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第11回 交際費・寄附金・租税公課|法人税入門講座

法人税 入門講座|第11回(v4)

交際費・寄附金・租税公課 ── 損金にならない支出

会計では費用なのに、税法では損金にならない(または一部しかならない)支出があります。交際費等の損金不算入、寄附金の区分と限度額、損金にならない税金を整理します。第4回で「税引後の当期純利益から始めた」理由も、ここで回収します。さくら食品の別表四に5行を書く回です。

所要 18分前提:第4回(納税充当金・留保)・第6回(寄附金の入口)条文:租税特別措置法61条の4、法人税法37条・38条・55条令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度で解説
第1章 全体像1234
第2章 益金567
第3章 損金8910111213
第4章 税額と申告141516
第5章 グループと総合演習1718
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
交際費等得意先などに対する接待・供応・慰安・贈答などの費用。中小法人は一定額まで損金
接待飲食費交際費等のうち、得意先などとの飲食の費用。その50%は損金にできる
定額控除限度額中小法人が損金にできる交際費等の上限。年800万円
寄附金金銭や資産の贈与、経済的な利益の無償の供与(広告宣伝費・交際費等などを除く)
一般寄附金国等・指定寄附金・特定公益増進法人などに当たらない寄附金。損金算入限度額まで損金
租税公課税金や公的な負担金。法人税・住民税・延滞税などは損金にならず、事業税・固定資産税などは損金
納税充当金当期の法人税・住民税・事業税の未払額の見積り(会計の未払法人税等)。繰り入れた額は損金にならない
法令と数字この講座は令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度に適用される法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます

はじめに:今日のゴール

🎯
今日のゴール
交際費等は、中小法人なら800万円の定額控除か接待飲食費の50%まで損金。寄附金は4つの区分で扱いが違い、一般寄附金は損金算入限度額まで。法人税・住民税・延滞税などの税金は損金にならないので、損益計算書で差し引いた法人税等を別表四で加算して戻す――これを説明できるようになること。
シンプルな例:S社の交際費等900万円
→
定額控除を超える部分損金不算入
→
寄附金の限度超過額も加算
さくら食品:中間納付・納税充当金・寄附金税金と寄附金
→
損益計算書で引いた税金を戻す加算・減算
→
別表四に書く5行

※ 交際費等の範囲のくわしい判定、資本金100億円超の法人の扱い、特定公益増進法人等への寄附金の特別限度額の計算、外国税額、使途秘匿金は、名前の紹介にとどめます。

ハルカ先生、第10回で5行目を書きました。今日も1行ですか?
先生今日は一気に5行を書くんだ。交際費・寄附金と、税金の行だよ。
ハルカ税金の行、というのは何ですか?
先生損益計算書で差し引いた法人税等には、損金にならない税金が入っているんだ。第4回で予告した「税引後から始めた分」を、ここで戻すよ。
ハルカやっと、あの理由が分かるんですね。
先生今日は、損金にならない支出を、5つのステップで見ていこうか。

図で見る:交際費・寄附金・租税公課(5ステップ)

先生最初は「シンプルな例」のS社で、5ステップを通してみよう。さくら食品や、自分で入力にも切り替えられるんだ。
ハルカ「自分で入力」で、中小法人とそれ以外を切り替えられるんですね。
先生定額控除がなくなると、損金不算入額がどう変わるかを確かめてみようか。
👆下のステップをクリックタップすると、図と会話が切り替わります← →キーでも移動できます
← 図は横にスクロールできます →
① 交際費等 ── 得意先などへの接待・贈答の費用(措法61条の4)交際費等になる得意先・仕入先など事業に関係のある人への・接待・供応(飲食・ゴルフなど)・慰安(旅行・観劇への招待など)・贈答(お中元・お歳暮・餞別など)→ 原則として損金不算入(中小法人は次のステップの額まで損金)交際費等から除くもの・1人1万円以下の飲食費(社内だけの飲食 を除く。参加者・人数などの書類を保存)・会議に伴う茶菓・弁当などの費用・社員全員の忘年会など(福利厚生費)・カレンダー・手帳などの広告宣伝費・取材の費用などS社の交際費等交際費等 9,000,000円うち接待飲食費(得意先などとの飲食)4,000,000円名前ではなく、相手と目的で判定する。会議費や福利厚生費でも、実態が接待なら交際費等。
S社:交際費等 9,000,000円(うち接待飲食費 4,000,000円)。1人1万円以下の飲食費などは除く
ハルカ交際費は、会社の経費なのに損金にならないんですか?
先生得意先などへの接待・供応・慰安・贈答の費用は交際費等で、原則として損金にならないんだ。ただ、中小法人には損金にできる枠があるよ。
🤔 迷いポイント得意先との飲食代なら、いくらでもすべて交際費等?
ハルカ取引先と食事をしたら、全部が交際費だと思っていました。
先生1人1万円以下の飲食費は、書類を保存すれば交際費等から除くんだ。会議の弁当や、社員全員の忘年会も交際費等ではないよ。
ハルカS社の交際費等は900万円で、そのうち接待飲食費が400万円なんですね。
先生そうだよ。名前ではなく、相手と目的で判定するんだ。
💡 そうだったのか!交際費等は、得意先などへの接待・供応・慰安・贈答の費用。1人1万円以下の飲食費などは除く。
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)

STEP 1 交際費等とは

ハルカ交際費は、会社の経費なのに損金にならないんですか?
先生得意先などへの接待・供応・慰安・贈答の費用は交際費等で、原則として損金にならないんだ。ただ、中小法人には損金にできる枠があるよ。
🤔 迷いポイント得意先との飲食代なら、いくらでもすべて交際費等?
ハルカ取引先と食事をしたら、全部が交際費だと思っていました。
先生1人1万円以下の飲食費は、書類を保存すれば交際費等から除くんだ。会議の弁当や、社員全員の忘年会も交際費等ではないよ。
ハルカS社の交際費等は900万円で、そのうち接待飲食費が400万円なんですね。
先生そうだよ。名前ではなく、相手と目的で判定するんだ。
💡 そうだったのか!交際費等は、得意先などへの接待・供応・慰安・贈答の費用。1人1万円以下の飲食費などは除く。

S社:交際費等 9,000,000円(うち接待飲食費 4,000,000円)。1人1万円以下の飲食費などは除く

STEP 2 交際費等の損金不算入額

ハルカ中小法人は、交際費をいくらまで損金にできるんですか?
先生年800万円の定額控除か、接待飲食費の50%か、多い方まで損金にできるんだ。
🤔 迷いポイント中小法人なら、交際費は全部損金になる?
ハルカ中小企業には、交際費の制限がないと思っていました。
先生S社は交際費等が多いから、1,000,000円が損金にならないんだ。超えた分は加算・社外流出だよ。
ハルカ定額控除と接待飲食費の50%は、どちらを使うんですか?
先生損金不算入額が少なくなる方を選べるんだ。
💡 そうだったのか!中小法人の交際費等は、定額控除か接待飲食費の50%の多い方まで損金。超えた部分は加算・社外流出。

交際費等の損金不算入額 = 1,000,000円(定額控除を使う)

STEP 3 寄附金の4つの区分

ハルカ寄附金は、損金になりますか?
先生相手によって4つに区分するんだ。国や地方公共団体への寄附金は全額が損金、一般寄附金は限度額まで損金だよ。
🤔 迷いポイント寄附金は事業と関係ないから、全部損金にならない?
ハルカ寄附は好意だから、費用にならないと思っていました。
先生一般寄附金も、限度額までは損金なんだ。親会社が100%を持つグループの法人どうしの一定の寄附金は、全額が損金にならないよ。
ハルカ寄附金は、払った年に判定するんですか?
先生そうだよ。未払の寄附金は、実際に払うまで損金にならないんだ。
💡 そうだったのか!寄附金は4区分。国等は全額損金、一般寄附金は限度額まで、法人による100%グループの法人への一定の寄附金は全額損金不算入。

国等・指定寄附金は全額損金、一般寄附金は限度額まで、法人による100%グループの法人への一定の寄附金は全額損金不算入

STEP 4 一般寄附金の限度額

ハルカ一般寄附金の限度額は、どう計算するんですか?
先生期末の資本金と資本準備金の部分と、所得の金額の部分を足して、4分の1を掛けるんだ。
🤔 迷いポイント所得の金額は、別表四の最後の所得を使えばいい?
ハルカいちばん下の所得金額を使うと思っていました。
先生寄附金を損金にしない場合の所得、つまり仮計に支出した寄附金を足した額を使うんだ。S社は21,000,000円だよ。
ハルカ限度額は137,500円だから、862,500円が損金にならないんですね。
先生そのとおりだね。会社の外に出たお金だから、加算・社外流出なんだ。
💡 そうだったのか!一般寄附金の限度額=(資本金+資本準備金の部分+所得の金額の部分)×4分の1。超えた部分は加算・社外流出。

一般寄附金 1,000,000円 − 限度額 137,500円 = 損金不算入 862,500円(加算・社外流出)

STEP 5 税金(租税公課)と別表四

ハルカ会社が払った税金は、損金になりますか?
先生法人税や住民税、延滞税や加算税は損金にならないんだ。事業税や固定資産税、印紙税は損金だよ。
🤔 迷いポイント税金は払わなければいけないものだから、全部損金?
ハルカ会社の負担だから、全部費用になると思っていました。
先生法人税は所得から払うものだから、損金にすると計算が循環してしまうんだ。罰金なども、損金にすると罰の効果が薄れるから損金にならないよ。
ハルカ損金経理した法人税は、別表四で加算するんですね。
先生そうだよ。別表四を税引後から始めても、加算で税引前に戻るんだ。
💡 そうだったのか!法人税・住民税・延滞税などは損金にならず、加算。事業税・固定資産税・印紙税などは損金。

損金にならない税金は加算。事業税・固定資産税・印紙税などは損金

さくら食品の「育つ別表四」── 5行を書く

※ 交際費等は定額控除限度額以内なので、別表四の行はありません。事業税の中間納付額は損金なので、加算しません。源泉所得税(法人税額から控除するもの)の加算は第15回で書きます。

先生これが、5行を書いたさくら食品の別表四だよ。
ハルカ黄色の行が5つもあります。
先生それぞれの理由と区分を、下のカードにまとめておいたんだ。税金の行は、どれも留保だよ。
ハルカ寄附金だけが社外流出なんですね。
先生そのとおりだね。会社の外に出たお金だからなんだ。

やってみよう:交際費? 損金になる税金?(6問)

資本金1,000万円の中小法人です。支出の内容から判定しましょう。

ハルカ交際費と税金の判定を、練習したいです。
先生左の6問で、支出の中身から判定してみようか。
ハルカ飲食費は、1人当たりの金額を見るようにします。
先生書類の保存も条件だから、忘れずにね。

よくある間違い

① 得意先との飲食代は、すべて交際費等

1人当たり1万円以下の飲食費(社内の人だけの飲食を除き、参加者などを書いた書類を保存したもの)は、交際費等から除きます。会議に伴う茶菓・弁当、社員全員の忘年会なども交際費等ではありません。

② 寄附金は、すべて損金にならない

国・地方公共団体への寄附金と指定寄附金は全額が損金です。一般寄附金も損金算入限度額までは損金です。また、寄附金は実際に払った事業年度で判定します(未払の寄附金は損金にならない)。

③ 会社が払った税金は、すべて損金

法人税・地方法人税・住民税、延滞税・加算税などは損金になりません。事業税や固定資産税・印紙税などは損金です。事業税は、申告した事業年度の損金になります。
ハルカ①の飲食費は、金額で交際費等から外れることがあるんですね。
先生そうだね。1人1万円以下なら、交際費等から除くんだ。
ハルカ③の税金は、事業税だけが損金になるんですね。
先生固定資産税や印紙税も損金だよ。損金にならないのは、法人税・住民税や附帯税などなんだ。

ミニテスト(3問)

Q1. 中小法人の交際費等で、損金になるのは?
Q2. 市(地方公共団体)に払った災害義援金は?
Q3. 損金経理した法人税の中間納付額は、別表四でどうする?

おわりに ── 今日のふりかえり

1分まとめ
  1. 交際費等は原則として損金不算入。中小法人は年800万円の定額控除か接待飲食費の50%の多い方まで損金(措法61条の4)。1人1万円以下の飲食費などは交際費等から除く。
  2. 寄附金は4区分:国等・指定寄附金は全額損金、特定公益増進法人等は特別限度額まで、一般寄附金は損金算入限度額まで、法人による完全支配関係がある他の内国法人への一定の寄附金は全額損金不算入(第17回)。
  3. 一般寄附金の限度額=((期末の資本金+資本準備金)×月数/12×1,000分の2.5+所得の金額×100分の2.5)×4分の1。所得の金額は、寄附金を損金にしない場合の所得(マイナスなら0円)。
  4. 法人税・地方法人税・住民税・延滞税・加算税・罰金などは損金不算入。事業税・固定資産税・印紙税などは損金。
  5. 損金経理した法人税等の中間納付額と納税充当金は加算(留保)、納税充当金から払った前期の事業税は減算(留保)。これで「税引後から始めた」分が戻る。
先生今日のまとめだよ。交際費等は、中小法人なら定額控除か接待飲食費の50%まで損金なんだ。
ハルカ寄附金は4区分で、一般寄附金は限度額まで。法人税や住民税は損金にならないから、中間納付と納税充当金を加算……ですね。
先生そのとおりだよ。1つだけ足すと、前期の事業税は、払った当期の損金だから減算するんだ。
ハルカこれで、税引後から始めても税引前に戻る理由が分かりました。
先生よかった。次の第12回では、貸倒損失と貸倒引当金を見ていこうか。

参照条文・出典

参照条文:租税特別措置法61条の4(交際費等の損金不算入)、同施行令37条の5、法人税法37条(寄附金の損金不算入)、同施行令73条(一般寄附金の損金算入限度額)・77条の2(特定公益増進法人等)、法人税法38条(法人税額等の損金不算入)・55条(不正行為等に係る費用等)、法人税基本通達9-5-1(事業税等の損金算入の時期)・9-4-2の3(寄附金の支出の時期)

参考資料:税務大学校『法人税法(基礎編)令和8年度版』第6章第2節〜第4節(pp.84〜104)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)

本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(少額減価償却資産の特例の見直しなど)と防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)は国税庁の資料で反映しています。

本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度を共通事例とし、各制度の適用時期に応じた法令に基づく学習用の解説・試算です。個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品などの数字は学習用に設定した仮定の数値です。

ハルカ条文で確かめたいときは、どこを見ればいいですか?
先生交際費等は租税特別措置法61条の4、寄附金は法人税法37条、法人税額等は38条なんだ。法人税法ラボ ↗で条文から引けるよ。
ハルカ寄附金の限度額の算式は、どこに載っていますか?
先生施行令73条だよ。講本の第6章にも計算例があって、この教材の図はそれを参考にTaxJudgeが独自に作っているんだ。
法人税 入門講座 第11回|taxjudge.com
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