法人税額はいくらになる? ── 税率から納付額まで
別表四で求めた所得金額に税率を掛けると、法人税額が出ます。そこから地方法人税と防衛特別法人税を計算し、源泉徴収された所得税を差し引き、中間納付額を引いて、納める税額が決まります。計算の順番を間違えないことが大切です。さくら食品の別表四に最後の1行を書き、所得金額が完成する回です。
📘 用語表と、この講座の読み方(クリックで開く)
| 算出法人税額 | 所得金額(千円未満切捨て)に税率を掛けた法人税額 |
| 基準法人税額 | 所得税額控除などを差し引く前の法人税額。地方法人税・防衛特別法人税の計算のもとになる |
| 地方法人税 | 地方の財源のための国税。基準法人税額(千円未満切捨て)の10.3% |
| 防衛特別法人税 | 基準法人税額から500万円を引いた額(千円未満切捨て)の4%。令和8年4月1日以後に開始する事業年度から |
| 所得税額控除 | 利子・配当などから源泉徴収された所得税を、法人税額から差し引くこと(68条) |
| 中間納付額 | 事業年度の途中で前もって納めた法人税・地方法人税。確定申告で差し引く |
| 法令と数字 | この講座は令和8年4月1日〜令和9年3月31日の事業年度に適用される法令で解説しています。数字は改正で変わることがあり、改正のたびに差し替えます |
はじめに:今日のゴール
税額は①算出法人税額(所得×税率)→ ②基準法人税額(所得税額控除の前)→ ③地方法人税・防衛特別法人税(②をもとに)→ ④所得税額控除 → ⑤中間納付額の控除 → ⑥納付額の順に計算する。地方法人税を「所得税額控除を引いた残り」に掛けない――この順番で計算できるようになること。
※ 試験研究費の税額控除などの特別控除、外国税額控除、留保金課税(特定同族会社)、事業税・住民税の計算は扱いません(さくら食品の事業税・住民税は計算済みの数字を使います)。
図で見る:法人税額の計算の順番(5ステップ)
STEP1〜5の会話をまとめて読む(文字だけ)
STEP 1 所得×税率
算出法人税額 = 40,345,000 の税率計算 = 8,704,040円
STEP 2 地方法人税・防衛特別法人税
地方法人税 896,500円 防衛特別法人税 148,100円(どちらも基準法人税額 8,704,040円 から)
STEP 3 所得税額控除
差引法人税額 = 8,704,040円 − 所得税額控除 40,840円 = 8,663,200円(百円未満切捨て)
STEP 4 中間納付を引いて納付
納める額 = 法人税 5,663,200円 + 地方法人税 587,500円 + 防衛特別法人税 148,100円 = 6,398,800円
STEP 5 別表四が完成
①算出 → ②基準 → ③地方法人税・防衛特別法人税 → ④所得税額控除 → ⑤中間納付 → ⑥6,398,800円
さくら食品の「育つ別表四」── 最後の行を書いて完成
※ これで、第4回から書いてきた別表四の所得金額 13,270,773円 が完成しました。第16回では、留保の行を別表五(一)につなげます。
やってみよう:計算の順番を並べよう(6問)
税額計算の考え方を確かめます。
よくある間違い
① 地方法人税は、所得税額控除を引いた残りの法人税額に掛ける
地方法人税・防衛特別法人税は、所得税額控除などを差し引く前の基準法人税額をもとに計算します。② 中小法人は、所得の全部に15%
軽減税率15%は、所得のうち年800万円以下の部分だけです(令和9年3月31日までに開始する事業年度の特例)。超える部分は23.2%です。③ 防衛特別法人税が0円なら、申告は不要
基準法人税額が500万円以下で税額が0円でも、法人税の確定申告をする法人は、防衛特別法人税の申告が必要です。ミニテスト(3問)
おわりに ── 今日のふりかえり
- 算出法人税額=所得金額(千円未満切捨て)×税率。中小法人は年800万円以下の部分が15%、超える部分は23.2%。
- 地方法人税=基準法人税額(千円未満切捨て)×10.3%。防衛特別法人税=(基準法人税額−500万円)×4%。どちらも所得税額控除の前の額で計算。
- 所得税額控除:利子・配当から源泉徴収された所得税を法人税額から差し引く。損金にはならないので、別表四で加算(社外流出)。
- 差引法人税額(百円未満切捨て)と地方法人税から中間納付額を差し引いて、確定申告で納める額が決まる。
- さくら食品の別表四はこれで完成。所得金額13,270,773円、確定申告で納める額1,504,700円。
参照条文・出典
参照条文:法人税法66条(税率)、68条(所得税額の控除)、74条(確定申告)、77条(納付)、租税特別措置法42条の3の2(中小法人の軽減税率の特例)、地方法人税法9条・10条、防衛特別法人税に関する法律(令和8年4月1日以後に開始する事業年度)、国税通則法118条・119条(端数計算)
参考資料:税務大学校『法人税法(基礎編)令和8年度版』第8章(税額の計算)(国税庁ホームページ「税務大学校講本」で公開)、国税庁「防衛特別法人税の概要」
本教材は、上記講本を参考に、TaxJudgeが独自に構成・解説したものです。講本の基準日は令和8年1月1日で、その後の令和8年度税制改正(少額減価償却資産の特例の見直しなど)と防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から)は国税庁の資料で反映しています。
本教材は国税庁による監修・保証を受けたものではありません。令和8年4月1日から令和9年3月31日までの事業年度を共通事例とし、各制度の適用時期に応じた法令に基づく学習用の解説・試算です。個別の判断は税理士等にご確認ください。さくら食品などの数字は学習用に設定した仮定の数値です。