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リース会計ラボ【部長編①】|80件のリース期間を、担当ごとにばらつかせない ── 自部門・全社・経営層、三つの視点で経理財務部長が決めること

リース会計ラボ【部長編①】|80件のリース期間を、担当ごとにばらつかせない ── 自部門・全社・経営層、三つの視点で経理財務部長が決めること
大野部長の学習ノート学ぶ世界部長編①リース会計ラボ
会話大野部長・先生設例架空の製造小売(店舗等の賃貸借契約80件・子会社3社・経理財務部8人)同じ図を学ぶ側からハルカの基礎編・応用編
はじめての方へ ── 設例の前提と、この記事で扱わないこと

設例:架空の製造小売(グロース上場・3月決算・子会社3社・経理財務部8人)。店舗等の賃貸借契約は80件で、多くは普通借家。新リース会計基準は2028年3月期(2027年4月1日に始まる事業年度)の期首から適用します。設例の数字(抜き取りの割合・経理に届く期限など)は学習用の目安です。

扱わないこと:一件ずつの計算と判定はラボとハルカの基礎編・応用編・設例編に任せます。台帳をExcelで作るかシステムを入れるかの選び方は、この記事では方針(期首をどう迎えるか/2年目以降をどう回すか)の一行にとどめます。

登場人物は学習用のキャラクターで、解説内容は公認会計士・税理士が監修しています。製品名・サービス名は本文に出てきません。

📙 部長編① 三つの視点
1自部門管理者として判断を三つに分け、誰が当てはめ、どこを見るか成果物:① 判断基準書の骨子2全社調整役として材料と見直しのきっかけを誰がいつ渡すか成果物:② 情報の入口3経営層説明する側として一つの数字の前に、判断の方針を見てもらう成果物:③ 一枚経営課題は一つ:80件のリース期間が、担当ごとにばらつく
はじめに

一つの経営課題を、三つの視点で

この記事について

ハルカの基礎編・応用編が「一件の契約を正しく判断する」記事なら、この部長編は「80件の判断を、組織でそろえる」記事です。

経営課題
80件のリース期間が、担当ごとにばらつく設例の会社(店舗等の賃貸借契約80件・経理財務部8人・子会社3社)では、同じような店舗でも、リース期間を5年と見る人と10年と見る人がいる。期首(2027年4月)までに判断をそろえ、期首のあとも同じ判断が続く形にするまでを検討します。
検討する三つの視点
1自部門の管理者として

判断基準書に何を書き、誰が当てはめ、部長はどこを見るか

2全社の調整役として

判断の材料と見直しのきっかけを、誰がいつ経理に渡すか。ぶつかったら誰が決めるか

3経営層に説明する側として

影響額を一つの数字にする前に、何を判断してもらうか

到達点末尾の「決定事項」と、3つのひな形(判断基準書の骨子・情報の入口と見直しのきっかけ・経営層向け一枚)
📙 ラボの図 応用A2 リース期間の実務

A2 リース期間の実務 ── 普通借家・定期借家・借地

日本の不動産賃貸借は「1年契約・自動更新」が多く、解約不能期間だけでは実態を表せません。

(延長オプションの行使の可能性)解約不能 1年合理的に確実1年5年10年シナリオ1:5年(リニューアル前)まで更新合理的に確実より高いシナリオ2:10年(設備の使用可能期間)まで更新合理的に確実より低い借手のリース期間 = 5年(設例8-2のパターン)

🔬 設例8-1〜8-5(普通借家・普通借地のリース期間)の判定は、ラボの設例で1ステップずつ試せます ラボで開く ▶

視点1

自部門の管理者として ── 判断基準書に何を書き、誰が当てはめるか

設例:店舗等の賃貸借契約80件。多くは普通借家で2年ごとの更新。新リースの当てはめを担当するのは2人。
大野部長
お疲れさまです。
新リースの計算は、ラボで一通り確かめました。
心配なのは、計算より判断のほうです。
先生
お疲れさまです。
計算より判断、と最初に言えるのはいいですね。
どの判断が、一番ばらつきそうですか。
大野部長
リース期間です。
普通借家の店舗が多い。
2年契約でも、何年まで更新すると見るかは、担当によって答えが変わります。
先生
基準の定めははっきりしていますよ。
解約不能期間に、延長が合理的に確実な期間などを足します。
ばらつくのは「合理的に確実」の当てはめですね。
大野部長
ラボの設例のように、同じような店舗でも、5年と見る人と10年と見る人が出ます。
先生
金額にすると、どのくらい違いますか。
大野部長
ラボの店舗の例だと、初回の支払後に残るリース負債は、10年なら約1.8億円、5年なら約0.9億円です。
判断ひとつで、約2倍変わります。
先生
だから、一件ずつ考えないことですね。
判断基準書には、何を書くつもりですか。
大野部長
全部書くつもりでした。
識別も、リース期間も、割引率も。
先生
書く前に、三つに分けてみてはどうでしょう。
基準が決めていること、会社が選ぶこと、契約ごとに判断すること、の三つですね。
大野部長
基準が決めていることは、引用で済みますね。
会社が選ぶのは、短期・少額の扱いや、リースとサービスを合算するかどうか。
先生
ええ。
そこは会計方針として、一度選んだら首尾一貫して使います。
注記が必要になるものもありますよ。
大野部長
残るのが、契約ごとの判断。
リース期間と、割引率の当てはめです。
先生
期間は、一件ずつではなく、物件の区分ごとに考え方を書いておく会社が多いですよ。
路面店、商業施設の中、倉庫、のようにね。
大野部長
区分ごとに、内装の投資額や改装の周期から、何年までを合理的に確実と見るかを書く。
先生
そうです。
区分に当てはまらない契約が、部長の見る「例外」になりますね。
大野部長
では、同じ区分の店舗は、全部同じ年数にそろえる、ということですね。
先生
そこは少し違いますよ。
そろえるのは年数ではなく、見る要因と証拠と手続です。
重要性や内装の投資が違えば、同じ区分でも5年と10年に分かれることはありますよ。
大野部長
当てはめは担当2人に任せます。
私は例外の全件と、通常の契約の抜き取りを見る。
先生
抜き取りでずれていたら、どうしますか。
大野部長
……直して終わり、では同じずれがまた出ますね。
先生
以前見た会社では、最初の10件を2人が別々に判断して、答えが違った理由を基準書に書き足していました。
ずれは、基準書の穴が見つかった印ですよ。
大野部長
それを最初にやります。
最初の10件は2人で別々に。
ずれた理由は、基準書の第2版に戻す。
先生
担当に任せる範囲は、ずっと同じですか。
大野部長
いいえ、段階で決めます。
①契約から事実を拾える ②区分に当てはめられる ③例外に気づいて上げられる ④根拠を監査法人に説明できる。
先生
④まで届いた人の分は、どうしますか。
大野部長
抜き取りの割合を下げます。
最初は2割、④まで届いたら1割。
この割合は、うちの規模での目安です。
先生
いいと思います。
それなら、部長が全件を見直す形に戻らずに済みますね。
大野部長
基準書の第1版ができたら、普通借家の期間の考え方と主な例外は、監査法人と事前に協議しておきます。
先生
それがいいでしょうね。
監査法人は会社がどう判断したかを先に聞きますから、区分の考え方と根拠をそろえて持っていくといいですよ。
🔬 ラボで試す(30秒)

シミュレーションの「開始日の計上」で、事例「店舗:年払い前払い・原状回復あり」を開いてください(年24,000千円・期首払い・割引率4%)。期首払いなので、開始日に第1回の24,000千円を支払います。借手のリース期間が10年のとき、支払後に残るリース負債は178,448千円です(ラボの「リース負債(開始日)」202,448千円は、第1回の支払を含めた現在価値です。支払った第1回分は負債に残らず、使用権資産の側に入ります)。期間を5年にすると支払後の残高は87,117千円、2年(契約書の期間だけ)にすると23,077千円に変わります。同じ契約でも、期間の判断ひとつで負債が約2倍・約8分の1になることを確かめてください。

ラボのシミュレーションを開く ▶
📙 ラボの図 応用B3 契約変更を伴わない見直し

B3 契約変更を伴わない見直し ── 期間・指数・残価保証・購入オプション

契約は同じでも、見積りが変わればリース負債を見直します。トリガーは限定されています。

見直し前(設例16型・独自数値)使用権資産79,943リース負債85,782見直し後使用権資産157,669リース負債163,508再測定負債 +77,726 資産 +77,726

🔬 延長・短縮・賃料改定・オプションの見直しは、ラボのシミュレーション(条件変更・見直し)で数字を動かせます ラボで開く ▶

視点2

全社の調整役として ── 判断の材料と見直しのきっかけを、誰がいつ渡すか

設例:契約書と内装の情報は店舗開発部、閉店・改装・集約は経営会議で決まる。子会社3社にも賃貸借契約がある。
大野部長
基準書ができても、判断の材料は経理にありません。
内装の投資も、更新の意向も、店舗開発部が知っています。
先生
ええ。
リース期間は、契約書の文字だけでは決まりませんよね。
経済的インセンティブの要因は、契約の外にあることが多いですよ。
大野部長
契約の写しと一緒に、項目を書いた回付票を出してもらう形を考えています。
先生
項目は、何で決めますか。
大野部長
基準書の区分に必要なもの、です。
契約期間、解約の予告、内装と原状回復、賃料の改定……。
先生
書く側の手間も見ておいてくださいね。
更新が重なる月は、相手の部署には一枚では済みませんよ。
大野部長
確かに。
写しから経理が読める項目は、こちらで読む。
回付票は、写しに書いていないことだけにします。
先生
もう一つあります。
期首のあと、リース期間を見直すきっかけは何でしょう。
大野部長
借手の統制下にある重要な事象や状況、ですね。
大規模な改装、閉店や集約の決定など。
先生
そうです。
市場の変化だけでは見直しません。
その「決めた」は、どこで起きますか。
大野部長
経営会議です。……経理は、議事録が回ってくるまで知らないこともあります。
先生
決定は大事なきっかけですが、基準は正式な決議を条件にしていませんよ。
統制下の重要な事象や状況が生じ、延長や解約の判断に影響したら、見直しが要るかを検討しますね。
大野部長
では、経営会議の決定は届け方の起点にします。
閉店・移転・大規模改装・集約を決めたら、経営企画から3営業日以内に経理へ。
先生
いいですね。
見直すときは、ラボのB3のように負債を測り直して、差額は使用権資産で調整します。
決定の前、検討の段階の話はどうしますか。
大野部長
関係者限りの話は、まず私が受けます。
決定の前でも、延長や解約の判断に影響する事象が起きていれば、見直しが要るかをその時点で検討します。
先生
ええ。
検討した結果と理由も残しておくといいですね。
決定があっても、再測定が要らない場合もありますよ。
大野部長
では、見直しが要らないと判断したときも、理由を台帳に書いておきます。
先生
子会社3社の契約はどうでしょう。
大野部長
同じ基準書を使ってもらいます。
同じ性質の取引に、親会社と子会社で違う会計方針を使わないように。
先生
ええ、連結では会計方針を原則として統一しますからね。
区分の当てはめまで子会社の担当に任せるかは、別に決めることですよ。
大野部長
最後に、部署の事情がぶつかったときです。
店舗開発部は「項目が多い」、経理は「足りない」と言ったら。
先生
そのとき、誰が決めますか。
大野部長
判断の材料は経理の責任なので、項目の案は私が決めます。
契約管理の所管にかかわることは、経営会議で確認します。
先生
それも分担表に一行入れておくといいですね。
決め方が決まっていないと、期首の直前で止まりますよ。
📙 ラボの図 応用D4 適用初年度の経過措置

D4 適用初年度 ── 経過措置の選び方

原則は遡及適用ですが、期首の利益剰余金で調整する簡便法が用意されています。

適用初年度の期首:旧基準でオペレーティング・リースだった契約(新たに識別したリースも)原則:遡及適用リース開始日から新基準を適用していたとして過去の期間を修正再表示簡便法(第118項ただし書き・第123項)期首の残りのリース料を期首の追加借入利子率で割引→ 負債。資産は①開始日から適用した簿価 or ②負債と同額累積的影響額は期首の利益剰余金で調整。①を選ぶと(資産<負債になり)利益剰余金が減る。②なら差額なし

🔬 設例20(適用初年度の期首計上)は、ラボの設例で1ステップずつ試せます ラボで開く ▶

視点3

経営層に説明する側として ── 影響額を一つの数字にする前に

設例:影響額の試算はこれから。経営層に出せる紙は一枚。借入には財務制限条項がある。
大野部長
経営層への説明です。
社長に一枚、と考えると、まず影響額を出したくなります。
先生
一つの数字で出すつもりですか。
大野部長
……そのつもりでした。
リース負債が何億円増える、と。
先生
さっきの店舗の例を思い出してください。
期間の判断で、負債は約2倍変わりましたよね。
判断が固まる前の一つの数字は、後で動きますよ。
大野部長
では、幅で出します。
区分ごとの期間の考え方を前提に置き、まだ決めていない判断は、未決として並べる。
先生
そのほうが、数字が動いたときに説明がつきますね。
社長は、たぶん何を聞くでしょう。
大野部長
利益がどうなるか。
それと、銀行です。
先生
基準の結論は言えますよ。
賃借料が、減価償却費と支払利息に変わります。
利息法なので、費用は初めの年ほど大きくなりますよ。
大野部長
支払利息は営業外なので、営業利益とEBITDAは増える方向。
一方で、総資産と有利子負債が増えます。
先生
ええ。
財務制限条項や中計の指標の定義を今のままにするかは、会社と銀行が決めることですね。
大野部長
そこを経営層に判断してもらいます。
銀行と事前に話すか、指標の定義を見直すか。
先生
ほかに、判断してもらうことはありますか。
大野部長
期首の迎え方です。
旧オペレーティング・リースの使用権資産を、負債と同額にするか、開始日から適用した額にするか。
先生
ラボのD4のとおり、開始日から適用した額を選ぶと、期首の利益剰余金が減る場合がありますね。
リース1件ごとに選べますよ。
大野部長
会計方針は私たちが決めます。
ただ、期首の利益剰余金が動く選び方をするなら、その影響は先に伝えておきます。
先生
それがいいでしょうね。
あとは何でしょう。
大野部長
体制です。
台帳をExcelで迎えるか、仕組みに予算をつけるか。
それと、試算をいつ更新するか。
先生
更新の時期と条件まで一枚にあれば、社長は「いつ、何が分かるのか」を聞かずに済みますね。
大野部長
一枚は、判断の方針、影響額の幅と未決事項、財務制限条項と指標、期首の迎え方、体制と予算、試算の更新時期。
この順に並べます。
先生
最初の行が影響額ではなく「判断の方針」になっているのが、いいと思いますよ。
決定事項 ── 一つの経営課題を、三つの視点で

経営課題:80件のリース期間が、担当ごとにばらつく。判断を三つに分けて文書にし、当てはめと確認の分担、情報の入口、経営層への説明の順番を決める。

  • 自部門:判断基準書を「基準が決めていること/会社が選ぶこと(会計方針)/契約ごとに判断すること」の三つに分ける。リース期間は物件の区分ごとに考え方を書き、区分に当てはまらない契約を「例外」とする。そろえるのは年数ではなく、判断要因・証拠資料・判断手続。当てはめは担当2人、部長は例外の全件と通常の契約の抜き取り(最初は2割、④まで届いた担当の分は1割=設例の目安)
    • 最初の10件は2人が別々に判断し、ずれた理由を基準書の第2版に戻す
    • 担当の到達条件:①契約から事実を拾える ②区分に当てはめられる ③例外に気づいて上げられる ④根拠を監査法人に説明できる
    • 基準書の第1版で、普通借家の期間の考え方と主な例外を監査法人と事前に協議する
  • 全社:契約の写しと回付票を入口にする(回付票は写しに書いていない項目だけ)。経営会議で閉店・移転・大規模改装・集約を決めたら、経営企画から3営業日以内に経理へ(設例の目安)。ただし見直しの要否は決議に限らず、統制下の重要な事象・状況が延長・解約の判断に影響したときに検討し、要らないと判断した理由も残す。検討段階の関係者限りの情報は部長が受ける。子会社3社も同じ基準書を使う。項目の案は部長が決め、契約管理の所管にかかわることは経営会議で確認する
  • 経営層:影響額は一つの数字ではなく、区分ごとの考え方を前提にした幅と未決事項で出す。一枚に載せるのは、判断の方針/影響額の幅と未決事項/財務制限条項と中計の指標の扱い(銀行との事前の相談)/期首の迎え方(期首の利益剰余金への影響を先に伝える)/体制と予算/試算の更新時期
ひな形

実務のひな形 ── 判断基準書の骨子・情報の入口・経営層向け一枚(Excel)

📙 ひな形 テンプレートの構成
① 判断基準書の骨子三区分(基準が決めていること/会社が選ぶこと/契約ごとに判断すること)+物件の区分ごとの考え方② 情報の入口と見直しのきっかけ事象/情報の持ち主/経理に届く形と期限/経理がすること(ぶつかったときの決め方を含む)③ 経営層向け一枚6ブロック:判断の方針/影響額の幅と未決事項/利益と指標/期首の迎え方/体制と予算/更新時期Excel 3シート。架空の会社の記入例入り。自社の状況に差し替えて使う

以下はすべて架空の会社の記入例です。Excelテンプレートでは記入例を残したまま配り、自社の状況に上書きして使います。

① 判断基準書の骨子 ── 基準が決めていること/会社が選ぶこと/契約ごとに判断すること

基準が決めていること引用して終わり・リース期間の定義(第31項)・判断要因の5つ・見直しのきっかけ(第41項)会社が選ぶこと会計方針。首尾一貫・注記・短期・少額の取扱い・リースとサービスの合算・経過措置・割引率の決め方契約ごとに判断すること区分で当てはめ、例外は部長・リース期間(物件の区分ごと)・割引率の当てはめ・例外の洗い出しばらつくのは右の列だけ。左と中の列は、文書にした時点でそろう
区分項目当社の内容(記入例)根拠決める人・見直し
基準が決めていること借手のリース期間の定義解約不能期間+延長オプションを行使することが合理的に確実な期間+解約オプションを行使しないことが合理的に確実な期間第34号 第31項—(基準の改正時に見直す)
基準が決めていること「合理的に確実」の判断要因契約条件、大幅な賃借設備の改良、解約コスト、事業上の重要性、行使条件の5つを、区分ごとに検討する適用指針第33号 第17項—
基準が決めていることリース期間の見直し借手の統制下にある重要な事象または重要な状況が生じ、延長・解約オプションの判断に影響するときに見直す(経営会議の決定は主なきっかけだが、決議だけが条件ではない)。市場の変化だけでは見直さない第34号 第41項—
会社が選ぶこと(会計方針)短期リース原資産の表示科目ごとに適用するかを決める(記入例:器具備品・車両は適用。建物も表示科目の単位で適用の有無を決め、契約ごとには選ばない)適用指針第33号 第20項部長が案、経営層に報告
会社が選ぶこと(会計方針)少額リース(1)購入時に費用処理する基準額による方法か、(2)①1件300万円以下等 ②新品時の価値およそUS$5,000以下 による方法かを選ぶ(記入例:(1) 固定資産の計上基準と同じ額)適用指針第33号 第22項部長が案、経営層に報告
会社が選ぶこと(会計方針)リースとサービスの合算科目・グループごとに選ぶ(記入例:店舗はリースとサービスを区分、複合機は保守と合算)第34号 第29項部長
会社が選ぶこと(会計方針)適用初年度の経過措置期首の利益剰余金で調整する方法を使うか。旧オペレーティング・リースの使用権資産は、負債と同額(前払・未払リース料を調整)か開始日から適用した額かをリース1件ごとに選ぶ適用指針第33号 第118項・第123項部長が案、経営層に先に伝える
会社が選ぶこと(会計方針)割引率の決め方追加借入利子率を期間帯別のレート表で見積もる(記入例:5年以下/5年超10年以下/10年超の3段)適用指針第33号(ラボ 応用A4)部長
契約ごとに判断することリース期間(区分ごと)下の「区分ごとの考え方」に当てはめる。当てはまらない契約は例外として部長へ基準書の区分担当が当てはめ、部長は例外と抜き取り
契約ごとに判断すること割引率の当てはめリース期間の帯に対応するレートを当てるレート表担当
契約ごとに判断すること例外(部長が見るもの)区分に当てはまらない/戦略上の重要店舗/閉店・移転の検討対象/建設協力金・サブリースを含む/判断が分かれた契約—部長が全件

物件の区分ごとの考え方(記入例)

物件の区分リース期間の考え方主な判断材料
路面店(自社で内装を投資・普通借家)区分の考え方を出発点に、店舗ごとの重要性や内装投資などの経済的インセンティブを個別に確かめる。内装の使用可能期間と次の大規模改装の予定までを見る(記入例:5年)内装の投資額・改装の周期・撤退のしやすさ
商業施設の中(定期借家)更新がないので契約期間が基本契約に延長・再契約の権利があるか。再契約の実績だけでは期間に入れない
本社・事務所(普通借家・設備投資なし)考慮すべき要因が特になければ解約不能期間のまま代替の立地があるか
倉庫(集約の検討対象)未決。材料と期日を書く(記入例:集約の方針が決まる時期まで)集約の決定は見直しのきっかけ

項の番号は、企業会計基準第34号(第34号)と適用指針第33号の該当箇所です。会計方針として選んだ内容には、注記が必要になるものもあります。区分ごとの年数は記入例で、基準が決めた年数ではありません。

② 情報の入口と見直しのきっかけ ── 判断の材料は経理の外にある

事象情報の持ち主経理に届く形と期限経理がすること
新規の契約・更新店舗開発部(子会社は各社の担当)契約の写し+回付票(写しにない項目だけ)。締結後5営業日以内区分に当てはめて台帳に登録
内装・設備の投資店舗開発部・固定資産の担当月次の固定資産の増加一覧リース期間の判断材料にする
閉店・移転・大規模改装・集約の決定経営会議(経営企画)決定から3営業日以内(設例の目安)見直しの要否を判断し、必要なら再測定。要らない場合も理由を残す
閉店・集約の検討(決定前)経営企画関係者限りで部長へ延長・解約の判断に影響する事象・状況が生じていれば、見直しの要否をその時点で検討
賃料の改定・面積の変更店舗開発部覚書の写し契約条件の変更か、変更を伴わない見直し(当初の条件による指数・レートの変動など)かを判断して処理
子会社の契約子会社3社同じ回付票・同じ基準書連結で会計方針をそろえる
部署の事情がぶつかったとき——項目の案は部長が決める。契約管理の所管にかかわることは経営会議で確認

リース期間の見直しは、借手の統制下にある重要な事象または重要な状況が生じ、延長・解約オプションの判断に影響するときに行います(第34号 第41項)。経営会議の決定は情報の届け方の起点で、決議だけが条件ではありません。賃料の改定には、契約条件の変更に当たるものと、当初の条件による指数・レートの変動など変更を伴わない見直し(適用指針第33号 第46〜49項)に当たるものがあります。期限の日数は設例の目安です。

③ 経営層向け一枚 ── 一つの数字の前に、判断の方針を見てもらう

ブロック載せること判断してもらうこと
1 判断の方針判断基準書の三区分。リース期間は物件の区分ごと。最初の10件は2人が別々に判断して基準書を直す方針の承認
2 影響額の幅と未決事項区分ごとの考え方を前提にした幅(同じ契約でも期間の判断で負債が約2倍変わる例がある)。未決の判断は材料と期日一つの数字ではなく幅で受け取ってもらう
3 利益と指標賃借料→減価償却費+支払利息。費用は初めの年ほど大きい。営業利益・EBITDAは増える方向、総資産・有利子負債は増える財務制限条項(銀行との事前の相談)と中計の指標の定義
4 期首の迎え方経過措置の方法。使用権資産を開始日から適用した額にすると、期首の利益剰余金が減る場合がある(契約条件・経過期間による)影響の了承
5 体制と予算台帳の仕組み(期首をどう迎えるか/2年目以降をどう回すか)。外部に確認する範囲予算と人の承認
6 試算の更新時期試算を更新する時期(記入例:12月と3月)と、判断を見直す条件報告の時期

会計方針を決めるのは経理財務部(会社)です。経営層に判断してもらうのは、方針の承認・指標と銀行への対応・予算と人・報告の時期です。

3シート入りのExcelテンプレート(判断基準書の骨子/情報の入口と見直しのきっかけ/経営層向け一枚)Excelをダウンロード
経営層向け説明資料のPowerPointひな形(13枚・図解入り:B/Sと費用の形の変化/判断の三区分/当てはめと確認の流れ/情報の入口/影響額の幅/利益と指標/期首の迎え方/体制のスケジュール/議事録用の表)PowerPointをダウンロード
判断基準書のたたき台は、会計方針書ジェネレーターβ(リース編)のQ&Aに答えて作れます方針書ジェネレーターを開く ▶
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ハルカ編基礎・応用・設例一件を正しく判断部長編①この記事80件の判断をそろえる部長編②(予定)経営層への説明物語経理財務部会社で起きたこと同じラボの図を、学ぶ側(ハルカ)と、決める側(部長)の両方から読む
おわりに

今日のふりかえり

大野部長
今日の三つの視点を、一言ずつにしておきます。
自部門は「判断を三つに分けて、ずれを基準書に戻す」。
全社は「材料の入口と、見直しのきっかけの届け方」。
先生
さすがです。
経営層の視点は、どうなりますか。
大野部長
「一つの数字の前に、判断の方針を見てもらう」。……三つとも、計算ではなく判断の話でしたね。
先生
計算は台帳がしてくれますが、判断は人が続けるものですからね。
期首のあとも同じ判断が続けば、それが仕組みなんでしょうね。
参考

一次情報・ラボ・前後の回

一次情報

ラボ・ツール

ハルカが同じ図を学んだ回(会話記事)

学ぶ世界|リース会計ラボ|部長編①
大野部長の学習ノートで、この回を見る / ハルカの学習ノートでリース会計ラボの章を見る
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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。