場合(年度は開始年)R3R4R5R6R7R8R9R10R11R12↑ 当期緑:7年以内(前1〜7期) 黄:10年の特例で使える前8期(令和4年4月開始) 灰:使えない10年の特例は、当期が令和12年4月1日〜令和17年3月31日に開始する事業年度で意味を持つ(措法66条の5の3第4項)それ以前は、特例対象の年度も7年以内に入っている
応用 B-1

B-1 超過利子額の10年特例と手続

📍 ラボの場所:応用タブ B-1
ハルカ
超過利子額の繰越は7年ですよね。10年というのは何ですか。
先生
令和4年4月〜令和7年3月に開始した事業年度に生じた超過利子額は、10年に延長されているんだ。図のとおり、効いてくるのは当期が令和12年4月以後に開始する年度からだよ。それより前は、その年度も7年以内に入っているんだ。
迷いポイント どの年度の分から使う?
ハルカ
新しい年度の分から使っても、いいですよね。
先生
古い年度の分から使うんだ。事例Gでは、当期の余裕 226 を、前8期の 30、前7期の 60、前4期の 136 の順に充てるよ。前4期の残り 14 と前1期の 80 は翌期へ回るんだ。損金算入には、最も古い年度以後の確定申告書の提出と、明細書の添付も必要だよ。
ハルカ
7年と10年が混ざっていると、冷蔵庫の奥から賞味期限切れが出てきそうで怖いです。
先生
だから別表十七(二の三)で、発生年度ごとに並べておくんだよ。
💡 そうだったのか!
超過利子額は古い年度から使います。10年の特例は、当期が令和12年4月以後に開始する年度で効いてきます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. シミュレーションを開く(事例Gが入っています)
  2. 「所得金額」を 1,550 → 1,000 に変える

👀 余裕が 226 → 116 に縮み、前8期 30・前7期 60 を使ったあと、前4期は 26 しか使えません。翌期へ繰り越す額は 94 → 204 に増えます。

ラボを開く ▶
📙 応用 B-2 ラボの図
利子控除制限過少資本・過大支払利子移転価格税制利率が高すぎないか(独立企業間)源泉税・租税条約海外への利子の源泉税CFC(合算課税)合算された利子は調整グループ通算通算グループで一体判定
応用 B-2

B-2 他の制度とのつながり

📍 ラボの場所:応用タブ B-2
ハルカ
グループ内の借入で、ほかに気をつける制度はありますか。
先生
図のとおり、4つあるんだ。利率が高すぎれば移転価格税制、海外に払う利子には源泉税と租税条約、合算課税された外国関係会社に係る部分はCFCとの調整、グループ通算制度なら一体で判定するよ。
迷いポイント 利子控除制限をクリアすれば、利率は自由?
ハルカ
3倍と20%をクリアすれば、利率はいくらでもいいんですよね。
先生
利率そのものが独立企業間の水準より高ければ、移転価格税制の問題になるんだ。利子控除制限は、その手前の話ではなく別の物差しだよ。
💡 そうだったのか!
利子控除制限をクリアしても、利率の妥当性(移転価格)や源泉税は別に確認が要ります。
📙 応用 B-3 ラボの図
✖ 国内銀行への利子まで対象純支払利子等に入れる✔ 受け手で日本の課税所得に含まれる利子は対象外✖ 調整所得に受取配当の益金不算入額を足し戻す✔ 令和元年改正後は足し戻さない✖ 3倍以内だから安心✔ 過大支払利子税制は利益で判定✖ 両方の否認額を合計してしまう✔ 大きい方だけを適用✖ 超過利子額の年度管理をしない✔ 古い順・7年(特例10年)で失効
応用 B-3

B-3 よくあるミス

📍 ラボの場所:応用タブ B-3
ハルカ
申告書を作るときに、いちばん多い間違いは何ですか。
先生
図の5つが代表的だよ。国内の銀行への利子まで入れる、受取配当の益金不算入額を足し戻す、3倍以内だから安心する、否認額を合計する、年度管理をしない。どれも、ここまでの節に出てきた話なんだ。
迷いポイント 借入を減らせば、否認は必ず減る?
ハルカ
借入を減らせば、否認はきれいに消えますよね。
先生
過少資本の否認は、借入が資本持分の3倍以下になれば消えるよ。でも過大支払利子の否認は、利益が小さいと残るんだ。利子が減ったぶん所得が増えるから、調整所得はほとんど変わらないんだよ。
💡 そうだったのか!
借入を減らしても、利益が小さい会社では過大支払利子の否認が残ります。対策は2本の物差しの両方で確かめます。
⏱ 30秒だけラボで試す
  1. ラボの「🔭 対策の比較」タブを開く(事例Fが選ばれています)
  2. ①の表で、借入 2,400(60%) の行を見る

👀 借入を4割減らしても、過大支払利子税制の否認は 220 → 140 に下がるだけで残ります。調整所得が 150 のままだからです(利子が減った分だけ所得が増える前提)。

ラボを開く ▶

今日の内容を、ラボで確かめてみませんか?

この記事の図は、すべて利子控除制限ラボの画面そのものです。応用タブを開けば、同じ図を見ながら読み返せます。

利子控除制限ラボを開く ▶

今日のまとめ ── 迷いポイント早見表

迷いポイント答えラボ
国外支配株主等は100%の親会社だけ?50%以上など。保証・担保の資金供与者等も入るA-1
倍率は必ず3倍?総負債基準もあり、類似法人の倍率も使えるA-2
受取配当の益金不算入額も足し戻す?足し戻さない。持株会社はかかりやすいA-3
3倍以内なら利子は全部損金?赤字の年は過大支払利子税制がかかる(事例F:220)A-4
どの年度の超過利子額から使う?古い年度から。10年の特例は令和12年4月以後開始の年度で効くB-1
クリアすれば利率は自由?利率は移転価格、支払には源泉税を別に確認B-2
借入を減らせば否認は消える?利益が小さいと過大支払利子の否認が残る(事例F:4割減でも 140)B-3
おわりに

今日のふりかえり

先生
今日のまとめだよ。親会社が保証した借入も資金供与者等として入る。調整所得には受取配当を足し戻さないし、赤字の年は3倍以内でも否認が出る。超過利子額は古い年度から使うんだ。
ハルカ
この前、妹からプリンが2個返ってきました。先月と先々月の分で、古い方から返してくれたそうです。
先生
古い分から返すのは、超過利子額の損金算入と同じ順番だね。
ハルカ
ただ、古い方のプリンは賞味期限が切れていました。7年ではなく、7日で。
先生
プリンの期限は短いから、返してもらったら早めに食べようか。基礎編から読み返すと、2本の物差しの図の見え方がきっと変わるよ。

参考資料

租税特別措置法66条の5・66条の5の2・66条の5の3/同施行令39条の13・39条の13の2/国税庁 別表十七(一)・十七(二の二)・十七(二の三)。ラボの数値はすべて独自の学習用で、単位は百万円、端数処理は簡便化しています(法令確認日:2026年9月29日)。
このシリーズの記事:基礎編
サイト内の関連:過大支払利子税制・過少資本税制とは?|3倍と20%の2つの物差し/移転価格 文書化判定ナビ/租税条約・源泉税 学習ナビ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。