どんな取引に消費税がかかる? ── 課税の対象の4つの要件
「フリマアプリで自分の服を売ったら、消費税はかかるの?」に、課税の対象の4つの要件で答えられるようになる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 課税の対象 | 消費税がかかるかどうかを判定する入口。4つの要件をすべて満たす取引 |
| 資産の譲渡等 | 事業として対価を得て行う、資産の譲渡(売る)・資産の貸付け(貸す)・役務の提供(サービスをする) |
| 国内取引・国外取引 | 取引が行われた場所で分ける。国外取引は課税の対象にならない |
| 事業として | 対価を得て、反復・継続・独立して行うこと。法人の取引はすべて事業として行うもの |
| みなし譲渡 | 個人事業者の家事消費と、法人の役員への贈与。対価がなくても課税の対象になる |
| 不課税 | 4つの要件のどれかを欠き、課税の対象にならない取引(第3回の関門1) |
| 法令と数字 | この講座は令和8年度改正後の法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
消費税の課税の対象は、①国内で ②事業者が事業として ③対価を得て行う ④資産の譲渡・貸付け・役務の提供――この4つの要件をすべて満たす取引だけ。取引ごとに4つを確かめて、課税の対象かどうかを判定できるようになること。
※ 判定は典型的な場合の目安です。輸入取引(外国から貨物を引き取る取引)は、事業者でない人が行っても課税の対象になります(この講座では名前だけ扱います)。
図で見る:4つの要件を1つずつ確かめる(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 4つの要件
課税の対象(4つとも○):日本の店でパンを売る / 不課税:会社員が自分の服をフリマで売る、日本の会社の米国支店が現地で売る、会社が取引先に贈り物を無償で贈る
STEP 2 要件1 国内か
要件1「国内において行う取引」を欠くもの:日本の会社の米国支店が現地で売る
STEP 3 要件2 事業として
要件2「事業者が事業として行う取引」を欠くもの:会社員が自分の服をフリマで売る
STEP 4 要件3 対価を得て
要件3「対価を得て行う取引」を欠くもの:会社が取引先に贈り物を無償で贈る
STEP 5 要件4 資産の譲渡等
要件4「資産の譲渡・貸付け・役務の提供」を欠くもの:この例ではなし
さくら食品と由紀さんで確かめる
由紀さん・さくら食品の取引を、4つの要件で確かめると次のとおりです(○※=みなし譲渡)。
※「課税の対象」になった取引でも、非課税・免税に当たるかどうかは第3回で判定します(住宅の家賃は非課税、海外向けネット販売は免税)。
やってみよう:どの要件が欠ける?(12問)
取引ごとに、欠けている要件か「4つとも満たす」を選んでください。(答えは典型的な場合の目安です)
よくある間違い
① 売れば何でも課税の対象
個人が家庭で使っていた物(服・家具・家電)を売るのは、事業としての取引ではないので不課税です。ただし、仕入れて売ることを繰り返すと事業になることがあります。② お金を受け取れば課税の対象
対価は、モノやサービスの見返りとして受け取るものです。保険金・配当・寄附金・損害賠償金(心身や資産の損害に対するもの)は、原則として課税の対象になりません。③ ただであげれば関係ない
個人事業者が商品などを家事に使うとき、法人が役員に資産を贈与するときは、対価を得たものとみなされます(みなし譲渡)。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 課税の対象は、4つの要件(国内・事業として・対価を得て・資産の譲渡等)をすべて満たす取引。
- 国内かどうかは、資産なら譲渡・貸付けの時の所在地、サービスなら提供した場所で判断する。
- 事業としては反復・継続・独立して行うこと。法人の取引はすべて事業。個人の生活用の物の売却は事業ではない。
- 対価がない贈与・保険金・配当などは不課税。ただし家事消費・役員への贈与はみなし譲渡。
- 資産の譲渡等は、譲渡・貸付け・役務の提供の3つ。4つを通ったら、次は非課税・免税の判定(第3回)。
参照条文・出典
参照条文:消費税法2条1項8号(資産の譲渡等)、4条1項(課税の対象)・3項(国内取引の判定)・5項(みなし譲渡)、消費税法施行令2条(資産の譲渡等に類する行為)・6条(国内取引の判定)
参考資料:税務大学校『消費税法(基礎編)令和8年度版』第2章「課税の対象」(pp.11〜17。4つの要件 p.12、事業として p.13、対価を得て・みなし譲渡 p.14、不課税取引の事例と判定の流れ p.16)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(インボイス制度の経過措置の延長・3割特例など)は国税庁の資料で反映しています。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年度改正後の法令に基づく学習用の解説・試算であり、個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品・青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。