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第4回 消費税を納める事業者は誰?|消費税入門講座

消費税 入門講座|第4回(v3)

消費税を納める事業者は誰? ── 基準期間と特定期間

「今年の売上げが1,000万円を超えたら、今年から消費税を納めるの?」に、基準期間と特定期間の判定で答えられるようになる回です。

所要 15分前提:第3回(取引の区分。「免税」と「免税事業者」は別)条文:消費税法9条・9条の2・2条1項14号・19条令和8年度改正後の法令で解説
第1章 全体像123
第2章 誰が納める45
第3章 売上げの税67
第4章 仕入れの税8910111213
第5章 申告と総合演習1415
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
納税義務者国内で課税資産の譲渡等を行う事業者(個人事業者・法人)
免税事業者・課税事業者納税義務が免除される事業者と、免除されない事業者
課税期間消費税を計算する期間。個人事業者は1月1日〜12月31日、法人は事業年度
基準期間納税義務を判定する基準の期間。個人事業者は前々年、法人は前々事業年度
基準期間の課税売上高基準期間の課税売上げ(税抜)−返品・値引き+免税売上げ。基準期間に免税事業者だったときは税抜にしない
特定期間個人事業者は前年1月〜6月、法人は原則として前事業年度の最初の6か月。課税売上高か給与等の支払額のどちらかで判定でき、両方とも1,000万円を超えると課税事業者
法令と数字この講座は令和8年度改正後の法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます

はじめに:今日のゴール

🎯
今日のゴール
消費税を納めるのは課税事業者。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は免税事業者になる。さらに特定期間(前年の上半期)も確かめる――この判定を、個人・法人それぞれでできるようになること。
シンプルな例:Aさんの基準期間800万円
→
特定期間の売上げと給与等がどちらも1,000万円超特定期間
→
X3年は課税事業者
由紀さん:2024年の課税売上高600万円
→
2025年上半期も300万円特定期間もOK
→
2026年(登録前)は免税事業者

※ 入門の範囲として、相続・合併・分割、特定新規設立法人、高額特定資産を取得した場合などの特例は扱いません(新設法人は第5回)。

ハルカ先生、売上げが1,000万円を超えたら消費税を納める、と聞いたことがあります。今年超えたら、今年から納めるんですか?
先生いい問いだね。答えは「今年からではない」なんだ。判定に使うのは、2年前の売上げだよ。
ハルカ2年前ですか。由紀さんの料理教室は、どうなるんですか?
先生由紀さんは2年前の課税売上高が600万円だから、2026年は免税事業者なんだ。さくら食品は課税事業者だよ。今日は、この判定のしかたを5つのステップで見ていこうか。
ハルカ「免税事業者」は、第3回の「免税」とは違うんですよね。
先生よく覚えていたね。今日はその違いもはっきりさせるよ。

図で見る:納税義務の判定(5ステップ)

先生最初は「シンプルな例」のAさんで、5ステップを通してみよう。由紀さん・さくら食品・自分で入力にも切り替えられるんだ。
ハルカ「自分で入力」で、税込と税抜の違いも試せるんですね。
先生基準期間に免税事業者だったかどうかで、結果が変わるのを見てみようか。
👆下のステップをクリックタップすると、図と会話が切り替わります← →キーでも移動できます
← 図は横にスクロールできます →
① 基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、免税事業者1,000万円基準期間の課税売上高 800万円(以下)Aさん免税事業者(原則)その課税期間の納税義務が免除小規模事業者の事務の負担に配慮した「事業者免税点制度」。課税期間:個人事業者は1月1日〜12月31日、法人は事業年度。課税期間ごとに判定する。※ 基準期間で1,000万円以下でも、特定期間(④)やインボイス登録(第5回)で課税事業者になることがある。
基準期間の課税売上高 800万円 → 1,000万円以下:原則として免税事業者
ハルカ事業者なら、みんな消費税を納めるんですか?
先生小さな事業者は、消費税を納める義務が免除されるんだ。基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は「免税事業者」だよ。
🤔 迷いポイント免税事業者が売るものは、取引の区分も「免税」?
ハルカ「免税」という言葉が同じなので、同じものだと思っていました。
先生第3回で見た取引の「免税」は輸出などの区分で、ここでの「免税事業者」は納める義務の話なんだ。別のものだよ。
ハルカ第3回で、由紀さんの受講料は「課税」だと習いました。区分は課税でも、由紀さんは納めなくていいんですね。
先生そのとおりだね。取引の区分と、納める義務があるかどうかは、分けて考えるんだ。
💡 そうだったのか!基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は免税事業者(事業者免税点制度)。取引の「免税」とは別の話。
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)

STEP 1 免税点のしくみ

ハルカ事業者なら、みんな消費税を納めるんですか?
先生小さな事業者は、消費税を納める義務が免除されるんだ。基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は「免税事業者」だよ。
🤔 迷いポイント免税事業者が売るものは、取引の区分も「免税」?
ハルカ「免税」という言葉が同じなので、同じものだと思っていました。
先生第3回で見た取引の「免税」は輸出などの区分で、ここでの「免税事業者」は納める義務の話なんだ。別のものだよ。
ハルカ第3回で、由紀さんの受講料は「課税」だと習いました。区分は課税でも、由紀さんは納めなくていいんですね。
先生そのとおりだね。取引の区分と、納める義務があるかどうかは、分けて考えるんだ。
💡 そうだったのか!基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は免税事業者(事業者免税点制度)。取引の「免税」とは別の話。

基準期間の課税売上高 800万円 → 1,000万円以下:原則として免税事業者

STEP 2 基準期間はいつ?

ハルカ「基準期間」は、いつのことですか? 今年の売上げで判定するんですか?
先生基準期間は、個人事業者ならその年の前々年、法人なら前々事業年度なんだ。AさんのX3年(1月〜12月)なら、X1年(前々年)の売上げで判定するよ。
🤔 迷いポイント今年の売上げが1,000万円を超えたら、今年から課税事業者?
ハルカ売上げが増えた年から、すぐに納めると思っていました。
先生今年の売上げは、2年後の判定に使うんだ。課税期間が始まる前に、消費税を預かる立場かどうかが分かるようにしているよ。
ハルカ2年前の自分が、今年の自分の立場を決めているんですね。
先生そうだよ。だから毎年、2年後を見ながら売上げを確かめておくといいね。
💡 そうだったのか!基準期間は、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度。今年の売上げは、2年後の判定に使う。

判定する課税期間 X3年(1月〜12月) → 基準期間 X1年(前々年)

STEP 3 基準期間の課税売上高

ハルカ基準期間の課税売上高は、帳簿の売上げをそのまま見ればいいんですか?
先生課税売上げを税抜にして、返品・値引きを引き、輸出などの免税売上げを足すんだ。家賃などの非課税売上げは入れないよ。
🤔 迷いポイント税込1,100万円の売上げなら、1,000万円を超えているから課税事業者?
ハルカ1,100万円は1,000万円より多いので、課税事業者だと思いました。
先生その年に課税事業者だったなら、税抜にして1,000万円だから、1,000万円以下で免税事業者なんだ。逆に、免税事業者だった年は消費税を預かっていないから、受け取った額をそのまま使うよ。
ハルカ同じ1,100万円でも、その年の立場で答えが変わるんですね。
先生そうだよ。左の右側の枠で、Aさんの場合を確かめてみようか。
💡 そうだったのか!基準期間の課税売上高は税抜・返品控除後・免税売上げを含む。基準期間に免税事業者だったときは、税抜にしない。

基準期間の課税売上高 800万円(課税事業者だったので税抜の金額)

STEP 4 特定期間

ハルカ基準期間が1,000万円以下なら、それで安心ですか?
先生もう1つ、特定期間の判定があるんだ。個人事業者なら前年の1月〜6月、法人なら前事業年度の最初の6か月だよ。ここの課税売上高が1,000万円を超えると、免除されないことがあるんだ。
🤔 迷いポイント特定期間の課税売上高が1,000万円を超えたら、必ず課税事業者?
ハルカ売上げが超えたら、それで決まりだと思っていました。
先生課税売上高の代わりに、特定期間に払った給与等の額で判定してもいいんだ。両方とも1,000万円を超えたときに課税事業者になるよ。Aさんは、売上げも給与等も超えているから課税事業者なんだ。
ハルカ急に売上げが伸びた人を、2年待たずに課税事業者にする仕組みなんですね。
先生そのとおりだね。左の棒で、Aさんの特定期間を確かめてみようか。
💡 そうだったのか!特定期間の課税売上高が1,000万円を超えても、給与等の支払額が1,000万円以下なら、給与等で判定して免税事業者にできる。両方とも超えたら課税事業者。

特定期間(X2年1月〜6月)の課税売上高 1,100万円・給与等 1,200万円 → 課税事業者

STEP 5 判定のまとめ

ハルカ結局、Aさんは課税事業者ですか、免税事業者ですか?
先生左の順に確かめると、AさんのX3年(1月〜12月)は課税事業者(特定期間の判定で課税)だよ。
🤔 迷いポイント基準期間と特定期間で免税事業者なら、もう課税事業者にはならない?
ハルカ売上げが少なければ、ずっと免税事業者だと思っていました。
先生インボイス登録をしたり、課税事業者を選んだりすると、売上げに関係なく課税事業者になるんだ。これは第5回で見ていこうか。
ハルカ消費税法ラボ【基礎編】 ↗の判定フローにも、インボイス登録が出てきました。
先生そうだよ。新しく作った会社や、相続で事業を引き継いだ場合の特例もあるから、それも第5回で見ようか。
💡 そうだったのか!判定は課税期間ごと。登録・選択 → 基準期間 → 特定期間の順に確かめ、どれにも当たらなければ免税事業者。

Aさん:課税事業者(特定期間の判定で課税)

さくら食品と由紀さんで確かめる

※ 由紀さんの基準期間・特定期間の課税売上高は、免税事業者だった年の受取額(税抜にしない)です。

先生さくら食品と由紀さんの判定をまとめたのが左の表だよ。
ハルカ由紀さんは、2026年の途中で免税事業者から課税事業者に変わるんですね。
先生10月1日にインボイス登録をしたからなんだ。登録すると、基準期間の売上げに関係なく課税事業者になるよ。
ハルカもし登録していなかったら、2027年も免税事業者のままだったんですね。
先生そうだよ。登録するかどうかの考え方は、第5回でさくら食品の側からも見ていこうか。

やってみよう:基準期間・特定期間クイズ(7問)

期間と金額の出し方を確かめましょう。

ハルカ基準期間と特定期間がいつなのか、問題で確かめたいです。
先生左の7問で、期間と金額の出し方を確かめてみようか。
ハルカ法人は3月決算なので、年をまたぐところに気をつけます。
先生事業年度の始まりから数えるのがコツだね。

よくある間違い

① 今年の売上げで今年を判定する

判定に使うのは基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高です。今年の売上げは、2年後の判定に使います。

② いつも税込(いつも税抜)で判定する

基準期間に課税事業者だった場合は税抜にします。免税事業者だった場合は、消費税を預かっていないので受け取った額のままです。

③ 基準期間だけ見ればよい

基準期間で1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高と給与等の支払額がどちらも1,000万円を超えれば課税事業者です(課税売上高が超えても、給与等が1,000万円以下なら給与等で判定して免税事業者にできます)。インボイス登録をすると、売上げに関係なく課税事業者になります(第5回)。
ハルカ①は、今日の最初に私が質問したことです。
先生今年の売上げは2年後の判定に使うんだったね。
ハルカ②の税込と税抜は、立場で変わるのがややこしいです。
先生基準期間に消費税を預かっていたかどうかで考えると、間違えにくいよ。

ミニテスト(3問)

Q1. 個人事業者の基準期間は?
Q2. 基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、課税事業者になる場合は?
Q3. 基準期間に免税事業者だった場合、基準期間の課税売上高は?

おわりに ── 今日のふりかえり

1分まとめ
  1. 基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は免税事業者(事業者免税点制度)。
  2. 基準期間は、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度。課税期間ごとに判定する。
  3. 基準期間の課税売上高は税抜・返品控除後・免税売上げを含む。基準期間に免税事業者だったときは税抜にしない。
  4. 特定期間(前年の上半期)は、課税売上高か給与等の支払額のどちらかで判定できる。両方とも1,000万円を超えたときに課税事業者。
  5. 取引の「免税」と免税事業者は別の話。インボイス登録をすると、売上げに関係なく課税事業者(第5回)。
先生今日のまとめだよ。基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、その課税期間は免税事業者なんだ。
ハルカ基準期間は2年前。課税事業者だった年は税抜、免税事業者だった年はそのまま。さらに特定期間も確かめる……ですね。
先生そのとおりだよ。1つだけ足すと、インボイス登録をすれば、売上げに関係なく課税事業者になるんだ。
ハルカ手帳の2年後のページに「売上げ確認」と書いておきます。
先生いい習慣だね。次の第5回では、課税事業者の選択とインボイス登録を見ていこうか。

参照条文・出典

参照条文:消費税法2条1項14号(基準期間)、5条(納税義務者)、9条1項・2項(小規模事業者の納税義務の免除・基準期間における課税売上高)、9条の2(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)、19条(課税期間)

参考資料:税務大学校『消費税法(基礎編)令和8年度版』第4章第1節「納税義務者」(p.26)、第2節1「小規模事業者の納税義務の免除とは何か」(pp.27〜29)、3「特定期間」(p.30)、第7章第1節「課税期間」(p.64)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)

本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(インボイス制度の経過措置の延長・3割特例など)は国税庁の資料で反映しています。

本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年度改正後の法令に基づく学習用の解説・試算であり、個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品・青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。

ハルカ条文で確かめたいときは、どこを見ればいいですか?
先生免税点は消費税法9条、特定期間は9条の2、基準期間の定義は2条1項14号なんだ。消費税法ラボ ↗で条文から引けるよ。
ハルカ講本には、期間の図もありますか?
先生講本の第4章に、個人と法人の基準期間・特定期間の例が載っているよ。この教材の図は、それを参考にTaxJudgeが独自に作っているんだ。
消費税 入門講座 第4回|taxjudge.com
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