消費税を納める事業者は誰? ── 基準期間と特定期間
「今年の売上げが1,000万円を超えたら、今年から消費税を納めるの?」に、基準期間と特定期間の判定で答えられるようになる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 納税義務者 | 国内で課税資産の譲渡等を行う事業者(個人事業者・法人) |
| 免税事業者・課税事業者 | 納税義務が免除される事業者と、免除されない事業者 |
| 課税期間 | 消費税を計算する期間。個人事業者は1月1日〜12月31日、法人は事業年度 |
| 基準期間 | 納税義務を判定する基準の期間。個人事業者は前々年、法人は前々事業年度 |
| 基準期間の課税売上高 | 基準期間の課税売上げ(税抜)−返品・値引き+免税売上げ。基準期間に免税事業者だったときは税抜にしない |
| 特定期間 | 個人事業者は前年1月〜6月、法人は原則として前事業年度の最初の6か月。課税売上高か給与等の支払額のどちらかで判定でき、両方とも1,000万円を超えると課税事業者 |
| 法令と数字 | この講座は令和8年度改正後の法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
消費税を納めるのは課税事業者。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は免税事業者になる。さらに特定期間(前年の上半期)も確かめる――この判定を、個人・法人それぞれでできるようになること。
※ 入門の範囲として、相続・合併・分割、特定新規設立法人、高額特定資産を取得した場合などの特例は扱いません(新設法人は第5回)。
図で見る:納税義務の判定(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 免税点のしくみ
基準期間の課税売上高 800万円 → 1,000万円以下:原則として免税事業者
STEP 2 基準期間はいつ?
判定する課税期間 X3年(1月〜12月) → 基準期間 X1年(前々年)
STEP 3 基準期間の課税売上高
基準期間の課税売上高 800万円(課税事業者だったので税抜の金額)
STEP 4 特定期間
特定期間(X2年1月〜6月)の課税売上高 1,100万円・給与等 1,200万円 → 課税事業者
STEP 5 判定のまとめ
Aさん:課税事業者(特定期間の判定で課税)
さくら食品と由紀さんで確かめる
※ 由紀さんの基準期間・特定期間の課税売上高は、免税事業者だった年の受取額(税抜にしない)です。
やってみよう:基準期間・特定期間クイズ(7問)
期間と金額の出し方を確かめましょう。
よくある間違い
① 今年の売上げで今年を判定する
判定に使うのは基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高です。今年の売上げは、2年後の判定に使います。② いつも税込(いつも税抜)で判定する
基準期間に課税事業者だった場合は税抜にします。免税事業者だった場合は、消費税を預かっていないので受け取った額のままです。③ 基準期間だけ見ればよい
基準期間で1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高と給与等の支払額がどちらも1,000万円を超えれば課税事業者です(課税売上高が超えても、給与等が1,000万円以下なら給与等で判定して免税事業者にできます)。インボイス登録をすると、売上げに関係なく課税事業者になります(第5回)。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は免税事業者(事業者免税点制度)。
- 基準期間は、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度。課税期間ごとに判定する。
- 基準期間の課税売上高は税抜・返品控除後・免税売上げを含む。基準期間に免税事業者だったときは税抜にしない。
- 特定期間(前年の上半期)は、課税売上高か給与等の支払額のどちらかで判定できる。両方とも1,000万円を超えたときに課税事業者。
- 取引の「免税」と免税事業者は別の話。インボイス登録をすると、売上げに関係なく課税事業者(第5回)。
参照条文・出典
参照条文:消費税法2条1項14号(基準期間)、5条(納税義務者)、9条1項・2項(小規模事業者の納税義務の免除・基準期間における課税売上高)、9条の2(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)、19条(課税期間)
参考資料:税務大学校『消費税法(基礎編)令和8年度版』第4章第1節「納税義務者」(p.26)、第2節1「小規模事業者の納税義務の免除とは何か」(pp.27〜29)、3「特定期間」(p.30)、第7章第1節「課税期間」(p.64)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(インボイス制度の経過措置の延長・3割特例など)は国税庁の資料で反映しています。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年度改正後の法令に基づく学習用の解説・試算であり、個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品・青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。