課税・非課税・免税・不課税を見分けよう ── 判定は3つの関門の順に
「消費税がかからない取引は、全部『非課税』なの?」に、3つの関門を順に通す判定で答えられるようになる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 課税 | 消費税がかかる取引。3つの関門をすべて通り抜けたもの |
| 不課税(課税の対象外) | 4つの要件(国内・事業として・対価を得て・資産の譲渡等)のどれかを欠き、そもそも消費税の対象にならない取引 |
| 非課税 | 課税の対象だが、法律(消費税法別表第二)に列挙されていて消費税をかけない取引 |
| 免税 | 輸出など、外国で消費されるものの売上げで、消費税が免除される取引 |
| 免税事業者 | 消費税を納める義務がない事業者(第4回)。取引の「免税」とは別の話 |
| 課税売上割合 | 売上げのうち、課税と免税の売上げが占める割合。仕入れの税をどこまで控除できるかに使う(第10回) |
| 法令と数字 | この講座は令和8年度改正後の法令で解説しています。改正があれば差し替えます |
はじめに:今日のゴール
消費税がかからない取引には不課税・非課税・免税の3つがあり、①課税の対象か → ②非課税か → ③免税かの順に3つの関門を通して判定する――この順番で、取引を4つの区分に分けられるようになること。
※ 判定は典型的な場合の目安です。実際の区分は、契約の内容や事実関係で変わることがあります。
図で見る:3つの関門で4つの区分に分ける(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 判定の順番
不課税:会社員が受け取る給与 / 非課税:会社が持っている土地を売る / 免税:商品を外国へ輸出する / 課税:弁当を店で売る
STEP 2 関門1 課税の対象?
関門1で外れる(不課税):会社員が受け取る給与
STEP 3 関門2 非課税?
関門2で決まる(非課税):会社が持っている土地を売る
STEP 4 関門3 免税?
関門3で決まる(免税):商品を外国へ輸出する → 残りが課税:弁当を店で売る
STEP 5 4区分の違い
免税=控除できる/非課税=控除が制限される/不課税=課税売上割合に入れない
さくら食品と由紀さんで確かめる
さくら食品の1年間の受取り(2026年4月1日〜2027年3月31日・税込)を、3つの関門で仕分けると次のとおりです。
由紀さんの受取り(料理教室を営む個人事業者)
| 受取り | 区分 | 理由(どの関門か) |
|---|---|---|
| 料理教室の受講料・さくら食品からの講師料 | 課税 | 3つの関門をすべて通り抜ける。料理教室は学校教育法の学校ではないので、授業料の非課税には当たらない |
| 賃貸マンション1室の家賃(居住用) | 非課税 | 関門2:住宅の貸付け(契約や貸付けの状況から居住用と明らかで、貸付期間が1か月以上) |
| 父から受けた贈与 | 不課税 | 関門1:対価を得て行う取引ではない(所得税入門講座 第2回の贈与と同じお金) |
やってみよう:3つの関門で仕分ける(基本10枚+追加10枚)
カードの取引を、関門1 → 関門2 → 関門3の順に判定してください。途中の関門で区分が決まったら、そこで終わりです。(答えは典型的な場合の目安です)
よくある間違い
① 非課税と不課税は同じ
どちらも消費税はかかりませんが、不課税はそもそも課税の対象の外(関門1)、非課税は課税の対象だが法律で消費税をかけないもの(関門2)です。課税売上割合では、非課税は分母に入り、不課税は入りません(第10回)。② 外国人への販売は免税
免税は、輸出のように外国で消費されるものの売上げです。外国人旅行者が日本のホテルに泊まる・店で食事をするのは国内での消費なので課税です(外国人旅行者向けの免税店は別の制度です)。③ 土地や建物の取引は全部非課税
非課税は土地の譲渡・貸付けです。建物の売却は課税です。駐車場など施設として貸す場合や、貸付期間が1か月未満の場合も課税です。住宅の貸付けは、契約で居住用と明らかな場合や、実際の貸付けの状況から居住用と明らかな場合に、原則として非課税です(貸付期間が1か月未満の場合などを除きます)。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 判定は関門1(課税の対象か)→ 関門2(非課税か)→ 関門3(免税か)の順。順番を変えない。
- 関門1:国内・事業として・対価を得て・資産の譲渡等の4つの要件のどれかを欠けば不課税(給与・保険金・寄附金・配当・国外取引など)。
- 関門2:課税の対象でも、法律に列挙されたものは非課税(土地・有価証券・利子・医療・住宅の貸付けなど)。
- 関門3:輸出など外国で消費されるものは免税。最後まで残ったものが課税。
- 4区分の違いは仕入税額控除と課税売上割合に出る。免税は控除できる、非課税は制限される、不課税は割合に入れない。
参照条文・出典
参照条文:消費税法2条1項8号(資産の譲渡等)、4条1項・3項(課税の対象・国内取引の判定)、6条1項・別表第二(非課税)、7条(輸出免税等)、30条6項(課税売上割合)、消費税法施行令8条(土地の貸付けから除かれる場合)
参考資料:税務大学校『消費税法(基礎編)令和8年度版』第2章「課税の対象」(pp.11〜17。課税となるかどうかの判定の流れ p.16)、第3章「非課税と免税」(pp.18〜25)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)/国税庁タックスアンサー No.6226(住宅の貸付け)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。判定の図・カードの事例は独自に作成しています。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年度改正後の法令に基づく学習用の解説で、区分は典型的な場合の目安です。個別の取引の判定は税理士等にご確認ください。さくら食品・青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。