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第7回 売上げの消費税を計算しよう|消費税入門講座

消費税 入門講座|第7回(v2)

売上げの消費税を計算しよう ── 課税標準額・割戻しと積上げ・返品と貸倒れ

「税込の売上げから、納める消費税はどう計算するの?」に、課税標準額 → 税額 → 返品・貸倒れの順で答えられるようになる回です。

所要 15分前提:第6回(税率ごとに分ける)条文:消費税法28条・45条・38条・39条令和8年度改正後の法令で解説
第1章 全体像123
第2章 誰が納める45
第3章 売上げの税67
第4章 仕入れの税8910111213
第5章 申告と総合演習1415
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
課税標準税額を計算するもとになる金額。国内の売上げなら、課税資産の譲渡等の対価の額(消費税・地方消費税を含まない額)
課税標準額課税期間の課税標準を税率ごとに合計した額。税率ごとに千円未満を切り捨てる
割戻し計算税込の売上げの合計を割り戻して課税標準額を出し、国の税率を掛ける計算(原則)
積上げ計算交付したインボイス(適格請求書・適格簡易請求書)に書いた消費税額等を合計し、78/100を掛ける計算(特例。適格請求書発行事業者だけ)
売上げに係る対価の返還等返品を受けた・値引きや割戻しをしたことで、売上げの代金を返したり減らしたりすること。その税額を控除する
貸倒れ売掛金などが、相手の破産などで回収できないことが確定すること。その税額を控除する
法令と数字この講座は令和8年度改正後の法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます

はじめに:今日のゴール

🎯
今日のゴール
売上げの消費税は、①税込の売上げを税率ごとに割り戻して課税標準額(千円未満切捨て) → ②国の税率を掛けて消費税額 → ③返品・貸倒れの税額を引くの順で計算する。割戻し計算と積上げ計算の違いと、どちらを選ぶかの考え方も説明できるようになること。
講本の例:税込の売上げ
→
×100/110・千円未満切捨て
→
×7.8%
さくら食品:税率ごとの課税標準額2,000万円+6,000万円
→
国の税率を掛ける消費税額
→
売上げの消費税5,304,000円

※ 入門の範囲として、特定課税仕入れ(リバースチャージ)、みなし譲渡の課税標準、輸入取引は名前だけ扱います。

ハルカ先生、第6回で売上げを税率ごとに分けました。ここから消費税は、どう計算するんですか?
先生今日は、税込の売上げから消費税額を出して、返品と貸倒れの税を引くところまで進むよ。
ハルカ税込の売上げに10%を掛ければ、終わりではないんですか?
先生それが今日の最初の落とし穴なんだ。税込の金額には、もう税が入っているからね。
ハルカさくら食品の数字でも、確かめられますか?
先生できるよ。さくら食品の売上げの消費税は5,304,000円になるんだ。

図で見る:売上げの消費税を計算する順番(5ステップ)

先生最初はさくら食品で5ステップを通してみよう。左のボタンで、講本の計算例にも切り替えられるんだ。
ハルカ講本の例は、数字が1つの税率だけなので、計算を追いやすそうです。
先生そうだね。積上げ計算の例も、講本の数字で比べようか。
👆下のステップをクリックタップすると、図と会話が切り替わります← →キーでも移動できます
← 図は横にスクロールできます →
① 税込の売上げ → 税率ごとに割り戻す → 千円未満切捨て = 課税標準額税込の売上げ(標準)22,000,000円× 100/11020,000,000円千円未満切捨て20,000,000円課税標準額税込の売上げ(軽減)64,800,000円× 100/10860,000,000円千円未満切捨て60,000,000円課税標準額なぜ割り戻す? → 課税標準は「消費税・地方消費税を含まない対価の額」だから。税込の金額に100/110(軽減税率は100/108)を掛けて、税抜の金額にする。税率ごとに分けて計算し、それぞれ千円未満を切り捨てる(第6回で税率ごとに分けたのはこのため)。※ 税抜経理でも、税抜の売上げ+仮受消費税等(=税込)に100/110を掛ける。結果は同じになる(講本 p.38〜39)。
標準 22,000,000円 ×100/110 → 20,000,000円 軽減 64,800,000円 ×100/108 → 60,000,000円
ハルカさくら食品の売上げの消費税は、どこから計算するんですか?
先生まず、税込の売上げを税率ごとに割り戻して、税抜の金額にするんだ。標準税率は×100/110で2,000万円、軽減税率は×100/108で6,000万円だよ。
🤔 迷いポイント割り戻した金額は、1円単位まで使う?
ハルカ税金の計算だから、1円単位まで正確に使うと思っていました。
先生課税標準額は、税率ごとに千円未満を切り捨てるんだ。
ハルカ第6回で税率ごとに分けたのは、ここで別々に割り戻すためだったんですね。
先生そのとおりだね。税率ごとに分けて、それぞれ切り捨てるんだ。
💡 そうだったのか!課税標準額は、税込の売上げを税率ごとに割り戻し(×100/110・×100/108)、千円未満を切り捨てた額。
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)

STEP 1 課税標準額

ハルカさくら食品の売上げの消費税は、どこから計算するんですか?
先生まず、税込の売上げを税率ごとに割り戻して、税抜の金額にするんだ。標準税率は×100/110で2,000万円、軽減税率は×100/108で6,000万円だよ。
🤔 迷いポイント割り戻した金額は、1円単位まで使う?
ハルカ税金の計算だから、1円単位まで正確に使うと思っていました。
先生課税標準額は、税率ごとに千円未満を切り捨てるんだ。
ハルカ第6回で税率ごとに分けたのは、ここで別々に割り戻すためだったんですね。
先生そのとおりだね。税率ごとに分けて、それぞれ切り捨てるんだ。
💡 そうだったのか!課税標準額は、税込の売上げを税率ごとに割り戻し(×100/110・×100/108)、千円未満を切り捨てた額。

標準 22,000,000円 ×100/110 → 20,000,000円 軽減 64,800,000円 ×100/108 → 60,000,000円

STEP 2 消費税額

ハルカ課税標準額が出たら、10%を掛ければいいんですか?
先生掛けるのは国の税率、7.8%と6.24%なんだ。さくら食品は、合計で5,304,000円になるよ。
🤔 迷いポイント合計の税率10%で一度に計算したほうが早い?
ハルカ国と地方を分けるのは、二度手間だと思いました。
先生地方消費税は、国の税額から仕入れの税などを引いた額に22/78を掛けて計算するんだ。だから、まず国の税額を確定させる順番なんだよ。
ハルカ基礎編 ↗で見た「預かった税−支払った税」も、国の税で計算するんですね。
先生そうだよ。地方消費税は、その結果をもとに最後に計算するんだ。
💡 そうだったのか!消費税額(国)=課税標準額×国の税率(7.8%・6.24%)。地方消費税は、国の税額をもとに後から計算する。

20,000,000円×7.8%+60,000,000円×6.24% = 5,304,000円

STEP 3 割戻しと積上げ

ハルカ計算のしかたは、ほかにもあるんですか?
先生左の図の2つだよ。売上げの合計から1回で計算する割戻し計算と、交付したインボイスの税額を積み上げる積上げ計算なんだ。講本の例では、積上げのほうが15円多いね。
🤔 迷いポイント積上げ計算と割戻し計算は、毎年、得なほうを選べる?
ハルカ少ないほうを選べば、それでいいと思っていました。
先生積上げ計算は適格請求書発行事業者だけが使えて、交付したインボイスの写しを保存していることが前提なんだ。それに、売上げを積上げにすると、仕入れも積上げにしなければならないよ。
ハルカ売上げだけ得をして、仕入れは別の方法、というわけにはいかないんですね。
先生そのとおりだね。差が出るのはレシートごとの端数処理だから、自分の売り方とレシートの作り方を見て選ぶんだ。さくら食品は、売上げも仕入れも割戻し計算にしているよ。
💡 そうだったのか!割戻し計算が原則。積上げ計算は、交付したインボイスの税額を積み上げる特例で、選ぶと仕入れも積上げ計算になる。

割戻し 1,755,000円(課税標準額×7.8%)/積上げ 1,755,015円(インボイスの税額2,250,020円×78/100)

STEP 4 返品・値引き

ハルカさくら食品が売上げの返品を受けたときは、どうするんですか?
先生返した代金に含まれる税を、返品・値引きをした課税期間の税額から控除するんだ。さくら食品は324,000円×6.24/108で18,720円だよ。
🤔 迷いポイント返品は、もとの売上げがあった年に戻って直す?
ハルカ去年の売上げの返品なら、去年の申告を直すと思っていました。
先生直さないんだ。返品・値引きをした課税期間の税額から控除するよ。だから、課税標準額ではなく、税額の段階で引く仕組みなんだ。
ハルカ過去の申告をやり直さなくていいのは、助かりますね。
先生そうだね。その代わり、返品などの明細を記録した帳簿を保存することが要件なんだ。
💡 そうだったのか!返品・値引きの税は、返品・値引きをした課税期間の税額から控除する。返した代金(税込)×7.8/110(軽減は6.24/108)。

324,000円 × 6.24/108 = 18,720円(返品・値引きをした課税期間の税額から控除)

STEP 5 貸倒れ

ハルカケータリング先が破産したお金は、どうなるんですか?
先生破産手続が終結して、110,000円は回収できないことが確定したんだ。その税7,800円を、確定した課税期間の税額から控除できるよ。
🤔 迷いポイント入金が遅れている売掛金も、貸倒れにして税を引ける?
ハルカ半年も入金がなければ、もう回収できないと思っていいと思いました。
先生入金が遅れているだけでは控除できないんだ。破産手続の終結などで、法律上・事実上、回収できないと確定したときだけだよ。貸倒れの事実を証する書類も保存するんだ。
ハルカもしあとで払ってもらえたら、どうなるんですか?
先生回収した課税期間の税額に、その分を加えるんだ。さくら食品の売上げ側の税は、5,277,480円になったね。
💡 そうだったのか!貸倒れの税額控除は、回収できないと確定したときだけ(入金の遅れは×)。売上げの税 − 返品の税 − 貸倒れの税が、売上げ側の税になる。

5,304,000円 − 18,720円 − 7,800円 = 5,277,480円(貸倒れ 110,000円×7.8/110)

さくら食品の売上げの消費税

さくら食品の1年間(2026年4月1日〜2027年3月31日)の売上げの消費税を、計算の順に並べると次のとおりです(割戻し計算)。

先生さくら食品の売上げの税を、計算の順に並べたのが左の表だよ。
ハルカ課税標準額が、ちょうど千円単位になっているんですね。
先生この事例は、割り戻すと千円未満の端数が出ない数字にしているんだ。実際の会社では、ここで端数を切り捨てるよ。
ハルカ貸倒れの行に、破産手続の終結と書いてあるのが大事なんですね。
先生そうだよ。いつ回収できないと確定したかで、控除する課税期間が決まるんだ。

やってみよう:割戻し計算と積上げ計算を比べる

同じ売上げを、割戻し計算と積上げ計算で計算してみましょう。違いが出るのは、レシート1枚ごとの税額の端数処理です。

ハルカ割戻しと積上げで、本当に差が出るのか試してみます。
先生左の本体価格と枚数を変えてみようか。端数を「切り捨て」にすると、積上げのほうが少なくなることが多いよ。
ハルカ「切り上げ」にすると、逆になりました。
先生そうなんだ。レシートの作り方しだいで、どちらが少ないかが変わるんだね。

よくある間違い

① 税込の売上げ × 10%が消費税

税込の売上げには、すでに消費税が含まれています。まず×100/110(軽減税率は100/108)で税抜にして課税標準額を出し、国の税率(7.8%・6.24%)を掛けます。地方消費税は、国の税額をもとに別に計算します。

② 入金が遅れている売掛金は貸倒れ

貸倒れの税額控除ができるのは、相手の破産手続の終結などで、回収できないことが法律上・事実上確定したときです。入金が遅れているだけでは控除できません。貸倒れの事実を証する書類の保存も必要です。

③ 積上げ計算は、得なほうを自由に選べる

売上げの積上げ計算は適格請求書発行事業者だけが使え、交付したインボイスの写しの保存が前提です。売上げを積上げ計算にすると、仕入れも積上げ計算にしなければなりません。
ハルカ①は、今日の最初に私が言ったことです。
先生税込の金額には税が入っているから、まず割り戻すんだったね。
ハルカ②の入金の遅れも、気をつけます。
先生回収できないと確定したときだけなんだ。確定を証する書類の保存も忘れないようにしようか。

ミニテスト(3問)

Q1. 課税標準額の端数は、どう処理する?
Q2. 売上げの貸倒れの税額控除ができるのは、どの場合?
Q3. 売上げの税額を積上げ計算にした。仕入れの税額は?

おわりに ── 今日のふりかえり

1分まとめ
  1. 課税標準額は、税込の売上げを税率ごとに×100/110・×100/108で割り戻し、千円未満を切り捨てた額。
  2. 消費税額(国)は、課税標準額×7.8%・6.24%。地方消費税は国の税額×22/78で別に計算する。
  3. 割戻し計算が原則。積上げ計算は適格請求書発行事業者が、交付したインボイスの税額を積み上げる特例で、選ぶと仕入れも積上げになる。
  4. 返品・値引きをした課税期間に、返した額×7.8/110(軽減は6.24/108)を税額から控除する。
  5. 貸倒れは回収できないと確定した課税期間に控除する。さくら食品の売上げの税は 5,304,000円 − 返品 − 貸倒れ。
先生今日のまとめだよ。税込の売上げを税率ごとに割り戻して、千円未満を切り捨てたのが課税標準額なんだ。
ハルカそこに国の税率を掛けて消費税額。返品と貸倒れの税は、あとから税額で引くんですね。
先生そのとおりだよ。1つだけ足すと、積上げ計算は特例で、選ぶと仕入れも積上げになるんだ。
ハルカさくら食品の売上げ側の税は5,277,480円。ここからやっと、仕入れの税ですね。
先生そうだね。次の第8回では、仕入れの消費税を引く「仕入税額控除」を見ていこうか。

参照条文・出典

参照条文:消費税法28条1項(課税標準)、45条1項・5項(課税標準額・積上げ計算)、38条(売上げに係る対価の返還等をした場合の税額控除)、39条(貸倒れに係る税額控除)、消費税法施行令59条・60条(貸倒れの範囲)、62条(積上げ計算)、消費税法施行規則18条・19条(貸倒れの事実を証する書類)、国税通則法118条1項(千円未満切捨て)

参考資料:税務大学校『消費税法(基礎編)令和8年度版』第5章第1節「課税標準と税率」(pp.34〜37)・第2節「課税標準額等の計算」(pp.38〜40。積上げ計算の例 p.40)、第6章第6節「売上げに係る対価の返還等をした場合等の税額控除等」(pp.62〜63)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)/国税庁タックスアンサー No.6367(貸倒れ)

本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(インボイス制度の経過措置の延長・3割特例など)は国税庁の資料で反映しています。シンプルな例の数字は講本の計算例をそのまま使っています。

本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年度改正後の法令に基づく学習用の解説・試算であり、個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品・青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。

ハルカ課税標準や返品・貸倒れは、条文のどこにありますか?
先生課税標準は消費税法28条、課税標準額と積上げ計算は45条、返品は38条、貸倒れは39条だよ。
ハルカ貸倒れになる場合の一覧は、どこで確かめられますか?
先生消費税法施行令59条にあって、国税庁のタックスアンサーNo.6367にもまとまっているんだ。
消費税 入門講座 第7回|taxjudge.com
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