誰に、いつ、どこで課税する? ── 納税義務者・事業年度・申告
法人税を納めるのは誰か、どの期間の所得に、どこへ、いつまでに申告するのか。中間申告と青色申告まで、申告のカレンダーをつかむ回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 内国法人 | 国内に本店または主たる事務所がある法人。それ以外は外国法人 |
| 普通法人 | 株式会社・合同会社など。公共法人・公益法人等・協同組合等・人格のない社団等以外の法人 |
| 収益事業 | 物品販売業など、法人税法施行令に列挙された事業で、継続して事業場を設けて行うもの |
| 事業年度 | 定款などで定めた会計期間(1年以内)。法人税はこの期間ごとに計算する |
| 納税地 | 申告・納付などをする場所。内国法人は原則として本店の所在地 |
| 確定申告 | 確定した決算に基づいて、事業年度の所得金額や法人税額を申告すること |
| 中間申告(予定申告) | 事業年度の途中で行う申告。前期の法人税額を基準にする予定申告と、仮決算による申告がある |
| 青色申告 | 帳簿を備え付けて記録・保存し、税務署長の承認を受けて提出する申告。特典がある。承認・却下の処分がないときは、原則としてその事業年度の終了の日に承認があったとみなされる(中間申告書を提出すべき法人などは別の扱い) |
| 法令と数字 | この講座は令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度に適用される法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
法人の種類で課税の範囲が変わること、法人税は事業年度ごとに計算し、本店所在地の税務署へ終了の日の翌日から2か月以内に確定申告すること、中間申告と青色申告のしくみを説明できるようになること。
※ 外国法人、公益法人等の収益事業の範囲、解散したときのみなし事業年度、電子申告の義務化(資本金1億円超の法人など)は、名前の紹介にとどめます。
図で見る:誰に・いつ・どこで(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 誰が納める?
Y社:内国法人の普通法人 → 全ての所得に法人税
STEP 2 事業年度
Y社の事業年度:2026年1月1日(木) 〜 2026年12月31日(木)(12か月)
STEP 3 納税地と確定申告
確定申告の期限:事業年度終了の日の翌日から2か月以内 → 原則 2027年2月28日(日) は休日なので 2027年3月1日(月)
STEP 4 中間申告
予定申告の額 80,000円 → 10万円以下なので不要
STEP 5 青色申告
青色申告の承認申請の期限 → 原則 2025年12月31日(水) は休日なので 2026年1月5日(月)
さくら食品で確かめる
※ さくら食品の前期(令和7年4月〜令和8年3月)は中間申告をしていません(前々期は店舗の改装で利益が小さく、予定申告の額が10万円以下だった)。このため前期の確定申告の法人税額が、そのまま前期の年税額です。
やってみよう:申告のカレンダー・クイズ(6問)
申告期限と、中間申告・青色申告の判定を確かめましょう。
よくある間違い
① 法人ならどれも、全ての所得に法人税がかかる
全ての所得に課税されるのは普通法人・協同組合等です。公益法人等・人格のない社団等は収益事業から生じた所得だけ、公共法人は納税義務がありません。② 赤字の年は確定申告をしなくてよい
納める法人税がなくても確定申告書の提出は必要です。青色申告なら、赤字(欠損金)を翌期以後に繰り越せます(第14回)。③ 中間申告は、上半期の仮決算をしないとできない
原則は前期の法人税額×6÷前期の月数で計算する予定申告です。この額が10万円以下なら中間申告は不要です。仮決算による中間申告は、予定申告の額を超えるときは使えません。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 法人は5種類。普通法人・協同組合等は全ての所得、公益法人等・人格のない社団等は収益事業の所得だけに課税、公共法人は納税義務なし。
- 事業年度は定款などで定めた会計期間(1年以内)。法人税だけの事業年度は作れない。
- 確定申告は、納税地(原則は本店所在地)の税務署へ、事業年度終了の日の翌日から2か月以内。期限が土日祝日・年末年始なら、休日でない日まで繰り下がる。赤字でも提出する。
- 中間申告は、事業年度が6か月を超える普通法人が、6か月を経過した日から2か月以内。原則は前期実績による予定申告で、10万円以下なら不要。
- 青色申告は、帳簿の備付け・記録・保存と事前の承認申請が要件。欠損金の繰越控除などの特典がある。
参照条文・出典
参照条文:法人税法2条3号・4号(内国法人・外国法人)、2条5号〜9号(公共法人・公益法人等・協同組合等・人格のない社団等・普通法人)、2条13号(収益事業)、4条(納税義務者)、5条(内国法人の課税所得の範囲)、13条〜15条(事業年度)、16条(納税地)、71条〜73条(中間申告)、74条(確定申告)、75条の2(確定申告書の提出期限の延長の特例)、121条〜125条(青色申告。125条=みなし承認)、国税通則法10条(期間の計算・期限の特例)、国税通則法施行令2条2項(休日)
参考資料:税務大学校『法人税法(基礎編)令和8年度版』第1章第1節〜第8節(pp.4〜20)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)/国税庁『法人税のあらましと申告の手引』(令和7年10月)
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(少額減価償却資産の特例の見直しなど)と防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)は国税庁の資料で反映しています。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度を共通事例とし、各制度の適用時期に応じた法令に基づく学習用の解説・試算です。個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品などの数字は学習用に設定した仮定の数値です。