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第1回 法人税ってどんな税?|法人税入門講座

法人税 入門講座|第1回(v2)

法人税ってどんな税? ── 計算の地図

会社の決算から、法人税をいくら納めるかまでを「6つの箱」の地図でつかむ回です。この地図は、全18回を通して使います。

所要 15分前提:簿記3級程度(なくても読めます)条文:法人税法21条・22条1項・66条・74条令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度で解説
第1章 全体像1234
第2章 益金567
第3章 損金8910111213
第4章 税額と申告141516
第5章 グループと総合演習1718
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
法人税法人の各事業年度の所得にかかる国税
事業年度定款などで定めた会計期間(1年以内)。法人税はこの期間ごとに計算する
当期純利益損益計算書のいちばん下の利益。法人税等を差し引いた後の金額(税引後)
税務調整会計の利益を、税法の所得に直すための加算・減算
所得金額益金の額から損金の額を引いた金額。法人税の課税標準
中小法人資本金1億円以下の普通法人など(大法人の100%子会社などを除く)。軽減税率などの特例がある
地方法人税・防衛特別法人税どちらも国税。法人税額(税額控除の前)をもとに計算し、法人税と一緒に申告する
法令と数字この講座は令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度に適用される法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます

はじめに:今日のゴール

🎯
今日のゴール
法人税は会社の決算(当期純利益)から出発し、税務調整で所得金額を出して税率をかけ、税額控除・中間納付を引いて納付税額にたどり着く。この6つの箱(計算の地図)を、自分の言葉で説明できるようになること。
シンプルな例:X社の当期純利益400万7,300円
→
税務調整のあとの所得金額600万円
→
納付する法人税+地方法人税99万2,700円
さくら食品の当期純利益810万877円
→
所得金額1,327万773円
→
納付税額(法人税・地方法人税)150万4,700円

※ この講座は、資本金1億円以下の内国の普通法人(株式会社)を中心に扱います。法人住民税・法人事業税(地方税)は計算の流れの紹介にとどめます。

ハルカ先生、法人税は会社の利益に税率をかけるだけ、と聞いたことがあります。本当ですか?
先生半分正しいんだ。会社の利益から出発するけど、そのまま税率をかけるわけではないよ。
ハルカ消費税入門講座のさくら食品も、法人税を納めているんですよね。
先生そうだよ。さくら食品の当期純利益は810万877円で、所得金額は1,327万773円なんだ。この差がどこから来るのかを、全18回で解き明かすよ。
ハルカ利益と所得が違うんですね。今日は何をするんですか?
先生今日は、決算から納付税額までを6つの箱でつかむんだ。この「計算の地図」を、毎回の現在地として使っていこうか。

図で見る:法人税の計算の地図(5ステップ)

先生最初は「シンプルな例」のX社で、5ステップを通してみよう。さくら食品や、自分で入力にも切り替えられるんだ。
ハルカ「自分で入力」で、所得が800万円を超えるときも試せるんですね。
先生加算や減算を変えると、所得と税額がどう動くかを見てみようか。
👆下のステップをクリックタップすると、図と会話が切り替わります← →キーでも移動できます
← 図は横にスクロールできます →
① 法人税は「法人の所得」にかかる税 ── 6つの箱の地図1 決算当期純利益2 税務調整加算・減算3 所得金額益金 − 損金4 法人税額所得 × 税率5 差引・控除税額控除・中間納付6 納付税額+地方法人税など所得税法人税誰の所得?個人会社などの法人所得の分け方10種類に分けて計算分けない(会計の利益が前提)計算する期間暦年(1月〜12月)事業年度(会社が決めた会計期間)税率超過累進(段階的に上がる)原則として1つ(中小法人に軽減あり)法人税と一緒に申告する国税・地方法人税・防衛特別法人税(令和8年4月1日以後開始の事業年度から)→ どちらも法人税額をもとに計算(⑤)別に申告する地方税(この講座では扱わない)・法人住民税(都道府県・市町村)・法人事業税・特別法人事業税→ 申告先は都道府県・市町村
法人税:法人の各事業年度の所得にかかる国税 → 決算 → 税務調整 → 所得金額 → 法人税額 → 差引・控除 → 納付税額
ハルカ法人税は、会社のもうけにかかる税金ですよね。所得税とは何が違うんですか?
先生どちらも所得にかかる税だけど、法人税は会社などの法人の所得にかかるんだ。しかも、会社の1年の決算をもとに計算するよ。
🤔 迷いポイント法人税も、所得税のように所得を種類ごとに分けて計算する?
ハルカ所得税入門講座で、所得は10種類あると習いました。法人税も分けるのかと思っていました。
先生法人税は分けないんだ。法人の得た利益は、別に定めがあるものを除いてまとめて所得になるよ。計算の期間も暦年ではなく、会社が決めた事業年度だね。
ハルカ税率も、所得税のように段階的に上がるんですか?
先生原則は1つの税率なんだ。上の6つの箱が、今日から全18回で使う「計算の地図」だよ。
💡 そうだったのか!法人税は、法人の各事業年度の所得にかかる国税。所得の種類は分けず、決算から6つの箱を通って納付税額まで進む。
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)

STEP 1 法人の所得にかかる税

ハルカ法人税は、会社のもうけにかかる税金ですよね。所得税とは何が違うんですか?
先生どちらも所得にかかる税だけど、法人税は会社などの法人の所得にかかるんだ。しかも、会社の1年の決算をもとに計算するよ。
🤔 迷いポイント法人税も、所得税のように所得を種類ごとに分けて計算する?
ハルカ所得税入門講座で、所得は10種類あると習いました。法人税も分けるのかと思っていました。
先生法人税は分けないんだ。法人の得た利益は、別に定めがあるものを除いてまとめて所得になるよ。計算の期間も暦年ではなく、会社が決めた事業年度だね。
ハルカ税率も、所得税のように段階的に上がるんですか?
先生原則は1つの税率なんだ。上の6つの箱が、今日から全18回で使う「計算の地図」だよ。
💡 そうだったのか!法人税は、法人の各事業年度の所得にかかる国税。所得の種類は分けず、決算から6つの箱を通って納付税額まで進む。

法人税:法人の各事業年度の所得にかかる国税 → 決算 → 税務調整 → 所得金額 → 法人税額 → 差引・控除 → 納付税額

STEP 2 出発点は決算

ハルカ計算は、どこから始めるんですか?
先生出発点は、株主総会などで承認を受けた決算なんだ。損益計算書のいちばん下の「当期純利益」から始めるよ。
🤔 迷いポイント法人税を計算する前なのに、法人税等を引いた後の当期純利益から始める?
ハルカ法人税を引く前の「税引前当期純利益」から始めるのだと思っていました。
先生申告書の別表四は、税引後の当期純利益から始めるんだ。X社なら、税引前5,000,000円から法人税等を引いた4,007,300円が出発点だよ。
ハルカ引いた法人税等は、どうなるんですか?
先生法人税等は損金にならないから、税務調整で足し戻すんだ。会社の帳簿の数字から始めるから、決算と申告書がつながるんだよ。
💡 そうだったのか!出発点は確定した決算の当期純利益(税引後)。差し引いた法人税等は、税務調整で足し戻す。

X社の出発点:当期純利益(税引後) 4,007,300円

STEP 3 税務調整で所得へ

ハルカ当期純利益に、そのまま税率をかけるんですか?
先生その前に「税務調整」をするんだ。会計の利益は会社の成績を示すため、税法の所得は課税の公平のために計算するから、少しずれるんだよ。
🤔 迷いポイント会計で費用にしたものは、税法でも全部損金になる?
ハルカ会社がきちんと払ったお金なら、全部損金になると思っていました。
先生会計の費用でも、損金にならないものがあるんだ。X社は届出のない役員賞与1,000,000円と、法人税等を足すよ。
ハルカ足すものと引くものを並べて、所得を出すんですね。
先生そうだよ。足すものを「加算」、引くものを「減算」というんだ。第4回からひとつずつ見ていこうか。
💡 そうだったのか!当期純利益 + 加算 − 減算 = 所得金額。会計の利益と税法の所得は、目的が違うのでずれる。

当期純利益 4,007,300円 + 加算 1,992,700円 − 減算 0円 = 所得金額 6,000,000円

STEP 4 所得 × 税率

ハルカ所得金額が出たら、あとは税率をかけるだけですか?
先生そうだよ。普通法人の税率は23.2%なんだ。ただし資本金1億円以下の中小法人は、所得のうち年800万円以下の部分が15%になるよ。
🤔 迷いポイント所得が800万円を超えたら、全部が23.2%になる?
ハルカ境目を超えたら、所得の全体に高い税率がかかると思っていました。
先生超えた部分だけが23.2%なんだ。X社は所得が800万円以下だから、全部に15%をかけて900,000円だよ。
ハルカ所得税の累進のように、段ごとに計算するんですね。
先生段は2つだけだけどね。この15%は、令和9年3月31日までに始まる事業年度の特例なんだ。
💡 そうだったのか!法人税額 = 所得金額 × 税率。中小法人は年800万円以下の部分が15%、超える部分だけが23.2%。

所得金額 6,000,000円(千円未満切捨て) → 法人税額 900,000円

STEP 5 納付税額まで

ハルカ法人税額が出たら、それを全部納めるんですか?
先生そこから税額控除と、すでに納めた中間納付額を引くんだ。この例は、どちらもないよ。
🤔 迷いポイント地方法人税は、税額控除を引いた後の法人税額に10.3%をかける?
ハルカ最後に残った法人税に、10.3%をかけるのだと思っていました。
先生地方法人税は、税額控除をする前の法人税額をもとに計算するんだ。防衛特別法人税も同じだよ。X社はもとの法人税額が500万円以下だから0円だけど、申告は必要なんだ。
ハルカ0円でも申告するんですね。住民税や事業税はどうなるんですか?
先生住民税と事業税は地方税で、都道府県や市町村に別に申告するよ。この講座では国の法人税を中心に見ていこうか。
💡 そうだったのか!法人税額 − 税額控除 − 中間納付 = 納付する法人税。地方法人税・防衛特別法人税は、税額控除の前の法人税額から計算する。

法人税 900,000円 + 地方法人税 92,700円 + 防衛特別法人税 0円 = 納付税額 992,700円

さくら食品で確かめる

※ さくら食品は消費税入門講座と同じ会社です(資本金1,000万円・3月決算)。税務調整の中身は、第4回からひとつずつ積み上げます。

先生X社とさくら食品を、地図の段階ごとに並べたのが左の表だよ。
ハルカさくら食品は、加算が大きいですね。何を足しているんですか?
先生法人税等の足し戻しや役員給与、減価償却の超える分などなんだ。第4回からひとつずつ見ていくよ。
ハルカ納付税額が、法人税額より小さいのも気になります。
先生源泉徴収された所得税と、中間申告で納めた分を引いているからだね。第2回と第15回でくわしく見ようか。

やってみよう:この作業は地図のどの箱?(6問)

法人税の計算で出てくる作業が、6つの箱のどこに当たるかを選びましょう。

ハルカ6つの箱の名前は覚えました。どの作業がどこに入るか、試してみたいです。
先生左の6問で、作業を箱に振り分けてみようか。
ハルカ「足す」は税務調整、「かける」は法人税額……ですね。
先生その調子だね。迷ったら、上の地図を見返すといいよ。

よくある間違い

① 税引前の利益に、そのまま税率をかける

出発点は損益計算書の当期純利益(税引後)です。そこに税務調整(加算・減算)をして所得金額を出し、税率をかけるのは所得金額です。

② 所得が800万円を超えたら、全部が23.2%になる

中小法人の軽い税率は、所得のうち年800万円以下の部分にかかります。超えた部分だけが23.2%です。

③ 地方法人税は、税額控除を引いた後の法人税額にかける

地方法人税・防衛特別法人税は、所得税額控除などを引く前の法人税額をもとに計算します(第15回)。
ハルカ①は、まさに私が最初に思っていたことです。
先生利益から出発するけど、税率をかけるのは税務調整の後の所得金額だったね。
ハルカ③の地方法人税の計算は、意外でした。
先生もとの法人税額から計算すると覚えておくと、第15回で迷わないよ。

ミニテスト(3問)

Q1. 法人税の計算の出発点になるのは?
Q2. 資本金1,000万円の会社の所得金額が1,000万円。法人税額(税額控除の前)は?
Q3. 地方法人税の計算のもとになる法人税額は?

おわりに ── 今日のふりかえり

1分まとめ
  1. 法人税は、法人の各事業年度の所得にかかる国税。所得の種類は分けず、事業年度ごとに計算する。
  2. 出発点は、株主総会などで承認を受けた確定決算の当期純利益(税引後)。
  3. 当期純利益 + 加算 − 減算 = 所得金額(税務調整)。会計の利益と税法の所得は、目的が違うのでずれる。
  4. 法人税額 = 所得金額 × 税率。中小法人は年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%。
  5. 法人税額から税額控除・中間納付額を引いて納付額へ。地方法人税・防衛特別法人税は税額控除の前の法人税額から計算する。
先生今日のまとめだよ。法人税は、法人の各事業年度の所得にかかる国税なんだ。
ハルカ決算の当期純利益から出発して、税務調整で所得金額を出し、税率をかけて、控除と中間納付を引いて納める……6つの箱ですね。
先生そのとおりだよ。1つだけ足すと、地方法人税と防衛特別法人税は、税額控除の前の法人税額から計算するんだ。
ハルカ6つの箱を、手帳の表紙の裏に書いておきます。
先生いい使い方だね。次の第2回では、誰に、いつ、どこで法人税がかかるのかを見ていこうか。

参照条文・出典

参照条文:法人税法4条(納税義務者)、21条(各事業年度の所得に対する法人税の課税標準)、22条1項(各事業年度の所得の金額の計算)、66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率)、68条(所得税額の控除)、71条(中間申告)、74条(確定申告)、租税特別措置法42条の3の2(中小企業者等の法人税率の特例)、地方法人税法、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(防衛特別法人税)

参考資料:税務大学校『法人税法(基礎編)令和8年度版』「はじめに」(pp.1〜3)、第2章第1節・第2節(pp.21〜25)、第9章第1節(pp.129〜131)、第10章第3節(p.138)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)/国税庁『法人税のあらましと申告の手引』(令和7年10月)/国税庁『防衛特別法人税が創設されました』(令和8年6月改訂)

本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(少額減価償却資産の特例の見直しなど)と防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)は国税庁の資料で反映しています。

本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度を共通事例とし、各制度の適用時期に応じた法令に基づく学習用の解説・試算です。個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品などの数字は学習用に設定した仮定の数値です。

ハルカ条文で確かめたいときは、どこを見ればいいですか?
先生課税標準は法人税法21条、所得の計算は22条1項、税率は66条なんだ。法人税法ラボ ↗で条文から引けるよ。
ハルカ講本にも、所得税との違いが書いてありますか?
先生講本の「はじめに」に、所得税と比べた特色がまとめてあるよ。この教材の図は、それを参考にTaxJudgeが独自に作っているんだ。
法人税 入門講座 第1回|taxjudge.com
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