消費税ってどんな税? ── 預かった税から支払った税を引く
「540円の弁当の40円、誰が国に納めているの?」に、取引の流れの図(5つのステップ)で答えられるようになる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 消費税・地方消費税 | 国の消費税と、都道府県の地方消費税。税率はこの2つの合計で、事業者は両方をまとめて税務署に申告・納付する |
| 事業者 | 個人事業者(個人で商売をしている人)と法人(会社など) |
| 課税売上げ | 消費税がかかる売上げ(第3回で4つの区分を見る) |
| 課税仕入れ | 事業者が事業のために、消費税がかかるモノやサービスを買うこと |
| 仕入税額控除 | 売上げで預かった税から、仕入れで支払った税を引くこと(第8〜11回) |
| 税抜・税込 | 消費税を含まない金額・含む金額 |
| 課税期間 | 消費税を計算する期間。個人は1月〜12月、法人は事業年度(第14回) |
| 法令と数字 | この講座は令和8年度改正後の法令で計算しています。税率などの数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
消費税は①消費者が負担し → ②取引のたびに売った事業者が預かり → ③仕入れのときに支払った税を引いて納め → ④その合計が消費者の負担と一致し → ⑤国の消費税と地方消費税をまとめて納める――この仕組みを、取引の流れの図で説明できるようになること。
※ シンプルな例は、木材業者が仕入れなしで木材を作り、家具メーカー・家具店を通って消費者に売られる場合の学習用の設定です(税率10%)。
※ 金額は令和8年度改正後の法令に基づく学習用の試算です。
図で見る:取引の流れと消費税(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 負担するのは消費者
買った人が払う税込 110,000円 = 税抜 100,000円 + 消費税 10,000円(負担するのは買った人)
STEP 2 売るたびに税を預かる
預かった税:木材業者 2,000円、家具メーカー 6,000円、家具店 10,000円
STEP 3 仕入れの税を引いて納める
納める税 = 預かった税 − 支払った税:木材業者 2,000円、家具メーカー 4,000円、家具店 4,000円
STEP 4 合計は消費者の負担
2,000円 + 4,000円 + 4,000円 = 10,000円 = 買った人が負担した税 10,000円
STEP 5 国と地方の税
さくら食品の1年分:国 1,975,200円 + 地方 557,100円 = 2,532,300円
さくら食品と由紀さんで確かめる(講座の共通事例)
この講座では、さくら食品株式会社の1年間(2026年4月1日〜2027年3月31日)の取引を、回を追って計算していきます。由紀さんは、相続税・所得税の入門講座と同じ青山家の長女です。
| 事業者・人 | この講座での役割 | 主な回 |
|---|---|---|
| さくら食品株式会社 | 3月決算の会社。食品の店頭販売・テイクアウト・ネット販売、イートイン・ケータリング、ビル上階の住宅の貸付け | 全回 |
| 青山 由紀 | 料理教室を営む個人事業者。さくら食品の店舗で毎月講師をしている。免税事業者から、10月1日にインボイス登録 | 第4・5・9・12・13回 |
| 青山 健太 | さくら食品で弁当を買う消費者。消費税を負担する側 | 第1・6回 |
※ さくら食品の数字は学習用に設定した仮定の数値で、実在の会社とは関係ありません。金額は令和8年度改正後の法令に基づいて計算しています。
さくら食品の1年分(第15回までの地図)
| 段階 | さくら食品の計算(くわしくは各回で) | 金額 |
|---|---|---|
| 売上げで預かった税 | 売上げを標準税率と軽減税率に分け、税率ごとに国の消費税を計算(第6・7回) | 5,304,000円 |
| 仕入れで支払った税を引く | インボイスの有無・課税売上割合・個別対応方式(第8〜11回) | ▲3,302,275円 |
| 返品・貸倒れの分を引く | 売上げの返品・値引きと、回収できなくなった売掛金の分(第7回) | ▲26,520円 |
| 国の消費税(差引税額) | 百円未満切捨て | 1,975,200円 |
| 地方消費税 | 国の消費税 × 22/78(百円未満切捨て) | 557,100円 |
| 1年分の合計 | このうち中間申告で納めた分を引いて、確定申告で納める(第14・15回) | 2,532,300円 |
やってみよう:3つの事業者が納める税を当てる
シンプルな例(テーブル)で、それぞれの事業者が税務署に納める消費税を選んでください。
この回で使った数字(令和8年度改正後の法令)
| 項目 | 数字 | くわしくは |
|---|---|---|
| 標準税率(国の消費税+地方消費税) | 10%(7.8%+2.2%) | 第6回 |
| 軽減税率(飲食料品など) | 8%(6.24%+1.76%) | 第6回 |
| 地方消費税の計算 | 国の消費税額 × 22/78 | 第7・15回 |
税率などの数字は、税制改正で変わることがあります。この講座では法令の数字を1か所で管理し、改正のときに差し替えます。仕組み(預かった税−支払った税)は変わりません。
飲食料品の税率を、2027年4月1日から2年間、国・地方合計で1%に引き下げる案が公表されています(法案の成立を前提とした説明の段階です)。成立と内容が確定するまで、この講座の計算には入れません。さくら食品の課税期間(2026年4月1日〜2027年3月31日)は、この案の対象期間より前に終わります。くわしくは第6回で扱います。
よくある間違い
① 消費税はお店が負担する税
消費税を負担するのは、モノやサービスを買って使う消費者です。お店(事業者)は、預かった税を納める役目です。負担する人と納める人が違うので「間接税」と呼ばれます。② 売上げの税をそのまま納める
事業者が納めるのは、売上げで預かった税から、仕入れで支払った税を引いた残りです(仕入税額控除)。この引き算があるから、取引の段階が増えても税が積み重なりません。③ 10%は全部が国の税
10%のうち7.8%が国の消費税、2.2%が地方消費税です。地方消費税は国の消費税額に22/78をかけて計算し、国の消費税と一緒に申告・納付します。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 消費税を負担するのは消費者、納めるのは事業者(間接税)。
- 生産から小売まで、売るたびに売上げに消費税がかかる。
- 事業者は、預かった税から仕入れで支払った税を引いて納める(仕入税額控除)。
- 各段階の納付額を足すと、消費者が負担した税と一致する。
- 税率は国の消費税と地方消費税の合計。地方消費税は国の消費税額×22/78で、まとめて申告・納付する。
参照条文・出典
参照条文:消費税法4条(課税の対象)、5条(納税義務者)、28条(課税標準)、29条(税率)、30条(仕入れに係る消費税額の控除)、45条(課税資産の譲渡等についての確定申告)、地方税法72条の77〜72条の83(地方消費税)
参考資料:税務大学校『消費税法(基礎編)令和8年度版』第1章「総説」(pp.1〜10)、第5章第1節4「税率」(pp.36〜37)、参考2「納付すべき税額の計算の流れ」(p.79)、参考6「地方消費税の概要」(pp.104〜105)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(インボイス制度の経過措置の延長・3割特例など)は国税庁の資料で反映しています。飲食料品の税率引下げ案は、法案の成立前のため計算に入れていません。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年度改正後の法令に基づく学習用の試算であり、個別の申告には税理士等にご確認ください。さくら食品・青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。