税率はどう決まる? ── 標準税率と軽減税率
「同じお弁当なのに、持ち帰りと店内で税率が違うのはなぜ?」に、軽減税率の対象(飲食料品と新聞)の決まり方で答えられるようになる回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 標準税率 | 10%(国7.8%+地方2.2%)。軽減税率の対象でない課税資産の譲渡等すべて |
| 軽減税率 | 8%(国6.24%+地方1.76%)。飲食料品の譲渡と、一定の新聞の譲渡 |
| 飲食料品 | 食品表示法に規定する食品(酒類を除く)。一定の一体資産を含む。医薬品・医薬部外品は含まない |
| 外食 | 飲食設備(テーブル・椅子など)のある場所で、飲食料品を飲食させるサービス。軽減税率の対象外 |
| ケータリング | 相手が指定した場所で、加熱・調理・給仕などをして飲食料品を提供すること。軽減税率の対象外(有料老人ホームなどでの一定の食事を除く) |
| 一体資産 | おもちゃ付きのお菓子のように、食品と食品以外が一体になった商品。一定の要件を満たせば全体が軽減税率 |
| 法令と数字 | この講座は令和8年度改正後の法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
税率は標準税率10%と軽減税率8%の2つ。軽減税率は「飲食料品」と「一定の新聞」の譲渡だけで、外食とケータリングは対象外――「何を売るか」と「サービスを付けて提供するか」で税率を判定できるようになること。
※ 判定は典型的な場合の目安です。実際の税率は、取引の内容や提供のしかたで変わることがあります。
図で見る:税率を決める判定の順番(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 税率は2つ
本体500円 × (1+8%) = 540円(持ち帰り)/ × (1+10%) = 550円(イートイン)
STEP 2 軽減税率の対象
軽減税率の対象 = 飲食料品(食品表示法の食品。酒類を除く。一定の一体資産を含む)+ 週2回以上発行・定期購読の新聞
STEP 3 判定の順番
Q1 飲食料品か → Q2 外食か → Q3 ケータリングか。Q1が「はい」で、Q2・Q3が「いいえ」なら軽減税率
STEP 4 一体資産と新聞
一体資産:税抜1万円以下 かつ 食品の価額が3分の2以上 → 全体が軽減税率。新聞:週2回以上・定期購読(電子版は標準)
STEP 5 税率ごとに分ける
売上げは税率ごとに集計する → 第7回で税率ごとに課税標準額と税額を計算
さくら食品の売上げを税率ごとに分ける
さくら食品の1年間の売上げ(2026年4月1日〜2027年3月31日・税込)を、税率ごとに分けると次のとおりです。
飲食料品の税率を、2027年4月1日から2年間、国・地方合計で1%に引き下げる案があり、2026年10月9日に法案が国会に提出されています(この教材の制作時点では成立前です)。成立して内容が確定するまで、この講座の計算には入れません。この講座の法令ファイルでは、軽減税率は2027年3月31日までの取引に限って計算し、それより後の日付は「範囲外」として計算しない作りにしています。さくら食品の今の課税期間(〜2027年3月31日)は、この案の対象期間より前に終わります。
やってみよう:税率カード(12枚)
カードの取引は、軽減税率(8%)と標準税率(10%)のどちらでしょう。(答えは典型的な場合の目安です)
よくある間違い
① 食べ物・飲み物なら全部8%
軽減税率の「飲食料品」は、食品表示法に規定する食品です。酒類(ビール・本みりんなど)と医薬品・医薬部外品は含まれません。水道水も、生活用水として使われるので標準税率です。② 実際に食べた場所で税率が決まる
税率は売るときに決めます。持ち帰りかイートインかは、販売の時点で、お客さんの意思を確かめて判定します。持ち帰りで買ったものを、あとで店のベンチで食べても税率は変わりません。③ 軽減税率は、消費者が買うときだけの話
事業者どうしの取引でも同じです。さくら食品が仕入れる食材も飲食料品なので8%です。売上げの税(第7回)も、仕入れの税(第8回)も、税率ごとに分けて計算します。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 税率は標準税率10%(国7.8%+地方2.2%)と軽減税率8%(国6.24%+地方1.76%)の2つ。
- 軽減税率の対象は飲食料品(食品表示法の食品。酒類を除く)と、週2回以上発行・定期購読の新聞の譲渡だけ。
- 同じ食べ物でも、外食(飲食設備のある場所で食べさせる)とケータリング(指定の場所で調理・給仕)は標準税率。持ち帰り・出前は軽減税率。
- 一体資産は、税抜1万円以下で、食品の価額が3分の2以上なら全体が軽減税率。それ以外は全体が標準税率。
- 税率は売るときに判定し、税率ごとに分けて集計する。この区分が、第7回の課税標準額と第9回のインボイスにつながる。
参照条文・出典
参照条文:消費税法29条(税率)、2条1項9号の2(軽減対象課税資産の譲渡等)、別表第一(飲食料品・新聞)、消費税法施行令2条の3、2条の4、地方税法72条の83(地方消費税の税率)、消費税法基本通達5-9-1〜5-9-13
参考資料:税務大学校『消費税法(基礎編)令和8年度版』第5章第1節4「税率」・5「軽減税率制度」(pp.36〜37)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)/国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(インボイス制度の経過措置の延長・3割特例など)は国税庁の資料で反映しています。飲食料品の税率引下げ案は、法案の成立前のため計算に入れていません。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年度改正後の法令に基づく学習用の解説・試算であり、個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品・青山家の数字は学習用に設定した仮定の数値です。