法人税ってどんな税? ── 計算の地図
会社の決算から、法人税をいくら納めるかまでを「6つの箱」の地図でつかむ回です。この地図は、全18回を通して使います。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 法人税 | 法人の各事業年度の所得にかかる国税 |
| 事業年度 | 定款などで定めた会計期間(1年以内)。法人税はこの期間ごとに計算する |
| 当期純利益 | 損益計算書のいちばん下の利益。法人税等を差し引いた後の金額(税引後) |
| 税務調整 | 会計の利益を、税法の所得に直すための加算・減算 |
| 所得金額 | 益金の額から損金の額を引いた金額。法人税の課税標準 |
| 中小法人 | 資本金1億円以下の普通法人など(大法人の100%子会社などを除く)。軽減税率などの特例がある |
| 地方法人税・防衛特別法人税 | どちらも国税。法人税額(税額控除の前)をもとに計算し、法人税と一緒に申告する |
| 法令と数字 | この講座は令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度に適用される法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
法人税は会社の決算(当期純利益)から出発し、税務調整で所得金額を出して税率をかけ、税額控除・中間納付を引いて納付税額にたどり着く。この6つの箱(計算の地図)を、自分の言葉で説明できるようになること。
※ この講座は、資本金1億円以下の内国の普通法人(株式会社)を中心に扱います。法人住民税・法人事業税(地方税)は計算の流れの紹介にとどめます。
図で見る:法人税の計算の地図(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 法人の所得にかかる税
法人税:法人の各事業年度の所得にかかる国税 → 決算 → 税務調整 → 所得金額 → 法人税額 → 差引・控除 → 納付税額
STEP 2 出発点は決算
X社の出発点:当期純利益(税引後) 4,007,300円
STEP 3 税務調整で所得へ
当期純利益 4,007,300円 + 加算 1,992,700円 − 減算 0円 = 所得金額 6,000,000円
STEP 4 所得 × 税率
所得金額 6,000,000円(千円未満切捨て) → 法人税額 900,000円
STEP 5 納付税額まで
法人税 900,000円 + 地方法人税 92,700円 + 防衛特別法人税 0円 = 納付税額 992,700円
さくら食品で確かめる
※ さくら食品は消費税入門講座と同じ会社です(資本金1,000万円・3月決算)。税務調整の中身は、第4回からひとつずつ積み上げます。
やってみよう:この作業は地図のどの箱?(6問)
法人税の計算で出てくる作業が、6つの箱のどこに当たるかを選びましょう。
よくある間違い
① 税引前の利益に、そのまま税率をかける
出発点は損益計算書の当期純利益(税引後)です。そこに税務調整(加算・減算)をして所得金額を出し、税率をかけるのは所得金額です。② 所得が800万円を超えたら、全部が23.2%になる
中小法人の軽い税率は、所得のうち年800万円以下の部分にかかります。超えた部分だけが23.2%です。③ 地方法人税は、税額控除を引いた後の法人税額にかける
地方法人税・防衛特別法人税は、所得税額控除などを引く前の法人税額をもとに計算します(第15回)。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 法人税は、法人の各事業年度の所得にかかる国税。所得の種類は分けず、事業年度ごとに計算する。
- 出発点は、株主総会などで承認を受けた確定決算の当期純利益(税引後)。
- 当期純利益 + 加算 − 減算 = 所得金額(税務調整)。会計の利益と税法の所得は、目的が違うのでずれる。
- 法人税額 = 所得金額 × 税率。中小法人は年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%。
- 法人税額から税額控除・中間納付額を引いて納付額へ。地方法人税・防衛特別法人税は税額控除の前の法人税額から計算する。
参照条文・出典
参照条文:法人税法4条(納税義務者)、21条(各事業年度の所得に対する法人税の課税標準)、22条1項(各事業年度の所得の金額の計算)、66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率)、68条(所得税額の控除)、71条(中間申告)、74条(確定申告)、租税特別措置法42条の3の2(中小企業者等の法人税率の特例)、地方法人税法、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(防衛特別法人税)
参考資料:税務大学校『法人税法(基礎編)令和8年度版』「はじめに」(pp.1〜3)、第2章第1節・第2節(pp.21〜25)、第9章第1節(pp.129〜131)、第10章第3節(p.138)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)/国税庁『法人税のあらましと申告の手引』(令和7年10月)/国税庁『防衛特別法人税が創設されました』(令和8年6月改訂)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(少額減価償却資産の特例の見直しなど)と防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)は国税庁の資料で反映しています。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度を共通事例とし、各制度の適用時期に応じた法令に基づく学習用の解説・試算です。個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品などの数字は学習用に設定した仮定の数値です。